この記事は、連載「引込・受電設備の設計マニュアル」第3回 引込方式とルート の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
全体像:電力の1引込・2引込の定義と対策方法
 

需要家1引込

 
今回の疑問

 

電力引込における1引込2引込の

違いと検討方法について知りたい!

 

あにまるさん
あにまるさん
こっちから引き込むと都合いいんだよな~

はりた
はりた
引込方法について検討しているのかな?

あにまるさん
あにまるさん
そうなんだよ、増築工事で別棟が建つんだけど引込を分けた方が近いんだよな~

はりた
はりた
ちょっと待って!引込方法は基本的に1引込だから注意しないといけないよ!
結論

 

本記事のおすすめの方

  • 電力引込について検討している方
  • 1引込2引込について調べている方
  • 2引込にしたいが対策方法について調べている方
 
この記事でわかること

  1. 電力引込の定義
  2. 1引込2引込の違いについて
  3. 2引込が可能な場合
 
ペン太ペン太
同じ敷地に建物が2棟あれば、引込も2つ取れるものだと思っていました。
ハリタハリタ
原則は1需要家1引込です。1構内または1建築物を1需要場所として扱うのが電力供給の基本ルールですよ。

よくある質問(FAQ)

電力引込は1引込と2引込どちらが原則ですか?

1需要家1引込が原則です。1構内または1建築物を1需要場所とするため、同一構内に2棟の建物を建てる場合でも、原則として同じ引込箇所から供給します。

2引込(別引込)にできる場合はありますか?

建物が独立している(渡り廊下等でつながっていない)など条件を満たす場合は、同一構内であっても電力会社との協議の上で別引込が可能な場合があります。

1構内と1建築物の違いは何ですか?

1構内とは同一敷地内を利用者が行き来できる状態を指し、1建築物とは建物が独立している状態を指します。

別構内として分けるにはどうすればよいですか?

敷地内に柵やへいを設けて構内を完全に分離します。柵の途中に開口部や扉があると分離とみなされないため注意が必要です。最終的な判断は管轄の電力会社との協議によります。

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この3つ、すぐ答えられますか

  • 電力の引込は、1引込と2引込のどちらが原則ですか。
  • 1構内と1建築物は、それぞれ何を指しますか。
  • 敷地内に柵を設けても別構内と認められないのは、どんな場合ですか。
この記事の道案内
電力の1引込・2引込について、定義の整理から別引込の検討と協議までをまとめます。

引込の条件

トピック1:引込の条件
需要場所について

需要場所は、1構内又は1建築物を1需要家とする。

あにまるさん
あにまるさん
え!これじゃあ1引込しかできないじゃないか~

はりた
はりた
電力会社の供給条件では1需要家1引込が原則なんだよ

あにまるさん
あにまるさん
何とかする方法はないのか~

はりた
はりた
電力会社との協議をお勧めするけど、協議方法を解説していこう!
ここまでのポイント
  • 需要場所は、1構内又は1建築物を1需要家とする。
  • 電力会社の供給条件では、1需要家1引込が原則。

敷地の状況を確認する

トピック2:敷地の状況を確認する
敷地の状況を確認する

例として、よくある工事計画として緑の既設建物に対し、オレンジの離れを建設予定とします。このような計画の際既設建物から幹線を分岐するとコストがかかるため、最寄りの電柱から供給できないかといった問い合わせを多く受けます

ここで、計画状況を整理し管轄の電力会社と協議を行う必要があります

ここまでのポイント
  • 既設建物に対して離れを建設する場合など、幹線を分岐するとコストがかかるため最寄りの電柱から供給できないかという相談が多い。
  • 計画状況を整理したうえで、管轄の電力会社と協議を行う必要がある。

1 構内または1 建築物を1 需要場所

トピック3:1 構内または1 建築物を1 需要場所
1 構内または1 建築物を1 需要場所

電力会社の供給場所による条件としては

『1構内または1 建築物を1 需要場所』

となっている場合が多く同一の構内において

2棟の建物を建てる場合原則

同じ引き込み箇所から供給する必要があります。

同一敷地であれば引込点を分けれない

 
ここまでのポイント
  • 電力会社の供給場所の条件は「1構内または1建築物を1需要場所」としている場合が多い。
  • 同一の構内で2棟の建物を建てる場合、原則として同じ引込箇所から供給する。
  • 同一敷地であれば引込点を分けられない。

