マンション電気設備標準図(E-00)の活用のすすめ
― 設計担当者のための詳細解説ガイド ―
はじめに
本資料「E-00 電気設備標準図(マンション)」は、集合住宅における電気設備設計の基準となる標準図です。照明・スイッチ・コンセント・弱電設備の凡例と記号を体系的に整理しており、設計の初期段階から施工図作成・発注仕様の確定まで、プロジェクトの全フェーズで活用できます。
収録内容の詳細
■ 1. 電灯・スイッチ設備
住戸内の照明制御に関わる器具が網羅されています。
埋込スイッチ類
| 種別 | 仕様 | 用途例 |
|---|---|---|
| 埋込スイッチ | 1P15A | 一般照明用(最も標準的な単極スイッチ) |
| 埋込スイッチ | 3W15A | 3路スイッチ(階段・廊下など両端操作) |
| 埋込スイッチ | 1P4A | 小型・省電力機器向け低容量スイッチ |
| 調光スイッチ | ― | 照明の明るさ調整(リビング・寝室等に対応) |
センサースイッチ類
熱線センサー付自動スイッチが3種類収録されており、それぞれ「親器」と「子器」の使い分けが記号で示されています(S親・S子)。廊下・エントランス・駐車場など、人感センサーによる自動点滅が求められる箇所での活用が前提となっており、系統構成の考え方も凡例から読み取れます。
■ 2. コンセント設備
用途・容量・環境条件に応じた多様なコンセント種別が記号化されています。
一般コンセント
| 記号 | 仕様 | 用途 |
|---|---|---|
| 標準記号 | 2P15A | 一般用埋込コンセント(基本形) |
| EET | 2P15A アース端子付 | 洗濯機・電子レンジ等の安全対策 |
| ETE | 2P15A アース線付 | 接地が必要な機器向け |
| 15/20A | 切替型 | エアコン・大型家電の専用回路対応 |
| 30A | 大容量専用 | IHクッキングヒーター等の大容量機器 |
| K | 2P15A | キッチン専用回路コンセント |
| WP | 防水型 2P15A | バルコニー・屋外・洗面等の水がかり箇所 |
複合コンセント(マルチメディアコンセント)
情報化住宅に対応するため、複数の配線器具を一体化した複合コンセントが複数パターン収録されています。
| 構成パターン | 内容 |
|---|---|
| コ+TV+情 | 電源コンセント・テレビ端子・情報端子の3点セット |
| コ+電+情 | 電源コンセント・電話端子・情報端子の3点セット |
| TV単独 | テレビ端子のみ(アンテナ引込専用) |
住戸内の各部屋に合わせた標準的な配置パターンが想定されており、リビング・寝室・書斎などの用途別に使い分けることで、設計のバリエーション対応が効率化されます。
■ 3. 弱電設備
マンションに必要な弱電設備一式が記号と凡例で整理されています。
テレビ(共聴)設備
UHFアンテナ(20EL)およびBS/CS110°アンテナ(60cm)に対応したアンテナ設備から、各住戸へのテレビ信号分配系統が複数パターン示されています。
- 増幅器(C1・C2系統)の使い分けによって、建物規模・フロア数に応じた系統設計が可能
- 分配器(D4・D6・D8)のバリエーションにより、住戸数・端子数への柔軟な対応を実現
- テレビ直列ユニット(T)を各住戸に配置する標準構成を明示
- 信号レベルは35dBで統一管理(受信レベルの設計基準として活用可能)
具体的な系統構成として、棟・系統別(C1系統・C2系統)に分けた複数パターンが図示されており、D4・D6・D8の分岐段数の違いによるレベル管理の考え方が確認できます。
インターホン・セキュリティ設備
| 機器名 | 記号 | 概要 |
|---|---|---|
| 住宅情報盤 | IP | 各住戸の中核となる複合端末(インターホン・モニター機能を内包) |
| ドアホン子機 | ― | 玄関・エントランスに設置する訪問者確認端末 |
| インターホン | ― | 住戸間・管理室との通話用端末 |
| ELVインターホン子機 | Dtt ELV | エレベーター内に設置する専用子機 |
| ELV制御盤 | ― | エレベーター連動制御に対応 |
電話・情報設備
電話用モジュラージャックが複数タイプ収録されており、住戸内の各部屋への引き込みパターンを標準化しています。また、電話用・情報用それぞれのブランクチップも明示されており、将来の端子追加や変更への対応も考慮された設計となっています。
弱電端子盤
住戸内に設置する弱電端子盤(テレビ・電話・情報を集約管理)の記号も収録されており、MDF(主配線盤)との接続系統設計に活用できます。
■ 4. 配線器具プレート仕様
本標準図では、配線器具のプレート仕様が物件グレード別に3パターン明示されています。
| グレード | プレート仕様 |
|---|---|
| 標準 | ワイド樹脂製 |
| 上位 | ラフィーネアシリーズ(パナソニック) |
| 高級 | JINBO製 NKプレート |
物件コンセプトや分譲グレードに合わせて器具仕様を選定する際の判断基準として活用できます。設計初期の段階でプレートシリーズを統一しておくことで、後工程での変更コストを削減できます。
■ 5. 防雨設備
屋外引き込み箇所に対応した「防雨入線カバー(WP)」が収録されており、バルコニーや屋外機器周りの防水処理の標準化に役立ちます。
設計担当者へ ― 標準図を活かすための実務ポイント
① 記号統一による凡例管理の徹底
本図に収録された記号を社内標準として採用することで、担当者間の認識齟齬を防ぎ、図面品質の均一化が図れます。特に複合コンセントや熱線センサー付スイッチなど、複数バリエーションがある器具については、凡例の読み違いが施工段階でのやり直しにつながるため注意が必要です。
② テレビ分配系統は建物規模で系統を選定
C1・C2系統とD4〜D8の分岐構成の組み合わせは、建物の戸数・フロア構成によって異なります。標準図を流用する際は、棟規模に合わせた減衰量計算を必ず実施し、末端レベルが35dB以上を確保できることを確認してください。
③ 複合コンセントはルームタイプ別に使い分け
「コ+TV+情」「コ+電+情」などの複合コンセント構成は、部屋用途(リビング・寝室・書斎等)に応じて標準化することで、住戸タイプ別の設計効率が大幅に向上します。
④ プレート仕様は早期確定が鉄則
プレートシリーズは住戸全体の仕上がり感に直結します。設計早期に発注者・インテリアコーディネーターと仕様確認を行い、変更が生じにくい状態で図面を進めることが重要です。
⑤ 標準図は「たたき台」として活用する
本図はあくまで標準仕様をベースにしたものです。行政指導・施主要望・長期優良住宅認定・省エネ基準対応など、プロジェクト固有の条件によって追加・変更が必要なケースも多くあります。標準図との差分を明確にしたうえで、プロジェクト専用図面へとカスタマイズしてください。
まとめ
「E-00 電気設備標準図(マンション)」は、集合住宅電気設備設計に必要な器具・設備を網羅した実務的な標準図です。スイッチ・コンセントから共聴テレビ・インターホン・情報設備まで、幅広い設備を一元的に記号化・凡例化することで、設計品質の均一化・業務効率化・後工程との円滑な連携を実現します。
本図を起点として、物件特性に最適化された電気設備設計を進めてください。















