在宅勤務で増えた電気容量問題|書斎の回路とコンセント計画
結論
在宅勤務でPC・モニター・周辺機器・エアコンが同じ部屋に集中すると、コンセント不足と回路の容量不足が起きがちです。書斎は4〜6口+LANを目安に、エアコンは専用回路で。停電が困る仕事ならUPS(無停電電源)も検討。増設が必要ならタコ足に頼らず、コンセントの増設で根本解決を。
- 書斎は4〜6口+LANが目安
- エアコンは専用回路、機器集中に注意
- 停電対策にUPSも検討
「在宅ワークでコンセントが足りない、たまにブレーカーが…」——書斎の電気計画を、設計者の視点でまとめました。
💬 はりた&ペン太
🐧 見習いペン太
「在宅勤務を始めたら、コンセントも延長コードもぐちゃぐちゃで…」
🦔 はりた
「機器が集中するとよくあることだよ。口数と回路、そして停電対策。書斎の電気を整理していこう」
ペン太
ハリタ書斎に必要なコンセント
PC本体・モニター・ドッキングステーション・スマホ充電・照明・プリンタなど、意外と口数を使います。
| 機器 | 目安 |
|---|---|
| PC・モニター・周辺機器 | 4〜6口 |
| ネットワーク | LAN配線+ルーター用電源 |
| エアコン | 専用回路 |
| 将来用 | 余裕を1〜2口 |
💡 ここがポイント
デスク位置に4〜6口+LANをまとめて設けると配線がすっきり。タコ足を増やすより、コンセントの増設が安全で確実です。

ペン太
ハリタ停電対策とUPS
オンライン会議中の停電やブレーカー落ちでPCが突然切れると、データ損失や信用問題につながります。重要な業務にはUPS(無停電電源装置)を挟むと、数分〜十数分の給電で安全にシャットダウンできます。
💡 ここがポイント
UPSはPC+ルーターにつないでおくと、瞬断や短時間の停電でも会議が途切れにくくなります。
増設は根本解決で
口数や容量が足りないときは、延長タップを重ねるのではなく、コンセントの増設や回路の追加で解決します。エアコンや大電力機器が同じ回路に乗っている場合は、専用回路に分けると安定します。
💬 はりた&ペン太
🐧 見習いペン太
「タコ足を増やすより、増設した方がいいんですね!」
🦔 はりた
「その通り。書斎は4〜6口+LANを基本に、エアコンは専用。大事な仕事ならUPSも。これで在宅の電気は安心だよ」
まず、自分の書斎が何W使っているか
「足りない」と感じたら、感覚ではなく数字で確かめてください。回路1つあたりの上限はおおむね1500Wです。書斎の機器を足し合わせると、意外と余裕があるケースと、危ういケースがはっきり分かれます。
| 機器 | 消費電力の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ノートPC(充電中) | 45〜100W | 高性能機やゲーミング機は140W以上 |
| デスクトップPC | 150〜500W | グラフィックボード搭載機は負荷時に跳ね上がる |
| モニター(24〜27インチ) | 20〜40W/台 | 2枚使いなら倍 |
| ドッキングステーション | 60〜100W | PCへの給電を含む |
| プリンタ(印刷時) | 300〜600W | レーザー機は定着時に一時的に大きい |
| デスクライト | 5〜15W | LEDなら小さい |
| 電気ストーブ | 800〜1200W | これ1台で回路の大半を占める |
| 加湿器(加熱式) | 300〜500W | 気化式なら数十W |
| エアコン(6畳) | 600〜900W | 専用回路が前提 |
💡 ここがポイント
ブレーカーが落ちるきっかけは、ほぼ電気ストーブ・オイルヒーター・電気ケトルのいずれかです。PCとモニターだけで1500Wを超えることは、まずありません。冬に落ちるようになった、という場合は暖房器具を疑い、エアコン(専用回路)に切り替えるだけで解決することが多くあります。
コンセントは「口数」より「位置と高さ」
4〜6口を確保しても、位置が悪ければ結局タップだらけになります。設計時・模様替え時には、次を意識してください。
- 机上高(床上70〜90cm)にも設ける——スマホやイヤホンの充電は、床のコンセントまでかがむのが面倒で、結局机の上のタップに集まります。最初から机の高さに口があれば、その必要がありません。
- 机の背面ではなく、側面か少し離した位置に——机をぴったり壁につけると、背面のコンセントにプラグを差せなくなります。プラグの出っ張りは5〜7cmあります。
- LANコンセントは電源と並べる——ルーターやハブは電源とLANの両方が要ります。離れていると、どちらかのケーブルが床を這います。
- 2口ではなく3口・4口の器具を選ぶ——壁の穴を増やさずに口数を増やせます。新築なら追加費用もわずかです。
- USB給電付きコンセントは慎重に——便利ですが、給電規格は数年で変わります。壁に埋め込むより、交換できるタップ側で対応するほうが長持ちします。
回路を分けるべきかの判断
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| PC・モニター中心で、暖房はエアコン | 一般回路の共用で足りる |
| 電気ストーブやオイルヒーターを使う | 暖房器具側を別回路へ。同じ回路に置かない |
| デスクトップPC+モニター3枚以上 | 書斎用の専用回路を検討 |
| 動画編集・3D・機材が多い | 専用回路。UPSの導入もあわせて |
