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はじめまして、ハリタといいます。 電気設備の計画や設計、むずかしいと感じたことはありませんか? 「先輩に聞けない」「相談できる人がいない」 ――そんな悩みを抱える方の力になりたくて、このサイトを立ち上げました。 現場で迷ったとき、ふと立ち寄ってヒントが得られるような、そんな場所を目指しています。 あなたのモヤモヤが少しでも晴れることを願って――どうぞよろしくお願いします。
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仕様の設計|耐震クラスの施工指針と選定基準について詳しく解説

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地震大国、日本。

 

今回の疑問

 

耐震クラスの判断基準と

機器の選定方法について知りたい!

 

見習いペン太
見習いペン太
これで本当に合ってるのかな〜…
はりた
はりた
ケーブルラックのカタログ見ながら、どうかしたの?
見習いペン太
見習いペン太
設計事務所から「耐震クラスAでお願いします」って言われたんだけど、具体的に何をすればいいのか分からなくて…
はりた
はりた
なるほど、それなら「建築設備耐震設計・施工指針」に沿って設計すれば大丈夫!一緒にポイントを確認していこう!
本記事のおすすめの方
  • 耐震クラスについて調べている方
  • ケーブルラックの耐震施工について調べている方
  • 盤の耐震施工について調べている方
  • 電気設備に係る耐震基準を調べている方
この記事でわかること

✅ この記事でわかること
「耐震クラス」とは何か、どのように分類されるか

  1. 「耐震種別(A種・B種・SA種など)」との違いと関係性
  2. 建物用途・機器の重要度による耐震クラスの決まり方
  3. 耐震クラスの適用階(上層・中間・下層階)の考え方
  4. 「設置場所」は支持されている階で判断するというポイント
  5. 耐震支持が不要(適用除外)となる条件一覧
  6. 電気配線(金属管・ダクト・バスダクト等)の耐震支持間隔ルール
  7. 2005年版と2014年版指針の改訂の背景と変更点
  8. 耐震設計で耐震クラスの確認が必須である理由
仕様の設計|ケーブルラックの耐震支持方法について詳しく解説『立ち上げ編』 ビルや施設の配線計画で欠かせないケーブルラック。中でも**立上りタイプ(縦方向に設置されるラック)*...
仕様の設計|レースウェイの耐震支持方法について詳しく解説 レースウェイの耐震支持とは?―設置例と注意点を図解で解説! 地震対策として注目される電気設備の耐震支持。今...
contents
  1. 参考にした書式
  2. クイックトピックス
  3. 耐震設計の指針について
  4. 建築設備の耐震設計・施工は「2014年版指針」で見直されました
  5. 大地震で判明した建築設備の弱点
  6. 2014年版での主な変更点
    1. ✅ 横引き配管などへの「耐震支持」が明確化
    2. ✅ 「耐震支持の種類と適用範囲」の整理
  7. ✅ 耐震クラスとは?建物の“役割”で決まる地震対策レベル
  8. 🏢 どんな建物に、どのクラス?
    1. 🟥 防災拠点として機能させたい建物
    2. 🟧 一般の事務所など通常業務を行う建物
    3. ⚙️ 設備機器の重要度による分類
  9. ✅ 耐震クラスの選定基準を整理すると…
  10. 🏢 耐震クラスはどうやって決める?
  11. ✍️ ここまでのポイント
  12. 🏢 耐震クラスは「どの階」にも同じでいい?適用階の考え方とは
    1. 上層階の定義
    2. ✅ 階数ごとの「上層階」区分ルール
    3. 中間階の定義
    4. ✅ 設置場所の考え方とは?
  13. ✅ 適用除外となる主なケース
    1. ✅ 横引き配管・立て配管の耐震支持【適用除外一覧】
  14. 🔄 2005年版から2014年版へ──耐震設計指針はこう変わった
  15. 📋 指針2014|耐震支持の適用ルール
    1. ✅ 適用階層ごとの基本方針
    2. ✅ 「耐震クラス」と「耐震種別」の違いは?
    3. 🏢 適用階層ごとの基本方針
  16. ✅ 「耐震クラス」と「耐震種別」はどう違う?
    1. 🏢 耐震クラスとは?
    2. 🛠 耐震種別とは?
    3. 🔁 両者の関係性
  17. ✍️ ここまでのまとめ
  18. ⚡ 耐震支持間隔とは?
  19. 🔌 対象となる電気配線とは?
  20. 📏 支持間隔の基本ルール(指針2014より)
    1. 耐震支持間隔|電気配線(金属管・金属ダクト・バスダクトなど)
    2. 耐震支持間隔|ダクト
  21. 🧩 耐震クラスと耐震種別の違いと関係を正しく理解しよう
  22. ⚠️ 耐震クラスの確認は、設計の出発点です
    1. ✅ 耐震種別の選定も「クラス」によって決まる
  23. 📌 まとめ:まず「クラス」、次に「種別」
  24. 関連記事
  25. マニュアルでも詳しく解説しています
  26. まとめ

