分電盤の設計 PR

分電盤の設計|動力負荷の種類とブレーカーサイズの簡易算出方法について詳しく解説

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

 

内線規程を読み込もう

 

今回の疑問

 

動力負荷に応じたブレーカーサイズの

選定方法を知りたい!

 

結論

 

動力負荷には機器種別に応じて

電気特性が異なります。

 

本記事のおすすめの方
  • 動力負荷のブレーカーサイズについて調べている方
  • 選定したブレーカーサイズが大きいがあっているか心配な方
この記事でわかること
  1. ブレーカーサイズの選定方法
  2. 負荷に応じた正しいサイズの選定方法
  3. 選定の根拠資料について

ツールの紹介

クイックトピックス

動力負荷の主な分類は?
  • トップランナーモーター
  • 空冷ヒートポンプエアコン
  • エレベーター
  • 冷凍機
  • 電熱機
動力負荷の負荷電流の求め方は?
  • 負荷容量による規約電流によって求める
  • メーカーの仕様書から求める(推奨のブレーカーサイズが記載されている場合もある)

 

 



動力負荷の種類とブレーカー選定の関係|開閉器サイズは“負荷の特性”で決まる!

電気設備設計で、動力用のブレーカー(開閉器)を選定するときにまず確認すべきこと――それは、**「どんな種類の動力負荷か」**です。

動力負荷にはいくつかの分類があり、それぞれ**電流特性(定格電流・始動電流・運転パターンなど)**が異なるため、適切なブレーカー容量も変わってきます。


📦 動力負荷の種類について

下記は、代表的な動力負荷の例です:

負荷の種類 特徴
トップランナーモーター 高効率な省エネモーター。始動電流はあるが小さめ
空冷ヒートポンプエアコン 外気温に応じて運転電流が変動。過負荷ぎみに動くことあり
エレベーター 繰り返し始動・停止を繰り返す。始動電流が高い
冷凍機 負荷が重く、突入電流が非常に大きい
電熱機(ヒーター) 始動電流なし。運転電流は安定

❓ なぜ分ける必要があるのか

💡 答え:負荷ごとに考慮すべき電流値が異なるため

動力負荷と一口に言っても、始動時の電流が一時的に大きくなる機器と、一定の電流で安定して動作する機器があります。
この違いを無視して一律のブレーカーサイズで設計してしまうと、以下のような問題が起きます:

  • 始動電流でブレーカーが誤トリップする(例:エレベーター、冷凍機など)

  • 電流に対してブレーカーが過大・過小になり、保護協調が取れなくなる

  • 無駄に大きな開閉器を使い、コストが上がる


📊 比較:負荷特性と開閉器選定の考え方

負荷 始動電流の考慮 ブレーカー選定の特徴
トップランナーモーター 要(小さめ) 高効率なので標準より少し小さくても可
空冷ヒートポンプ 過負荷気味でもトリップしない選定が必要
エレベーター 要(大) 始動トルク大。トリップ防止が必須
冷凍機 要(非常に大) 始動電流を十分に見込んで設計
電熱機 不要 始動電流なし。定格電流での選定でOK

電動機の定格電流の求め方

電流値の選定を明確にする

動力負荷が電灯負荷と異なる点は機器の仕様、設置環境により電流値が大きく変動するという点です。同じ負荷容量【kW】でも参照先・求め方で結果にずれが生じてきますので根拠と検討先を間違えないことが重要です。

定格電流を求める方法
  1. 負荷容量による規約電流によって求める
  2. メーカーの仕様書から求める(推奨のブレーカーサイズが記載されている場合もある)
  • 仕様書に記載のあるブレーカーサイズを選定するのが一番適正です
  • しかし設計時にすべての仕様書を参照し選定するのは時間を要するため内線規程などの資料から求める方法もあります。
  • 基本的に内線規程から求めた方がサイズは大きくなるため、施工時は設計者に選定方法を確認しましょう。

【実務ポイント】ブレーカーサイズの選定方法|仕様書?内線規程?どちらが正しいの?

電気設備設計において欠かせない「ブレーカー(開閉器)の容量選定」。
このサイズ選びを間違えると、機器の誤動作や過負荷トラブル、施工ミスにもつながるため、慎重に判断する必要があります。

では実際に、どの資料を元に選定するのが最も正しいのでしょうか?


