全体像:金属管工事|電磁的平衡と接地D種

電気工事の中でも代表的な配線方法が金属管工事です。使える電線・接続のルール・接地工事の省略条件と、覚える項目はやや多めですが、出るポイントは決まっています。

この記事では、管内接続の禁止電磁的平衡接地工事の4m/8mを中心に、図解で整理します。

🐧 見習いペン太:「金属管工事って覚えることが多くて大変です…」
🦔 はりた:「ポイントを分けるとラクだよ。「電線のルール」「収め方」「接地」の3つに整理してみよう」
🐧 見習いペン太:「なるほど、固まりで覚えるんですね」
🦔 はりた:「そう。特に接地の“4mと8m”は毎年のように出るから、ここは確実に取ろう」
⚡ 先に結論だけ言うと
  • 使える電線は OW線を除く絶縁電線(より線 or 3.2mm以下の単線)
  • 管内で電線を接続しない(接続はボックス内)
  • 1つの回路は 同じ管に収める(電磁的平衡)
  • 接地工事の省略:原則 4m以下、対地150V以下なら 8m以下

金属管工事の要点早見表(OW除く電線・管内接続禁止・電磁的平衡・接地省略4m/8m)

この記事でわかること
✔ 金属管工事とは?使える電線と施工の基本
✔ 電線の収め方:1回路は同じ管へ(電磁的平衡)
✔ 接地工事の種類と省略できる条件
ペン太ペン太
金属管の中で電線同士をつないでもいいんですか?管の中なら安全そうですけど。
ハリタハリタ
管内での接続は禁止です。使えるのはOW線を除く絶縁電線。まず施工の基本ルールから確認しましょう。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 金属管工事で使える電線と、使えない電線は何か
  • 1つの回路を同じ管に収めるのは、なぜか
  • 接地工事を省略できるのは、どんな条件のときか
この記事の道案内
数字だけ確認したい方は、接地の省略条件から読んでください。

金属管工事とは?使える電線と施工の基本

トピック1:金属管工事とは?使える電線と施工の基本

金属管工事は、薄鋼電線管厚鋼電線管ねじなし電線管を使う配線工事です。衝撃に強く、隠ぺい場所や湿気の多い場所などすべての場所に施設できるのが特長です。

配線には OW(屋外用ビニル絶縁電線)を除く絶縁電線 を使い、電線はより線または直径3.2mm以下の単線とします。管内で電線同士を接続してはいけません(接続は必ずボックス内)。

また、屈曲半径は管内径の6倍以上、管の終端は絶縁ブッシングで電線を保護し、コンクリートに埋め込む管の厚みは1.2mm以上とします。

ここがポイント
「OW線は除く」「管内接続は禁止」「屈曲は管内径の6倍」「埋込みは厚さ1.2mm」。施工の基本数値をまとめて覚えましょう。
ペン太ペン太
行きと帰りの電線を別々の管に分けたほうが、すっきりしていい気がします。
ハリタハリタ
それはNGです。1回路は同じ管へ。磁力線が打ち消し合わず管が発熱します。電磁的平衡が理由ですよ。
項目 内容
使う管の種類 薄鋼電線管・厚鋼電線管・ねじなし電線管
施設できる場所 隠ぺい場所や湿気の多い場所を含め、すべての場所
特長 衝撃に強い
屈曲半径 管内径の6倍以上
管の終端 絶縁ブッシングで電線を保護する
コンクリート埋込みの管厚 1.2mm以上
ここまでのポイント
  • 薄鋼電線管・厚鋼電線管・ねじなし電線管を使い、すべての場所に施設できる
  • OW線を除く絶縁電線を使い、より線または直径3.2mm以下の単線とする
  • 管内で電線同士を接続してはいけない。接続は必ずボックス内で行う

電線の収め方:1回路は同じ管へ(電磁的平衡)

トピック2:電線の収め方:1回路は同じ管へ(電磁的平衡)

電線を金属管に収めるときは、同じ回路の電線をすべて1つの管に収めて、磁気が生じないようにします。これを 電磁的平衡をとる といいます。

電流が流れると周囲に磁力線が発生しますが、同じ回路では行きと戻りで電流の向きが逆になり、磁力線が打ち消し合います。回路を別々の管に分けると磁気が打ち消されず、管が発熱する原因になります。

電磁的平衡の比較図(×別々の管/○同じ管に収める)

同じ回路は同じ管に入れる(×別々の管/○同じ管)

🐧 見習いペン太:「行きと戻りを同じ管に入れると打ち消し合うんですね」
🦔 はりた:「その通り。バラバラの管に入れると磁気が残って管が熱くなる。だから“1回路は同じ管”なんだ」
ここがポイント
「1つの回路は同じ管に収める=電磁的平衡」。理由(磁力線の打ち消し)とセットで理解すると忘れません。
電線の収め方 管の中で起きること 結果
1回路を同じ管に収める 行きと戻りで電流の向きが逆になり、磁力線が打ち消し合う 電磁的平衡がとれる
回路を別々の管に分ける 磁気が打ち消されずに残る 管が発熱する原因になる
ここまでのポイント
  • 1つの回路は同じ管に収める。これを電磁的平衡をとるという
  • 同じ回路では行きと戻りで電流の向きが逆になり、磁力線が打ち消し合う
  • 別々の管に分けると磁気が打ち消されず、管が発熱する原因になる


