ケーブルの支持間隔を解説。造営材に直接支持する場合は2m以下、接触防護措置を施した垂直部は6m以下(電技解釈164条)。ケーブルラック上では水平は結束・立ち上がりは各段固定と考え方が変わります。曲げ半径(低圧は外径6倍以上)や被覆を傷めない固定まで、図解つきでまとめました。支持間隔連載の第4回。

ケーブルの支持間隔を解説。造営材に直接支持する場合は2m以下、接触防護措置を施した垂直部は6m以下(電技解釈164条)。ケーブルラック上では水平は結束・立ち上がりは各段固定と考え方が変わります。曲げ半径(低圧は外径6倍以上)や被覆を傷めない固定まで、図解つきでまとめました。支持間隔連載の第4回。

技術図書館ケーブルの支持間隔|直付けとラック上で管理が変わる造営材に直接支持するなら2m以下、接触防護措置を施した垂直部は6m以下。ラック上は結束と各段固定が中心。曲げ半径まで全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

ケーブルの支持間隔の全体像
この連載について(全5回・第4回:ケーブル)
配管・ケーブルラック類の支持間隔を材種ごとに整理する連載の第4回です。今回はケーブルの支持間隔。ケーブルは「造営材に直接支持する場合」と「ケーブルラックの上に載せる場合」で管理の考え方が変わります。両方を整理し、曲げ半径の注意まで解説します。根拠の全体像は第1回(総論)を、電線管第2回第3回をご覧ください。
🐧 見習いペン太「先輩、ケーブルの支持間隔は『2m』って習いました。でもラックに載ってるケーブルは、いちいち2mおきに留めてない気がします…?」
🦔 はりた「鋭いね。ケーブルは『何で支えるか』で管理が変わるんだ。造営材に直接留めるなら2m・6mの数値ルール。ラックの上なら、ラックが自重を受けるから考え方が別。ここを分けて理解しよう」
ペン太ペン太
ケーブルも配管と同じで、とにかく2mおきに支持すればいいんですよね?
ハリタハリタ
直付けかラック上かで変わります。ラック上では2m間隔が不要な場合も多いんですよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • ラックに載ったケーブルを2mおきに留めなくてよいのは、なぜか
  • 造営材直付けで6m以下まで緩和されるのは、どんな条件のときか
  • 低圧ケーブルの曲げ半径は、仕上がり外径の何倍以上か

ケーブルは「直付け」と「ラック上」で分ける

トピック1:ケーブルは「直付け」と「ラック上」で分ける

ケーブルの支持は、大きく2つのパターンに分かれます。この違いを押さえると混乱しません。

ケーブルの支持は造営材直付けとラック上で考え方が違う

造営材に直接支持する場合は、電技解釈の数値(後述の2m・6m)で管理します。②ケーブルラックの上に載せる場合は、ラック自体が荷重を受けるので、ケーブルは「ばらけ防止の結束」と「立ち上がりの固定」が中心になります。

造営材に直接支持 ケーブルラックの上
自重を受けるもの 支持点そのもの ラック
管理のしかた 電技解釈の数値(2m・6m)で管理 ばらけ防止の結束と、立ち上がりの固定が中心
水平部 2m以下 要所を結束バンド等でまとめ、ばらけ・片寄りを防ぐ
垂直部 接触防護措置を施した場所なら6m以下まで緩和 各段で固定し、ずり落ち・過度な張力を防ぐ
よりどころ 電技解釈第164条 ケーブル種別・条数・ラックメーカー基準・仕様書
ここまでのポイント
  • ケーブルの支持は「造営材に直接」と「ラックの上」の2パターンに分かれる
  • 直付けは電技解釈の数値(2m・6m)で管理する
  • ラック上はラック自体が荷重を受けるので、ばらけ防止の結束と立ち上がりの固定が中心

造営材に直接支持する場合の支持間隔

トピック2:造営材に直接支持する場合の支持間隔

ケーブルを造営材の下面・側面に沿って直接取り付ける場合、支持点間の距離は2m以下が基本です。ただし、接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合は6m以下まで緩和されます(電技解釈第164条)。

造営材に直接支持するケーブルの支持間隔
取り付け方 支持点間の距離
造営材の下面・側面に沿って(水平・一般) 2m以下
接触防護措置を施した場所で垂直に取り付け 6m以下(まで緩和)

※「2m・6m」は電技解釈第164条(ケーブル工事)の値。加えて、ボックス・接続点の近くでも支持します。人が触れやすい場所では緩和は使えません。詳しくはケーブル工事の解説記事もご覧ください。

🦔 はりた「覚え方は『2m・6m』。ふつうは2m、接触防護された縦引きだけ6mまでOK、とセットで覚えるのが二種電工でも定番だよ」
ペン太ペン太
ラックに載せたケーブルにも、2mごとの固定金具が要るんですか?
ハリタハリタ
荷重はラックが受けます。水平部は結束、立ち上がりは各段固定が主体ですよ。
ここまでのポイント
  • 造営材の下面・側面に沿って直接取り付ける場合、支持点間は2m以下が基本
  • 接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合は6m以下まで緩和される(電技解釈第164条)
  • 加えてボックス・接続点の近くでも支持する


ケーブルラックの上に載せる場合

トピック3:ケーブルラックの上に載せる場合

ケーブルラックの上では、ケーブルの自重をラックが受けます。そのため水平部は「ケーブルがばらけないように要所を結束」すれば足ります。一方、立ち上がり・立ち下がり(垂直部)はケーブル自体が自重で下がるため、各段でしっかり固定する必要があります。

