01 TECHNICAL GUIDE耐震クラスの施工指針と耐震設計 技術図書館へ
01
TECHNICAL GUIDE
耐震クラス S / A / B
設計用標準震度
支持間隔と耐震種別
現場チェックリスト
01
解説資料 / TECHNICAL GUIDE
耐震クラスの
施工指針と耐震設計
建築設備耐震設計・施工指針(2014年版)に基づく
基本の考え方から実務手順・チェックリストまで
S
最重要
A
重要
B
一般
出典:HARITAの設計室「耐震クラスS・A・Bの決め方」ほか
SECTION
01
この章で答えること
そもそも、なぜ耐震クラスが必要?
2014年版指針に至る背景と、判断の全体像
このセクションで扱うこと
01
指針改定の背景
02
設計から施工までの流れ
01
耐震設計指針とは|2014年版で何が変わったか
建築設備の耐震設計は「建築設備耐震設計・施工指針(2014年版)」が基本
2005年版
前版の指針
2011年 東日本大震災
被害モードが顕在化
2014年版(現行)
支持方法・種別を明確化
震災で判明した主な弱点
配管を固定するつかみ金具が外れ、配管が落下
置き基礎がズレて設備本体が破損
配管の端部・分岐部など応力集中部が割れた
吊り金具・埋込金具の強度不足で機器が落下
2014年版での主な強化点
2005年版をベースに全面的に見直し
設備機器・配管・ケーブルラックの支持方法を明確化
耐震クラス別の支持間隔・支持金物の種別を規定
建築基準法の新耐震設計法(昭和56年)と整合
被害の多くは天井裏・シャフト内など日常点検の目が届かない箇所で発生。だからこそ施工段階での支持方法の確認が重要になる。
00
全体像|耐震支持が決まるまでの4ステップ
設計指示から現場の金物選定までの流れを1枚で把握する
1
STEP 1
耐震クラス
建物用途 × 機器重要度
S / A / B
2
STEP 2
設置階の判定
上層階/中間階/地階・1階
階数で定義が変わる
3
STEP 3
設計用標準震度
2.0 〜 0.4
クラス × 設置階で決まる
4
STEP 4
支持間隔・種別
6 / 8 / 12m
SA種・A種・B種
この4ステップの順番を崩さないこと。クラスを飛ばして種別から入ると、設置階の判定漏れが起きやすい。
SECTION
02
この章で答えること
「クラス」と「種別」は何が違う?
耐震クラス S・A・B と支持種別 SA・A・B の関係
このセクションで扱うこと
01
耐震クラス S/A/B
02
耐震支持の種別 SA/A/B
02
耐震クラスとは|建物の役割で決まる3段階
建物の用途と機器の重要度で決定する。建物自体の頑丈さのランクではない
S
最重要
防災拠点・重要施設など、地震後も機能維持が求められる設備
病院・官公庁・データセンター等
非常用発電・消火・通信系は原則Sを想定
A
重要
一般的な事務所・商業施設などで重要度の高い設備
人命・二次被害に関わる設備
実務で最も指定頻度が高いクラス
B
一般
被害が限定的で、機能停止の影響が小さい設備
一般居室系の配線・配管など
最低限の耐震支持は必ず必要
クラスと種別の関係
「耐震クラス」=建物用途と機器重要度から決まる設計上の要求水準。「耐震種別(SA種・A種・B種)」=実際に用いる支持金物の仕様区分。
設計図・特記仕様書で指定されるのはクラス。種別は設置階と合わせて現場で決まる。
03
耐震種別とは|支持金物の仕様区分
耐震クラスと設置階から決まる、実際に取り付ける支持金物のグレード
SA種
最上位
耐震クラスSの上層階・屋上・塔屋に適用
アングル等で支持材を製作しアンカー固定
地震力を両方向で確実に受ける構成
A種
標準
クラスSの中間階以下、クラスA・Bの一般部に適用
アングルで支持材を製作しスラブ・梁にアンカー支持
最も多用される標準仕様
B種
簡易
クラスA・Bの一般部に適用
全ネジボルトで振れ止めをとる簡易な構成
軽量・小口径の対象に限定して使用
実務での注意
種別は「どこに何を付けるか」を決める施工側の区分。クラスと1対1では対応しない。
クラスSでも中間階以下はA種でよいなど、設置階によって種別が下がる組み合わせがある。
SECTION
03
この章で答えること
設置階で地震力はどれくらい変わる?
