結論

分電盤には3種類のブレーカーがあります。アンペアブレーカー(契約用・一番大きい)/漏電ブレーカー(中央)/安全ブレーカー(回路ごと・小さいのが複数)。停電したとき、どれが落ちたかを見れば原因の見当がつきます。各回路がどの部屋につながるかを一度メモしておくと、いざというとき復旧が早くなります。

  • 分電盤のブレーカーは大きく3種類
  • 落ちた種類で原因の見当がつく
  • 回路と部屋の対応をメモしておくと安心

「分電盤って開けたことないけど、見方を知っておきたい」——3種類のブレーカーの役割と、いざというときの見方を、設計者の視点でやさしく解説します。

💬 はりた&ペン太

🐧 見習いペン太
「分電盤って開けるのもちょっと怖くて…」

🦔 はりた
「中身は触らなくて大丈夫。でも”見方”を知っておくと、停電のとき慌てないよ。3種類のブレーカーから見ていこう」

ペン太ペン太
分電盤にブレーカーがいくつも並んでいて、どれが何やら分かりません
ハリタハリタ
役割は3種類だけ。アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーと覚えましょう

分電盤の3種類のブレーカー

分電盤の中には、役割の違う3種類のブレーカーが並んでいます。

種類場所役割
アンペアブレーカー一番大きい(左端など)契約アンペアを超えると遮断(家全体)
漏電ブレーカー中央漏電を検知して遮断
安全ブレーカー小さいものが複数回路ごとの使いすぎ・ショートで遮断
出典:内線規程 JEAC 8001-2022/HARITAの設計室。契約方式により名称・構成は異なります。
分電盤3種類のブレーカーと役割をラベル付きで示した分電盤の見方の解説図
ペン太ペン太
停電したら、とにかく全部入れ直せばいいと思ってました
ハリタハリタ
どの種類が落ちたかを先に見るんです。落ちたブレーカーの種類で原因が特定できますよ

落ちた種類で原因を切り分ける

家全体が停電したらアンペアブレーカー(使いすぎ)か漏電ブレーカー(漏電)を、一部の部屋だけなら安全ブレーカー(その回路の使いすぎ)を疑います。落ちたブレーカーの種類を見るだけで、原因がかなり絞り込めます。

💡 ここがポイント

各安全ブレーカーがどの部屋・どの回路につながるかを一度メモして分電盤に貼っておくと、停電時の復旧がぐっと早くなります。

家庭でできること・できないこと

落ちたブレーカーを入れ直す、契約アンペアの目安を考える、といった確認は家庭でもできます。一方、ブレーカーの増設・交換や配線工事は電気工事士の資格が必要です。

⚠️ 安全のための注意

分電盤内部の配線やブレーカーの増設・交換は第二種電気工事士の資格が必要です。感電の危険があるため、内部の工事は必ず有資格の業者に依頼してください。

💬 はりた&ペン太

🐧 見習いペン太
「3種類あって、落ちた場所で原因が分かるんですね!」

🦔 はりた
「その通り。大=使いすぎ、中=漏電、小=その回路。回路のメモを貼っておけば、もう停電も怖くないよ」

分電盤に書かれている数字と記号の読み方

ブレーカーの表面には、いくつかの数字が印字されています。意味が分かると、自分の家の電気の状態が読めるようになります。

表示意味典型的な値
アンペアブレーカーの数字契約電流。家全体で同時に使える上限30A / 40A / 50A / 60A
安全ブレーカーの「20A」その回路の定格電流ほとんどが20A
「2P1E」「2P2E」極数と素子数。2P2Eは200V回路や水気のある場所用100V回路は2P1E、200V回路は2P2E
漏電ブレーカーの「30mA」動作する漏電電流の大きさ住宅は30mAが標準
漏電ブレーカーの「0.1秒」検知してから遮断するまでの時間0.1秒以内が一般的
主幹の「50A」「75A」分電盤全体が扱える容量契約より大きい値になっている
安全ブレーカーが20Aでも、コンセント1か所で使えるのは1500W程度です。20A=2000Wと考えないでください。

