03
TECHNICAL GUIDE
静電気の除去が目的
根拠は危険物の規制に関する政令
D種接地・5.5mm²以上
接地極と付帯設備
03
解説資料 / TECHNICAL GUIDE
ローリーアースの
設置基準と接地線サイズ
静電気による引火を防ぐための接地。
根拠となる政令から、D種接地・5.5mm²以上という仕様の決まり方まで
D
接地工事
5.5
mm²以上
0.9
m 打込み
出典:HARITAの設計室「ローリーアースの設置基準と接地線サイズの選定方法」ほか
SECTION
01
この章で答えること
そもそも何のための接地?
図面に「ローリーアース」とあるとき、何を求められているのか
このセクションで扱うこと
01
役割と背景
02
設置の根拠となる法令
01
ローリーアースとは|静電気による引火を防ぐ接地
タンクローリーから引火性液体を注入するときの、静電気対策としての接地
消防法 第10条4項
技術上の基準は政令で定める
▶
危険物の規制に関する政令
第9条18項
▶
技術指針
D種・第3種を参考にする
なぜ必要か
タンクローリーからガソリン・灯油などを注入する際、静電気で引火するおそれがある
給油所などの注入場所に接地端子を設け、車両を電気的に接続して静電気を逃がす
タンクローリー側にはアースリールが備わっている
給油時の「静電気除去シートにタッチ」と同じ考え方
どこに設けるか
設けるのは受入れ側(給油所など)の接地端子・接地設備
車両側に設ける設備ではない点に注意
給油口側に端子がない場合はローリーアース盤を設置する
車両のアースリールを接続できる状態にしておく
図面の「ローリーアース」は、車両を受け入れる側に用意する静電気除去用の接地。目的が分かれば、必要な仕様も追いやすくなる。
01
接続のイメージ|静電気を大地へ逃がす経路
車両のアースリールを、受入れ側の端子と接地極につないで放電させる
地盤面
タンクローリー
移動タンク貯蔵所
リール
アースリール
接地線 5.5mm² 以上
ローリーアース盤
ローリータンクとの接続用
静電気
D種接地
接地極:直径10mm程度の鉄棒・銅棒
地盤面下 約0.9m に打ち込む(水道管・タンク脚で代替できる場合もある)
受入れ側(給油所など)に設ける設備
車両側の設備
逃がす対象
静電気は 車両 → アースリール → 接地線 → ローリーアース盤 → 接地極 → 大地 の順に逃げる
給油口側に接続用の端子がない場合にローリーアース盤を設置する。設計時は、車両の停止位置から端子に届くかまで確認しておく。
SECTION
02
この章で答えること
仕様はどう決まる?
政令には数値がない。どこを見て決めるのか
このセクションで扱うこと
01
根拠と仕様の関係
02
必要なものの一覧
02
取り違えやすいところ|誤解と正しい理解
根拠の読み方を間違えると、仕様の決め方も変わってしまう
取り違えやすいところ
ローリーアースは車両側に設ける設備
政令に接地線の太さが書かれている
接地工事はC種でよい
接地線は細くても機能すれば足りる
正しくは
受入れ側(給油所など)に設ける接地端子・接地設備
政令には静電気の除去とあるのみで、太さは技術指針を参考にする
D種接地(または第3種接地)の技術基準を参考とする
導線は直径1.6mm程度の軟銅製、実務では5.5mm²以上とする
根拠の位置づけ
消防法第10条4項を受けた「危険物の規制に関する政令」第9条18項に「静電気を有効に除去する装置を設けること」とあるのみで、抵抗値や太さの規定はない。
移動タンクの技術指針で、D種接地または第3種接地の技術基準を参考とするとされている。
03
ローリーアース設備に必要なもの
接地工事の種類・接地線サイズ・接地極・付帯設備の4点で決まる
項目
仕様
接地工事の種類
D種接地
第3種接地の技術基準を参考
接地線サイズ
5.5mm² 以上
指針は直径1.6mm程度の軟銅製
施設の条件により太くする場合もあるが、まずはこのサイズが基本になる
接地極と付帯設備
接地極
直径10mm程度の鉄棒・銅棒を地盤面下 約0.9m に打ち込む
代替できるもの
水道管や地中に埋設されたタンク脚などで代替できる場合がある
ローリーアース盤
給油口側に接続用の端子がない場合に設置する(ローリータンクとの接続用)
対象を広げて考える
タンクローリーだけを考えればよいわけではない。静電気で引火や製品への影響があるものは、仕様書で接地の要否を確認する。
SECTION
03
この章で答えること
現場では何を確認する?
設計・施工・検査の各段階で押さえるところ
このセクションで扱うこと
01
実務チェックリスト
02
まとめ|判断の順序
04
実務チェックリスト|設計から検査まで
「目的」→「根拠」→「仕様」の順に確かめれば、迷いどころが減る
STEP 1
設計時
✓
注入場所と接続位置(給油口側の端子の有無)を確認
✓
ローリーアース盤の要否を判断
✓
静電気の影響を受ける他の設備の接地要否を仕様書で確認
見落としやすい点
車両側の設備と取り違える/政令に太さの規定があると思い込む
STEP 2
施工時
✓
接地線は5.5mm²以上を確保
✓
接地極の打込み深さ(地盤面下 約0.9m)を確認
✓
代替とする水道管・タンク脚の状態を確認
見落としやすい点
接地線を細くしすぎる/接地極の深さ不足
STEP 3
検査・引渡し時
✓
接地抵抗を測定して記録
✓
接続端子まで実際にアースリールが届くかを確認
✓
埋設部の施工写真を整理
見落としやすい点
端子位置が車両の停止位置と合わない/記録の残し忘れ
よくある質問から
接地工事の種類はD種接地。接地線サイズは5.5mm²以上が目安で、施設の条件により太くする場合もある。
接地極は直径10mm程度の鉄棒・銅棒を地盤面下 約0.9m 打ち込んだものが目安。
05
まとめ|ローリーアースの決め方
目的が静電気の除去だと分かれば、仕様の根拠も追える
1
目的は静電気による引火の防止
タンクローリーから引火性液体を注入する際の静電気を逃がすため、給油所など受入れ側に接地端子を設ける
受入れ側に設ける
2
根拠は政令、数値は技術指針
政令には「静電気を有効に除去する装置」とあるのみ。抵抗値や太さは技術指針を参考にする
政令 第9条18項
3
仕様はD種・5.5mm²以上
接地工事はD種、接地線は5.5mm²以上。接地極は直径10mm程度の棒を地盤面下 約0.9m に打ち込む
接地極は約0.9m
設計時に「どこに端子を置くか」まで決めておくと、車両の停止位置と合わないといった手戻りを防げる。
出典:消防法/危険物の規制に関する政令 第9条18項/給油所におけるローリー荷卸し時の安全対策基本マニュアル ほか