技術図書館高圧ケーブル保護管の選定|「堅ろう」をどう読むか規程は管種を指定していない。破損のおそれがあるかで厚鋼電線管とHIVE管を選び分ける。全6枚のスライドで整理この資料をスライドで見る資料一覧を見る

高圧ケーブルの保護管は、厚鋼電線管にするか、HIVE管にするか。現場でよく迷うところですが、電技解釈は管の種類を決めていません。決めているのは「どこで、何から、どう守るか」です。だから答えは管の名前ではなく、ケーブルが通る場所で変わります。ここでは条文とJISを順に読み、場所ごとにどの管が選べるかを整理します。

結論

高圧ケーブルの保護管は、通る場所ごとの条件で決まります。衝撃・ほかの配線との距離・人が触れるか・地中の圧力の4つを見れば、金属管でないといけない場所がはっきりします。

  • 屋内は重量物の圧力・著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に「適当な防護装置」(電技解釈 第168条)
  • ほかの配線や水管と15cm未満なら、耐火性のある堅ろうな管か隔壁。HIVE管などの樹脂管は当たらない
  • 屋側・引込口は接触防護措置(第111条・第117条)。金属管に収めるのは、その方法の1つ
  • 地中の管路は車両その他の重量物の圧力に耐える管(第120条)。FEPが標準になる
  • 地中からの立上りは地表上2m(建物の屋側は2.5m)以上を防護する(JIS C 3653)
  • 衝撃も近接もない屋上・天井裏なら、HIVE管も選べる
  • 金属管にはA種接地(接触防護措置でD種)。樹脂管にはこの手間がない
  • 管の内径はケーブル仕上外径の1.5倍以上が目安。CVT 38mm²ならG70
場所を分けたら、衝撃・近接・接触の3つで「守り方」を決めます。

決め方の順番 ― 管の種類は「場所」で決まる

保護管の選定を「厚鋼電線管かHIVE管か」の二択から始めると、根拠のない好みの話になりがちです。先にケーブルが通る場所を区切り、場所ごとに法令とJISが求めている守り方を当てはめます。管の種類は、その結果として決まります。

同じ引込ケーブルでも、屋内・屋上・地中で守り方が変わります。
段 見ること よりどころ
1段目 通る場所を区切る(屋内・屋側・屋上・地中・立上り) 平面図・断面図・引込ルート
2段目 重量物の圧力・著しい機械的衝撃を受けるか 電技解釈 第168条(→第164条)
3段目 ほかの配線・水管などと15cm未満か 電技解釈 第168条第2項
4段目 屋側で人が触れるか 電技解釈 第111条・第117条
5段目 地中の圧力・立上りの防護 電技解釈 第120条・JIS C 3653
6段目 さび・塩害・重さ・施工性、そして太さと接地 メーカー資料・発注者の仕様
2〜5段目で守り方の条件が決まり、6段目で残った候補から選びます。
ペン太ペン太
高圧ケーブルの保護管って、とりあえず厚鋼電線管にしておけば間違いないですよね?
ハリタハリタ
外れはしません。でも、法令が金属管を求めていない場所まで厚鋼にすると、重さと接地の手間が増えます。場所ごとに見ましょう。
ここまでのポイント
  • 管の種類は、通る場所ごとの条件から決まる
  • 見るのは衝撃・近接・接触・地中の4つ
  • 条件の決まった場所から順に管を当てはめる
  • 最後にさび・施工性・太さ・接地を確かめる

法令が求めているのは「管」ではなく「防護」

高圧の屋内配線は、ケーブル工事なら電技解釈 第168条によります。そこでは第164条の規定に準じて、重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する電線には、適当な防護装置を設けることが求められます。管の種類は書かれていません。

高圧は「どう守るか」、特別高圧は「何で守るか」まで書かれています。

裏返すと、衝撃や重量物のおそれがない場所では、保護管そのものが必須ではありません。電気室やピットの中をケーブルラックで配線するのは、このためです。一方、同じ解釈でも特別高圧の屋内配線(第169条)は「鉄製又は鉄筋コンクリート製の管、ダクトその他の堅ろうな防護装置」と材質まで指定しています。高圧で管の種類が決まっていないのは、書き漏れではなく場所ごとの判断に任せているからです。

