分電盤の設計|電灯負荷の開閉器サイズ選定方法について詳しく解説
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電灯負荷の主開閉器容量の
選定方法について教えてほしい
ペン太
ハリタ住宅用分電盤の選定|主開閉器と分岐回路の決め方を基礎から解説
この3つ、すぐ答えられますか
- 主開閉器の計算式にある「÷2」は、何を表していますか。
- 「×1.3」は何のための係数ですか。
- 単相3線式で中性線が断線すると、何が起きますか。
はじめに
現場に出始めた頃、こんな経験はありませんか?
「分電盤、何アンペアにすればいいんだろう…」 「分岐回路って何回路つくればいいの?」 ――先輩に聞こうにも、なんとなく聞きにくい雰囲気…
そんなモヤモヤを抱えたまま、なんとなく図面を書いていた。私自身もそうでした。
でも実は、分電盤の選定にはちゃんとした根拠と計算式があります。この記事では「なぜその数字になるのか」を一緒に確認しながら、現場で自信を持って選定できるようになるための基礎を解説します。
- 分電盤の選定には根拠と計算式がある。
- 「なぜその数字になるのか」を確認しながら進めることで、自信をもって選定できるようになる。
まず知っておきたい|分電盤の3つの構成要素 
選定の前に、分電盤を構成するパーツを整理しておきましょう。
主開閉器(メインブレーカー)は家全体の電流を管理する元栓です。ここの容量が小さすぎると、ちょっと電気を使うたびに家全体が落ちます。
漏電遮断器は漏電を検知したとき瞬時に電気を遮断する安全装置です。単相3線式では「中性線欠相保護付」を選ぶことが必須です。これは後で詳しく説明しますが、省略すると家中の家電が一度に壊れる重大事故につながります。
分岐ブレーカーは各回路ごとの電気を管理する小型ブレーカーです。特定の回路だけを落として安全に作業するためにも使います。
ペン太
ハリタ- 主開閉器(メインブレーカー)は、家全体の電流を管理する元栓。容量が小さすぎると家全体が落ちる。
- 漏電遮断器は、漏電を検知したとき瞬時に電気を遮断する安全装置。
- 単相3線式では「中性線欠相保護付」を選ぶことが必須。
- 分岐ブレーカーは各回路ごとの電気を管理する小型ブレーカーで、特定の回路だけを落として作業するためにも使う。
STEP①|主開閉器のアンペア数を決める
計算式の意味を理解しよう
主開閉器の定格電流は次の式で求めます。
主開閉器の定格電流(A)= 最大需要電力(VA)÷ 100(V)÷ 2 × 1.3 + 加算値(A)
「なんでこんな式になるの?」と思った方、正解です。ひとつずつ分解します。
「÷100(V)」は、電力(VA)を電圧(V)で割ることで電流(A)に変換しています。オームの法則そのものです。
「÷2」は、単相3線式では電流が2本の電圧線(L1・L2)に分かれて流れるためです。理想的には均等に分かれる想定で2で割ります。
「×1.3」は不平衡安全率と呼ばれます。現実には2本の線に電流が均等に流れることはほぼありません。どちらかに偏る「不平衡」が必ず生じます。その偏りを見込んだ安全係数です。「安全のための1.3倍割り増し」と覚えておけばOKです。
「加算値」は、2台目以降のエアコンや衣類乾燥機など大容量機器がある場合の上乗せ分です。住宅面積が70㎡を超える場合に5Aを加算します。
最大需要電力(Pm)はこう求める
Pm(VA)= 40(VA/㎡)× 住宅面積(㎡)+ 1,000〜2,500(VA)
後半の加算値は住宅面積によって変わります。照明や普及率の高いエアコン1台分の電力がここに含まれています。
| 住宅面積 | 加算値 |
|---|---|
| 50㎡以下 | 2,500 VA |
| 50㎡超〜100㎡以下 | 2,000 VA |
| 100㎡超〜150㎡以下 | 1,500 VA |
| 150㎡超 | 1,000 VA |
小さい住宅ほど加算値が大きいのは、面積が小さくても最低限必要な電力(照明・エアコン1台など)が変わらないからです。
実際に計算してみよう
【例題】住宅面積80㎡・エアコン2台の住宅
Pm = 40 × 80 + 2,000 = 5,200 VA
定格電流 = 5,200 ÷ 100 ÷ 2 × 1.3 = 33.8A
エアコン2台目の加算値(5A)を足すと 38.8A → 規格に合わせて 40A を選定。
計算の流れが理解できたら、現場では以下の早見表を活用してください。ただし「なぜこのアンペアか」を説明できる状態で使うことが大切です。
主開閉器の選定早見表
| 住宅面積 | 推奨アンペア | 最大需要電力 | 1線あたり×1.3 | 加算値 |
|---|---|---|---|---|
| 50㎡(15坪)以下 | 30A | 4 kVA | 26.0A | 0A |
