技術図書館6%・13%の根拠を8枚のスライドで読むL=〇%の意味と使い分け、nωL-1/nωC>0 からの導出までを図解つきで確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

直列リアクトルL=6%・13%は、コンデンサのリアクタンスに対するリアクトルのリアクタンスの比率です。この値は、コンデンサ回路を高調波に対して誘導性に保つために決められています。ただ「6%なら第5次、13%なら第3次」で終わらせると、なぜ4%や11.1%ではないのか%を変えるとコンデンサ側も変わることが抜けてしまいます。この記事では、式からの導出と共振次数、そして実務での組合せまでを図解で整理します。

結論

鍵になるのは共振次数 n = 1 ÷ √K。6%で4.08次、13%で2.77次です。

  • L=〇%はXc(コンデンサ)に対する XL(リアクトル)の比率。インダクタンスそのものではない
  • 誘導性の条件 nωL -1/(nωC) > 0 を整理すると K > 1/n²
  • 第5次なら4%、第3次なら11.1%が境目。ただしその値ちょうどだと、その次数で共振する
  • だから6%(共振4.08次)・13%(共振2.77次)と、境目より少し上に取る
  • リアクトルの役割は高調波だけではない。投入時の突入電流を定格の約5倍程度まで抑える
  • %を変えるとコンデンサの定格電圧も変わる。6%付きは7,020V、13%は別品番
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
①〜③で%が決まり、④〜⑤でコンデンサ側を合わせます。

直列リアクトルは、何のために入れるのか

直列リアクトル(SR)は、進相コンデンサ(SC)と直列に入れる機器です。単独では使わず、必ずコンデンサとセットになります。

母線から分岐して、LBS → SR → SC の順に並びます。SRはコンデンサの手前です。

目的は「高調波対策」とまとめられがちですが、実際には3つあります。

高調波対策だけではありません。②と③も、リアクトルがなければ成立しない機能です。

💡 リアクトルがないと、何が起きるか

コンデンサ単体だと、系統のインダクタンスとコンデンサで並列共振が起こりえます。共振点付近の高調波は系統へ流れ出す量が100%を超えて増幅されます。リアクトルを入れると、この流出比率は常に100%未満に収まります。

投入時も同じです。リアクトルがなければ突入電流は定格の数十倍に達することがありますが、6%を入れると定格電流の約5倍程度まで下がります。

ペン太ペン太
コンデンサだけ先に付けて、あとからリアクトルを足すことはできますか?
ハリタハリタ
できません。リアクトルの有無でコンデンサの定格電圧が違うからです。後で詳しく見ます。
ここまでのポイント
  • 直列リアクトルは進相コンデンサと必ずセットで使う
  • 目的は①高調波の拡大防止 ②投入時の突入電流抑制 ③コンデンサ自身の保護
  • リアクトルがあれば、高調波の系統への流出比率は100%未満に収まる
  • 6%なら突入電流は定格電流の約5倍程度まで下がる

L=〇%は、何のパーセントか

L=6%と書いてあると、インダクタンスの値そのものに見えますが、違います。コンデンサのリアクタンス Xc を100%としたときの、リアクトルのリアクタンス XL の比率です。

Lはインダクタンスではなく比率です。この記事では K と書きます。
記号 意味 実務で気をつけるところ
Xc コンデンサのリアクタンス = 1/ωC 基本波(50/60Hz)で考える
XL リアクトルのリアクタンス = ωL これも基本波で考える
K(L=〇%) XL ÷ Xc 比率なので単位は%。インダクタンス値ではない
合成リアクタンス Xc - XL = Xc(1-K) この差が小さくなるぶん、端子電圧が上がる
リアクトルの定格容量も、コンデンサの定格容量に対する%で表されます(6%品なら6%)。
ここまでのポイント
  • L=〇%はコンデンサのリアクタンスに対する比率(K)
  • 基本波で見た Xc を100%として、XL が何%かを表す
  • 合成リアクタンスは Xc(1-K)。差が小さくなるほど端子電圧が上がる
  • インダクタンス[H]そのものの値ではない


なぜ6%・13%なのか

出発点は「コンデンサ回路が、対象の高調波に対して誘導性であること」です。誘導性であれば、系統との間で並列共振が起こらず、高調波が増幅されません。

n次で誘導性になる条件は K > 1/n²。式はこれだけです。

ここまでで、第5次なら4%、第3次なら11.1%という値が出ます。では、なぜ実際に使うのは6%と13%なのでしょうか。ぎりぎりの値だと、その次数でちょうど共振してしまうからです。

n = 1 ÷ √K が共振次数。4%なら5.00次、11.1%なら3.00次で、狙った次数と一致してしまいます。

⚠「余裕をみて」の中身は、共振点をずらすこと

K=4%のとき、共振次数は 1÷√0.04 = ちょうど5.00次です。第5次高調波に対して共振点そのものになり、いちばん避けたい状態になります。

K=6%にすると共振次数は4.08次。第5次からは誘導性で、共振点は第4次と第5次の間に逃げます。13%も同じ考え方で、11.1%(=3.00次)から少しずらして2.77次にしてあります。