出典:電気設備の技術基準の解釈 第164条第1項第二号・第168条第1項・第169条第1項第三号

ここまでのポイント
  • 高圧屋内配線(第168条)は「適当な防護装置」を求める
  • 衝撃・重量物のおそれがない場所では保護管は必須ではない
  • 材質まで指定するのは特別高圧(第169条)
  • 高圧の管種は、場所の条件で選ぶもの


「堅ろう」は1つの意味ではない ― 5つの言い方

保護管の話では「堅ろうな管」という言葉がよく出てきます。ただ、電技解釈とJISを読むと、「堅ろう」の前後に付く言葉が場所ごとに違います。ここを1つにまとめてしまうと、「HIVE管は堅ろうか」という答えの出ない問いになります。

「耐火性のある」が付くかどうかで、選べる管が大きく変わります。
言い方 出てくるところ 樹脂管は
適当な防護装置 屋内で衝撃・重量物のおそれがある箇所(第168条→第164条) 強さが足りれば選べる
重量物の圧力に耐える管 地中の管路式(第120条第2項) JIS C 3653 の表の管なら選べる
耐火性のある堅ろうな管 ほかの配線と15cm未満(第168条第2項)、屋側の離隔(第111条第5項) 当たらない
堅ろうなトラフ 地中の直接埋設式(第120条第4項) トラフなどの防護物
堅ろうで耐候性の高い、不燃性又は自消性のある難燃性の防護材 地中からの立上り(JIS C 3653) 自消性のある難燃性なら選べる
同じ「堅ろう」でも、燃えないことまで求めるのは「耐火性のある」が付いたときだけです。
ペン太ペン太
じゃあ「HIVE管は堅ろうか?」って聞かれたら、どう答えればいいんですか?
ハリタハリタ
「どの条文の堅ろうか」を聞き返します。衝撃に耐える意味なら使える場面があり、耐火性まで求める場面では使えません。
ここまでのポイント
  • 「堅ろう」には場所ごとに5つの言い方がある
  • 強さだけを求めるもの、燃えないことまで求めるものがある
  • 「耐火性のある堅ろうな管」に樹脂管は当たらない
  • 立上りは自消性のある難燃性の防護材でもよい

3つの管の性格 ― 厚鋼電線管・HIVE管・FEP

高圧ケーブルに使う管は、主に厚鋼電線管・HIVE管(耐衝撃性の硬質ポリ塩化ビニル電線管)・FEP(波付硬質合成樹脂管)の3つです。強さと燃えにくさは厚鋼電線管、さびにくさと軽さは樹脂管が上回ります。

どれが上というより、得意なことが違う3つの管です。
管 規格と呼び 押さえておきたいこと
厚鋼電線管(G) JIS C 8305・G16〜G104 燃えない・最も強い。地中に使うときは防食処理が要る。屋内・屋側ではA種接地の対象(管路式の地中部分は第123条で接地を要しない)
HIVE管 JIS C 8430・14〜82 さびない・軽い。電線管の規格は82まで。100以上は水道用のHIVP(JIS K 6742)になる
FEP JIS C 3653 附属書1・30〜200 地中用。長尺で曲げやすく、太い呼びまである。地上に出す部分には使わない
高圧ケーブルは太いので、HIVE管の上限(82)と厚鋼電線管の上限(G104)が効いてきます。
ここまでのポイント
  • 厚鋼電線管は強さと燃えにくさ、樹脂管はさびと軽さ
  • HIVE管は電線管として82まで。100以上はHIVP
  • FEPは地中用で、200まである
  • 金属管を選ぶと接地工事が付いてくる


