技術図書館ケーブルラック立上りの耐震支持|6m以内・各階固定立上りでは吊りボルトが使えずB種は対象外。SA種・A種で各階の構造躯体に固定する考え方と、6mを超えるときの対策を全7枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る
全体像:ケーブルラック立上りの耐震支持

見習いペン太
見習いペン太
ケーブルラックって横にだけじゃなくて、縦にもつけるんだね!立上りタイプってやつ?

はりた
はりた
そうそう!縦に配線する必要があるときは、立上りタイプを使うんだ。でも耐震対策が特に重要になるんだよ。

見習いペン太
見習いペン太
耐震対策って、吊りボルトで支えるんじゃないの?

はりた
はりた
立上りでは吊りボルトはNG!だからB種耐震支持は使えない。SA種かA種で設計しないといけないんだ。

ビルや施設の配線計画で欠かせないケーブルラック。中でも**立上りタイプ(縦方向に設置されるラック)**については、地震対策として特別な配慮が必要です。

この記事では、「建築センター指針」に基づいたケーブルラック立上り耐震支持の考え方・施工の原則・対策方法をわかりやすく解説します。


ペン太ペン太
立上りのケーブルラックも、横引きと同じように吊りボルトで支持すればいいんですよね?
ハリタハリタ
実は立上りは吊りボルトのB種耐震支持が対象外なんです。SA種・A種で各階の構造体に固定するのが基本です。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 立上りのケーブルラックでB種耐震支持が使えないのは、なぜか
  • 立上りラックの支持間隔は、原則として何m以内か
  • 耐震支持の固定部材として、ALCパネル壁が適さないのはなぜか
この記事でわかること
現場で判断に迷ったときは、対策方法の項からご覧ください。

✅ ケーブルラック立上りの耐震支持とは?

トピック1:立上りの耐震支持とは

ケーブルラックの立上りに対しても、横引き(水平設置)と同様に、以下のような分類で耐震強度を評価します。

  • SA種耐震支持

  • A種耐震支持

※立上り構造では、吊りボルトによる支持は不可のため、「B種耐震支持」は対象外です。


📌 設置の基本ルール

トピック2:設置の基本ルール

EPS(電気配線シャフト)などで縦に設置されたケーブルラックは、以下の基準で支持を行います。

項目 基準内容
支持間隔 原則「6m以内」
各階での支持 各フロアごとにしっかり支持を取る
継ぎ金具 負荷集中に備え「補強タイプ」を使用する

ペン太ペン太
支持間隔は多少広くても、ラック本体が頑丈なら平気じゃないですか?
ハリタハリタ
原則6m以内です。間隔が広がると継ぎ手部分に負荷が集中して危険です。何が起きるか具体的に見てみましょう。
耐震支持の種別立上りでの扱い理由
SA種耐震支持対象横引きと同じ分類で耐震強度を評価する
A種耐震支持対象同上
B種耐震支持対象外立上り構造では吊りボルトによる支持ができないため
ここまでのポイント
  • EPSなどで縦に設置したケーブルラックは、支持間隔を原則6m以内とする
  • 各フロアごとにしっかり支持を取る
  • 継ぎ金具は負荷集中に備えて補強タイプを使用する

⚠️ 支持間隔が広いとどうなる?

トピック3:支持間隔が広いと

見習いペン太
見習いペン太
ところで、階高が高いビルって、ラックの支持って大丈夫なのかな?間がすごく空いちゃいそうだけど…

はりた
はりた
そこが問題なんだよ。階高があると、各階の支持点の間隔が広くなって、継ぎ手部分に荷重が集中しやすくなるんだ。

はりた
はりた
だから、そうならないようにブレースを追加したり、支持間隔を短くしたりっていう工夫が必要になるんだよ。

階高(フロアの高さ)が大きい建物では、各階の支持点の間隔が開いてしまい、継ぎ手部分に過大な荷重が集中する恐れがあります。
その対策として、次のような工夫が必要です。


ここまでのポイント
  • 階高が大きい建物ほど、各階の支持点の間隔が開いてしまう
  • 間隔が開くと継ぎ手部分に過大な荷重が集中する
  • ブレースの追加や支持間隔の短縮で対処する

🔧 対策方法

トピック4:対策方法
  1. ブレース(補強材)で補強する
     → 設置手間は増えるが、スペースが限られる場合や既設ラックにも有効

ブレースイメージ
  1. 支持間隔を短くする
     → 壁や天井にも耐震支持を追加し、6m以内に分割する


📌 特に階高が6mを超える場合は、「支持間隔6m以内」を守る必要があります

6mを超える場合には、中間にブラケットを壁から支持しケーブルラックを固定します。

この場合、支持間隔は耐震架台の上部からブラケット間の距離になります。

詳しい図はネグロスのカタログをご参照ください

ケーブルラック | ネグロス電工商品情報サイト

🔍 なぜ“6m以内”が重要なのか?各階での支持が必要な理由

トピック5:なぜ6m以内なのか

見習いペン太
見習いペン太
そういえば、ケーブルラックって建物の中を何階にもまたがって通ってるよね?あれって大丈夫なの?

はりた
はりた
うん、特に立上りラックは縦方向に何階も配線が通る構造だからね。地震が来たときの上下の揺れや、ケーブルの重さがラックに大きな負担をかけるんだ。

はりた
はりた
だからこそ、「耐震支持の基本ルール」があるんだよ。特に大事なのはこの2つ!
 