💡 ここがポイント

漏電ブレーカーの「30mA」という数字には意味があります。人が感電したとき、10〜20mAで手が離せなくなり、50mAを超えると生命の危険が出てきます。その手前で遮断するために30mAが選ばれています。人が死なない値として決められた数字だと考えてください。

回路表を作っておくと、いざというとき早い

分電盤のフタの裏には、回路の一覧を書く欄があります。新築時に工務店が記入していることもありますが、「洋室1」「洋室2」といった表記では、住んでみると分からなくなります。

入居後に一度、実際に確かめて書き直しておいてください。作業は簡単です。

  1. 各部屋の照明をすべて点け、コンセントに小さなライトやラジオを差しておきます。
  2. 安全ブレーカーを1つだけ「切」にします。
  3. 家を回って、何が消えたかを確認します。
  4. ブレーカーに番号と内容を書き込み、元に戻します。
  5. 次のブレーカーで繰り返します。

2人でやると格段に早く終わります。1時間ほどの作業ですが、停電したときや、家電を買い足すときに何度も役立ちます。スマートフォンで写真を撮っておくと、外出先からでも家族に説明できます。

⚠️ 作業前に電源を落とすもの

回路を調べる前に、デスクトップPC、録画中のレコーダー、エコキュートや給湯器の設定など、急に電源が切れると困る機器を確認してください。ブレーカーを切ると、機器によっては時計や設定がリセットされます。冷蔵庫は短時間なら問題ありませんが、切ったままにしないよう気をつけてください。

回路数の目安と、足りているかの判断

住宅の規模回路数の目安内訳の考え方
1LDK・2LDK(マンション)8〜12回路専用回路3〜4+一般回路5〜8
3LDK(マンション)10〜14回路専用回路4〜5+一般回路6〜9
戸建て(30坪前後)14〜20回路専用回路5〜7+一般回路9〜13
戸建て+オール電化18〜24回路IH・エコキュート・床暖房などが加わる
戸建て+太陽光・EV20回路以上+予備パワコン・V2H用の回路が必要
専用回路は、エアコン各室・IH・電子レンジ・食洗機・洗濯機・エコキュートなどに割り当てます。

自宅の分電盤を見て、空きスペースがあるかも確認しておいてください。将来エアコンを増やす、EV充電を付ける、といったときに、空きがあれば工事は軽く済みます。空きがなければ分電盤ごとの交換になり、費用は数万円から十数万円変わります。

分電盤の設置場所と寿命

  • 寿命はおおむね13〜15年——メーカーが示す交換の目安です。内部の部品が劣化すると、漏電を検知できなくなることがあります。
  • 洗面所や玄関収納にあることが多い——自宅の分電盤がどこにあるか、家族全員が知っているか確認してください。停電時に探すことになります。
  • 前に物を置かない——収納内にある場合、荷物で埋もれがちです。緊急時にすぐ開けられる状態を保ってください。
  • 懐中電灯を近くに置く——停電時、分電盤の前は真っ暗です。スマートフォンのライトでも足りますが、専用のものがあると確実です。
  • 湿気の多い場所は避ける——浴室の近くや、結露する外壁面は好ましくありません。新築時に位置を指定できます。

💡 ここがポイント

分電盤の交換を検討するタイミングは、漏電ブレーカーがない・回路数が足りない・設置から15年以上・製造メーカーの部品供給が終了しているのいずれかです。特に最初の項目は安全に直結します。テストボタンが見当たらない分電盤なら、漏電ブレーカーが付いていない可能性が高いので、一度電気工事店に見てもらってください。

よくある質問

分電盤は開けても大丈夫?

カバーを開けてブレーカーを見る・入れ直す程度は問題ありません。内部の配線には触れないでください。

漏電ブレーカーが落ちたらどうする?