15cm未満なら「耐火性のある堅ろうな管」 ― HIVE管が使えない場面

HIVE管を選べるかどうかで、いちばんはっきり線が引かれるのがここです。電技解釈 第168条第2項は、高圧屋内配線がほかの高圧屋内配線・低圧屋内電線・管灯回路の配線・弱電流電線等・水管・ガス管などと接近・交差するとき、離隔距離を15cm以上とするよう求めています。

近いときに求められるのは「燃えないこと」です。

ケーブル工事で15cm未満になるときは、次のどれかによります。① 耐火性のある堅ろうな隔壁を設ける、② ケーブルを耐火性のある堅ろうな管に収める、③ 相手の高圧屋内配線がケーブルである。HIVE管やFEPは燃える材料なので、②の管としては扱えません。幹線や弱電と同じルートを通すなら、その区間は金属管にするか、隔壁を入れることになります。

相手も高圧ケーブルなら、15cm未満でもこの条件はかかりません。

出典:電気設備の技術基準の解釈 第168条第2項

ここまでのポイント
  • ほかの配線・水管などとは15cm以上離す(第168条第2項)
  • 15cm未満なら隔壁か、耐火性のある堅ろうな管
  • HIVE管・FEPは「耐火性のある」管に当たらない
  • 相手も高圧ケーブルなら、この条件はかからない

屋側と引込口 ― 接触防護措置と立上り

地中から建物の外壁を立ち上げて引込線を建物に入れる部分は、高圧引込線の屋側部分です。電技解釈 第117条第2項により、第111条(高圧屋側電線路)の第2項から第5項に準じて施設します。ケーブルには接触防護措置を施すことが求められます。

屋側の金属管は、接触防護措置と離隔の緩和を1本で満たせます。

接触防護措置は、電技解釈 第1条で屋外なら地表上2.5m以上の高さに、人が手を伸ばしても触れない範囲に施設するか、さく・へいを設ける、又は設備を金属管に収める等の防護措置を施すことと定義されています。地表近くを通る部分を金属管に収めるのは、この定義にそのまま当てはまる方法です。

地中から立ち上げる部分には、JIS C 3653 の施工方法もかかります。地表上2m(建物の屋側に立ち上げるときは2.5m)以上を、堅ろうで耐候性の高い、不燃性又は自消性のある難燃性の防護材で覆い、造営物に堅ろうに固定します。屋外の端部には雨水の浸入を防ぐカバーなどを付けます。

電柱や架台なら2m、建物の壁なら2.5mまで覆います。
部分 求めること よりどころ
屋側のケーブル 展開した場所・接触防護措置・支持点間2m(垂直6m)以下 第111条第2項
管の金属部分 A種接地(接触防護措置ならD種)。防食措置をした部分・大地との抵抗10Ω以下の部分は除く 第111条第2項第七号
ほかの電線・水管など 0.15m以上。ほかの工作物とは0.3m以上 第111条第3項・第4項
離隔の緩和 耐火性のある堅ろうな管に収めれば、上の離隔によらない 第111条第5項
地中からの立上り 地表上2m(建物の屋側2.5m)以上を防護材で覆う JIS C 3653 4.6
A種接地の考え方は、A種接地工事の記事でまとめています。

金属管の接地はA種接地工事の施設基準、引込ルート全体の考え方は引込・受電設備の設計マニュアル 第3回 引込方式とルートで扱っています。

ここまでのポイント
  • 高圧引込線の屋側部分は第111条に準じる(第117条第2項)
  • ケーブルには接触防護措置。金属管に収めるのはその1つ
  • 立上りは地表上2m(建物の屋側2.5m)以上を防護材で覆う
  • 屋側の金属管はA種接地(接触防護措置でD種)


地中は「重量物の圧力に耐える管」 ― FEPが標準になる理由

地中電線路を管路式で施設するとき、電技解釈 第120条第2項が求めるのは電線を収める管が、車両その他の重量物の圧力に耐えるものであることです。どの管がこれに当たるかは、JIS C 3653 が具体的に示しています。

