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分電盤の設計|動力負荷のブレーカーサイズの選定根拠について詳しく解説

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始動電流を考慮すべし

 

今回の疑問

 

動力負荷のブレーカーサイズ

選定方法について教えてほしい!

 

結論

 

動力負荷の開閉器サイズは

下記のどちらか小さい値を選定しましょう。

ケーブル ケーブルの許容電流 × 2.5倍
負荷電流 負荷電流の許容電流の合計値 ※電動機負荷電流は2.75~3倍

 

本記事のおすすめの方
  • 動力負荷のブレーカーサイズについて調べている方
  • 選定したブレーカーサイズが大きいがあっているか心配な方

 

この記事でわかること
  1. ブレーカーサイズの選定方法
  2. 負荷に応じた正しいサイズの選定方法
  3. 選定の根拠資料について

 

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開閉器サイズの選定根拠資料

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動力と電灯負荷の違いを認識しよう!開閉器サイズ選定の注意点も解説

電気設備設計において、「動力」と「電灯負荷」は明確に区別して考える必要があります。
同じ“負荷”でも、その特性や開閉器の選定方法には大きな違いがあるのです。


📌 負荷の特性を理解しよう

電気設備で扱う負荷には主に以下の2種類があります:

負荷の種類 主な例 特徴
動力負荷 モーター、電熱器、空調機など 始動電流が大きい、連続運転あり
電灯負荷 照明、コンセント、事務機器など 比較的安定した消費電流、突入電流は少ない

🔥 電熱器はどう考える?

電熱器(ヒーターなど)は、始動電流が存在しないため、動力負荷であっても電灯負荷に近い扱いが可能です。
始動電流を考慮せずに開閉器サイズを決めても問題ありません。


⚡ 開閉器サイズの選定で混同に注意!

  • 電動機(モーター)系負荷
     → 始動電流を考慮し、定格電流より大きめの開閉器を選定する必要あり
     (例:始動電流が定格の6倍になるケースも)

  • 電灯負荷/電熱器系負荷
     → 始動電流不要、実使用電流に応じて開閉器を選定

📌 これらを混同して同じサイズで設計してしまうと、誤動作や機器故障の原因になるため、必ず分けて考えましょう!

⚙️ 負荷別・開閉器選定早見表

負荷の種類 主な設備例 始動電流の考慮 トリップの考え方 選定のポイント
電動機(モーター) 換気扇、ポンプ、コンプレッサー等 必要(大) 定格電流+始動余裕 始動電流に耐えるよう大きめの開閉器を選ぶ
空冷ヒートポンプ パッケージエアコン等 必要(中) 過負荷トリップさせない 高温・低温運転で負荷変動に耐えるよう選定
電熱器 温水器、ヒーター等 不要 定格電流を基準 実使用電流に対して適正サイズでOK
電灯 照明、コンセント、OA機器など 不要 定格電流を基準 合計電流値に20〜30%程度の余裕で選定

💡 補足:始動電流とは?

始動電流とは、モーターなどを動かす瞬間に必要な大きな電流のことです。
通常、定格電流の3〜6倍程度になることもあるため、これを考慮しないと**開閉器が誤作動(トリップ)**してしまうことがあります。

電動機回路の分岐開閉器・過電流遮断器の選定基準とは?|技術基準「3705-3」より

動力回路(モーターなど)に電源を供給する分岐回路では、開閉器や遮断器の選定と設置方法に注意が必要です。
この記事では、電気設備技術基準の解釈「3705-3」に基づき、電動機分岐回路のポイントを初心者向けにわかりやすく整理します。


✅ 1. 電動機分岐回路には必ず「開閉器」と「遮断器」を設ける

電動機に電源を供給する分岐回路では、以下のように機器を設ける必要があります。

  • 開閉器(スイッチ):手動での投入・遮断用

  • 過電流遮断器(ブレーカー):短絡や過負荷による過電流からの保護用

これは、他の一般的な分岐回路(3605-4)と同様の設置基準に準じて行います。


✅ 2. 分岐開閉器の定格電流 ≥ 過電流遮断器の定格電流

開閉器の定格電流は、必ずその回路に設ける過電流遮断器の定格電流以上にする必要があります。
→ 開閉器がブレーカーより先に焼損・故障しないようにするためです。


✅ 3. 過電流遮断器の選定ルール【解釈149】

① 遮断器の定格電流(基本ルール)