震度の決まり方と、上層階・中間階の判定方法
このセクションで扱うこと
01
設計用水平震度の考え方
02
標準震度マップ
03
上層階・中間階の判定
03
設置階のイメージ|同じ機器でも階で地震力が変わる
上層階ほど揺れが増幅されるため、設計用標準震度は大きくなる
最上階
中間の階
地階・1階
上層ほど
揺れが大きい
上層階・屋上・塔屋
標準震度 2.0(クラスS)/1.5(A)/1.0(B)
中間階
標準震度 1.5(クラスS)/1.0(A)/0.6(B)
地階・1階
標準震度 1.0(クラスS)/0.6(A)/0.4(B)
上層階の範囲は建物の総階数で変わる(2〜6階建=1層/13階建以上=4層)
上層階
中間階
地階・1階
最大(上層階・クラスS 2.0)と最小(地階・1階・クラスB 0.4)で5倍の差がつく
設置階の判定を誤ると過小設計になる。まず建物の総階数から上層階の範囲を確定させること。
04
設計用水平震度の考え方|0.4 から掛け算で決まる
基準となる 0.4 に「設置階」「機器」「建物」の条件を掛けて、機器ごとの震度が決まる
基準震度
0.4
どの建物も共通
×
設置階
2.5
上層階の場合
×
機器の種類
1.5
一般機器の場合
×
建物の特性
2/3
構造特性係数
×
用途の重要度
2.0
用途係数の積
設計用標準震度
2.0
上層階・クラスS
「設置階」で変わる値
上層階 2.5 / 中間階 1.5 / 地階・1階 1.0
階が上がるほど揺れが増幅されるため値が大きくなる
「機器の種類」で変わる値
一般機器 1.5 / 防振支持機器 2.0
防振ばねの上の機器は揺れやすく、より大きな地震力を見込む
上の例は「上層階に置く一般機器・耐震クラスS」のケース。次ページの標準震度マップの 2.0 と一致する。
※ 実際の計算式:KH=KG×K1×K2×Z×DSS×IS・IK(Z:地域係数 0.7〜1.0)
04
設計用標準震度マップ|設置階 × 耐震クラス
色が濃いほど地震力が大きい。同じ機器でも上層階・上位クラスほど厳しくなる
耐震クラス S
耐震クラス A
耐震クラス B
上層階・屋上・塔屋
2.0
1.5
1.0
中間階
1.5
1.0
0.6
地階・1階
1.0
0.6
0.4
上層階の定義(階数別)
2〜6階建=最上階/7〜9階建=上層2層
10〜12階建=上層3層/13階建以上=上層4層
最大と最小で5倍の差
上層階のクラスS(2.0)と地階・1階のクラスB(0.4)。
設置階の判定を誤ると過小設計になる。
04
上層階・中間階の判定|建物の階数で境目が変わる
「最上階から数えて何層までが上層階か」は、建物の総階数で決まる
1層
2〜6階建
上層階=最上階の1層のみ
それ以外は中間階(地階・1階を除く)
低層の建物では判定を誤りにくい
2層
7〜9階建
上層階=最上階から2層
9階建なら8・9階が上層階
中間階は2〜7階
3層
10〜12階建
上層階=最上階から3層
12階建なら10〜12階が上層階
屋上・塔屋は上層階として扱う
4層
13階建以上
上層階=最上階から4層
13階建なら10〜13階が上層階
高層ほど上層階の範囲が広い
中間階=地階・1階を除き、上層階に該当しない階。上層階ほど揺れが増幅されるため、同じ機器・同じ耐震クラスでも設置階が上がると設計用標準震度は大きくなる。
SECTION
04
この章で答えること
支持間隔は決まっているの?