参考にした書式

クイックトピックス

耐震クラスの分類は?
  • 耐震クラスS:特定の施設 で 重要機器
  • 耐震クラスA:特定の施設 で 一般機器
  • 耐震クラスA:一般の施設 で 特定機器
  • 耐震クラスB:一般の施設 で 一般機器

 

耐震クラスの適用階は?
耐震支持金物の適用は?

耐震設計の指針について

見習いペン太
見習いペン太
そもそも耐震設計って、どこを基準に考えればいいのかな?
はりた
はりた
いい質問だね!建築設備の耐震設計は、「建築設備耐震設計・施工指針(2014年版)」に沿って考えるのが基本だよ。
見習いペン太
見習いペン太
2014年ってけっこう前なんだね。何か大きな出来事でもあったの?
はりた
はりた
うん。この指針は、2011年の東日本大震災の被害を受けて見直されたんだ。2005年版をベースに、安全性の向上を目的として改訂されたんだよ。

建築設備の耐震設計・施工は「2014年版指針」で見直されました


大地震で判明した建築設備の弱点

見習いペン太
見習いペン太
でも実際にどんな被害が起きたの?気をつけるポイントが知りたいな。
はりた
はりた
東日本大震災では、建築設備にいろんな弱点が見つかったんだよ。たとえば…
  • 配管を固定するつかみ金具が外れてしまった
  • 置き基礎がズレて設備が破損した
  • 配管の端や分岐部分が割れてしまった
  • 吊り金具や埋め込み金具の強度が足りず、設備が落下した
見習いペン太
見習いペン太
うわ…それって、普段は見えないところばかりだね!
はりた
はりた
そうなんだ。日常では気づきにくい“弱点”が、大地震で一気に露呈したんだよ。だからこそ、あらかじめ対策しておくことが大事なんだ!

2014年版での主な変更点

見習いペン太
見習いペン太
それで、2014年版ではどこが変わったの?
はりた
はりた
東日本大震災の教訓を活かして、次の点が強化されたんだ。要チェックだよ!

横引き配管への耐震支持の必要性が明記
地震時に横方向に揺れる配管にも、しっかりと耐震支持を設けることが求められるようになったんだ。

耐震支持の種類と適用範囲の整理
「どこに、どのレベルの耐震支持が必要か」が分類されて、設計や施工の判断がしやすくなったよ!

見習いペン太
見習いペン太
なるほど〜!ただ固定するだけじゃなくて、地震の動きも考えた設計が必要なんだね!
はりた
はりた
その通り!だから最新版の指針に基づいた設計が大切になるんだよ。

✅ 横引き配管などへの「耐震支持」が明確化

従来よりも、横方向に設置された配管などにも地震時の揺れに備えた支持が必要であることが明記されました。

✅ 「耐震支持の種類と適用範囲」の整理

どのような耐震支持がどこに必要なのかを種類ごとに整理し、設計や施工で判断しやすくなっています。

✅ 耐震クラスとは?建物の“役割”で決まる地震対策レベル

建物や設備の耐震対策を考えるとき、重要になるのが**「耐震クラス」**という考え方です。
この耐震クラスは、「官庁施設の総合耐震計画基準および同解説」に基づいており、地震後にその建物をどのような用途・状態で使いたいかによって、求められる耐震性能が変わります。


🏢 どんな建物に、どのクラス?

