キッチンのコンセント計画|家電の消費電力一覧と回路の分け方
結論
キッチンは消費電力の大きい家電が集中する場所です。電子レンジ・IH・食洗機・オーブンは専用回路で計画し、カウンター上には家電用のコンセントを2〜3系統用意します。冷蔵庫は単独回路+アース付きが基本。「同時に使う家電」を想定して回路を分けるのが失敗しないコツです。
- 大電力家電(電子レンジ・IH・食洗機)は専用回路
- カウンター上は家電用に2〜3系統
- 冷蔵庫は単独回路+アース付き
「新築のキッチン、コンセントは足りる?回路はどう分ける?」——家電が集中するキッチンの電気計画を、設計者の視点でまとめました。
💬 はりた&ペン太
🐧 見習いペン太
「キッチンってコンセント多めにすれば安心ですよね?」
🦔 はりた
「数も大事だけど、もっと大事なのが「回路の分け方」なんだ。同時に使う家電で分けるのがコツ。一緒に見ていこう」
ペン太
ハリタキッチン家電の消費電力の目安
まずは置く家電の消費電力を把握しましょう。大きいものは専用回路が必要です。
| 家電 | 消費電力の目安 |
|---|---|
| 電子レンジ | 1,000〜1,400W |
| IHクッキングヒーター | 1,400〜3,000W(200V計画が一般的) |
| 食洗機 | 1,000〜1,300W |
| オーブンレンジ | 1,300W前後 |
| 炊飯器 | 350〜1,300W |
| 電気ケトル | 1,000〜1,300W |
| 冷蔵庫 | 100〜300W(単独回路) |


ペン太
ハリタ回路の分け方の基本
電子レンジ・IH・食洗機・オーブンは、それぞれ専用回路で計画します。これらを同じ回路にまとめると、同時使用でブレーカーが落ちます。カウンター上には、ケトルやトースターなどを使う家電用コンセントを2〜3系統に分けておくと安心です。
💡 ここがポイント
冷蔵庫は単独回路+アース付きが基本。停電時に他の家電のブレーカーが落ちても冷蔵庫だけは生き残るようにしておくと、食品を守れます。
コンセントの位置と高さ
カウンター上の家電用は床から約1,000〜1,100mmが目安。パントリー内にも充電・小家電用を1か所あると便利です。冷蔵庫用は本体で隠れない高さ(約1,900mm前後)に設けます。
💬 はりた&ペン太
🐧 見習いペン太
「なるほど、大きい家電は専用回路で分けるんですね!」
🦔 はりた
「その通り。電子レンジ・IH・食洗機は最初から専用に。冷蔵庫は単独+アース。この3点を押さえれば、キッチンの電気で困らないよ」
回路の割り当て例(4人家族・標準的なキッチン)
「専用回路で」と言われても、全体で何回路になるのかが見えないと判断できません。標準的なキッチンでの割り当て例を示します。
| 回路 | つなぐもの | 電圧 |
|---|---|---|
| 1 | IHクッキングヒーター | 200V専用 |
| 2 | 電子レンジ・オーブンレンジ | 100V専用 |
| 3 | 食器洗い機 | 100V専用 |
| 4 | 冷蔵庫 | 100V単独+アース |
| 5 | カウンター上(右側)— 炊飯器・ケトルなど | 100V |
| 6 | カウンター上(左側)— トースター・ミキサーなど | 100V |
| 7 | 換気扇・キッチン照明 | 100V |
| 8 | ダイニング側・床下収納の照明など | 100V |
💡 ここがポイント
カウンター上を2系統に分けるのが、この計画のかなめです。朝、炊飯器・トースター・ケトルが同時に動くのは珍しくありません。1系統だけだと合計3000Wを超えてブレーカーが落ちます。2系統に分けたうえで、左右で回路が違うことを住まい手に伝えておくと、使い方でも調整できます。
置き場所から逆算してコンセントを決める
回路が足りていても、位置が合っていなければ延長コードが登場します。キッチンで見落とされやすい場所を挙げます。
| 場所 | 用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| カウンター上(背面側) | 炊飯器・ケトル・トースター | 高さは天板から100〜150mm。水はねを避ける |
| 吊戸棚の下 | 手元灯・小型家電 | 湯気が当たらない位置に |
| シンク下 | 浄水器・生ごみ処理機 | 水漏れの可能性がある。防滴型を検討 |
| 冷蔵庫の上部 | 冷蔵庫 | 高さ1800〜1900mm。本体で隠れず抜き差ししやすい |
| パントリー内 | 予備の冷凍庫・充電 | 忘れられがちだが、あとから欲しくなる筆頭 |
| ダイニングテーブル脇 | ホットプレート・鍋 | 床上300mm。コードが通路を横切らない位置 |
| カップボード内 | コーヒーメーカー・電気ポット | 内部で使うなら扉と放熱に注意 |
| キッチン入口 | 掃除機 | キッチン全体に届く位置に1か所 |
冷蔵庫は単独回路にする理由
冷蔵庫の消費電力は100〜300W程度で、決して大きくありません。それでも単独回路が推奨されるのは、消費電力とは別の理由があるからです。
- 止まると中身が傷む——同じ回路の別の家電が原因でブレーカーが落ちたとき、冷蔵庫まで止まります。旅行中なら被害は大きくなります。
