EV充電器の選定手順と考え方の全体像
昼間の灰色のコンクリート道路に黒い金属スタンド
あにまるさん
あにまるさん
最近EV充電器を設置してるとこが増えてきたな~
はりた
はりた
EV自動車の普及によってEV充電器の設置場所も増えてきたね!
あにまるさん
あにまるさん
だけど充電器いろいろあるけどどれを選べばいいのかな~
はりた
はりた
それじゃ、あ今回はEV充電器の設置計画について解説していこう!
今回の疑問

 

EV充電器の設計手順と検討方法について知りたい!

【設置検討者・設計者向け!】

 
本記事のおすすめの方

  • EV充電器の容量を知りたい方
  • EV充電器の設置基準について知りたい方
  • EV充電器の基礎知識を知りたい方
  • EV充電器の設置予定のある方

電気設備設計者視点での最適な選定方法をご紹介します!

ペン太ペン太
EV充電器って普通と急速がありますよね。安い普通充電器を選べばいいのでは?
ハリタハリタ
価格だけでは選べません。駐車時間を10時間以上とれるかが大きな分かれ目です。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 普通充電器と急速充電器は、どう使い分けるか
  • 普通充電器が向くのは、どのくらい駐車できる場所か
  • 急速充電器の設置で、機器本体のほかに何が必要になるか
この記事でわかること
駐車時間から種類を決め、そのうえで容量と電気設備を組み立てていきます。

EV充電器の選定手順

トピック1:EV充電器の選定手順
EV充電器の選定手順

まずEV充電器を設置計画する場合、下記の条件について条件を整理してみましょう。

充電器の種類 普通・急速
充電器の容量 6kW・30kW・50kW・180kW
充電器の台数 1台・2台・3台・・・・
プラグの個数 1プラグ・2プラグ
受電方法 低圧・高圧
引込方法 単独引込・一括引込
工事の種類 新築工事・増設工事
設置場所 自立・壁掛
 
ここまでのポイント
  • 整理する条件は、充電器の種類・容量・台数・プラグの個数
  • 受電方法(低圧・高圧)と引込方法(単独引込・一括引込)
  • 工事の種類(新築・増設)と設置場所(自立・壁掛)

EV充電器の種類

トピック2:EV充電器の種類
EV充電器の種類について

EV充電器の種類は多く分けて普通充電器、急速充電器の2種類があり、主な使い分けとしては普通充電器=家庭用、急速充電器=店舗、産業用といった方法が主流となります。この普通充電器・急速充電器どちらを選定するかによって必要なコスト、設備が大きく変わってくるため条件を整理し設置検討を行いましょう。

ペン太ペン太
急速充電器は1億2000万円超も!?普通充電器の約450万円と桁違いですね…
ハリタハリタ
だからこそ施設の滞在時間で選定を。短時間滞在の施設なら急速充電器が候補です。
ここまでのポイント
  • 種類は普通充電器と急速充電器の2種類
  • 主な使い分けは、普通充電器=家庭用、急速充電器=店舗・産業用
  • どちらを選ぶかで必要なコストと設備が大きく変わる

EV充電器の選定方法

トピック3:EV充電器の選定方法
  無料の分析チャートの写真と写真

EV充電器の使用環境を検討する

利用頻度の検討

EV充電器を設置するにあたり重要なのが[どのような利用方法か]という点です。充電器を設置検討する場合車の駐車時間、車の設置台数、将来の増設予定を考慮して計画を行う必要があります。 例えば、設置費用を抑えるために普通充電器を設置したが駐車時間が短く思った充電時間が確保できなかったり、後から増設しようと思ったが、既設の機器まで更新が必要となり不要なコストが掛かってしまったなど、計画時に十分な検討を行っていれば将来のリスクを抑えることができます。

車の給電(駐車)に必要な時間を考慮する

昼間に歩道に駐車した黒い車
EV充電器の給電時間を考慮する

EV充電器の仕様で最も重要なものは充電に必要な時間です。EV充電器の給電は接続する車種(バッテリーの容量)また機器内の制御により一定ではないため正確な時間を算出するのは難しいですが目安としては下記表になります。

給電時間の算出方法

EV充電器の給電時間目安

電力[給電能力]×1時間 = 充電量

車のバッテリー容量 / 充電量 = 充電時間[目安]

充電器の容量

充電器の容量

普通充電器 主流の容量 充電量
3kW 3kWh
6kW 6kWh
急速充電器 主流の容量 充電量
30kW 30kWh
50kW 50kWh
はりた
はりた
実際に販売されているEV自動車のバッテリー容量はこのくらいあります

車種ごとのバッテリー容量

あにまるさん
あにまるさん
バッテリー容量を充電量で割ればいいんだな!

