技術図書館CBの選定は3つの質問で決まる受電の入口での役割、7.2kVと400Aの決め方、短絡電流をkAに直してすぐ上の段を選ぶ手順この資料をスライドで見る資料一覧を見る

キュービクルのいちばん入口にいる高圧交流遮断器(CB)。ふだんはスイッチのように見えますが、本当の出番は事故のときです。短絡が起きると、ふだんの何十倍もの電流が一気に流れ込みます。それを継電器が見つけ、CBが一瞬で断ち切る。だから選ぶときは「その大電流を本当に切れるか」がいちばん大事になります。この記事では、CBの役目をダムの水門のたとえでつかみ、決める4つの定格(電圧・電流・遮断電流・短時間耐電流)を、動く図と計算例で順に確かめます。

ふだんは負荷電流が流れ、短絡が起きると大電流が流れ込みます。継電器(OCR)が見つけて指令を出し、CBが開いて事故の電流を止めます。
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
この記事で読めるようになる用語:遮断器・短絡電流・遮断容量・過電流継電器

CBの役目 ― 主役は「開け閉め」ではなく「遮断」

たとえるなら
CBは、川にかかるダムの水門のようなものです。
ふだんは水(負荷電流)を通したり止めたりします。でも水門の本当の仕事は、大雨で押し寄せた濁流(短絡電流)をせき止めること。見張り役(継電器)が「大水だ!」と合図したら、水門(CB)が一気に閉じて、下流(建物の設備)を守ります。

CBの用途は、次の2つです。

  • 過負荷電流や短絡電流を遮断する(主な役目)
  • 負荷電流を開閉する(ふだんの入り切り。できるが、こちらはおまけ)

CB自体は、事故を見つけるセンサーを持っていません。変流器(CT)で電流を取り出し、過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR)が異常を判断して、CBに「切れ」と指令を出します。継電器が目、CBが手、という分担です。

主遮断装置にCBを使う受電設備をCB形といいます。キュービクル(JIS C 4620)では、PF・S形は受電設備容量300kVA以下、CB形は4,000kVA以下までと決められていて、300kVAを超えるとCB形になります。いまのCBは、ほとんどが真空の中で電流を切る真空遮断器(VCB)です。

ここまでのポイント
  • CBの主な役目は、過負荷電流・短絡電流の遮断
  • 負荷電流の開閉もできるが、おまけの役目
  • 事故を見つけるのは継電器(OCR・GR)。CBは指令で切る
  • 300kVAを超えるキュービクルはCB形

選定で決める「4つの定格」

CBの選定は、①定格電圧、②定格電流、③定格遮断電流、④定格短時間耐電流の4つを決めること。全部を満たす機種を選びます。

旧来の説明では「選定の3条件」とまとめることが多いのですが、実際には電圧を合わせたうえで、次の3つを満たします。

  • 定格電流が、ふだん流れる最大の負荷電流以上
  • 定格遮断電流が、受電点の短絡電流以上
  • 定格短時間耐電流が、短絡電流が流れる間それに耐えられる
定格 意味 標準値
定格電圧 使ってよい電圧の上限 7.2kV
定格電流 ふだん流し続けてよい電流 400A・600A
定格遮断電流 切ることができる短絡電流の上限 8kA・12.5kA
定格短時間耐電流 1秒間流れても壊れない電流 遮断電流と同じ
JIS C 4603(高圧交流遮断器)による。同規格は7.2kVで定格遮断電流12.5kA以下の遮断器が対象。
ここまでのポイント
  • 決めるのは、定格電圧・定格電流・定格遮断電流・定格短時間耐電流の4つ
  • 電圧を合わせ、電流・遮断電流・短時間耐電流の3条件を全部満たす
  • 標準値は 7.2kV/400A・600A/8kA・12.5kA


定格電圧 ― 6.6kV受電なら7.2kV

系統の電圧は6.6kVのまわりで揺れていて、最大で6.9kVまで上がることがあります。CBの定格電圧7.2kVは、それを上回る枠です。

6.6kVで受電する建物のCBは、定格電圧7.2kVを選びます。7.2kVは、公称電圧6.6kVに1.2/1.1を掛けた値です。

6.6kV × 1.2 / 1.1 = 7.2kV

たとえるなら
定格電圧は、天井の高さのようなものです。
背の高さ(系統電圧)は、ふだん6.6kVでも、日によって少し伸びたり縮んだりします。最大で6.9kVまで伸びても頭をぶつけないように、天井(定格電圧)は7.2kVの高さにしてあります。
ひっかけ注意
「6.6kVの回路だから定格電圧6.6kV」ではありません。
電気設備の最大使用電圧は、6.6kV系統なら公称電圧×1.15/1.1=6.9kV(電技解釈 第1条)。機器の定格電圧は、その上の7.2kVにそろえてあります。3.3kV受電なら3.6kVです。
ここまでのポイント
  • 6.6kV受電のCBは定格電圧7.2kV(6.6×1.2/1.1)
  • 系統の最大使用電圧6.9kVを上回る枠になっている
  • 3.3kV受電なら3.6kV

