強電設備の設計|単相回路の2次側電線太さの選定方法をわかりやすく解説
電灯回路の電線太さについて教えてほしい!
- 回路の負荷電流値回路構成に応じて電線太さを選定しましょう。
- 電灯回路の設計中の方
- 電灯回路の2次側電線サイズを知りたい方

ペン太
ハリタ内線規程の内容
1.分岐回路の電線の太さは,3605-2(分岐回路の種類)に規定する分岐回路の種類に応じ,3605-6表に示す値 (分岐点から一つの受日に至る部分で,長さが 3m以下の部分にコンセントを施設する場合は,当該部分を通過する負荷電流以上の許容電流)以上のものであること。ただし,3102-4(配線に用いる電線太さ)の①から④までのいずれかに該当する場合は,この限りでない。(解釈 149)
分岐回路の電線太さ
| 分岐回路の種類 | 電線の最小太さ 軟銅線 | 接続できるコンセントの定格 |
|---|---|---|
| 15A分岐回路 | 1.6mm(2.0mm²)以上 | 15A以下 |
| 20A配線用遮断器分岐回路 | 1.6mm(2.0mm²)以上 | 20A以下(15A・20A) |
| 20Aヒューズ分岐回路 | 2.0mm(3.5mm²)以上 | 20A |
| 30A分岐回路 | 2.6mm(5.5mm²)以上 | 20Aを超え30A以下 |
| 40A分岐回路 | 8mm² 以上 | 30Aを超え40A以下 |
| 50A分岐回路 | 14mm² 以上 | 40Aを超え50A以下 |
※ 内線規程 3605-2表(分岐回路の種類)・3605-6表(電線太さ)に基づく標準値。( )内はより線の断面積の目安。分岐点から受口までが3m以下でコンセントを施設する場合など、条件により緩和・特例があります。
〔備考1〕 分岐点から一つの受口に至る部分欄の一については,分岐回路一般欄で規定している電線太さ以上のものを使用すれば長さ3m以下に限らなくともよいことを示す。
〔備考2〕 銅線の ( )は MIケ ーブルの場合を示す。
〔備考3〕 電光サイン装置のように,一定した負荷の場合において最大使用電流が5A以下
のものは,全回路にわたり銅電線 16mmを使用することができる。
〔備考4〕 ライテイングダクトは, ダクト本体に表示された定格電流をいう。
〔備考5〕 この表は,単相3線式分岐回路についても適用する。
〔備考6〕 許容電流を満たす仕様のケーブルサイズを適用してもよい。なお,製品によってはケーブルが対応できても接続する製品側が対応できない場合がある。
2次側電線の太さを決める3つの条件
単相回路の2次側(負荷側)電線の太さは、次の3つの条件をすべて満たす最小サイズを選ぶのが基本です。どれか1つでも外れると、発熱・電圧不足・保護不良の原因になります。
①許容電流(安全に流せる電流)
電線の許容電流 ≧ その回路に流れる負荷電流。カタログの許容電流をそのまま使わず、周囲温度と同一管内の電線条数(電流減少係数)で補正した値で判定します。
②電圧降下(末端で電圧が下がりすぎない)
こう長が長いほど電圧降下は大きくなります。内線規程1310節の許容値以内に収める必要があり、単相2線式と単相3線式で計算式が異なります(後述)。
③過電流保護との協調
配線用遮断器(ブレーカー)で電線を過電流から保護できる組合せであること。15A・20A分岐回路などは、内線規程3605節の最小太さの規定にも適合させます。
実務では、短距離なら①許容電流、長距離なら②電圧降下が支配的になります。まず負荷電流から仮のサイズを決め、こう長で電圧降下を検算する流れが確実です。
電圧降下の計算式と計算例
低圧配線の電圧降下は、内線規程の簡易式で概算できます(導体は銅、こう長L〔m〕・電流I〔A〕・断面積A〔mm²〕)。
単相2線式:e = 35.6 × L × I ÷ (1000 × A) 〔V〕
単相3線式・三相4線式(中性線と電圧線間):e = 17.8 × L × I ÷ (1000 × A) 〔V〕
三相3線式:e = 30.8 × L × I ÷ (1000 × A) 〔V〕