安全ブレーカーを一度すべて切り、漏電ブレーカーを入れ、安全ブレーカーを1つずつ入れて原因回路を特定します。原因回路は切ったまま業者へ相談を。

ブレーカーを増やしたい

ブレーカーの増設は電気工事士の資格が必要です。電気工事業者に依頼してください。

安全ブレーカーの「20A」は、2000Wまで使えるという意味ですか?

違います。20Aは回路の定格ですが、コンセント1か所で安全に使えるのは1500W程度です。器具やコードの定格がそこで制限されているためです。20A=2000Wと考えて機器をつなぐと、コンセントやコードが発熱します。

漏電ブレーカーの「30mA」とは何ですか?

漏電を検知して遮断する電流の大きさです。人は10〜20mAで手が離せなくなり、50mAを超えると生命の危険が出てきます。その手前で電気を止めるために30mAが選ばれています。人が死なない値として決められた数字です。

回路と部屋の対応表は、どうやって作りますか?

各部屋の照明を点け、コンセントにライトなどを差した状態で、安全ブレーカーを1つずつ切って何が消えるかを確認します。2人で行えば1時間ほどで終わります。作業前に、デスクトップPCや録画中の機器の電源は落としておいてください。

うちの回路数は足りていますか?

目安は、マンション3LDKで10〜14回路、戸建て30坪前後で14〜20回路、オール電化なら18〜24回路です。これを大きく下回る場合、家電を分散できずブレーカーが落ちやすくなります。分電盤に空きスペースがあるかも、あわせて確認しておいてください。

分電盤に寿命はありますか?

おおむね13〜15年が交換の目安です。内部の部品が劣化すると、漏電を正しく検知できなくなることがあります。設置から15年以上、漏電ブレーカーがない、回路数が足りない、のいずれかに当てはまるなら交換を検討してください。

分電盤はどこに設置するのがいいですか?

洗面所や玄関収納が一般的です。停電時にすぐ開けられるよう、前に物を置かないことが大切です。湿気の多い浴室まわりや結露する外壁面は避けてください。新築なら位置を指定できるので、打ち合わせで伝えておくとよいでしょう。

電力会社の見直しは、あなたの家に効くのか
「乗り換えれば安くなる」は、条件によります。電気設備の設計側から見ると、先にやるべきことがある家と、比較が効く家ははっきり分かれます。当てはまるものを見てください。
A契約アンペアが大きすぎる家
一人暮らしや二人暮らしなのに50A・60A契約、という家は珍しくありません。基本料金は契約アンペアで決まるので、下げるだけで毎月効きます。工事は電力会社が無料で行うのが一般的です。乗り換えより先に、こちらを確認してください。
B使用量が多い家・オール電化・EVがある家
月400kWhを超える、オール電化、EVを自宅で充電している——このあたりから単価と時間帯プランの差が大きく出ます。基本料金より従量料金のほうが金額として大きいので、プランと会社を比べる価値があります。
C関西・中国・四国・沖縄エリアの家
これらのエリアは最低料金制で、そもそも契約アンペアという区分がありません。Aの手が使えないので、比べるならプランと会社そのものになります。
比べるときに見落としやすいところ
  • 燃料費調整額の上限。大手電力の規制料金には上限がありますが、新電力の多くは上限を設けていません。燃料価格が上がった局面では、単価が安いはずのプランが逆転することがあります
  • 解約金・契約期間の縛り。1年未満の解約で費用がかかるプランがあります
  • 停電したときの連絡先は変わりません。設備の保安は送配電会社の担当なので、乗り換えても対応する会社は同じです(責任分界点の記事
ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。内線規程・電気工事士資格・住宅の電気設備を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

ペン太ペン太
停電に備えて、今のうちにできることはありますか?
ハリタハリタ
各回路と部屋の対応をメモしておくこと。カバーを開けての確認は良いですが工事は資格者にね

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。