ケーブルラック(特に立上り=縦方向の配線経路)は、建物の複数階にわたって電線を通す構造です。
このような構造では、地震の揺れによる上下の振動やケーブルの自重が、ラック自体に大きな負担をかける可能性があります。

そのため「耐震支持の基本ルール」として、次の2点が原則とされています:


✅ 原則1:支持間隔は“6m以内”

これは、ラックがしなる・倒れる・継ぎ目が壊れるなどのリスクを避けるための基準です。


✅ 原則2:各階でしっかり固定する

特にEPS(電気配線シャフト)やPS(パイプスペース)など、建物内の縦配線スペースでは、フロアごとにケーブルラックを建物構造体に固定することが求められます。

● 各階で固定するメリット:

  • ラックの倒れや揺れを抑えられる

  • 重量物ケーブルの積載によるたわみを防止

  • 階ごとの揺れの周期差による共振リスクを分散できる


📌 もし6m以上になってしまう場合の対応は?

階高が高い工場や大型施設では、やむを得ずラック支持間隔が6mを超えるケースもあります。
その場合は以下のような補助対策が必要です:

対策方法 内容例
壁・天井面にも支持追加 中間部で振れ止め(ブレース)を設置して支点を増やす
支持金具の補強 通常の継ぎ金具ではなく補強タイプを使用
ラック自体の強度UP 耐震等級の高い(厚鋼製などの)重耐震ラックに変更

🚫 ALC壁に注意!

ALC(軽量気泡コンクリート)パネル壁は地震で壊れやすいため、耐震支持の固定部材には不適切とされています。
できるだけRC梁や柱などの構造躯体に固定することが推奨されます。


各階で固定各階で固定各階で固定 支持間隔 6m以内 立上りケーブルラック(SA種・A種)
図:立上りケーブルラックは吊りボルト不可。各階で躯体に固定し、支持間隔は原則6m以内。
取り違えやすいところ正しくは
ラック本体が頑丈なら支持間隔は多少広くてもよい原則6m以内。間隔が開くと継ぎ手に荷重が集中する
立上りでもB種耐震支持が使える吊りボルトが使えないため対象外。SA種かA種で設計する
階高が6mを超えたら支持間隔もそれに合わせる中間に壁からブラケットで支持を足し、6m以内に分割する
固定できる壁ならALCでもよいALCパネル壁は地震で壊れやすい。RC梁や柱などの躯体へ固定する
継ぎ金具は通常タイプでよい荷重集中に備えて補強タイプを使用する
ここまでのポイント
  • 立上りは複数階にわたるため、上下の振動とケーブルの自重が効いてくる
  • 原則1は支持間隔6m以内、原則2は各階で構造躯体へ固定
  • 各階固定には、倒れ・たわみの防止と、階ごとの揺れの周期差による共振リスクの分散という効果がある
  • 6mを超える場合は、壁・天井面への支持追加、支持金具の補強、重耐震ラックへの変更で対応する

よくある質問(FAQ)

トピック6:よくある質問

Q1. 立上りのケーブルラックでB種耐震支持は使えますか?
A. 立上りでは吊りボルトによる支持ができないため、B種耐震支持は対象外です。SA種またはA種で設計する必要があります。

Q2. 立上りラックの支持間隔はどのくらいですか?
A. 原則として6m以内とし、各階ごとに建物の構造躯体へしっかり固定します。継ぎ金具は負荷集中に備えて補強タイプを使用します。

Q3. 階高が6mを超える場合はどうすればよいですか?
A. 中間部に壁からブラケットで支持を追加し、支持間隔を6m以内に分割します。あわせてブレース(補強材)の追加も有効です。

Q4. ALC壁に固定してもよいですか?
A. ALC(軽量気泡コンクリート)パネル壁は地震で壊れやすいため、固定部材には不適切です。できるだけRC梁や柱などの構造躯体に固定することが推奨されます。

✅ まとめ

この記事のまとめ

  • ケーブルラック立上りも、SA種・A種支持で設計する必要がある
  • 支持間隔は原則6m以内、各階でしっかり固定すること
  • 継ぎ金具には補強タイプを使用
  • 支持方法の選定には、設備の重量・階高・設置スペースを考慮
  • 状況に応じて「ブレース追加」「支持間隔の調整」で対処

立上りの耐震支持は「6m以内」と「各階で躯体に固定」の2点がすべての土台になります。この2つを満たせない場所が出てきたら、ブレースか中間支持で条件のほうを満たしにいく、という順序で考えると迷いません。

確認する順番見るところ決まること
Step1立上りかどうかSA種・A種で設計する(B種は対象外)
Step2階高と支持点の位置支持間隔が6m以内におさまるか
Step3固定先の躯体RC梁や柱か、ALCなど不適切な壁か
Step46mを超える場合の対応ブラケット支持の追加、ブレース、重耐震ラック
Step5継ぎ金具の仕様補強タイプを選定しているか

立上りは図面上では1本の線に見えますが、実際には何階分ものケーブル自重を縦に受け止める構造です。支持点の位置と固定先の躯体を先に押さえておけば、現場で「ここには留められない」と気づく事態を避けられます。

ペン太ペン太
立上りの設計では、まずどこから決めればいいですか?
ハリタハリタ
各階で6m以内に支持できる固定位置からです。ALC壁は避けて、RCの梁や柱など構造躯体に固定しましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。