共振次数 n = 1 ÷ √K。6%→4.08次、13%→2.77次
突入電流の倍率 おおよそ 1 ÷ √K に比例する。共振次数と同じ数字が目安になる
整数を避ける 1 ÷ √K が整数に近い%は選ばない
ペン太ペン太
共振次数と突入電流の倍率が同じ数字になるのは偶然ですか?
ハリタハリタ
どちらも Xc と XL の比で決まるからです。1÷√K が両方に出てきます。

出典:JIS C 4902-1/-2(高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器)、日本電気技術者協会「進相コンデンサ回路に直列リアクトルを設置する目的」、日本電機工業会「知っておきたい 高圧進相コンデンサ設備の正しい取扱い」。数値や区分は規格の改定で変わることがあります。

ここまでのポイント
  • 誘導性の条件 nωL -1/(nωC) > 0 を整理すると K > 1/n²
  • 第5次なら4%、第3次なら11.1%が境目
  • 境目ちょうどだと共振次数が5.00次・3.00次となり、狙った次数で共振する
  • だから6%(4.08次)・13%(2.77次)と少し上に取る
  • 共振次数は n = 1 ÷ √K で計算できる


6%と13%の使い分け

共振次数が分かると、使い分けは一目で見えます。共振次数より上の次数が誘導性、下は容量性です。

境目が4.08次と2.77次。ここより上の次数だけが誘導性になります。

それでも一般の高圧受電設備で6%が標準なのは、第3次高調波が高圧側まで出てくることが多くないからです。第3次は零相成分なので、変圧器にΔ結線があるとその中を循環し、外へ出にくくなります。

単相負荷が多い設備やΔ結線を持たない構成では、第3次が高圧側へ流れ出します。
共振次数だけでなく、電圧・許容電流・価格まで変わります。

⚠「迷ったら13%」は正しくない

13%にすると第3次まで誘導性にできますが、コンデンサの端子電圧が約15%上がり、損失・寸法・価格も増えます。さらに、6%用のコンデンサとは組み合わせられません。

13%を検討するのは、系統の電圧ひずみが大きく6%では抑制が足りない場合、または単相負荷の比率が高く、第3次が無視できない場合です。「首都圏・関西圏だから13%」といった地域だけの判断ではなく、実際のひずみ率と負荷構成で決めます。

ここまでのポイント
  • 共振次数より上が誘導性、下は容量性
  • 6%は第4次以下に対して容量性。第3次が多いと共振のおそれが残る
  • 第3次は零相成分。Δ結線があると内部を循環し高圧側へ出にくい
  • 一般の高圧受電設備では6%が標準
  • 13%は電圧ひずみが大きい、単相負荷が多いなど、条件がそろったときに検討する

%を変えると、コンデンサの定格も変わる

ここが実務でいちばん効くところです。リアクトルを入れると合成リアクタンスが Xc(1-K)に減るため、同じ系統電圧でも、コンデンサの端子にはより高い電圧がかかります

6%なら約+6.4%、13%なら約+15%。コンデンサの定格電圧がそのぶん高くなります。
項目 L=6% L=13%
端子電圧の上昇 約 +6.4 % 約 +15 %
6.6kV系統の定格電圧 7,020 V(JIS標準) 13%用の別品番
設備容量50kvarのときの定格容量 53.2 kvar 約 57.5 kvar
第5次高調波電流の許容値 I5 = 55 % I5 = 35 %
「設備容量」は回路に対する進み無効電力、「定格容量」はコンデンサ単体の値です。カタログでは両方が併記されます。

⚠ 古いJIS品と新しいJIS品で定格電圧が違う

直列リアクトルを施設する場合の定格電圧は、現行のJIS C 4902-1 では6.6kV系統に対して7,020Vと定められています。改修で既設と並列に増設するときは、既設コンデンサの定格電圧が同じかどうかを銘板で確認してください。定格の違うものを並列にすると、分担が偏ります。

ペン太ペン太
設備容量50kvarと定格容量53.2kvar、発注ではどちらを書くんですか?
ハリタハリタ
どちらでも通りますが、必ずどちらの値かを明記します。これを書かないと数量が食い違います。
ここまでのポイント
  • リアクトルを入れるとコンデンサの端子電圧が上がる
  • 6%で約+6.4%、13%で約+15%
  • 6.6kV系統で6%付きのコンデンサ定格電圧は7,020V
  • 設備容量と定格容量は別の数値。発注ではどちらかを明記する
  • 既設と並列に増設するときは、定格電圧が同じかを銘板で確認する


発注と図面で確認すること

%はリアクトルの話ですが、実際に決まるのはコンデンサの定格です。高調波の検討そのものは等価容量の計算流出電流の計算で進めます。

SRとSCは一組。どちらかだけを決めても形になりません。
ここまでのポイント
  • 図面・機器表・銘板で%が一致しているかを見る
  • 1÷√K が整数に近い%は選ばない
  • コンデンサの定格電圧と、設備容量/定格容量の別を明記する
  • 突入電流を見込んで開閉器を選ぶ
  • 既設との混在では定格電圧の違いを確認する

よくある質問

直列リアクトルのL=〇%とは何ですか?