建物の役割や用途に応じて、必要な耐震クラスが決まります。

見習いペン太
見習いペン太
はりた~!建物によって耐震のレベルが違うって聞いたけど、どういうこと?
はりた
はりた
いい質問だねペン太!建物の用途によって「どこまで地震に耐えられるべきか」が違うんだよ。

🟥 防災拠点として使う建物
耐震クラス SまたはA
災害時でも必ず使えるように、超高レベルの耐震性能が必要になるんだ。
例:防災センター、災害対策本部、病院の非常用電源室など。

🟧 一般のオフィスや事務所ビル
耐震クラス AまたはB
被災後の業務復旧を早めたいけど、すぐに稼働しなくてもOKな場合はこのクラス。
例:官公庁施設、民間オフィスなど

見習いペン太
見習いペン太
つまり、建物の“役割”がそのまま耐震クラスの目安になるんだね!
はりた
はりた
その通り!だから設計のときには「建物で何をするか?」をしっかり押さえておく必要があるよ。

以下のように、建物の使い方や目的に応じて耐震クラスが決まります。

🟥 防災拠点として機能させたい建物

耐震クラス SまたはA
災害時でも継続して使用する必要がある建物(例:防災センター、災害対策本部など)は、非常に高い耐震性能が求められます。


🟧 一般の事務所など通常業務を行う建物

耐震クラス AまたはB
震災後の早期復旧が求められるが、即時の稼働は不要な建物に該当します。一般的な官公庁施設や事務所などがこの対象になります。

⚙️ 設備機器の重要度による分類

耐震クラスの選定は、建物だけでなく設備機器の重要度によっても変わります。

見習いペン太
見習いペン太
建物だけじゃなくて、機器にも「重要度」ってあるんだね?
はりた
はりた
うん、例えば災害直後に使う設備と、あとで復旧すればいい設備では耐震レベルが変わってくるんだよ。

🟥 重要機器(非常用電源・消火ポンプ・制御盤など)
→ 災害直後から使う必要があるから、SまたはAクラスでしっかりと耐震設計する必要があるよ。

🟧 一般機器(照明・換気扇・コンセントなど)
→ 被災後すぐには使わなくても大丈夫な場合は、AまたはBクラス

見習いペン太
見習いペン太
なるほど~!使うタイミングで耐震クラスが変わるんだね!
はりた
はりた
その通り!だから設計時には、設備の“使われ方”もしっかり確認しておこうね。

重要機器(非常用電源、ポンプ、制御盤など)
 → 被災後すぐに使用される設備のため、SまたはAクラスの耐震対策が必要です。

一般機器(照明、換気扇など)
 → 復旧の優先度は高くないため、AまたはBクラスでの判断となります。

✅ 耐震クラスの選定基準を整理すると…

耐震クラスの考え方をシンプルにまとめると、以下のように建物の用途×機器の重要度によって分類されます。

建物の用途 機器の重要度 耐震クラス
特定の施設 重要機器 Sクラス
特定の施設 一般機器 Aクラス
一般の施設 重要機器 Aクラス
一般の施設 一般機器 Bクラス

🏢 耐震クラスはどうやって決める?

見習いペン太
見習いペン太
耐震クラスって建物の種類で自動的に決まるの?
はりた
はりた
いい質問だね!たしかに建物の使い方で目安はあるけど、実際にどのクラスにするかは設計事務所の判断になるんだよ。
見習いペン太
見習いペン太
じゃあ、防災拠点だからって絶対Sクラスってわけじゃないんだ?
はりた
はりた
そう!施主さんとの相談や、コスト・施工の方針も関わってくるから、最終的には設計者が決めるケースが多いんだ。
見習いペン太
見習いペン太
なるほど〜!だからこそ、ちゃんと設計者に確認しておくのが大事なんだね!

耐震クラスの選定は、建物の役割や使い方をもとに、施主や設計事務所が判断します。
たとえば、防災拠点や医療施設などの重要な施設であれば、より高いクラス(SやA)が必要になります。


✍️ ここまでのポイント

耐震クラスは「建物の用途」と「設備の重要度」で決まる

S〜Bクラスまであり、それぞれ必要な耐震対策が異なる

選定は設計初期段階で、施設の使い方を踏まえて決定される

🏢 耐震クラスは「どの階」にも同じでいい?適用階の考え方とは

建築設備の耐震設計では、「耐震クラス」だけでなく、それがどの階に適用されるかという「適用階」の考え方も重要です。

特に地震時の揺れが大きくなる上層階では、より厳格な耐震性能が求められることがあります。

このように、耐震クラスは建物全体で一律に決めるものではなく、階ごとに適用を検討する必要があるのです。

見習いペン太
見習いペン太
えっ、耐震クラスって建物全体で一つだけ決めればいいんじゃないの?
はりた
はりた
そう思いがちだけど、実は階によって揺れの大きさが違うから、上層階の方が厳しい耐震設計が必要なこともあるんだよ。
見習いペン太
見習いペン太
なるほど~!上の階ほどグラグラしやすいから、しっかり固定しなきゃいけないってことか!
はりた
はりた
その通り!機器の重要性×設置階で耐震クラスの適用範囲を決めるのがポイントだよ。

