この連載について(全5回・第3回:合成樹脂管)
配管・ケーブルラック類の支持間隔を材種ごとに整理する連載の第3回です。今回は合成樹脂管(硬質ビニル管VE・可とう管PF/CD)の支持間隔と施工の要点。金属管(第2回)より狭い間隔になる理由と、たわみ・温度伸縮への対策がポイントです。根拠の全体像は第1回(総論)をご覧ください。
🐧 見習いペン太「先輩、金属管は2m以下でしたよね。樹脂の管も同じでいいですか?」
🦔 はりた「そこが要注意。樹脂管は金属管よりたわみやすいから、支持間隔は狭くなる。しかも種類(VE・PF・CD)で数字も使い方も違う。混同しやすいところだから、1つずつ整理しよう」

合成樹脂管は金属管より「狭い」

合成樹脂管は金属管に比べて強度が低く、自重でたわみやすい性質があります。そのため、支持間隔は金属管の2m以下より狭く設定されています。

金属管と合成樹脂管の支持間隔の比較

ポイントは、硬質のVE管は1.5m以下可とう性のあるPF/CD管は露出で1.0m以下・隠ぺいで1.5m以下ということ。管端・ボックス・接続点の近く(0.3m以下)で支持するのは、金属管と同じ考え方です。

合成樹脂管の3種類(VE・PF・CD)を見分ける

合成樹脂管は大きく3種類。硬さ・色・使える場所が違い、それに応じて支持間隔も変わります。

合成樹脂管3種の見分け
種類 特徴 支持間隔の目安
VE管
(硬質ビニル)
硬い直管(グレー)。曲げは加工が必要。温度で伸縮する。 1.5m以下
PF管
(可とう・自消性)
曲がる蛇腹(グレー)。自己消火性があり、露出・隠ぺい・埋込に使える。 露出1.0m以下
隠ぺい1.5m以下
CD管
(可とう)
オレンジ色。自己消火性がないため、原則コンクリート埋込専用。 埋込の結束1.0m以下
接続点近く0.3m以下
⚠ CD管(オレンジ)は露出配管に使えない
CD管は自己消火性がなく燃えるため、原則としてコンクリートに直接埋め込む用途専用です。露出・点検口内などに使ってはいけません。露出で可とう管を使いたい場合はPF管(グレー・自消性)を選びます。色で確実に見分けましょう。

※支持間隔の数値は合成樹脂製可とう電線管工業会・内線規程等に基づく目安です。CD管の使用可否は電技解釈の規定に従い、詳細は物件の仕様書・メーカー資料で確認してください。

VE管は「温度で伸び縮み」する

硬質ビニル管(VE管)で見落とされやすいのが温度による伸縮です。樹脂は金属より膨張・収縮が大きく、長い直線配管では季節で長さが変わります。ガチガチに固定すると、伸縮の逃げ場がなくなり、接続部の外れや管の変形につながります。

VE管の温度伸縮と伸縮カップリング

対策は、長い配管に伸縮カップリングを入れて伸び縮みを逃がすこと。支持は1.5m以下+接続点・ボックス近く(0.3m)を守りつつ、伸縮を殺さない固定にするのがコツです。

PF/CD管は「たわみ(垂れ)」に注意

可とう管(PF/CD)は柔らかく曲げられる反面、支持間隔が広いとすぐに垂れます。露出で1.0m以下という数字は、この垂れを防ぐための目安です。

PF/CD管のたるみ 良い例と悪い例

可とう管こそ「間隔を詰める」意識が大切。加えて、曲がりの多い配管では曲げ部の前後も支持し、無理な曲げ半径にならないようにします。ステープルではなく、管径に合ったPF/CD用サドルで固定します。

🦔 はりた「まとめると、VE=伸縮に注意して1.5m、PF/CD=垂れに注意して露出1.0m。金属管より一段シビアに支持する、と覚えておけば現場で迷わないよ」
🐧 見習いペン太「合成樹脂管工事そのものの基本も、もう少し知りたいです」
🦔 はりた「それなら合成樹脂管工事の基本知識の記事があるよ。使用場所や接続方法も載っているから、支持間隔とあわせて読むと理解が深まる」

まとめ+よくある質問

合成樹脂管の支持間隔は、VE管1.5m以下、PF/CD管は露出1.0m以下・隠ぺい1.5m以下。金属管より狭いのは、たわみやすいから。VE管は温度伸縮、PF/CD管は垂れに注意し、いずれも管端・接続点の近く(0.3m以下)を必ず支持します。次回・第4回はケーブル(造営材直付け・ラック上)の支持間隔を扱います。

Q. VE管の支持間隔はなぜ金属管より狭い(1.5m)の?
A. 樹脂は金属より強度が低くたわみやすいためです。可とう管のPF/CDはさらに柔らかいので、露出は1.0m以下とより狭くなります。

Q. CD管を露出で使ってもいい?
A. いいえ。CD管は自己消火性がなく、原則コンクリート埋込専用です。露出で可とう管を使うならPF管を選びます。

Q. VE管の温度伸縮はどう対策する?
A. 長い配管に伸縮カップリングを入れ、固定しすぎず伸縮を逃がします。

Q. 可とう管の固定にステープルを使ってよい?
A. 管径に合ったPF/CD用サドルで固定します。垂れを防ぐため、露出は1.0m以下の間隔でこまめに支持します。

前後の回:【第2回】金属管の支持間隔 → 第4回 ケーブル(近日公開)
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出典:電気設備技術基準・解釈、内線規程(JEAC 8001)、合成樹脂製可とう電線管工業会の技術資料、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)をもとに作成。数値は目安であり、適用にあたっては最新版の各基準・仕様書・メーカー資料を確認してください。