✅ 原則:機器の仕様書に記載された値が最優先

メーカーが機器ごとに定めた「推奨ブレーカーサイズ」は、始動電流・運転特性・使用条件すべてを踏まえた適正値です。

📌 結論:仕様書に記載されているサイズが最も適正です。


⚠️ しかし、すべての仕様書を確認するのは大変…

設計段階では、以下のような理由で「全ての仕様書を確認するのが難しい」ケースもあります:

  • 機器選定が未確定の段階で設計が進んでいる

  • 機種の納入が後工程にずれる(仕様不明)

  • 設備点数が多く、一つ一つ確認するのに時間がかかる


🧰 そのため「内線規程」などの汎用資料を使うこともある

内線規程やJEAC、JIS規格などには、電動機の容量[kW]に対して目安となるブレーカーサイズの表があります。
これらを使えば、仕様書なしでも概算で選定が可能です。

ただし――

📌 内線規程から選定したブレーカーサイズは、仕様書より大きめになる傾向があります。


👷 現場施工時の注意点

施工現場で設計図の指示に従ってブレーカーを取り付ける際、
**「内線規程のサイズより小さい!」**というケースに遭遇することがあります。

この場合、設計者が仕様書を基に適正サイズで選定している可能性が高いため、
必ず以下を確認しましょう:

  • ✅ そのブレーカーサイズは機器の仕様書に基づいた選定か?

  • ✅ 設計者による特別な意図・制約条件があるか?

  • 安全マージンが足りているか?(始動電流・許容電流)


✅ まとめ

項目 内容
基本原則 仕様書に記載されたサイズが最も適正
設計時の対応 機器仕様が不明な場合は「内線規程」等の資料で仮選定
内線規程の特徴 やや大きめに見積もられる(安全側)
現場対応の注意点 設計者の選定根拠(仕様書 or 汎用資料)を必ず確認すること

開閉器サイズの簡易選定

開閉器サイズは負荷の特性に応じて内線規程に簡易表の記載があります

分電盤の設計|動力設備のケーブルと開閉器サイズの簡易設計表一覧 こちらの記事では、内線規程の各章に記載されている 動力負荷別のサイズ選定表をまとめたものになります。 200V三相誘...

【内線規程3705-10】電動機回路の簡便設計とは?|分岐回路や幹線サイズの決め方

三相誘導電動機の回路設計において、「仕様書がまだ出ていない」「時間がない」といった状況で頼りになるのが**簡便設計(内線規程3705-10)**です。

この記事では、200V/400V三相誘導電動機を対象に、幹線・分岐回路の設計を効率よく行う方法や、特殊な用途の注意点をわかりやすく紹介します。


✅ 簡便設計の対象となる電動機とは?

以下の標準的な電動機1台のみを接続する場合に限り、簡便設計が適用可能です。

適用できるケース 内容
✅ 適用可能 200Vまたは400Vの三相誘導電動機(トップランナーモーター含む)
❌ 適用不可 エレベーター、空調機、冷凍機、ウォーターチリングユニットなどの特殊用途、およびインバータ付きの電動機

📘 使用する設計資料(表)

簡便設計においては、内線規程の下記の表に従って幹線・分岐回路を設計します:

  • 3705-1表:負荷の算定

  • 3705-2表:幹線の太さ

  • 3705-3表:分岐開閉器・遮断器の定格

  • 3705-4表:幹線に使用する開閉器・遮断器

📌 トップランナーモーター専用の表です。旧型モーターが混在する場合は注意!


⚠ 特殊な用途の電動機は簡便設計NG!

下記のような負荷は、機器ごとに運転特性や突入電流が異なるため、簡便設計ができません

❌ 特殊用途の例と対応

機器 対応方法
エレベーター 最大負荷での起動・加速を考慮し電圧降下に注意。資料3-7-9参照
空冷・水冷チラー(ウォーターチリングユニット) 圧縮機の冷却方式で選定。資料3-7-10参照
パッケージ型エアコン メーカー仕様が必須(始動電流がまちまち)
冷凍機 組込モーターの形式ごとに資料参照
インバータ駆動のモーター 出力特性・電流波形が異なるため必ずメーカー資料を参照

✅ 開放形冷凍機や汎用モーターは簡便設計OK

  • 圧縮用電動機に汎用モーターを使用した開放型冷凍機については、
     → 3705-1表および3705-2表で設計可能です。


📌 トップランナーとの混在にも注意!

  • トップランナーモーター のみで構成された回路 → 3705-3・4表でOK

  • トップランナー以外と混在 → 資料3-7-6 or 3-7-7を参照する


✅ まとめ

項目 内容
簡便設計の対象 標準的な三相誘導モーター(1台)
適用資料 内線規程3705-1〜4表(トップランナー基準)
注意点 特殊用途・インバータ使用・混在回路には適用不可
特殊用途対応 メーカー資料 or 内線規程の補足資料(3-7系)を参照
現場の対応 設計図や仕様書に簡便設計使用の有無を確認すること
設計マニュアルを作成中!