定格電流 ― 負荷電流を求めて、400Aか600Aから選ぶ

ふだんCBに流れる最大の電流(負荷電流)を求め、それ以上の定格電流を選びます。求め方は2通りです。

契約電力がわかっているとき

I = 契約電力〔kW〕 ÷(√3 × 6.6kV × 力率0.9)× 1.5

1.5は、負荷の変動などを見込んだ設計上の余裕(安全係数)です。契約電力500kWなら、

500 ÷(√3 × 6.6 × 0.9)= 48.6A → 48.6 × 1.5 = 72.9A

契約電力がまだ決まっていないとき

変圧器の容量から一次側の電流を出し、全部を足します。全部の変圧器がフルに動いた場合の値になるので、大きめに出ます。

  • 三相変圧器:一次電流 = 容量〔kVA〕÷(√3 × 6.6kV)
  • 単相変圧器:一次電流 = 容量〔kVA〕÷ 6.6kV

たとえば三相300kVAと単相100kVAなら、300÷(√3×6.6)=26.2A、100÷6.6=15.2Aで、合わせて約41.4Aです。

高圧受電の負荷電流は、多くても数百A。CB形の上限4,000kVAでも約350Aなので、定格電流は最小の400Aで足りることがほとんどです。
たとえるなら
定格電流は、道路の車線の数のようなものです。
ふだんの交通量(負荷電流)が72.9Aなら、400A(最小の道路)でもガラガラです。高圧受電の建物では、よほど大きくない限り400Aの道路で渋滞しません。
ひっかけ注意
契約電力は「kW」。「契約容量500kVA」と混ぜない。
式の分子は契約電力〔kW〕で、力率0.9で割ってkVAに直しています。はじめからkVAの値を入れて、さらに0.9で割ると二重に大きくなります。変圧器の容量から求めるときは、kVAのまま÷(√3×6.6)です。

負荷電流は、CTの変流比や継電器の整定を決めるときにも使います。変圧器の容量の決め方は変圧器容量の選定・計算方法で扱っています。

ここまでのポイント
  • 契約電力から:I=kW÷(√3×6.6×0.9)×1.5(500kW→72.9A)
  • 変圧器から:三相 kVA÷(√3×6.6)、単相 kVA÷6.6 を全部足す
  • 定格電流の標準値は400A・600A。高圧受電なら400Aで足りることがほとんど


定格遮断電流 ― 受電点の短絡電流以上を選ぶ

CB選びの本番です。受電点で短絡が起きたときに流れる短絡電流を求め、それ以上の定格遮断電流を選びます。短絡電流は、電力会社から聞いた短絡容量から計算します。

短絡電流〔kA〕= 短絡容量〔MVA〕÷(√3 × 6.6kV)

  • 短絡容量80MVA → 80÷(√3×6.6)=7.0kA → 定格遮断電流 8kA
  • 短絡容量100MVA → 100÷(√3×6.6)=8.7kA → 8kAでは足りず 12.5kA
短絡電流の位置から、すぐ上の段が選ぶ定格遮断電流です。80MVA(7.0kA)なら8kA、100MVA(8.7kA)なら12.5kAです。
たとえるなら
短絡容量は、水道の元の水圧のようなものです。
浄水場(変電所)に近い家ほど、蛇口をひねったときの勢いが強い。電気も同じで、変電所や発電所に近い受電点ほど、短絡したときにどっと流れ込む電流が大きくなります。だから計画地ごとに確かめます。
CBの遮断容量(MVA)は7.2kVで計算した値。受電点の短絡容量(6.6kVで計算)とMVAどうしで比べると、足りないのに足りるように見えることがあります。
ひっかけ注意
「短絡容量100MVAなら、遮断容量100MVAのCB(8kA品)でよい」は誤り。
8kA品の遮断容量は√3×7.2kV×8kA≒100MVAで、7.2kVで計算した値です。受電点の100MVAを6.6kVで電流に直すと8.7kAで、8kAを超えます。比べるときは電流(kA)どうしで比べます。同じ理由で、160MVAの受電点(6.6kVで14.0kA)は12.5kA品では足りません。

定格短時間耐電流は、定格遮断電流と同じ値です。短絡電流が1秒流れても壊れないことが求められます(JIS C 4603)。定格遮断電流を短絡電流以上で選べば、こちらも満たせます。