コンデンサのリアクタンス Xc に対する、リアクトルのリアクタンス XL の比率です。基本波で見た Xc を100%としたときの割合で、インダクタンス[H]そのものの値ではありません。

なぜ6%なのですか?4%ではだめですか?

第5次で誘導性になる境目は4%ですが、K=4%のときの共振次数は 1÷√0.04 = ちょうど5.00次です。第5次高調波と共振してしまうため使えません。6%にすると共振次数は4.08次になり、第5次からは誘導性になります。

13%はなぜ11.1%ではないのですか?

第3次で誘導性になる境目は 1/9 = 約11.1%ですが、そのときの共振次数はちょうど3.00次で、第3次と共振します。13%にすると共振次数は2.77次になり、第3次からは誘導性になります。

共振次数はどう計算しますか?

n = 1 ÷ √K です。K=0.06なら1÷√0.06=4.08次、K=0.13なら1÷√0.13=2.77次になります。この値より上の次数で誘導性、下では容量性です。

6%と13%はどう使い分けますか?

一般の高圧受電設備では6%が標準です。13%は、系統の電圧ひずみが大きく6%では抑制が足りない場合や、単相負荷の比率が高く第3次高調波が無視できない場合に検討します。

迷ったら13%を選んでおけば安全ですか?

安全側とは限りません。13%ではコンデンサの端子電圧が約15%上がり、損失・寸法・価格も増えます。さらに6%用のコンデンサとは組み合わせられません。条件を確認したうえで選びます。

なぜ一般の設備では第3次を気にしなくてよいのですか?

第3次は零相成分のため、変圧器にΔ結線があるとその中を循環し、高圧側へ出にくいからです。三相負荷が中心の設備では、第5次から対策すれば足ります。

直列リアクトルの目的は高調波対策だけですか?

違います。①高調波の拡大防止のほかに、②投入時の突入電流の抑制、③コンデンサ自身の保護があります。6%を入れると突入電流は定格電流の約5倍程度まで下がります。

6%付きのコンデンサの定格電圧はいくつですか?

6.6kV系統では7,020Vです(JIS C 4902-1)。リアクトルの分だけ合成リアクタンスが減り、端子電圧が約6.4%上がるためです。13%では約15%上がるため、別の定格のものを選びます。

設備容量と定格容量は何が違いますか?

設備容量は回路に対する進み無効電力、定格容量はコンデンサ単体の値です。6%付きの場合、設備容量50kvarに対して定格容量は53.2kvarになります。発注ではどちらの値かを明記します。


まとめ ― 取り違えやすいところと手順

取り違えやすいところ 正しくは
L=〇%はインダクタンスの値 コンデンサのリアクタンスに対する比率。単位は%
第5次対策なら4%でよい 4%は共振次数がちょうど5.00次。第5次と共振するので使えない
迷ったら13%が安全 端子電圧が約15%上がり、損失も価格も増える。条件で選ぶ
13%はどの地域でも使える一般品 標準は6%。13%はひずみが大きい・単相負荷が多いときの特殊品
リアクトルだけ後から替えられる %でコンデンサの定格電圧が変わる。セットで替える
6.6kV系統のコンデンサは6,600V 6%付きなら7,020V(JIS C 4902-1)
設備容量と定格容量は同じ 6%付きなら設備50kvar=定格53.2kvar。発注では明記する
リアクトルは高調波対策だけのもの 突入電流の抑制とコンデンサの保護も役割のうち
「K > 1/n²」と「n = 1 ÷ √K」の2つを押さえれば、%の根拠で迷うことはありません。
手順 やること 使う値・見るところ
1|環境 高調波の状況を確認する 電圧ひずみ率、単相負荷の比率
2|次数 何次まで誘導性にするか決める 第5次なら6%、第3次なら13%
3|検算 共振次数を確かめる n = 1 ÷ √K。整数に近くないか
4|定格電圧 コンデンサの定格電圧を合わせる 6%なら7,020V
5|容量 設備容量と定格容量を区別する 6%なら 設備 ÷ 0.94 = 定格
6|図面 %と定格を明記する 系統図・機器表・発注書
この6手順で、リアクトルとコンデンサの仕様が固まります。

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この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。