- 起動時に大きな電流が流れる——コンプレッサーが動き出す瞬間、定格の数倍の電流が一瞬流れます。他の機器と重なると影響が出ます。
- アース端子が必要——水を扱う場所に置かれ、結露も生じます。アース付きコンセントが望ましい機器です。
- 24時間動き続ける——プラグを抜くことがないため、トラッキング現象が起きやすい環境になります。設置前に、コンセントの状態を確認しておいてください。
⚠️ 冷蔵庫のプラグは、設置してからでは触れません
いったん冷蔵庫を置くと、背面のコンセントには手が届かなくなります。設置の前に、コンセントの位置・アース端子の有無・差込みの緩みを確認してください。高さ1800〜1900mm程度に付けておくと、本体で隠れず、いざというときプラグを抜けます。
IHとガスで、計画がどう変わるか
| IHクッキングヒーター | ガスコンロ | |
|---|---|---|
| 必要な電源 | 200V・専用回路(20〜30A) | 不要(電池式点火が多い) |
| 分電盤への影響 | 200V回路が要る。契約容量も大きめに | 影響なし |
| 停電時 | 使えない | 電池式なら使える |
| 後から入れ替え | ガス→IHは電気工事が必要 | IH→ガスはガス配管工事が必要 |
打ち合わせでそのまま使える確認項目
- 持ち込む家電をすべて書き出す——今使っているもの、買い替え予定のもの、いずれ欲しいもの。消費電力も一緒に。
- 同時に使う組み合わせを挙げる——朝の時間帯、夕食の準備中、来客時。この3場面を想像すると具体的になります。
- 専用回路にするものを確定する——IH、電子レンジ、食洗機、冷蔵庫。ここは譲らないでください。
- カウンター上を何系統にするか決める——最低2系統。家電が多いなら3系統。
- アース付きにする場所を指定する——冷蔵庫、食洗機、電子レンジ。水まわりは必ず。
- カップボードの寸法と、家電の置き位置を図面に落とす——ここが決まらないとコンセント位置も決まりません。
- ダイニング側も忘れずに——ホットプレート用と、掃除機用。
よくある質問
キッチンに専用回路はいくつ必要?
電子レンジ・IH・食洗機・オーブンなど、大電力家電の数だけ専用回路が目安です。一般的な家庭で3〜5回路になることが多いです。
IHは200Vですか?
ビルトインIHは200Vが一般的です。単相3線式であれば対応できます。新築・リフォーム時に電気工事店と確認しましょう。
冷蔵庫のアースは必要?
必要です。水気のある場所で使う家電は感電防止のためアース接続が推奨されます。アース付きコンセントを用意しましょう。
キッチンだけで回路が7〜8つというのは多すぎませんか?
多すぎません。IH(200V)・電子レンジ・食洗機・冷蔵庫で4回路、カウンター上を2系統、換気扇と照明、ダイニング側で合計7〜8回路になります。オール電化ならエコキュートも加わります。消費電力の大きい家電が集中する場所なので、これが標準的な規模です。
朝、炊飯器とトースターとケトルを同時に使うと落ちます。
カウンター上が1系統にまとまっている可能性が高いです。3台の合計は3000W前後になり、1回路の上限1500Wを大きく超えます。新築なら左右で2系統に分けてください。既存住宅なら、使う時間をずらすか、別の部屋のコンセントを使うことで回避できます。
冷蔵庫の消費電力は小さいのに、なぜ単独回路なのですか?
消費電力ではなく「止まると困る」ことが理由です。同じ回路の他の家電でブレーカーが落ちると、冷蔵庫まで止まり中身が傷みます。加えて、コンプレッサー起動時には定格の数倍の電流が一瞬流れます。
冷蔵庫のコンセントは、どの高さに付けるのがいいですか?
高さ1800〜1900mm程度が目安です。冷蔵庫本体で隠れず、いざというときにプラグを抜けます。低い位置だと設置後に手が届かなくなり、ホコリの掃除もできません。設置前に、アース端子の有無と差込みの緩みも確認しておいてください。
将来IHに替えるかもしれません。今できることはありますか?
新築時に200Vの配線だけ入れておくと、あとの工事が大幅に楽になります。分電盤に200V回路を1つ空けておくのも有効です。壁や床を壊さずに済むため、費用も工期も抑えられます。
パントリーにコンセントは必要ですか?
あとから欲しくなる筆頭です。予備の冷凍庫、飲料のストック用冷蔵庫、掃除機や小型家電の充電など、用途は意外と多くあります。1〜2口でよいので、計画段階で入れておくことをおすすめします。
つぎに読む
- 燃料費調整額の上限。大手電力の規制料金には上限がありますが、新電力の多くは上限を設けていません。燃料価格が上がった局面では、単価が安いはずのプランが逆転することがあります
- 解約金・契約期間の縛り。1年未満の解約で費用がかかるプランがあります
- 停電したときの連絡先は変わりません。設備の保安は送配電会社の担当なので、乗り換えても対応する会社は同じです(責任分界点の記事)
ペン太
ハリタこの内容は、設計者・施工者向けの連載「コンセント設備の設計マニュアル」でも扱っています。→ 第1回 全体フローと負荷の想定・第2回 配置計画・第3回 回路分割
連載の目次は 設計・施工マニュアル からどうぞ。
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