充電時間の目安

充電時間の目安

メーカー 車種 BT容量 充電器 容量 充電時間
日産 サクラ 20kWh 普通 3kW 6.7時間
サクラ 20kWh 6kW 3.3時間
リーフ 40kWh 3kW 13.3時間
リーフ 40kWh 6kW 6.7時間
アリア 66kWh 3kW 22.0時間
アリア 66kWh 6kW 11.0時間
メーカー 車種 BT容量 充電器 容量 充電時間
日産 サクラ 20kWh 急速 30kW 0.67時間
サクラ 20kWh 50kW 0.4 時間
リーフ 40kWh 30kW 0.8 時間
リーフ 40kWh 50kW 0.8 時間
アリア 66kWh 30kW 2.2 時間
アリア 66kWh 50kW 1.32時間
あにまるさん
あにまるさん
22時間とかはあまり現実的じゃないな~
はりた
はりた
当然、充電残量を残した場合や90%上限の給電方法だともっと短くすることができるよ!
あにまるさん
あにまるさん
6時間とかだと外出先での利用は難しそうだな
はりた
はりた
そうだね!お買い物中や一次休憩の場所だと滞在時間が短いから普通充電器は不向きだね

駐車場所・時間に応じて選定しよう!

無料のクロックマネーの写真と写真
駐車時間に応じ選定する

駐車場所 駐車時間 EV充電器の種類
自宅 10時間以上可 普通充電器
ホテル 10時間以上可 普通充電器
病院 10時間以上可 普通充電器
店舗 2~3時間 急速充電器
道の駅 2~3時間 急速充電器
パーキングエリア 2~3時間 急速充電器
 
あにまるさん
あにまるさん
普通充電器で満足な充電量を確保しようと覆うと10時間は見込む必要があるのか~
はりた
はりた
普通充電器の場合、基本的には夜間の充電を想定した方がいいね!
充電の分類 出発地 【基礎充電】 ← 移動中 → 【経路充電】 目的地 【目的地充電】
場所 ご自宅、事業用駐車場など 高速道路、道の駅、ガソリンスタンドなど ホテル、病院など
使用イメージ
充電  継ぎ足し充電  充電 
主な充電設備 普通充電器 3kW~6kW 急速充電器 50kW 普通充電器 3kW~6kW
想定滞在時間 10時間前後 / それ以上 30分~数時間 数時間~10時間前後

出典:(電気自動車の充電について学ぶ | [EV・PHEV 充電用]充電設備(ELSEEVなど) | Panasonic)より

 
駐車時間を考慮する場合
  • 普通充電器:10時間程度駐車可能な場合に設置検討する
  • 急速充電器:短時間の駐車の場合設置検討する

設置コストによる検討方法

各種設置コストの目安

普通充電器と急速充電器では機器容量が大きく違い供給に必要な電気設備も普通と急速を境に大きく異なります。

  • 一般的に普通充電器の6kWというのは一人暮らしに必要な電気製品の2世帯分に相当します。
  • そして急速充電器の50kWというのは2階建ての事務所の電気容量に相当します。
そのため急速充電器のような莫大な電力を供給するためには機器本体と別にキュービクルと呼ばれる電気設備の設置が必要となっています。

普通充電器の設置費用

普通充電器の設置費用

条件として既設の建物・場所に増設する場合の設置コストを想定しています (費用はあくまで参考となります)

算出の条件

  • 既設住宅への増設
  • 低圧での契約
  • 壁掛標準型6kWの普通充電器×1台
設備項目 内容 概算金額
機器本体 壁掛型標準型6kW 200,000‐
分電盤の交換 ブレーカー類の交換 150,000‐
ケーブルの配線工事   100,000‐
普通充電器の場合
  • 機器本体とブレーカーの更新、ケーブルの配線工事で済む場合が多い
  • 急速充電器に比べ機器本体の費用が抑えられる

急速充電器の設置費用

急速充電器の設置費用

条件として既設の建物・場所に増設する場合の設置コストを想定しています (費用はあくまで参考となります)

算出の条件

  • 既設施設への増設
  • 高圧での契約
  • 50kWの急速充電器×1台
設備項目 内容 概算金額
機器本体 急速充電器50kW 8,000,000‐
電力の引込   1,500,000‐
キュービクルの設置 2,000,000‐
ケーブルの配線工事   500,000‐
急速充電器の場合
  • 電気容量が大きいため既設と別に電気の引込設備が必要となる場合が多い
  • 機器本体が高額である
  • イメージとしては事務所が1棟建つ程度の必要が必要となる
ここまでのポイント
  • 重要なのは駐車時間・設置台数・将来の増設予定
  • 給電時間の目安は「電力(給電能力)×1時間=充電量」「車のバッテリー容量÷充電量=充電時間」
  • 充電時間は接続する車種のバッテリー容量と機器内の制御で変わる
  • 10時間以上駐車できるなら普通充電器、短時間なら急速充電器を検討する