| 同じ回路に隣室のコンセントもある | 家族が掃除機を使うと落ちる。分けるのが確実 |
| サーバー・NASを24時間稼働 | 他の回路の作業で落ちないよう、独立させる |
UPSの選び方と、実際にできること
UPSは「停電中も働き続けるための装置」ではありません。安全に保存して終了するための数分間を買う装置です。この前提で選ぶと、過剰な投資を避けられます。
| 方式 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 常時商用給電方式 | 安価。切替に数ミリ秒かかる | 一般的なPC、家庭の書斎 |
| ラインインタラクティブ方式 | 電圧変動も補正できる | 電圧が不安定な地域、精密機器 |
| 常時インバーター給電方式 | 切替時間ゼロ。高価で発熱も大きい | 業務用サーバーなど |
- 容量は「つなぐ機器の合計W×1.3」程度を目安に選びます。余裕がないと、給電時間が想定より短くなります。
- UPSにつなぐのはPCとルーターだけにしてください。モニターやプリンタまでつなぐと、あっという間に容量を使い切ります。
- 内蔵バッテリーは3〜5年で劣化します。交換できる製品を選び、交換時期を記録しておいてください。
- ルーターとONU(回線終端装置)も忘れずに——PCだけ生きていても、通信が切れれば会議は続けられません。
⚠️ UPSにつないではいけないもの
電気ストーブ、ドライヤー、レーザープリンタなど熱を出す機器や消費電力の大きい機器は、UPSにつながないでください。容量を超えて保護回路が働き、肝心のPCへの給電まで止まります。UPS側の「バッテリー給電」と「サージ保護のみ」の差込口を、正しく使い分けてください。
配線を整えると、トラブルも減る
足元の配線がまとまっていないと、掃除のたびにプラグが抜け、コードが踏まれて傷みます。見た目の問題だけではありません。
- ケーブルトレーで机の裏に浮かせる——床に触れないだけで、踏まれる・引っかけるリスクが消えます。
- タップは床置きしない——ホコリがたまり、飲み物をこぼしたときに直撃します。壁付けか、机裏に固定してください。
- コードを束ねたまま使わない——巻いたまま大電力を流すと発熱します。特に延長コードのリール型は要注意です。
- 年に1回、プラグを抜いてホコリを拭く——常時差しっぱなしの機器が多い場所は、トラッキング現象が起きやすい環境です。
よくある質問
延長コードで足せばいいのでは?
一時的にはよいですが、容量オーバーや発熱のリスクがあります。恒常的に足りないならコンセント増設が安全です。
UPSは必要ですか?
オンライン会議や保存前のデータがある業務では有効です。停電で困る度合いで判断しましょう。
ブレーカーが落ちる原因は?
書斎とエアコン等が同じ回路で容量オーバーになっているケースが多いです。回路を分けると改善します。
冬になるとブレーカーが落ちるようになりました。
暖房器具が原因である可能性が高いです。電気ストーブやオイルヒーターは800〜1200Wを使い、これ1台で回路の大半を占めます。PCとモニターだけで上限に達することはまずありません。暖房をエアコン(専用回路)に切り替えるだけで解決することが多くあります。
書斎に専用回路は必要ですか?
PCとモニター中心で暖房がエアコンなら、一般回路の共用で足ります。デスクトップPCにモニター3枚以上、動画編集などの機材が多い、サーバーやNASを24時間動かす、といった場合は専用回路を検討してください。同じ回路に隣室のコンセントがある場合も、分けたほうが安全です。
どのコンセントが同じ回路か、どう調べますか?
分電盤の安全ブレーカーを1つずつ切り、どのコンセントが使えなくなるかを確認します。作業前にPCの電源は必ず落としてください。分かった内容は分電盤に貼っておくと、次に困りません。
UPSの容量はどう選べばいいですか?
つなぐ機器の合計消費電力に1.3倍程度の余裕を見た容量が目安です。ただし、つなぐのはPCとルーター、ONUだけにしてください。モニターやプリンタまで含めると、給電できる時間が大幅に短くなります。
UPSのバッテリーは交換が必要ですか?
内蔵バッテリーは3〜5年で劣化します。交換できる製品を選び、購入時期を記録しておいてください。劣化したまま使うと、停電時にまったく給電されないことがあります。
USB付きのコンセントを壁に付けるのはどうですか?
便利ですが、給電の規格は数年ごとに新しくなります。壁に埋め込むと交換に工事が必要になるため、USB給電は差し替えられるタップ側で対応するほうが長持ちします。壁側は通常のコンセントで口数を確保するのがおすすめです。
つぎに読む
- 燃料費調整額の上限。大手電力の規制料金には上限がありますが、新電力の多くは上限を設けていません。燃料価格が上がった局面では、単価が安いはずのプランが逆転することがあります
- 解約金・契約期間の縛り。1年未満の解約で費用がかかるプランがあります
- 停電したときの連絡先は変わりません。設備の保安は送配電会社の担当なので、乗り換えても対応する会社は同じです(責任分界点の記事)
ペン太
ハリタこの内容は、設計者・施工者向けの連載「コンセント設備の設計マニュアル」でも扱っています。→ 第1回 全体フローと負荷の想定・第2回 配置計画
連載の目次は 設計・施工マニュアル からどうぞ。
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