管路式は「どの管を、どの深さに」で圧力に耐えるかが決まります。

JIS C 3653 は、呼び径200mm以下で表1の管を使い、地表面(舗装があれば舗装下面)から0.3m以上の深さに埋設する場合、管路は堅ろうで車両その他の重量物の圧力に耐えるものとする、としています。表1には、防食処理をした厚鋼電線管などの鋼管、JIS C 8430 の硬質ポリ塩化ビニル電線管、JIS K 6741 のVP、附属書1の波付硬質合成樹脂管(FEP)などが並びます。FEPが地中の標準になっているのは、この条件を満たしたうえで、長尺・曲げやすい・さびないからです。

需要場所の高圧地中電線路は、長さが15mを超えると表示が要ります(おおむね2mの間隔)。JIS C 3653 は、高圧の地中電線路では埋設表示シートなどを管頂と地表面のほぼ中間に連続して施設するとしています。途中に置く箱の決め方はハンドホールの設置基準とサイズで扱っています。

出典:電気設備の技術基準の解釈 第120条、JIS C 3653「電力用ケーブルの地中埋設の施工方法」4.2・4.5

ここまでのポイント
  • 管路式の管は重量物の圧力に耐えるもの(第120条第2項)
  • 呼び径200mm以下・表1の管・0.3m以上で「耐える」とみなす
  • FEPは表1の管で、長尺・曲げやすく・さびない
  • 需要場所で15mを超えたら表示が要る

場所ごとの選び方 ― HIVE管を選んでよいところ

ここまでの条件を場所ごとに並べると、金属管でないといけない場所と樹脂管でも選べる場所が分かれます。衝撃のおそれがなく、ほかの配線とも15cm以上離れている屋上・天井裏・ピットなら、HIVE管も十分に選択肢になります。

◎○が並ぶ場所は、さび・重さ・施工性で選んでかまいません。

樹脂管が有利になる代表は塩害のある屋外です。厚鋼電線管はめっきがあってもさびが進むため、海の近くではHIVE管を選ぶことがよくあります。逆に、人や台車が当たる屋内の露出部、幹線や弱電と並ぶルート、地表に近い屋側は、金属管を基本にします。発注者の標準仕様書で管種が指定されていれば、それに従います。

ペン太ペン太
屋上のPASからキュービクルまで、HIVE管で引いてもいいんですか?
ハリタハリタ
人や物が当たらず、ほかの配線とも15cm以上離れていれば選べます。架台の足元など当たりやすい所だけ厚鋼にする、という分け方もあります。
ここまでのポイント
  • 衝撃も近接もない屋上・天井裏・ピットはHIVE管も選べる
  • 塩害のある屋外は樹脂管が有利
  • 当たる屋内・並走ルート・地表に近い屋側は金属管
  • 発注者の仕様書で指定があればそれに従う


太さと接地まで決めて、図面に書く

管の種類が決まったら、太さを決めます。JIS C 3653 は、管の内径をケーブル仕上外径の1.5倍以上(2条以上なら、集合した外接円の直径の1.5倍以上)とすることが望ましいとしています。管路が直線で、引入れ張力がケーブルの許容張力以内に収まるなら、この限りではありません。

CVT 38mm²なら、厚鋼電線管とHIVE管は70、FEPは80です。

CVTの許容曲げ半径は、ケーブルメーカーの技術資料でより合せ外径の8倍(8D)とされています。曲がり部は直線部の太さでは足りないことがあり、大きなノーマルベンドや1サイズ上の管で対応します。曲がり部の対応表は高圧ケーブルの適合配管サイズと曲げ半径、ケーブル側のサイズは高圧ケーブルのサイズ選定方法と計算手順で扱っています。ケーブルサイズはセコサポの高圧ケーブルサイズ選定ツール(登録不要)でも確かめられます。

