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はじめまして、ハリタといいます。 電気設備の計画や設計、むずかしいと感じたことはありませんか? 「先輩に聞けない」「相談できる人がいない」 ――そんな悩みを抱える方の力になりたくて、このサイトを立ち上げました。 現場で迷ったとき、ふと立ち寄ってヒントが得られるような、そんな場所を目指しています。 あなたのモヤモヤが少しでも晴れることを願って――どうぞよろしくお願いします。
引込設備の設計 PR

引込の設計|電力会社との契約電力の計算方法【圧縮計算】について詳しく解説

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~負荷設備契約の「圧縮計算」とは?~

見習いペン太
見習いペン太
はりた先輩、契約電力ってどうやって決まるんですか?毎月の基本料金が変わるって聞いたんですけど…


はりた
はりた
いい質問だねペン太くん。とくに「負荷設備契約」って方法だと、実際の使い方に合わせて“圧縮計算”っていう工夫をするんだよ。


🔍契約電力の2つの決め方

低圧電力の契約電力は、主に次の2つの方式で決まります。

✅主開閉器契約

主幹ブレーカー(主開閉器)の定格電流に基づいて計算する方法です。
たとえば、75Aの主開閉器なら以下のように算出されます:

75A × 200V × √3 ÷ 1000 = 約26kW

ただしこの方法では、使用状況にかかわらず契約電力が大きめになりやすいという弱点があります。

✅負荷設備契約

使っている動力機器を元に、圧縮計算をして契約電力を算定する方法です。
「全機器が常にフル稼働してるわけじゃないよね?」という実情を反映した、合理的な考え方です。


⚙️負荷設備契約の3ステップ「圧縮計算」

見習いペン太
見習いペン太
えっ、“圧縮”ってどうやってやるんですか?機械の名前とか書き出して…足して…終わりじゃないんですね?


はりた
はりた
そう簡単にはいかないよ。3段階の圧縮ステップで、より現実的な電力量に調整していくんだ。順番に説明するね!


▶ ステップ① 入力換算

まず、出力(kW)を「入力容量」に換算します。
モーターなどは効率を考慮して1.25倍するのがポイント。

機器種別 換算係数 計算式(例)
ヒーター 100% 5kW × 1.0 = 5kW
モーター 125% 3kW × 1.25 = 3.75kW

▶ ステップ② 台数圧縮

入力換算後の容量を合計する際、同時使用の可能性を考慮して台数ごとに圧縮します。

台数 圧縮係数
最初の2台 100%
次の2台 95%
5台目以降 90%

▶ ステップ③ 容量圧縮

さらに、合計容量が大きいほど係数で圧縮。これが「容量圧縮」です。

区分 圧縮係数
最初の6kWまで 100%
次の14kWまで 90%
次の30kWまで 80%
50kW超の部分 70%

これらを合算して、最終的な契約電力が決まります。

🔧計算例でわかる!圧縮計算の3ステップ

ここでは、「7.5kWモーター×2台」と「3.0kWヒーター×1台」を持つ工場を例に、負荷設備契約によって契約電力がどう圧縮されていくかを見ていきましょう!


✅ステップ1:入力換算

まず、機器の出力を「入力容量」に換算します。

機器 出力 換算係数 入力換算値
モーター① 7.5kW ×1.25 9.375kW
モーター② 7.5kW ×1.25 9.375kW
ヒーター 3.0kW ×1.00 3.0kW

📌 換算のポイント

  • モーターは効率を考慮して 1.25倍
  • ヒーターはそのまま 100%

✅ステップ2:台数圧縮

次に、入力容量が大きい順に並べて「台数ごとの圧縮係数」を適用します。

台数順 入力容量 圧縮係数 圧縮後容量
1台目 9.375kW 100% 9.375kW
2台目 9.375kW 100% 9.375kW
3台目 3.0kW 95% 2.85kW

📌 台数圧縮ルール:

  • 1~2台目:100%
  • 3~4台目:95%
  • 5台目以降:90%

🧮 合計:21.6kW


✅ステップ3:容量圧縮

合計21.6kWをさらに「容量ごとのブロック」に分けて圧縮します。

区分 割合 圧縮後
最初の6kWまで 100% 6.00kW
次の14kWまで 90% 12.60kW
残りの1.6kW分 80% 1.28kW

🧮 合計:19.88kW → 四捨五入して「20kW」

見習いペン太
見習いペン太
最初は21.6kWもあったのに、最終的には20kWで済むなんて…すごく合理的ですね!


はりた
はりた
圧縮計算を正しく使えば、必要以上の契約を防げてコストも抑えられるんだよ。


🧾まとめ:合理的な契約がコスト削減につながる!

負荷設備契約では、以下の3段階を通じて合理的な契約電力を算出できます。

🔸 入力換算:出力を実際の使用電力量に変換
🔸 台数圧縮:同時使用の可能性を考慮して係数で合計
🔸 容量圧縮:合計容量が大きいほど係数で調整

見習いペン太
見習いペン太
こんなに工夫された計算方法があるなんて知りませんでした…ちゃんと理解すれば電気料金も減らせそうですね!


はりた
はりた
そうだよペン太くん。契約電力の“中身”を知ることで、無駄をなくして賢く節電できるんだ。

💡圧縮計算で「高圧→低圧」への可能性も!

見習いペン太
見習いペン太
あれ? 圧縮していけば、最初は高圧になると思ってた設備でも、もしかして低圧で足りることもあるんじゃ…?


はりた
はりた
その通り!圧縮後の契約電力が50kW未満になれば、高圧契約を避けて低圧契約にできる可能性があるんだ。受変電設備が不要になれば、初期コストも大きく削減できるよ!詳細は管轄の電力会社と協議しよう!

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