雷から盤を守る
分電盤内のSPDの設置基準について知りたい!
- SPDの開閉器サイズを知りたい方
- 設置基準について知りたい方
- 分離器と開閉器どちらがよいか悩んでいる方など
- 分電盤内SPDの目的と設置基準
- SPDの設計方法
- 分離器・開閉器の考え方

⚡SPD一次側の設計ポイント|分離器・開閉器の設置は必要?
SPD(サージ防護デバイス)を設置する際、一次側(電源側)には短絡電流に対する保護措置が必要です。
そのため、SPDの一次側には「分離器」または「開閉器」のいずれかを設けることが求められます。
💡 従来の設計手法とその背景
これまでの一般的な設計では、SPDの一次側に開閉器を取り付ける方法が主流でした。
その理由は以下の通りです:
🔹 コスト面の配慮
開閉器の方が安価なため、コスト削減の観点から広く採用されていました。
🔹 旧JIS規格の内容(JIS C 5381-1)
旧規格では、SPDが短絡故障を起こした際の安全性に関する明確な要求事項がなかったため、
「短絡電流に対する保護さえあればOK」という考え方が主流だったのです。
✅ JIS規格の改定で何が変わった?|SPD設計における重要ポイント
SPD(サージ防護デバイス)の設計において、重要な変更点があるのをご存じですか?
**新しいJIS規格「JIS C 5381-11」**が登場したことで、SPDの一次側の設計ルールが大きく変わっています。
📘 JIS C 5381-11の主な改定内容とは?
新JIS規格「JIS C 5381-11」では、以下のような要件が追加されました。
🔸 SPDが短絡故障した際の安全性を確保するために、
SPDと製造メーカーが指定するSPD専用分離器との組み合わせで試験を実施することが義務づけられました。
そのため、新規格に対応したSPDを使用する場合には、必ずそのSPDに対応した「メーカー指定の分離器」を併用しなければなりません。
💡なぜ専用のSPD分離器が必要なの?
従来は、SPDの一次側に任意の開閉器やヒューズなどを設置しても問題ありませんでした。
しかし、新JISでは**「安全性を確保する試験を済ませた組み合わせ」でなければならないとされているため、
メーカー指定品以外を使ってしまうと規格違反**になる可能性があります。
⚡ SPD分離器とは?|保護と点検の両方に役立つ重要パーツ
SPD(サージ防護デバイス)は、雷などによる異常電圧から機器を守るための重要な装置ですが、
万が一SPDが短絡故障した場合、そのままでは大電流が流れてしまい機器や回路に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。
そこで登場するのが「SPD分離器」です。
🔧 SPD分離器の主な役割
① SPD短絡事故時の保護
SPDが万が一ショートしてしまった場合に、
SPD分離器が短絡電流を遮断し、回路や他の設備を守る役割を果たします。
これにより、故障の影響を最小限に抑えることができます。
② 点検・取替時の安全確保
SPDを点検したり交換したりする際にも、SPD分離器を「OFF」にすることで、SPDを無電圧状態にできるため、
作業者の安全が確保されます。
💡 配線用遮断器でも代用可能?
実は、配線用遮断器(ブレーカー)をSPD分離器の代わりとして使うことも可能です。
ただし、前提としてJIS規格やメーカーの指定条件に合っていることが必要です。
最近では、「SPDとセットで使用することを前提に試験済みの専用分離器」が主流となっているため、
安易な代用品の選定には注意が必要です。
SPDと分離器の規格及び選定

現在、各メーカーではSPDに分離器を内蔵したタイプ若しくは、SPDに外部接続型の分離器を接続する方法があります。設置スペースや更新状況などを考慮し選定を行いましょう。
SPD規格と分離器のサイズ
電源用SPDに対しクラスごとに対応する分離器を選定します。
適用SPD | クラスⅠ |
開閉器サイズ | 225AF/225AT |
ヒューズサイズ | 125A |
SPDクラスⅠの場合の開閉器若しくはヒューズを選定する場合の容量になります。
適用SPD | クラスⅡ |
開閉器サイズ | 50AF/50AT |
ヒューズサイズ | 30A |
SPDクラスⅡの場合の開閉器若しくはヒューズを選定する場合の容量になります。
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まとめ
今回の内容では、SPDの開閉器について解説しました。従来の規格ではSPD短絡故障時の安全性が要求事項がなかったため、SPDと開閉器を別々に設置するケースが主流でした。
しかしJIS規格の改定により、製造業者によるSPD故障時の安全性の試験を実施する必要あるため、規格に準拠する場合、製造メーカーのSPDと分離器をセットで選定する必要があります。
JIS規格の改定
”JIS C 5381-1” | SPD短絡故障時の安全性が要求事項の記載なし |
---|---|
”JIS C 5381-11” | 製造業者が指定するSPD分離器と組み合わせた状態で、SPD故障時の安全性の試験を実施しなければならない |
図面上、開閉器サイズを記載してしまうと分離器との区別が曖昧のため詳細に使用記載する必要があります。
JIS規格を満足させる必要があれば、必ずメーカー指定の分離器を組み込むよう明記しましょう。
仕様の記載例
SPDクラス | Ⅰ・Ⅱ |
分離器 | 一体型・分離型 |