図面に書くこと 書き方の例 なぜ書くか
区間ごとの管種 地中:FEP80、立上り〜屋側:G70、屋上:HIVE70 区間で管種が変わる理由を残す
管の太さ CVT 38mm²×1条 → 内径66mm以上 1.5倍の確認を残す
近接する区間 幹線と並走する区間は金属管(第168条第2項) 施工時に樹脂管へ変えられないように
金属管の接地 屋側の金属管:A種(接触防護措置の範囲はD種) 接地の種別と範囲を明確にする
地中の深さと表示 管頂0.3m以上・埋設表示シート 第120条・JIS C 3653 の確認
管種の変わり目には、接続部品(FEPから鋼管への変換など)も忘れずに拾います。
ここまでのポイント
  • 内径はケーブル仕上外径の1.5倍以上が目安
  • 曲がり部は許容曲げ半径(8D)も確かめる
  • 区間ごとの管種と理由を図面に残す
  • 金属管の接地種別と範囲も書く

よくある質問

高圧ケーブルの保護管は、法令で厚鋼電線管と決まっていますか?

決まっていません。電技解釈 第168条は、重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に「適当な防護装置」を求めるだけで、管の種類は指定していません。材質まで指定しているのは特別高圧の屋内配線(第169条)です。

HIVE管は高圧ケーブルに使えますか?

使えます。衝撃のおそれがなく、ほかの配線や水管などと15cm以上離れている屋上・天井裏・ピットなどでは選択肢になります。ほかの配線と15cm未満で「耐火性のある堅ろうな管」が求められる区間には使えません。

高圧ケーブルは必ず管に入れないといけませんか?

いいえ。屋内では、重量物の圧力や著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に防護装置を設けることが求められます。そのおそれがない電気室やピットでは、ケーブルラックでの配線もできます。

「堅ろうな管」とはどういう管ですか?

条文によって中身が違います。「重量物の圧力に耐える管」「耐火性のある堅ろうな管」「堅ろうで耐候性の高い、不燃性又は自消性のある難燃性の防護材」など、場所ごとに求める性能が付いています。どの条文の「堅ろう」かを先に確かめます。

高圧ケーブルと低圧ケーブルを同じルートに通すには?

15cm以上離すのが基本です(第168条第2項)。15cm未満になるときは、耐火性のある堅ろうな隔壁を設けるか、高圧ケーブルを耐火性のある堅ろうな管(金属管など)に収めます。

高圧ケーブルどうしなら15cm離さなくてよいですか?

はい。第168条第2項は、ケーブル工事の場合で相手の高圧屋内配線の電線がケーブルであるときは、15cm未満でもよいとしています。

FEPを建物の中や外壁に使ってもよいですか?

FEPは地中埋設用の管です。地上に出す部分は、厚鋼電線管などに切り替えて立ち上げます。立上りの地上部分は、堅ろうで耐候性の高い防護材で覆うことが求められます(JIS C 3653)。

地中の管路にHIVE管やVE管は使えますか?

JIS C 3653 の表1には、JIS C 8430 の硬質ポリ塩化ビニル電線管や JIS K 6741 のVPが入っています。呼び径200mm以下で0.3m以上に埋設すれば、重量物の圧力に耐えるものとされます。太さが足りるか、施工性はどうかで選びます。

地中からの立上りは、どこまで防護しますか?

JIS C 3653 では、地表上2m(建物の屋側に立ち上げるときは2.5m)以上を防護材で覆います。防護材は堅ろうで耐候性が高く、不燃性又は自消性のある難燃性のものとします。

屋側の金属管の接地はA種ですか?

第111条第2項第七号により、原則はA種接地工事です。接触防護措置を施す場合はD種でよく、防食措置を施した部分や大地との間の電気抵抗が10Ω以下の部分は除かれます。

屋内の高圧ケーブルの金属管の接地は?

第168条第1項第三号ハにより、管などの金属製部分はA種接地工事です。接触防護措置(金属製で、防護する設備と電気的に接続するおそれがあるものによる方法を除く)を施す場合はD種でよいとされています。

HIVE管に接地は要りますか?

要りません。接地工事の対象は、管その他の防護装置の金属製部分です。樹脂管を選ぶと、接地工事の手間がなくなるのも利点の1つです。

塩害地域ではどの管を選びますか?

さびない樹脂管(HIVE管など)が有利です。ただし、衝撃のおそれやほかの配線との近接がある区間は、金属管に防食処理をするなどして条件を満たします。

管の太さはどう決めますか?