接地工事の種類と省略できる条件

トピック3:接地工事の種類と省略できる条件

金属管相互、および管とボックスの接続は、堅牢かつ電気的にも接続し、漏電・感電を防ぐために接地します。接地工事の種類は、使用電圧が300V以下ならD種接地工事300Vを超え、管に簡易接触防護措置を施さないときはC種接地工事です。

試験で頻出なのが、接地工事を省略できる条件です。①乾燥した場所で管の長さが4m以下のとき、②対地電圧150V以下で長さ8m以下の管を、簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所に施設するとき、に省略できます。

接地工事の判定フロー(300V以下=D種/超=C種、省略条件4m・8m)

ここがポイント
接地省略「乾燥+4m以下」「対地150V以下+8m以下」。4mと8mの数字が頻出ポイントです。
図解:金属管工事の接地の考え方(種類と省略)
① 接地工事の種類
使用電圧 300V以下D種接地工事
使用電圧 300V超(簡易接触防護措置なし)→ C種接地工事
② 省略できる条件
乾燥した場所+管の長さ 4m以下
対地電圧150V以下+管の長さ 8m以下(簡易接触防護措置 or 乾燥場所)
※「4m」と「8m」の数字が頻出ポイント。
取り違えやすいところ 正しくは
300Vを超えたら必ずC種 300V超で、管に簡易接触防護措置を施さないときがC種
4m以下ならいつでも省略できる 乾燥した場所であることが条件
8m以下ならいつでも省略できる 対地150V以下で、簡易接触防護措置または乾燥した場所
行きと戻りは別の管に分けてもよい 1回路は同じ管に収める
管内で電線を接続してよい 接続は必ずボックス内で行う
ここまでのポイント
  • 使用電圧300V以下ならD種接地工事
  • 300Vを超え、管に簡易接触防護措置を施さないときはC種接地工事
  • 乾燥した場所で4m以下、または対地150V以下で8m以下なら省略できる

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)

Q. 金属管工事で使える電線は?

A. OW線(屋外用ビニル絶縁電線)を除く絶縁電線を使います。電線はより線、または直径3.2mm以下の単線とします。管内で電線同士を接続してはいけません。

Q. 1つの回路の電線をなぜ同じ管に収めるのですか?

A. 電流による磁気の発生を防ぐためです。同じ回路は行きと戻りで逆向きの電流が流れ、磁力線が打ち消し合います。これを電磁的平衡といい、1回路の電線は同じ金属管に収めます。

Q. 金属管の接地工事の種類は?

A. 使用電圧が300V以下ならD種接地工事です。300Vを超え、管に簡易接触防護措置を施さないときはC種接地工事になります。

Q. 接地工事を省略できる条件は?

A. ①乾燥した場所で管の長さが4m以下のとき、②対地電圧150V以下で長さ8m以下の管を、簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所に施設するとき、に省略できます。

ペン太ペン太
接地はいつも必要なんですか?省略できる場合もあるとか。
ハリタハリタ
300V以下はD種です。乾燥した場所で4m以下なら省略できるなど、条件ごとに表で整理しましょう。


まとめ

金属管工事の要点:

結論です。金属管工事は衝撃に強くすべての場所に施設できますが、1回路は必ず同じ管に収めます。行きと戻りを分けると磁力線が打ち消されず、管が発熱するためです。接地はD種かC種、そして4mと8mの省略条件が要点になります。

確認すること 押さえる内容
使う管 薄鋼電線管・厚鋼電線管・ねじなし電線管
施設できる場所 すべての場所
使用できる電線 OW線を除く絶縁電線。より線か直径3.2mm以下の単線
管内での接続 してはいけない。接続はボックス内
1回路の収め方 同じ管に収める(電磁的平衡)
屈曲半径 管内径の6倍以上
埋込み管の厚み 1.2mm以上
接地(300V以下) D種接地工事
接地(300V超) 簡易接触防護措置を施さないときはC種接地工事
接地の省略 乾燥した場所で4m以下、または対地150V以下で8m以下

この記事の要点

  • 使える電線:OW線を除く絶縁電線(より線 or 3.2mm以下単線)
  • 管内で電線を接続しない(接続はボックス内)
  • 1回路は同じ管に収める(電磁的平衡)
  • 屈曲半径管内径の6倍以上/埋込み管厚1.2mm以上/終端は絶縁ブッシング
  • 接地:300V以下=D種、300V超=C種。省略は4m以下/対地150V以下8m以下

ほかの電線管工事とあわせて覚えるところ

  • 接地省略の4m・8mは、金属線ぴ工事と同じ数字
  • 使用できる電線の条件と管内接続の禁止は、金属可とう電線管とも共通
  • 屈曲半径の6倍以上も、金属可とう電線管と同じ

金属管工事は、電線管の工事方法のなかで基準になる項目です。ここで覚えた数値と接地の考え方は、線ぴや可とう電線管にもほぼそのまま持ち越せます。まずこの記事の数字を固めてから、ほかの工事方法の「違うところ」だけを足していくのが近道です。

金属管工事の数値と接地まとめ早見表

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。