| 70㎡(20坪)以下 | 40A | 5 kVA | 32.5A | 0A |
| 100㎡(30坪)以下 | 50A | 6 kVA | 39.0A | 5A |
| 130㎡(40坪)以下 | 60A | 7 kVA | 45.5A | 5A |
| 170㎡(50坪)以下 | 60A | 8 kVA | 52.0A | 5A |
⚠️ 現場メモ: EVの充電設備・IHクッキングヒーター・蓄電池の導入予定がある場合は、必ず一段階上を検討するか、設計担当者に相談してください。
| 式の要素 | 意味 |
|---|---|
| ÷100(V) | 電力(VA)を電圧で割って電流(A)に変換する |
| ÷2 | 単相3線式では電流が2本の電圧線(L1・L2)に分かれて流れるため |
| ×1.3 | 不平衡安全率。2本の線への電流の偏りを見込んだ安全係数 |
| +加算値 | 2台目以降のエアコンや衣類乾燥機など大容量機器の上乗せ分(住宅面積70㎡超で5Aを加算) |
- 主開閉器の定格電流(A)= 最大需要電力(VA)÷100(V)÷2 ×1.3 + 加算値(A)。
- 「÷100(V)」は電力を電圧で割って電流に変換する部分。
- 「÷2」は単相3線式で電流が2本の電圧線に分かれるため。
- 「×1.3」は不平衡安全率で、線への偏りを見込んだ安全係数。
- 「加算値」は大容量機器の上乗せ分で、住宅面積が70㎡を超える場合に5Aを加算する。
STEP②|分岐回路数を決める
分岐回路の設計は「電気をどう分けるか」を決める作業です。回路が少なすぎると特定のブレーカーに負荷が集中して、ブレーカーが落ちる原因になります。
分岐回路数 = 一般回路数 + 専用回路数 + 予備回路数
一般回路|コンセントと照明の回路
1回路あたりの最大負荷容量は 分岐ブレーカーの遮断容量×0.8×電圧の値を目安にします。例えば、一般的使用する20A×0.8×100V=1,600VA、これを超えないよう機器を割り振るのが基本です。
照明回路については、接続できる器具数にも制限があります。
1,600(VA)≧ 400(VA)×シャンデリア数 + 150(VA)×主照明器具数 + 60(VA)×その他照明器具数
ダウンライトや廊下・トイレの照明は1灯60 VA。シャンデリアは1灯400 VAです。豪華な照明を多用する住宅では照明回路が増えることを覚えておいてください。
| 住宅面積 | 台所コンセント | その他コンセント | 照明 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 50㎡(15坪)以下 | 2 | 2 | 1 | 5回路 |
| 70㎡(20坪)以下 | 2 | 3 | 2 | 7回路 |
| 100㎡(30坪)以下 | 2 | 4 | 2 | 8回路 |
| 130㎡(40坪)以下 | 2 | 5 | 3 | 10回路 |
| 170㎡(50坪)以下 | 2 | 7 | 4 | 13回路 |
台所が常に2回路確保されているのは、電子レンジ・炊飯器など大容量機器が集中しやすいためです。
専用回路|大容量機器には1回路ずつ
専用回路とは「その機器だけのために用意する回路」のことです。1kW以上の大容量機器には必ず専用回路を設けてください。
新人がやりがちなミスが「コンセントの位置が近いから同じ回路にまとめる」です。電子レンジとトースターを同じ回路にすれば、両方を同時に使った瞬間にブレーカーが落ちます。「使うたびに落ちる」というクレームに直結するので、大容量機器の専用回路は妥協しないでください。
| 場所 | 専用回路数 | 必須で専用の機器 | 使い方次第で専用が必要な機器 |
|---|---|---|---|
| 台所 | 1 | 電子オーブンレンジ | 食器洗浄・乾燥機 |
| 台所 | 1 | 炊飯ジャー | オーブントースター |
| 食事室 | 1 | ホットプレート | 電磁調理器、電熱コンロ |
| 居間・寝室 | 1 | エアコン | セラミックヒーター、電気カーペットなど |
| 子供室 | 1 | エアコン | 同上 |
| トイレ | 1 | 温水洗浄便座 | ― |
| 洗面・脱衣室 | 1 | 衣類洗濯・乾燥機 | ヘアードライヤー |
「使い方次第で必要」の機器はお客様へのヒアリングが必須です。「食洗機と電子レンジを同時に使いますか?」――こういった具体的な確認を怠ると、後でクレームになります。迷ったら専用回路を設けるほうが絶対に安心です。
予備回路|後悔しないために今確保する
分電盤の回路を後から増やすのは、盤の交換や追加工事が必要になることが多く、費用も手間もかかります。「今は必要ない」と言っていたお客様が数年後にEVを購入したり、蓄電池を導入したりするケースは非常に多いです。
新築・リフォーム時に最低2〜3回路の予備を確保しておくことを習慣にしてください。