管の内径をケーブル仕上外径の1.5倍以上とするのが目安です(JIS C 3653)。2条以上なら、ケーブルを集合した外接円の直径の1.5倍以上とします。

CVT 38mm²には何の管を選びますか?

仕上外径が約44mmなので、必要な内径は約66mmです。厚鋼電線管G70(内径69.6mm)、HIVE管70(内径約67mm)、FEPは65では余裕がないので80を選びます。外径はメーカーで少し違うので、採用品の値で確かめます。

HIVE管の100や125はありますか?

電線管の規格(JIS C 8430)は82までです。100以上は水道用のHIVP(JIS K 6742)が使われます。

曲がり部の管の太さは?

高圧CVT(トリプレックス)の許容曲げ半径は、メーカーの技術資料でより合せ外径の8倍とされています。直線部の太さでは曲げ半径が取れないことがあるので、大きなノーマルベンドや1サイズ上の管で対応します。

地中の管路に表示は要りますか?

需要場所に施設する高圧地中電線路で、長さが15mを超える場合は表示が要ります(第120条)。表示はおおむね2mの間隔で施し、JIS C 3653 では埋設表示シートを管頂と地表面のほぼ中間に連続して施設します。

地中で低圧ケーブルと高圧ケーブルが近いときは?

地中電線どうしは0.15m以上離すのが基本です(第125条)。近づくときは、堅ろうな耐火性の隔壁を設けるか、どちらかを不燃性の被覆・堅ろうな不燃性の管にするか、それぞれを自消性のある難燃性の被覆・堅ろうな自消性のある難燃性の管にします。屋内(第168条第2項)と違い、地中では自消性のある難燃性の管も認められています。

1本の管に2回線を入れてもよいですか?

JIS C 3653 は、1管路には1回線のケーブルを収めることが望ましいとしています。事故や引換えのときに、もう一方を巻き込まないためです。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
法令で厚鋼電線管と決まっている 管の種類は決まっていない。場所ごとに守り方を求める
高圧ケーブルは必ず管に入れる 衝撃・重量物のおそれがなければラック配線もできる
「堅ろう」は1つの意味 場所ごとに5つの言い方。耐火性まで求めるものもある
HIVE管はどこでも使える ほかの配線と15cm未満の区間では使えない
HIVE管は使ってはいけない 衝撃も近接もない屋上・天井裏などでは選べる
屋側は高さだけ見ればよい 接触防護措置・離隔・A種接地がセット
立上りの防護は2mで一律 建物の屋側に立ち上げるときは2.5m以上
FEPを地上まで立ち上げる 地上に出す部分は鋼管などに切り替える
HIVE管は100・125もある 電線管は82まで。100以上は水道用のHIVP
管の太さはケーブル外径ぎりぎりでよい 内径は仕上外径の1.5倍以上が目安
樹脂管にも接地が要る 接地は金属製部分が対象。樹脂管には不要
「厚鋼かHIVEか」ではなく、「この場所は何から守るか」で考えると迷いません。
手順 やること 見るところ
1|場所を区切る 屋内・屋側・屋上・地中・立上り 引込ルート図
2|衝撃を見る 当たるなら防護装置 第168条
3|近接を見る 15cm未満なら金属管か隔壁 第168条第2項
4|接触を見る 屋側は接触防護措置 第111条・第117条
5|地中を見る 圧力に耐える管・立上りの防護 第120条・JIS C 3653
6|残りを選ぶ さび・重さ・施工性・仕様書 メーカー資料
7|太さと接地 内径1.5倍・曲げ半径・A種接地 ケーブルの仕上外径
この7手順で、区間ごとの管種を根拠つきで決められます。

📘 あわせて確認したいこと

この記事は、連載「引込・受電設備の設計マニュアル」の第3回 引込方式とルートの補足解説です。受電設備全体は高圧受変電設備の設計マニュアル、引込部は④ 引込部 ― 責任分界点とPAS・UGSで扱っています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。