銅価格の高騰で電線・ケーブルはどうなる?|見積・積算・発注で失敗しないための実務対策【2026年7月】
銅価格の高騰で電線・ケーブルはどうなる?
見積・積算・発注で失敗しないための実務対策【2026年7月】
2026年に入り、国内の銅建値は過去最高値圏まで上昇し、電線・ケーブル価格もそれに連動して上がり続けています。この記事では「なぜ上がっているのか」を30秒で整理したうえで、電気設備の見積・積算・発注の実務で、いま何をしておくべきかを具体的にまとめます。
POINT 01いま何が起きている?30秒でわかる要点
銅建値の推移(月平均・直近1年)
月別の価格を表で見る(前月比つき)
| 年月 | 月平均(万円/t) | 前月比 |
|---|---|---|
| 2025年 | ||
| 8月 | 148.1 | ▼ -0.7 |
| 9月 | 152.6 | ▲ +4.5 |
| 10月 | 166.8 | ▲ +14.2 |
| 11月 | 172.6 | ▲ +5.8 |
| 12月 | 186.6 | ▲ +14.0 |
| 2026年 | ||
| 1月 | 213.0 | ▲ +26.4 |
| 2月 | 209.8 | ▼ -3.2 |
| 3月 | 208.9 | ▼ -0.9 |
| 4月 | 214.2 | ▲ +5.3 |
| 5月 | 224.4 | ▲ +10.2 |
| 6月 | 227.3 | ▲ +2.9 |
| 7月 速報 | 227.4 | ▲ +0.1 |
直近1年(2025年8月〜2026年7月)の月平均推移。出典:日本電線工業会「国内銅建値(月平均)推移表」(千円/tを万円/tに換算)。2026年7月は速報値。日次では2026年6月3日に233万円/tの過去最高値を記録。
銅建値の推移(ざっくり全体像)
- 2025年
125万〜175万円/t 前後で推移
この時点でも歴史的には高い水準。ただ、まだ「相場の範囲内」という感覚だった。
- 2026年1月
約205万円/t で年明けスタート
年明けから急ピッチで上昇。円安(1ドル160円台)とNY銅相場の上昇(13,000ドル超)が重なった。
- 2026年6月過去最高値
一時 233万円/t を記録
6月上旬にピーク。数年前と比べるとおおむね2倍の水準に到達した。
- 2026年7月(今)いまここ
227万〜229万円/t で高止まり
7月に入っても数日単位で2万〜3万円の改定が続く。乱高下しながらの高値圏が続いている。
出典:国内銅建値(JX金属発表)の推移をもとに作成。建値は日々改定されるため、最新値は必ず確認してください。
建値は「数日単位」で改定されます。電線メーカー・商社の見積書にある「銅建値◯◯円時」の条件表記を必ず確認しましょう。この前提が変わると、見積金額そのものが変わります。
POINT 02なぜ上がっている?背景は大きく3つ
高騰の3つの背景
-
① 需要の構造的な増加
データセンター・EV・再生可能エネルギーは、従来の設備より多くの銅を使います。世界的にこの3分野が同時に伸びており、銅の需要は構造的に増え続けています。 -
② 供給側の不安
南米の鉱山ストライキ、製錬所の事故、中東情勢など、供給側のトラブルが続いています。需要増と供給不安が同時に起きているのが現在の相場です。 -
③ 円安
国内の銅建値は「ドル建ての国際相場 × 為替」で決まります。1ドル160円台の円安が、円建て価格をさらに押し上げています。
POINT 03見積・積算への影響はここに出る
影響は「価格」だけではありません。実務では、むしろ次の4つがじわじわ効いてきます。
実務に出ている影響
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見積有効期限の短縮
従来1か月程度だった有効期限が、2週間などに短縮される傾向。古い見積のまま契約すると、発注時に再見積→予算超過のリスクがあります。 -
納期の遅延
特に高圧ケーブル・太物(大サイズCVなど)で納期が延びています。駆け込み発注が在庫逼迫を加速させる悪循環も起きています。 -
受注制限
一部メーカーでは新規顧客の受注を制限する動きも。「いつもの商社ルート」の確保が重要になっています。 -
鋼製品への波及
鋼板も大手メーカーが10〜15%の値上げを実施。ケーブルラック・プルボックス・盤筐体など、電線以外の資材にも波及しています。
POINT 04設計・施工側が今できる4つの対策
実務対策4選
-
① 契約に「物価変動条項(スライド条項)」を入れる
着工までに期間が空く案件では、資材価格の変動分を請負金額に反映できる条項を必ず確認・提案しましょう。公共工事だけでなく民間工事でも交渉の価値があります。 -
② 見積書に「銅建値条件」と有効期限を明記する
「本見積は銅建値◯◯万円/t 時点のものです」と書いておくだけで、再見積の根拠が明確になり、トラブルを防げます。 -
③ 太物・高圧ケーブルは早期発注・納期優先
2026年後半も高値圏が続く見通しのなか、「安くなるのを待つ」より「工程どおりに物が入る」ことの価値が上がっています。長納期品は先行発注の検討を。 -
④ 代替品の検討(アルミ導体CV・樹脂製ボックスなど)
幹線でのアルミ導体ケーブル採用や、鋼製ボックスから樹脂製への変更でコストを抑えられる場合があります。ただし下の注意点をセットで。
アルミ導体ケーブルの注意点:同じ許容電流を確保するには銅よりサイズアップが必要で、端末処理(圧縮端子・異種金属接触への配慮)も銅と同じ感覚では扱えません。採用時は電線メーカーの技術資料を確認し、端末処理の施工体制まで含めて検討しましょう。
価格が動いている時期は、これだけ確認しておけば大きな失敗を防げます。
- 見積書の「銅建値条件」(◯◯万円/t 時点)を確認したか
- 見積有効期限を確認したか(短縮されていないか)
- 高圧・太物ケーブルの納期を工程表と突き合わせたか
- 長納期品の先行発注の要否を検討したか
- 契約書に物価変動条項(スライド条項)があるか
- 予算書・実行予算に価格改定分の余裕を見ているか
POINT 05今後の見通し——「待てば下がる」は期待しにくい
POINT 06まとめ+よくある質問
この記事のまとめ:銅建値は2026年に入り過去最高値圏(一時233万円/t)まで上昇し、7月現在も高止まり。電線・ケーブル価格の上昇に加え、見積有効期限の短縮・納期遅延・鋼製品への波及が実務に効いています。対策は「スライド条項」「銅建値条件の明記」「長納期品の早期発注」「代替品の検討」の4つ。相場を当てるのではなく、変動に強い見積・契約に整えることが設計・施工側の守りになります。
「銅建値」って何ですか?
電線の価格はどのくらい上がっているの?
古い見積のまま契約してしまったら?
アルミケーブルに変えれば安くなる?
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