建築設備の耐震設計では、「耐震クラス」だけでなく、それがどの階に適用されるのかという「適用階」の考え方も重要です。
特に地震時の揺れが大きくなる上層階は、より厳格な耐震性能が求められることがあります。

このように、耐震クラスは建物全体で一律に決めるものではなく、階ごとに適用を検討する必要があるのです。

適用階の図
適用階の考え方について

上層階の定義

適用階の考え方について

✅ 階数ごとの「上層階」区分ルール

建物の階数 上層階の定義
2~6階建て 最上階のみ(例:4階建てなら4階が対象)
7~9階建て 上層2階(例:9階建てなら8・9階)
10~12階建て 上層3階(例:11階建てなら9・10・11階)
13階以上 上層4階(例:15階建てなら12~15階)

このように、建物の高さが高くなるほど、上層階の範囲も広がっていくのがポイントです。
設備の設計段階では、「どの階に設置されるか」に応じて耐震クラスの適用レベルを検討する必要があります。

見習いペン太
見習いペン太
階数によって、上層階の定義が違うんだね~!
はりた
はりた
そうだよ!例えば9階建てなら、8階と9階が上層階として、より厳しい耐震設計が必要になるんだ。
見習いペン太
見習いペン太
なるほど~!じゃあ、高層ビルになるほど上の階に注意しなきゃいけないってことだね!
はりた
はりた
その通り!上層階=揺れが大きくなるから、耐震クラスもしっかり検討しようね。

中間階の定義

適用階の考え方について

「中間階」とは、1階や地下階、そして上層階を除いた残りの階層を指します。
つまり、上層階に該当しない2階以上の階が中間階として扱われます。


中間階を正しく判断するためには、まず建物が何階建てかを確認することが大切です。
というのも、上層階の範囲は建物の高さ(階数)によって変わるため、それによって「どこが中間階なのか」も自動的に決まってくるからです。


例として、10階建ての建物であれば、上層階は8〜10階なので、中間階は2〜7階となります。

このように、「耐震クラスの適用階」を判断するには、建物の全体構成を把握することが前提になります。

適用階の考え方について
  • 1階及び地下階を除く各階で上層階に該当しない階

中間階は上層階を除くため建物が何階建てなのかを確認しましょう

✅ 設置場所の考え方とは?

耐震クラスの判断において重要なのは、設備が“どの階から支持されているか”です。

見習いペン太
見習いペン太
たとえばさ、配管が1階に見えてても、耐震クラスって1階で考えればいいの?
はりた
はりた
うーん、それは違うよ!支持している階、つまりどの階から吊ってるかで判断するんだ。
見習いペン太
見習いペン太
へぇ〜!じゃあ2階の天井から吊ってたら、それは“2階設置”ってことになるんだね!
はりた
はりた
その通り!だから見た目じゃなくて構造的にどの階に依存してるかがポイントなんだよ。

このように、設備の耐震設計では“支持階”を正しく見極めて、対応する耐震クラスを適用することが求められます。


✅ 適用除外となる主なケース

すべての設備に耐震支持が必要というわけではありません。一定の条件を満たす場合には、適用除外として耐震支持を省略できます。

見習いペン太
見習いペン太
えっ、全部の配管に耐震支持しなきゃいけないんじゃないの?
はりた
はりた
実はね、サイズが小さいとか、吊り長さが短いって条件にあてはまると、免除されることもあるんだよ。

(1)電線管・金属ダクト・バスダクト

  • φ82mm以下の単独金属管
  • 周長80cm以下の電気配線類
  • 定格電流600A以下のバスダクト
  • 吊り長さが平均20cm以下の電気配線

(2)ケーブルラック

  • 幅400mm未満のケーブルラック
  • 吊り長さが平均20cm以下のもの
見習いペン太
見習いペン太
なるほど~。サイズが小さいと、地震の影響も少ないってことなんだね!
はりた
はりた
その通り!でもね、図面や実際の構造をちゃんと確認して、現場に合った判断をすることが大事なんだ。

