架空配線に使うメッセンジャーワイヤの選定方法と計算手順を解説。ケーブル重量から必要な強度を求める考え方をまとめています。

メッセンジャーワイヤは、架空ケーブルの重さを受け持つ支持線(ちょう架用線)です。解釈第67条で、引張強さ5.93kN以上のもの又は断面積22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線と決まっています。重量と風圧(と被氷)の荷重に安全率を見込み、引張強さで比べて選びます。

この3つ、すぐ答えられますか

  • メッセンジャーワイヤは、何のために使う電線ですか。
  • 選定に必要な情報を4つ挙げられますか。
  • 径間が長くなると、選定はどう変わりますか。

ブラウザでそのまま使える登録不要ツール

この記事の方法でメッセンジャーワイヤーを選定するなら、姉妹サイト「セコサポ」のメッセンジャーワイヤーサイズ選定ツール(ちょう架用線の自動計算・登録不要)が便利です。

 

 

メッセンジャーワイヤ選定の基本フロー
STEP1 支持するケーブル・電線の重量を把握する
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STEP2 径間(スパン)長と想定荷重(風圧・着雪など)を確認する
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STEP3 荷重に安全率を見込んで必要な引張強度を求める
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STEP4 必要強度を満たすワイヤ径を選定する

※選定の考え方を示したものです。具体的な数値は本文・計算ツールをご確認ください。

ペン太ペン太
架空配線のメッセンジャーワイヤって、どうやって太さを決めるんですか?
ハリタハリタ
ケーブル重量、径間、風圧や着雪の想定荷重、安全率から必要な引張強度を計算して選びます。

電技解釈 第67条の決まりと、計算の考え方

ケーブルそのものは、自分の重さや風を長い距離で受け止めるようにはできていません。そこで、強い金属線(ちょう架用線)を張り、ケーブルをハンガーなどでつり下げて重さと風の力をワイヤに受け持たせます。電気設備の技術基準の解釈 第67条では、ハンガーでつる方法のほか、金属テープを巻き付ける方法、ワイヤとケーブルをより合わせる方法などが認められています。

解釈第67条では、ケーブルをハンガーや金属テープ巻き、より合わせなどでちょう架用線に支持します。高圧をハンガーで支持するときの間隔は50cm以下です。ちょう架用線は引張強さ5.93kN以上又は断面積22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線とし、ちょう架用線とケーブルの金属被覆にはD種接地工事を施します。
項目 解釈第67条の決まり
強さ 引張強さ5.93kN以上、又は断面積22mm²以上の亜鉛めっき鉄より線
ハンガー間隔 高圧をハンガーで支持するときは50cm以下
接地 ちょう架用線とケーブルの金属被覆にD種接地工事(低圧で絶縁したちょう架用線は省略可)
安全率(高圧) 硬銅線・耐熱銅合金線は2.2、その他は2.5(67-1表)
たとえるなら
メッセンジャーワイヤは、洗濯物を干す「物干しロープ」のようなものです。
洗濯物(ケーブル)はロープ(ワイヤ)に洗濯ばさみ(ハンガー)で留めます。洗濯物が増えたり、ロープを長く張ったりするほど、ロープにかかる力は大きくなります。
①支持するケーブルとワイヤの重量を出し、②径間と風圧・被氷の荷重を確かめ、③安全率を見込んで必要な引張強さを求め、④それを満たすワイヤの径を選びます。最低ラインの5.93kNも必ず満たします。
ひっかけ注意
「ケーブルの重さの合計=ワイヤにかかる力」ではありません。
ワイヤにかかる張力は、単位長さあたりの荷重を w、径間を S、弛度を D とすると、おおよそ w×S²÷(8×D) です。たるみを小さく張るほど、径間を長くするほど、張力は大きくなります。解釈第67条も、荷重がかかったときの安全率を弛度によって確保するよう求めています。
ケーブルが重いほど、径間が長いほど、風圧や被氷が大きいほど、安全率を大きく見込むほど、必要な引張強さは大きくなります。
ひっかけ注意
「低圧でもちょう架用線に必ずD種接地」ではありません。
低圧架空電線にケーブルを使う場合で、ちょう架用線に絶縁電線又はこれと同等以上の絶縁効力のあるものを使うときは、ちょう架用線のD種接地工事を省略できます(解釈第67条第四号ただし書き)。


よくある質問(FAQ)

Q. メッセンジャーワイヤとは何ですか?
A. ケーブルや電線を架空(空中)で支持するために用いる支持線(ちょう架用ワイヤ)のことです。ケーブル自体の重量をこのワイヤで受け持ちます。

Q. メッセンジャーワイヤの選定では何を考えればよいですか?
A. 支持するケーブルの重量、径間長、風圧や着雪などの想定荷重、そして安全率を考慮して必要な引張強度を求め、それを満たす径を選びます。

Q. 径間(スパン)が長いと選定にどう影響しますか?
A. 径間が長くなるほど支持線にかかる荷重やたるみが大きくなるため、より強度の高いワイヤが必要になる傾向があります。

Q. 計算を簡単に行う方法はありますか?
A. 姉妹サイト「セコサポ」のメッセンジャーワイヤーサイズ選定ツールを利用すると、条件を入力するだけで目安を確認できます。

ペン太ペン太
計算が大変そうです…楽に進める方法はありますか?
ハリタハリタ
選定は4ステップで進めれば迷いません。姉妹サイトの登録不要の自動計算ツールも活用してください。

まとめ|重量・径間・想定荷重・安全率で強度が決まる

メッセンジャーワイヤの選定は、支持するケーブルの重量と径間、風圧や着雪の想定荷重、安全率から必要な引張強度を求め、それを満たす径を選ぶという流れになります。

条件 大きく(長く)なると 選定への影響
支持するケーブル・電線の重量 重くなる 必要な引張強度が大きくなる
径間(スパン)長 長くなる 荷重やたるみが大きくなり、より強度の高いワイヤが必要になる
風圧・着雪などの想定荷重 大きくなる 必要な引張強度が大きくなる
安全率 大きく見込む 必要な引張強度が大きくなる

まず把握すること

  • 支持するケーブル・電線の重量。
  • 径間(スパン)長。
  • 風圧や着雪などの想定荷重。

計算で決めること

  • 荷重に安全率を見込んだ必要な引張強度。
  • その強度を満たすワイヤ径。

メッセンジャーワイヤは、ケーブル自体の重量を受け持つ支持線です。条件のどれか1つが変わるだけで必要な強度が動くため、重量・径間・想定荷重・安全率の4つをそろえてから径を決めると、選び直しが減ります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。