単相2線式の係数35.6は、行き帰り2本ぶんの抵抗が効くためで、単相3線式(17.8)のちょうど2倍です。同じ負荷でも単相3線式のほうが電圧降下は約半分になります。
計算例:単相2線式 100V・負荷20A・こう長15m
断面積5.5mm²の電線を使った場合の電圧降下は、
e = 35.6 × 15 × 20 ÷ (1000 × 5.5) ≒ 1.9V(約1.9%)
となり、標準の2%以内に収まります。ここで細い2mm²にすると、
e = 35.6 × 15 × 20 ÷ (1000 × 2.0) ≒ 5.3V(約5.3%)
と許容値を大きく超えるため不採用。許容電流だけでなく電圧降下でもサイズが決まる典型例です。
計算例:単相3線式なら同条件で約半分
同じ100V負荷20A・こう長15mを単相3線式(5.5mm²)で見ると、
e = 17.8 × 15 × 20 ÷ (1000 × 5.5) ≒ 1.0V(約1.0%)
と、単相2線式の約半分に収まります。こう長が長い回路や電圧降下が厳しい負荷では、単相3線式が有利です。
ペン太
ハリタ許容電流は「補正後の値」で判定する
電線の許容電流は、カタログ値(基準周囲温度30℃・単独布設など)そのままではなく、実際の使用条件で補正して使います。
- 周囲温度補正:盤内・二重天井など高温部では許容電流が下がります。
- 電流減少係数:同一管内にまとめる電線が多いほど放熱が悪くなり、許容電流を低減します(内線規程の例:3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56)。
「補正後の許容電流 ≧ 負荷電流」を満たすことが条件です。管内に多条数をまとめる設計では、この補正で1サイズ太くなることが珍しくありません。
実務でつまずきやすいポイント
- 負荷電流は定格だけでなく、力率や起動電流も見て実態で評価する。
- 電圧降下は往復で効く(単相2線の係数が大きいのはこのため)。
- ブレーカー定格と電線許容電流は、単純な大小比較ではなく内線規程3605節の分岐回路規定で協調させる。
- 周囲温度の高い場所・多条数の管内では許容電流の補正を必ず行う。
- 将来の増設やこう長の余裕を見て、迷ったら1サイズ上も検討する。
よくある質問(FAQ)
Q. 2次側電線の太さはどうやって決めますか?
A. 許容電流・電圧降下・過電流保護との協調の3条件をすべて満たす最小サイズを選びます。まず負荷電流で仮のサイズを決め、こう長で電圧降下を検算する流れが確実です。
Q. 電圧降下の許容値はどのくらいですか?
A. 内線規程1310節では、幹線・分岐回路それぞれで標準電圧の2%以下が基本です。こう長が60mを超える場合は緩和値(例:120m以下で4%程度)が定められています。詳細は内線規程で確認してください。
Q. 単相2線式と単相3線式で電圧降下の計算式は違いますか?
A. 違います。単相2線式は e=35.6×L×I÷(1000×A)、単相3線式(中性線と電圧線間)は e=17.8×L×I÷(1000×A) で、単相3線式は同条件で約半分の電圧降下になります。
Q. 許容電流はカタログ値をそのまま使えますか?
A. そのままは使えません。周囲温度と同一管内の電線条数(電流減少係数)で補正した値が、負荷電流以上になっているかを判定します。
Q. ブレーカーの定格と電線の太さの関係は?
A. 単純な大小比較ではなく、電線を過電流から確実に保護できる組合せにします。15A・20A分岐回路などは内線規程3605節の最小太さの規定に適合させます。
ペン太
ハリタ出典:本記事の表・数値は内線規程(JEAC 8001)およびJIS規格をもとに作成しています。適用にあたっては最新版の原典をご確認ください。
30秒アンケートこの記事は役に立ちましたか?
タップするだけで完了します。あなたの声でこのサイトは育ちます。
ご回答ありがとうございます!
よければ、あと3つだけ教えてください(任意・答えなくてもOK)
ありがとうございました。いただいた声は記事の改善に使わせていただきます。