このように、小規模・軽量な配線・配管については、過度な耐震支持を省略してよいとされています。ただし、最終的には現場設計に基づいた判断が必要です。

(1)電線管・金属ダクト・バスダクトなど

以下のいずれかに該当する場合は除外されます:

  • φ82mm以下の単独金属管

  • 周長80cm以下の電気配線類

  • 定格電流600A以下のバスダクト

  • 吊り長さが平均20cm以下の電気配線


(2)ケーブルラック

以下の条件を満たすケーブルラックも除外対象です:

  • 幅400mm未満のケーブルラック

  • 吊り長さが平均20cm以下のもの


このように、配線や配管のサイズや吊り方が小規模・軽量な場合には、過度な耐震支持を省略しても良いというルールがあります。
ただし、実際の判断は現場の設計条件や構造との兼ね合いで決定するため、図面や仕様確認が重要です。

✅ 横引き配管・立て配管の耐震支持【適用除外一覧】

区分 対象 適用除外の条件
(1)電線管・金属ダクト・バスダクト等 単独金属管 外径 φ82mm 以下
電気配線 周長80cm 以下
バスダクト 定格電流600A 以下
電気配線全般 吊り長さが平均20cm 以下
(2)ケーブルラック ケーブルラック 幅400mm 未満 または 吊り長さが平均20cm 以下

この表のように、軽量かつ短い配管や配線は、耐震支持の対象外となる場合があります。
ただし、実際の適用除外の判断は設計者や監理者によって最終的に確認・判断が必要です。

🔄 2005年版から2014年版へ──耐震設計指針はこう変わった

建築設備耐震設計・施工指針の耐震支持の適用表

『指針2005』での耐震支持の適用表

『指針2014』での耐震支持の適用表

📋 指針2014|耐震支持の適用ルール

この表は、設置場所の階層・設備の種類ごとに、どの程度の耐震支持を求めるかを明記したものです。


✅ 適用階層ごとの基本方針

建物のどの階に設置するかによって、必要な耐震種別(A種・B種・SA種)が異なります。

見習いペン太
見習いペン太
「クラス」と「種別」って言葉が混ざっててややこしいよ~!
はりた
はりた
大丈夫!耐震クラスは“どれくらいの強さが必要か”っていう建物や設備のレベル、耐震種別は“どんな部材を使うか”っていう設計・施工のルールなんだ。
設置場所 耐震クラスA・B対象設備 耐震クラスS対象設備
上層階・屋上・塔屋 A種支持材を設置(配線は12m以内) SA種支持材を設置(12m以内)
中間階 A種またはB種支持材(配線は12m以内) A種支持材(12m以内)
地階・1階 B種支持材または適用除外もあり A種支持材(12m以内)

✅ 「耐震クラス」と「耐震種別」の違いは?

見習いペン太
見習いペン太
「クラス」と「種別」って言葉が混ざっててややこしいよ~!
はりた
はりた
大丈夫!耐震クラスは“どれくらいの強さが必要か”っていう建物や設備のレベル、耐震種別は“どんな部材を使うか”っていう設計・施工のルールなんだよ

🏢 適用階層ごとの基本方針

設置場所 耐震クラスA・B対象設備 耐震クラスS対象設備
上層階・屋上・塔屋 原則としてA種支持材を設置
※配線は12m以内ごとに設置
SA種支持材を設置(12m以内)
中間階 配線は12m以内ごとにA種またはB種を設置 A種支持材(12m以内)
地階・1階 配線などは条件によりB種または適用除外も可能 A種支持材(12m以内)

※「A種」「SA種」は耐震性能の区分で、SA種の方が高性能です。

✅ 「耐震クラス」と「耐震種別」はどう違う?

項目 説明
耐震クラス 建物や設備がどの程度の耐震性能を求められるかを示す分類 クラスS、A、B
耐震種別 実際に使う耐震支持部材の仕様・強度レベル A種、B種、SA種など

🏢 耐震クラスとは?

  • 設備や機器の重要性や建物の用途に応じて設定されるレベル

  • 例:災害時に機能維持が必要な設備 → 耐震クラスS

  • 設備ごとに「このくらいの耐震性能が必要です」という目標や基準


🛠 耐震種別とは?