いまは、受電用のCBに12.5kA(約160MVA)を使うのが一般的になっています。短絡容量の回答が8kAぎりぎりのときや、将来の系統の変化が心配なときは、12.5kAを選んでおくと安心です。

ここまでのポイント
  • 短絡電流=短絡容量÷(√3×6.6kV)
  • 定格遮断電流は短絡電流以上の段(8kA・12.5kA)
  • MVAどうしで比べない。kAどうしで比べる(100MVA→8.7kA→12.5kA)
  • 定格短時間耐電流は遮断電流と同じ値で1秒


受電点の短絡容量の調べ方

電柱番号を控え、管轄の送配電会社に受電点の短絡電流(短絡容量)を問い合わせ、kAに直して定格遮断電流を選びます。

短絡容量は、図面や計算だけでは決められません。引込点のいちばん近い電柱の電柱番号を控えて、管轄の送配電会社に問い合わせます。電柱番号札の見方は、各社のホームページに載っています。

回答がMVAで返ってきたら、何kV基準の値かも確かめてからkAに直します。はじめから短絡電流(kA)で聞くと、取り違えがありません。変電所や発電所が近い計画地は大きくなりがちなので、早めに確認します。

受電点より先(変圧器の二次側の盤など)の短絡電流は、セコサポの短絡電流・遮断容量 計算ツールで、ケーブルと変圧器のインピーダンスを入れて求められます。

ここまでのポイント
  • 電柱番号を控えて、管轄の送配電会社に問い合わせる
  • MVAで聞いたら何kV基準かも確認。kAで聞くのが確実
  • 変電所・発電所が近いと大きくなりやすい

選定例 ― 契約電力500kW・短絡容量80MVA

定格電圧7.2kV、定格電流400A、定格遮断電流8kA、定格短時間耐電流8kA(1秒)。余裕を見て12.5kAを選ぶことも多い。
定格 求め方 選定
定格電圧 6.6kV×1.2/1.1 7.2kV
定格電流 500÷(√3×6.6×0.9)×1.5=72.9A 400A
定格遮断電流 80÷(√3×6.6)=7.0kA 8kA
短時間耐電流 定格遮断電流と同じ 8kA 1秒
短絡容量が100MVAなら8.7kAとなり、定格遮断電流は12.5kAを選びます。
ひとことで言うと:「7.2kV・400Aはほぼ決まり。勝負は、受電点の短絡電流をkAで確かめて遮断電流を選ぶこと」。

よくある質問

高圧交流遮断器(CB)の主な用途は?

過負荷電流や短絡電流の遮断です。負荷電流の開閉もできますが、遮断装置としての使い方が中心です。

CBは自分で事故を見つけますか?

見つけません。変流器(CT)で取り出した電流を過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR)が判断し、CBに遮断の指令を出します。

6.6kV受電のとき、定格電圧はいくつですか?

7.2kVです。6.6kV×1.2/1.1=7.2kVで、系統の最大使用電圧6.9kVを上回る値です。

定格電流はどう選びますか?

契約電力か変圧器の容量から負荷電流を求め、それ以上の標準値(400Aか600A)を選びます。高圧受電ならたいてい400Aで足ります。

定格遮断電流はどう選びますか?

受電点の短絡容量を電力会社に確認し、短絡電流=短絡容量÷(√3×6.6kV)を求めて、それ以上の定格遮断電流(8kA・12.5kA)を選びます。

短絡容量100MVAなら、遮断容量100MVAのCBでよいですか?

いいえ。100MVAは6.6kVで8.7kAになり、8kA品(遮断容量は7.2kV基準で約100MVA)では足りません。12.5kAを選びます。

受電点の短絡容量はどう確認しますか?

引込点の最寄りの電柱番号を控えて、管轄の送配電会社に問い合わせます。短絡電流(kA)で聞くのが確実です。


まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
CBは負荷電流の開閉が主な用途 短絡電流などの遮断が主な役目
CBが事故を見つけて切る 継電器が見つけ、CBが指令で切る
定格電圧は6.6kV 6.6×1.2/1.1=7.2kV
契約電力が決まらないと選べない 変圧器の容量から負荷電流を出せる
短絡容量とMVAどうしで比べる 短絡電流(kA)どうしで比べる
短絡容量はどこでも同じくらい 変電所・発電所が近いと大きい
「7.2kV・400Aはほぼ決まり、遮断電流は受電点の短絡電流をkAで確かめて選ぶ」で取り違えを防げます。
📘 体系的に学びたい方へ
このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
関連する回:⑥ 受電部② ― 主遮断装置 CB形とPF・S形
ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。