| 照明器具の区分 | 1台あたりの容量 |
|---|---|
| シャンデリア | 400VA |
| 主照明器具 | 150VA |
| その他照明器具 | 60VA |
- 分岐回路数 = 一般回路数 + 専用回路数 + 予備回路数。
- 1回路あたりの最大負荷容量は、分岐ブレーカーの遮断容量×0.8×電圧が目安(20A×0.8×100V=1,600VA)。
- 照明回路は、1,600VA以上となるよう「400VA×シャンデリア数+150VA×主照明器具数+60VA×その他照明器具数」で確認する。
STEP③|絶対に外せない安全確認
⚡「中性線欠相保護付」は省略しない
単相3線式では「中性線欠相」という故障が起きることがあります。中性線(N線)が断線すると、電圧のバランスが崩れ、本来100Vしかかからない機器に150〜200V近い異常電圧が発生します。結果、テレビ・冷蔵庫・エアコンが一度に壊れるという最悪の事態になります。
中性線欠相保護付の漏電遮断器はこの異常を検知して即座に遮断します。
- 単相3線式では「中性線欠相」という故障が起きることがある。
- 中性線(N線)が断線すると電圧のバランスが崩れ、本来100Vの機器に150〜200V近い異常電圧が発生する。
- その結果、テレビ・冷蔵庫・エアコンが一度に壊れる事態になる。
- 中性線欠相保護付の漏電遮断器は、この異常を検知して即座に遮断する。
よくある質問(FAQ)
Q. 電灯負荷の主開閉器の定格電流はどう求めますか?
A. 「最大需要電力(VA)÷100V÷2×1.3+加算値」で求めます。算出値に近い上位の規格容量を選定します。
Q. 計算式で「÷2」するのはなぜですか?
A. 単相3線式では電流が2本の電圧線(L1・L2)に分かれて流れるためです。さらに不平衡を見込んで×1.3の安全率を掛けます。
Q. 専用回路はどんな機器に必要ですか?
A. 1kW以上の大容量機器(電子レンジ・炊飯ジャー・エアコン・温水洗浄便座など)には必ず1回路ずつ専用回路を設けます。
Q. 「中性線欠相保護付」は省略してよいですか?
A. 省略は厳禁です。中性線が断線すると異常電圧が発生し、家電が一度に壊れる重大事故につながります。単相3線式では必須です。
ペン太
ハリタまとめ|現場で使えるチェックリスト
施工前に以下を確認する習慣をつけてください。
主開閉器まわりとして、住宅面積から推奨アンペアを算出しているか、エアコン2台目以降・乾燥機などの加算を忘れていないか、将来の設備追加(EV・太陽光など)を考慮しているかを確認します。
分岐回路まわりとして、一般回路数が住宅面積の基準を満たしているか、1kW以上の大容量機器に専用回路があるか、予備回路を2〜3回路確保しているか、お客様の生活スタイルを踏まえた設計になっているかを確認します。
安全まわりとして、相線式と回路電圧が図面と一致しているか、単相3線式に中性線欠相保護付の漏電遮断器を使っているかを確認します。
住宅用分電盤の選定は、主開閉器を計算式から求め、分岐回路を容量から割り振り、中性線欠相保護で守るという3つの段階で組み立てられます。
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 計算式の「÷2」は電流を半分にしてよいという意味 | 単相3線式で電流が2本の電圧線に分かれることを表す。さらに1.3倍の安全率を掛ける |
| 「×1.3」は余裕を見た任意の係数 | 不平衡安全率。2本の線に電流が均等に流れないことを見込んだ係数 |
| 加算値はエアコンの台数だけで決まる | 2台目以降のエアコンや衣類乾燥機などに加え、住宅面積70㎡超でも5Aを加算する |
| 分岐回路は一般回路だけ数えればよい | 一般回路数+専用回路数+予備回路数の合計で考える |
| 1回路の容量はブレーカーの定格まで使える | 遮断容量×0.8×電圧が目安(20A・100Vなら1,600VA) |
| 照明は台数だけ見ればよい | 器具の区分ごとの容量で合計を確認する |
| 漏電遮断器なら種類は問わない | 単相3線式では中性線欠相保護付を選ぶ |
主開閉器で押さえること
- 最大需要電力の求め方。
- 計算式の各要素の意味。
- 加算値の条件。
分岐回路で押さえること
- 一般・専用・予備の内訳。
- 1回路あたりの最大負荷容量。
- 照明器具の区分ごとの容量。
安全確認で押さえること
- 中性線欠相という故障の内容。
- 異常電圧が機器に与える影響。
- 中性線欠相保護付漏電遮断器の役割。
分電盤の選定は、数字を当てはめる作業に見えて、実は「その家でどう電気が使われるか」を読む作業です。計算式の意味まで押さえておくと、条件が変わったときも自分で判断できるようになります。
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