補助金を活用する

トピック4:補助金を活用する
補助事業の執行団体 補助対象事業 対象経費
国が交付 するもの 一般社団法人次世代自動車振興センター ・高速道路SA・PA及び道の駅等 ・商業施設及び宿泊施設等 ・マンション及び事務所・工場等 ①充電設備の購入費 ②充電設備の設置工事費
自治体が交付 するもの 各自治体によって異なる (例)東京都の助成金の場合 東京都地球温暖化防止活動推進センター (例)東京都の助成金の場合・充電設備の所有者 (例)東京都の助成金の場合①充電設備購入費 ②充電設備設置工事費 ほか
令和3年度補正「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」 | [EV・PHEV 充電用]充電設備(ELSEEVなど) | Panasonic
普通充電器がおすすめの方

  • 一般住宅に設置予定の方
  • 車両の走行時間が短い方
  • 駐車時間に余裕のある方
取り違えやすいところ正しくは
充電器は容量だけで選べる駐車時間・台数・将来の増設まで見て計画する
普通充電器ならどこでも使える駐車時間が短い場所では必要な充電時間を確保できない
急速充電器は機器を置けば使える大容量のため、キュービクル等の電気設備が別に必要になる場合がある
充電時間は機器の容量だけで決まる接続する車種のバッテリー容量と機器内の制御で変わる
ここまでのポイント
  • 国が交付するものは一般社団法人次世代自動車振興センターが執行団体
  • 対象は高速道路SA・PA及び道の駅等、商業施設及び宿泊施設等、マンション及び事務所・工場等
  • 対象経費は充電設備の購入費と設置工事費
  • 自治体が交付するものは各自治体によって異なる

よくある質問(FAQ)

トピック5:よくある質問(FAQ)

Q1. 普通充電器と急速充電器はどう使い分けますか?
A. 普通充電器は家庭用、急速充電器は店舗・産業用が主流の使い分けです。どちらを選ぶかで必要なコストや電気設備が大きく変わります。

Q2. 普通充電器(6kW)はどんな場所に向いていますか?
A. 10時間程度の駐車が可能な場所(自宅・ホテル・病院など)に向いています。基本的に夜間の充電を想定するのがおすすめです。駐車時間が短い店舗や道の駅では不向きです。

Q3. 急速充電器の設置には何が必要ですか?
A. 50kWは2階建ての事務所に相当する大容量のため、機器本体とは別にキュービクルなどの電気設備の設置が必要になる場合が多いです。

Q4. EV充電器の設置に補助金はありますか?
A. あります。国(一般社団法人次世代自動車振興センター)や各自治体が、充電設備の購入費・設置工事費を対象に補助金を交付しています。

ペン太ペン太
費用が高くて悩みます。負担を減らす方法はありますか?
ハリタハリタ
国や自治体の補助金を活用しましょう。車種別のバッテリー容量も確認して計画を。

※ 図版はメーカー・団体の著作物のため掲載を取りやめました。原図は上記リンク先の公式ページでご確認ください。

まとめ

EV充電器は、駐車時間から種類を決め、容量と電気設備を後から組み立てる順で計画します。

こんな場面どう考える
自宅・ホテル・病院など長時間の駐車が見込める普通充電器を検討する。夜間の充電を想定する
店舗・道の駅・パーキングエリアなど短時間の駐車急速充電器を検討する
将来の増設を見込んでいる既設機器の更新が必要にならないか、計画時に確認する
急速充電器を設置する機器本体とは別にキュービクル等の電気設備を見込む
負担を抑えたい国や自治体の補助金の対象になるか確認する

計画で整理すること

  • 充電器の種類(普通・急速)と容量
  • 充電器の台数とプラグの個数
  • 受電方法(低圧・高圧)と引込方法(単独引込・一括引込)
  • 工事の種類(新築・増設)と設置場所(自立・壁掛)

見落としやすいところ

  • 駐車時間が短い場所に普通充電器を置くと、必要な充電時間を確保できない
  • 後から増設する際に既設の機器まで更新が必要になることがある
  • 急速充電器の50kWは2階建ての事務所の電気容量に相当する
  • 充電時間は車種のバッテリー容量で変わる

計画時に駐車の実態を押さえておけば、あとからの手戻りを防げます。補助金の要件もあわせて確認してください。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。