以下の条件をすべて満たす範囲内で選定します:

条件 内容
上限値1 電動機の定格電流 × 3(50A超は2.75)+ 他の機器の定格電流合計
上限値2(特例) 電線の許容電流 × 2.5 以下であればOK(※保護協調が取れていれば)
始動電流への配慮 モーターの始動電流ではトリップしない定格を選ぶ

📌「始動時にトリップしないように」が特に重要です。


② 電線の許容電流が100Aを超える場合の補足

計算した値が市販の遮断器の定格に合致しないときは、
直近の上位定格のブレーカーを選定してOK(例:118A → 125A)


✅ 4. 特例:過負荷保護と短絡保護を分離した装置を使う場合

電動機のみに電気を供給する回路で、下記のような**複合保護機器(JIS C8201準拠)**を使う場合は:

  • 過負荷保護装置(例:サーマルリレー)

  • 短絡保護専用遮断器(またはヒューズ)

→ このときは、遮断器の定格電流を電線の許容電流以下で設定してOK。


✅ 5. 保護協調の確認が重要!

どのパターンでも、過負荷保護装置と過電流遮断器が協調して動作するように設定することが大前提です。
→ 過電流時に、サーマルリレーが無視されてブレーカーだけが落ちるような構成では意味がありません。


📝 まとめ

項目 要点
開閉器の定格 遮断器以上の定格電流で選定
遮断器の選定 「定格電流×3」+他機器電流、始動電流を考慮
電線100A超の特例 標準定格がなければ「直近上位定格」でOK
特例構成(複合保護) 遮断器定格は電線許容電流以下でも可(要保護協調)
保護協調 サーマル・遮断器間の動作バランスがとれているか確認が必須

この章でわかること

今回は、内線規程に記載されている下記内容についての解説します

3.電動機に電気を供給する分岐回路の過電流遮断器の選定は,次の各号による
こと。(解釈149)

① 過電流遮断器の定格電流は,当該電動機の定格電流の3倍(電動機の定格電流が50Aを超える場合は,2.75倍)に他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下で,かつ,電動機の始動電流により動作しない定格のものであること。ただし,電動機の過負荷保護装置との保護協調が適切であるときは,当該分岐回路に使用する電線の許容電流の2.5倍以下とすることができる。

開閉器を求める基本的な手順

電動機の開閉器サイズは、

① 過電流遮断器の定格電流は,当該

電動機の定格電流の3倍(電動機の定格電流が50Aを超える場合は,2.75倍)に他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下

で,かつ,電動機の始動電流により動作しない定格のものであること。ただし,電動機の過負荷保護装置との保護協調が適切であるときは,

当該分岐回路に使用する電線の許容電流の2.5倍以下とすることができる。

この文言を紐解くと・・・

ケーブル ケーブルの許容電流 × 2.5倍
負荷電流 負荷電流の許容電流の合計値

※電動機負荷電流は2.75~3倍

となり各々の値の小さい方を開閉器サイズとして選定します。

負荷電流 > ケーブルの許容電流の場合

負荷電流の3倍よりケーブルの許容電流の方が小さい場合

負荷に電動機を含む場合
電動機あり 2.5IW < 3IM + IH IB ≦ 2.5IW
図に表すと・・・
モーター電動機 ×2.5 モーター×3 ヒーター
の時 ×2.5

ケーブルの許容電流 > 負荷電流の場合

ここにボックスタイトルを入力

ケーブルの許容電流×2.5電動機の定格電流×3+その他の負荷の定格電流のとき

過電流遮断器≦ケーブルの許容電流×2.5を選定します

  • 電動機の開閉器サイズは負荷電流によって求めるだけではありません。
  • もともとの電流値より係数を見込んで選定するため負荷電流より大きいサイズが選定されます。

はりた
はりた
ここまでの前提を踏まえてうえで各負荷対象ごとのサイズ選定を学んでいこう!
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