ケーブルラック上の固定
部位 固定の考え方
水平部 要所を結束バンド等でまとめ、ばらけ・片寄りを防ぐ。荷重はラックが受ける。
立ち上がり・立ち下がり ケーブルが自重で下がるため、各段で固定。ずり落ち・過度な張力を防ぐ。
分岐・端末 機器接続部やラック端部の近くで固定し、接続部に力をかけない。

※ラック上の固定間隔・方法は、ケーブル種別・条数・ラックメーカーの基準や物件の仕様書によります。ラック自体(架台)の支持間隔は次回・第5回で扱います。

ここまでのポイント
  • 水平部はラックが自重を受けるため、要所を結束すれば足りる
  • 立ち上がり・立ち下がりはケーブルが自重で下がるため、各段でしっかり固定する
  • 分岐・端末は接続部やラック端部の近くで固定し、接続部に力をかけない
  • 固定の間隔・方法は、ケーブル種別・条数・メーカー基準・仕様書による

曲げ半径にも注意(支持とセットで考える)

トピック4:曲げ半径にも注意(支持とセットで考える)

支持の位置取りは、ケーブルの曲げ半径とセットで考えます。きつく曲げると被覆や絶縁を傷め、断線・地絡の原因になります。曲がりの前後にも支持を入れ、無理な曲げにならないようにします。

ケーブルの曲げ半径

目安は、低圧ケーブルで仕上がり外径の6倍以上高圧ケーブルで8倍以上(単心はさらに大きめ)。狭い場所での取り回しは、この曲げ半径を確保できる支持位置を先に決めるのがコツです。

⚠ 被覆を傷つけない固定を
ステープルや結束バンドを締めすぎると被覆が食い込み・変形します。金属サドルで直接締め付ける場合はクッションを介すなど、ケーブルを傷めない固定を心がけます。多条布設では放熱(許容電流の低減)にも配慮します。
🐧 見習いペン太「ケーブル工事そのものの基本も、もっと知りたいです」
🦔 はりた「それならケーブル工事について詳しく解説の記事があるよ。支持点2m・曲げ6倍のほか、施工できる場所や接地も載っているから、支持間隔とあわせて読むと理解が深まる」
ペン太ペン太
支持の次に、ケーブルで気をつけることはありますか?
ハリタハリタ
曲げ半径です。低圧ケーブルは仕上がり外径の6倍以上を、支持とセットで確保しましょう。
やりがちなこと 起きること 対策
結束バンドを締めすぎる 被覆が食い込み・変形する 締め付けすぎない。ケーブルを傷めない固定にする
金属サドルで直接締め付ける 同じく被覆を傷める クッションを介す
曲がりの前後を支持しない 無理な曲げになり、被覆や絶縁を傷める 曲がりの前後にも支持を入れる
多条をまとめて詰め込む 放熱が悪くなる 許容電流の低減に配慮する
ここまでのポイント
  • きつく曲げると被覆や絶縁を傷め、断線・地絡の原因になる
  • 目安は低圧で仕上がり外径の6倍以上、高圧で8倍以上(単心はさらに大きめ)
  • 狭い場所では、曲げ半径を確保できる支持位置を先に決める
  • ステープルや結束バンドの締めすぎ、金属サドルの直接締め付けにも注意する


まとめ+よくある質問

トピック5:まとめ+よくある質問

結論。ケーブルは「何で支えるか」を先に決めてから数字を見る。直付けとラック上では、見るルールが別です。

場面 見る数字
造営材の下面・側面に沿って(水平・一般) 2m以下
接触防護措置を施した場所で垂直に取り付け 6m以下まで緩和
ラック上の水平部 数値ではなく、ばらけ防止の結束
ラック上の立ち上がり・立ち下がり 各段で固定
曲げ半径 低圧は仕上がり外径の6倍以上、高圧は8倍以上

直付けの数値

  • 造営材の下面・側面に沿う場合は2m以下
  • 接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合は6m以下まで緩和(電技解釈第164条)

ラック上と、共通で気をつけること

  • 水平部は結束が中心、立ち上がり・立ち下がりは各段で固定
  • 曲げ半径は低圧で外径の6倍以上、高圧で8倍以上。曲がりの前後も支持する
  • 被覆を傷めない固定にし、多条布設では放熱にも配慮する

造営材直付けは2m以下(接触防護された垂直は6m以下)、ラック上は水平=結束・立ち上がり=固定。ケーブルは「何で支えるか」で管理が変わります。加えて曲げ半径(低圧6倍)を確保し、被覆を傷めない固定を。次回・第5回はケーブルラック・レースウェイ・ダクト類(架台側)の支持間隔で連載を締めくくります。

Q. ケーブルの支持間隔はいくつ?
A. 造営材の下面・側面に沿う場合は2m以下。接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合は6m以下まで緩和されます(電技解釈第164条)。

Q. ラックに載せたケーブルは2mおきに留める?
A. 水平部はラックが荷重を受けるため、ばらけ防止の結束が中心です。立ち上がり・立ち下がりは各段で固定します。間隔はメーカー基準・仕様書によります。

Q. 曲げ半径の目安は?
A. 低圧ケーブルで仕上がり外径の6倍以上、高圧で8倍以上が目安です。曲がりの前後も支持します。

Q. 「6m」はどんな場合に使える?
A. 接触防護措置を施した(人が容易に触れない)場所で、垂直に取り付ける場合の緩和です。人が触れやすい場所では2m以下です。

前後の回:【第3回】合成樹脂管の支持間隔 → 第5回 ケーブルラック・ダクト類(近日公開)
関連記事:【第1回】支持間隔の総論・早見表ケーブル工事について詳しく解説電気設備のツール一覧(登録不要)

出典:電気設備技術基準・解釈(第164条ほか)、内線規程(JEAC 8001)、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)、各メーカー技術資料をもとに作成。数値は目安であり、適用にあたっては最新版の各基準・仕様書・メーカー資料を確認してください。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。