ケーブルラックを例に、支持間隔と施工方法を確認
このセクションで扱うこと
01
支持間隔と施工のポイント
02
支持間隔の目安(バー比較)
05
耐震支持間隔と施工のポイント
ケーブルラックの例|設置場所と耐震クラスで支持間隔・支持種別が変わる
設置場所
耐震クラス A・B
耐震クラス S
上層階・屋上・塔屋
8m 以内
A種またはB種
6m 以内
SA種
中間階・地階・1階
12m 以内
A種またはB種
8m 以内
A種
数値は支持1箇所あたりの最大間隔。上層階・クラスSほど間隔は短くなる
施工上の要点
S・A種
アングルで支持材を製作し、スラブまたは梁にアンカーで固定
B種
全ネジボルトで振れ止めをとる
共通
ラック末端付近は必ず耐震支持。横引き・縦引きの方向ごとに振れ止めの要否を確認する
適用除外となるケース
製造者が性能を確認した製品は最大12mまで設定可/ケーブルラック幅400mm未満/吊りボルト長さ平均20cm以下
※ 除外に該当しても、ラック末端部の耐震支持は耐震クラスによらず省略しない
05
耐震支持間隔の目安|ケーブルラックの例
バーの長さ=支持と支持の間隔。両端の縦線が耐震支持の位置で、その間隔をこの範囲に収める
設置階/耐震クラス
許容スパン(支持種別)
0m
4m
8m
12m
上層階 / クラス S
6m 以内(SA種)
上層階 / クラス A・B
8m 以内(A種・B種)
中間階以下 / クラス S
8m 以内(A種)
中間階以下 / クラス A・B
12m 以内(A種・B種)
支持間隔をゆるめられるケース
製造者が性能確認した製品は最大12mまで可/幅400mm未満のラック
吊りボルト長さ平均20cm以下
それでも省略できない支持
ラック末端付近の耐震支持は耐震クラスによらず必須。
横引き・縦引きの方向ごとに振れ止めの要否を確認する。
SECTION
05
この章で答えること
現場では何を確認すればいい?
設計・施工・検査の各段階でのチェックポイント
このセクションで扱うこと
01
実務チェックリスト
02
まとめ|判断の順序
06
実務チェックリスト|設計から検査まで
「クラス」→「設置階」→「支持間隔・種別」の順で確定し、各段階で確認する
STEP 1
設計時
耐震クラスの指定を図面・仕様書で確認
機器重要度と設置階(上層階か否か)を確定
見落としやすい点
クラスと種別の混同/用途係数の取り違え
STEP 2
施工時
支持間隔と金物の種別を照合
アンカーの種類と埋込深さを確認
見落としやすい点
末端部の支持忘れ/吊りボルト長さの確認漏れ
STEP 3
検査・引渡し時
支持間隔を実測し、指定値以内であることを記録
アンカー引抜き試験結果と施工写真を整理
他業種との取合いで支持の撤去がないか最終確認
見落としやすい点
後施工による支持の撤去/記録・写真の整理漏れ
よくある誤り
設計指示のクラスを種別と読み違える/上層階の定義を階数で判定せず一律に扱う
除外条件を拡大解釈し末端支持を省略する/防振機器の応答倍率(2.0)を一般機器と同じにする
07
まとめ|実務での使い分け
設計指示を受けたら「クラス」→「設置階」→「支持間隔・種別」の順で確定する
1
耐震クラスを確認
建物用途と機器の重要度から S/A/B を確定。設計図・特記仕様書の指示を確認する
S / A / B
2
設置階を判定
階数の定義に従い上層階・中間階・地階/1階を判定し、設計用標準震度を決定する
標準震度 2.0〜0.4
3
支持間隔・種別を決定
支持間隔と耐震種別を選定。ラック末端部はクラスによらず必ず耐震支持を設ける
6 / 8 / 12m・SA〜B種
この順序を守れば、クラスと種別の取り違えや設置階の判定漏れといった典型的な誤りを防げる。
出典:HARITAの設計室/建築設備耐震設計・施工指針(2014年版)ほか
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