1構内とは。

トピック4:1構内とは。
1構内を理解する

1構内とは、同一敷地内を利用者が行き来できる状態を指し

この状態に対し引き込みを分ける必要があります

ここまでのポイント
  • 1構内とは、同一敷地内を利用者が行き来できる状態を指す。
  • この状態に対して引込を分ける必要がある。

1建築物とは。

トピック5:1建築物とは。
1建築物を理解する

1建築物とは、建物が独立している状態である

『渡り廊下等でつながっていない』

検討事項

基本的な状況として、同一構内であるが建物は独立している状況であれば協議の上別引き込みが可能な場合があります。 同一構内  別構内の条件にできないか 別建築物  条件として可能

用語意味引込への影響
1構内同一敷地内を利用者が行き来できる状態この状態では引込を分けられない
1建築物建物が独立している状態(渡り廊下等でつながっていない)条件として別引込が可能
ここまでのポイント
  • 1建築物とは、建物が独立している状態をいう(渡り廊下等でつながっていない)。
  • 同一構内であっても建物が独立していれば、協議の上で別引込が可能な場合がある。

別構内の検討

トピック6:別構内の検討
別構内にできないか検討する

同一敷地内であっても物理的に柵等を設けて構内を別として分ける

NG例

構内を完全に分離していないパターン

柵の途中で開口部を設けている

柵の途中で扉を設けている

 
ペン太ペン太
柵に扉や開口部があるだけで、分離と認められないんですか⁉
ハリタハリタ
完全な分離が条件です。柵やへいで区切っても行き来できれば1構内のまま、別引込は検討できませんよ。

敷地内に柵、へいを設けて別敷地とする

敷地の分離判定
柵やへいで構内を完全に分離している別構内として検討できる
柵の途中に開口部を設けている完全な分離とは認められない
柵の途中に扉を設けている完全な分離とは認められない
ここまでのポイント
  • 同一敷地内であっても、物理的に柵等を設けて構内を別として分ける方法がある。
  • 柵の途中に開口部を設けている場合は、完全な分離とはみなされない。
  • 柵の途中に扉を設けている場合も同様。

管轄の電力会社と協議する

トピック7:管轄の電力会社と協議する
協議・検討

上記内容を理解した上で最終的な判断は管轄の電力会社との協議によります。 今回の内容は参考例なので実際の状況・協議内容等により異なりますので 必ず協議を行うようにしましょう。

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ペン太ペン太
条件を整えたつもりでも不安です。最後は何をすればいいですか?
ハリタハリタ
最終判断は管轄の電力会社との協議です。敷地状況の資料を揃えて早めに相談するのが確実ですよ。

まとめ|「構内」か「建築物」かで検討の道筋が変わる

電力の引込は、1需要家1引込が原則で、別引込を検討するなら「別建築物」か「別構内」のどちらで整理するかが出発点になります。

状況整理のしかた見通し
同一構内・同一建築物分ける根拠がない原則どおり1引込
同一構内・別建築物建物が独立していることを示す条件として別引込が可能
柵やへいで完全に分離別構内として整理する別構内の条件にできないか検討
柵に開口部や扉がある行き来できるため1構内のまま別引込は検討できない
いずれの場合も敷地と建物の状況を図で整理する最終判断は電力会社との協議

原則で押さえること

  • 需要場所は1構内または1建築物であること。
  • 1需要家1引込が原則であること。
  • 同一敷地では引込点を分けられないこと。

用語で押さえること

  • 1構内は「行き来できる状態」。
  • 1建築物は「独立している状態」。
  • 渡り廊下等でつながっていないかどうか。

検討と協議で押さえること

  • 別建築物として整理できるか。
  • 柵やへいによる完全な分離ができるか。
  • 最終判断は管轄の電力会社との協議によること。

引込を分けたいという相談は、たいてい幹線のコストが理由です。ただ、判断の軸は費用ではなく「構内」と「建築物」の定義にあります。まず敷地と建物の状況を図で整理してから協議に臨むと、話が早く進みます。

📘 体系的に学びたい方へ
このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。