~負荷設備契約の「圧縮計算」とは?~
🔍契約電力の2つの決め方
低圧電力の契約電力は、主に次の2つの方式で決まります。
✅主開閉器契約
主幹ブレーカー(主開閉器)の定格電流に基づいて計算する方法です。
たとえば、75Aの主開閉器なら以下のように算出されます:
ただしこの方法では、使用状況にかかわらず契約電力が大きめになりやすいという弱点があります。
✅負荷設備契約
使っている動力機器を元に、圧縮計算をして契約電力を算定する方法です。
「全機器が常にフル稼働してるわけじゃないよね?」という実情を反映した、合理的な考え方です。
⚙️負荷設備契約の3ステップ「圧縮計算」
▶ ステップ① 入力換算
まず、出力(kW)を「入力容量」に換算します。
モーターなどは効率を考慮して1.25倍するのがポイント。
▶ ステップ② 台数圧縮
入力換算後の容量を合計する際、同時使用の可能性を考慮して台数ごとに圧縮します。
▶ ステップ③ 容量圧縮
さらに、合計容量が大きいほど係数で圧縮。これが「容量圧縮」です。
これらを合算して、最終的な契約電力が決まります。
🔧計算例でわかる!圧縮計算の3ステップ
ここでは、「7.5kWモーター×2台」と「3.0kWヒーター×1台」を持つ工場を例に、負荷設備契約によって契約電力がどう圧縮されていくかを見ていきましょう!
✅ステップ1:入力換算
まず、機器の出力を「入力容量」に換算します。
機器 | 出力 | 換算係数 | 入力換算値 |
---|---|---|---|
モーター① | 7.5kW | ×1.25 | 9.375kW |
モーター② | 7.5kW | ×1.25 | 9.375kW |
ヒーター | 3.0kW | ×1.00 | 3.0kW |
📌 換算のポイント:
- モーターは効率を考慮して 1.25倍
- ヒーターはそのまま 100%
✅ステップ2:台数圧縮
次に、入力容量が大きい順に並べて「台数ごとの圧縮係数」を適用します。
台数順 | 入力容量 | 圧縮係数 | 圧縮後容量 |
---|---|---|---|
1台目 | 9.375kW | 100% | 9.375kW |
2台目 | 9.375kW | 100% | 9.375kW |
3台目 | 3.0kW | 95% | 2.85kW |
📌 台数圧縮ルール:
- 1~2台目:100%
- 3~4台目:95%
- 5台目以降:90%
🧮 合計:21.6kW
✅ステップ3:容量圧縮
合計21.6kWをさらに「容量ごとのブロック」に分けて圧縮します。
区分 | 割合 | 圧縮後 |
---|---|---|
最初の6kWまで | 100% | 6.00kW |
次の14kWまで | 90% | 12.60kW |
残りの1.6kW分 | 80% | 1.28kW |
🧮 合計:19.88kW → 四捨五入して「20kW」
🧾まとめ:合理的な契約がコスト削減につながる!
負荷設備契約では、以下の3段階を通じて合理的な契約電力を算出できます。
🔸 入力換算:出力を実際の使用電力量に変換
🔸 台数圧縮:同時使用の可能性を考慮して係数で合計
🔸 容量圧縮:合計容量が大きいほど係数で調整
💡圧縮計算で「高圧→低圧」への可能性も!