  • 耐震支持材(ブラケットやアンカーなど)の仕様や強度のランク

  • 「A種」「B種」などがあり、A種の方が高強度・高性能

  • 耐震クラスに応じて、どの種別の部材を使えばよいかが決まる


🔁 両者の関係性

耐震クラスで「必要な耐震性能のレベル」が決まり、
→ そのレベルを満たすために「どの耐震種別(A種・B種など)の部材を使うか」が決まります。

例:

  • 耐震クラスSの場合 → SA種の支持材が必要

  • 耐震クラスAの場合 → A種の支持材を使えばOK


✍️ ここまでのまとめ

  • 耐震クラス:必要とされる性能のランク
  • 耐震種別:その性能を満たすための実際の部材のランク
  • クラスが先に決まり、それに合った種別の部材を選ぶのが基本です

⚡ 耐震支持間隔とは?

電気配線設備において「耐震支持間隔」とは、地震時の揺れに備え、機器や配線をどの程度の間隔でしっかり固定(支持)する必要があるかを定めた距離のことです。
これは、過剰な変形や脱落を防ぐための重要な設計条件です。


🔌 対象となる電気配線とは?

この項目で対象となるのは以下のような堅固な電気系統の配線材料です:

  • 金属管

  • 金属ダクト

  • バスダクト


📏 支持間隔の基本ルール(指針2014より)

設置される階層と耐震クラスに応じて、支持間隔が定められています。

耐震支持間隔|電気配線(金属管・金属ダクト・バスダクトなど)

耐震種別【A種・B種】

耐震種別【S種】

耐震支持間隔|ダクト

耐震種別【A種・B種】

耐震種別【S種】

🧩 耐震クラスと耐震種別の違いと関係を正しく理解しよう

建築設備の耐震設計においては、「耐震クラス」と「耐震種別」の違いを正しく理解することが重要です。

  • 耐震クラスは、建物や設備がどれだけの耐震性能を求められるかを示す「要求レベル」
     → S・A・Bなど、設備や建物用途ごとに設定されます。

  • 耐震種別は、その要求に応えるために使う実際の支持部材の仕様・強度レベル
     → A種、B種、SA種など、支持材の性能に応じた区分です。


つまり、耐震クラスで「どの程度の強さが必要か」を定め、耐震種別で「それをどう実現するか」を選ぶという関係になります。

例えば、耐震クラスSが求められる設備であれば、SA種などの高性能な支持材が必要です。
逆にクラスBの設備であれば、B種支持材で対応可能なケースがほとんどです。


設備の種類や建物の階層、設置位置などにより必要な条件は変わりますが、
**基本の考え方は「クラスで基準を定め、種別で実行する」**という流れです。

この関係性を押さえておくことで、より合理的かつ安全な耐震設計が可能になります。

⚠️ 耐震クラスの確認は、設計の出発点です

耐震設計を行ううえで、最も重要かつ最初に確認すべきなのが「耐震クラス」です。

耐震クラスは、建物や設備が地震後にどのように機能しなければならないかという観点から決定されます。
つまり、クラスの設定を誤ると、過剰設計や耐震性能不足といった重大なトラブルにつながる可能性があります。


✅ 耐震種別の選定も「クラス」によって決まる

使用する支持材(A種、SA種など)を選ぶにも、まず耐震クラスが分かっていなければ正しく選べません。

  • クラスS → SA種の支持材が必要

  • クラスA → A種の支持材で対応

  • クラスB → B種でも可 など


📌 まとめ:まず「クラス」、次に「種別」

設計や施工に入る前に、必ず次の点を確認しましょう:

  • 施主や設計者と耐震クラスの確認を行う
  • 図面や仕様書にクラスが明記されているかを確認
  • クラスに合った耐震種別を選定する

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まとめ

耐震クラスの施工指針と選定基準について

耐震クラスの基本的な分類

建物用途

  • 特定の施設
  • 一般の施設

機器の用途

  • 重要機器
  • 一般機器

耐震クラス『S』:特定の施設で重要機器
耐震クラス『A』:特定の施設で一般機器
耐震クラス『A』:一般の施設で特定機器
耐震クラス『B』:一般の施設で一般機器

横引き配管及び立て配管の適用除外項目

以下の項目に該当する場合、耐震クラスごとの耐震支持は適用除外となる

(1)電線管、金属ダクト、バスダクトなど

  • a)φ82以下の単独金属管
  • b)周長80cm以下の電気配線
  • c)定格電流600A以下のバスダクト
  • d)吊り長さが平均20cm以下の電気配線

(2)ケーブルラック

  • a)幅400㎜未満のもの
  • b)吊り長さが平均20cm以下のケーブルラック

建築設備耐震設計・施工指針の耐震支持の適用表

 

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