EV充電器の設計手順と検討方法について知りたい!
【設置検討者・設計者向け!】
- EV充電器の容量を知りたい方
- EV充電器の設置基準について知りたい方
- EV充電器の基礎知識を知りたい方
- EV充電器の設置予定のある方
電気設備設計者視点での最適な選定方法をご紹介します!
EV充電器の選定手順
まずEV充電器を設置計画する場合、下記の条件について条件を整理してみましょう。
充電器の種類 | 普通・急速 |
充電器の容量 | 6kW・30kW・50kW・180kW |
充電器の台数 | 1台・2台・3台・・・・ |
プラグの個数 | 1プラグ・2プラグ |
受電方法 | 低圧・高圧 |
引込方法 | 単独引込・一括引込 |
工事の種類 | 新築工事・増設工事 |
設置場所 | 自立・壁掛 |
EV充電器の種類
EV充電器の種類は多く分けて普通充電器、急速充電器の2種類があり、主な使い分けとしては普通充電器=家庭用、急速充電器=店舗、産業用といった方法が主流となります。この普通充電器・急速充電器どちらを選定するかによって必要なコスト、設備が大きく変わってくるため条件を整理し設置検討を行いましょう。
EV充電器の選定方法
EV充電器の使用環境を検討する
EV充電器を設置するにあたり重要なのが[どのような利用方法か]という点です。充電器を設置検討する場合車の駐車時間、車の設置台数、将来の増設予定を考慮して計画を行う必要があります。
例えば、設置費用を抑えるために普通充電器を設置したが駐車時間が短く思った充電時間が確保できなかったり、後から増設しようと思ったが、既設の機器まで更新が必要となり不要なコストが掛かってしまったなど、計画時に十分な検討を行っていれば将来のリスクを抑えることができます。
車の給電(駐車)に必要な時間を考慮する
EV充電器の仕様で最も重要なものは充電に必要な時間です。EV充電器の給電は接続する車種(バッテリーの容量)また機器内の制御により一定ではないため正確な時間を算出するのは難しいですが目安としては下記表になります。
給電時間の算出方法
電力[給電能力]×1時間 = 充電量
車のバッテリー容量 / 充電量 = 充電時間[目安]
充電器の容量
普通充電器 | 主流の容量 | 充電量 |
3kW | 3kWh | |
6kW | 6kWh |
急速充電器 | 主流の容量 | 充電量 |
30kW | 30kWh | |
50kW | 50kWh |
車種ごとのバッテリー容量
メーカー | 車種 | バッテリー容量 |
日産 | サクラ | 20kWh |
日産 | リーフ | 40kWh |
日産 | アリア | 66kWh |
充電時間の目安
メーカー | 車種 | BT容量 | 充電器 | 容量 | 充電時間 |
日産 | サクラ | 20kWh | 普通 | 3kW | 6.7時間 |
サクラ | 20kWh | 6kW | 3.3時間 | ||
リーフ | 40kWh | 3kW | 13.3時間 | ||
リーフ | 40kWh | 6kW | 6.7時間 | ||
アリア | 66kWh | 3kW | 22.0時間 | ||
アリア | 66kWh | 6kW | 11.0時間 |
メーカー | 車種 | BT容量 | 充電器 | 容量 | 充電時間 |
日産 | サクラ | 20kWh | 急速 | 30kW | 0.67時間 |
サクラ | 20kWh | 50kW | 0.4 時間 | ||
リーフ | 40kWh | 30kW | 0.8 時間 | ||
リーフ | 40kWh | 50kW | 0.8 時間 | ||
アリア | 66kWh | 30kW | 2.2 時間 | ||
アリア | 66kWh | 50kW | 1.32時間 |
駐車場所・時間に応じて選定しよう!
駐車場所 | 駐車時間 | EV充電器の種類 |
自宅 | 10時間以上可 | 普通充電器 |
ホテル | 10時間以上可 | 普通充電器 |
病院 | 10時間以上可 | 普通充電器 |
店舗 | 2~3時間 | 急速充電器 |
道の駅 | 2~3時間 | 急速充電器 |
パーキングエリア | 2~3時間 | 急速充電器 |
充電の分類 出発地
【基礎充電】← 移動中 →
【経路充電】目的地
【目的地充電】場所 ご自宅、事業用駐車場など 高速道路、道の駅、ガソリンスタンドなど ホテル、病院など 使用イメージ 充電 継ぎ足し充電 充電 主な充電設備 普通充電器
3kW~6kW急速充電器
50kW普通充電器
3kW~6kW想定滞在時間 10時間前後 / それ以上 30分~数時間 数時間~10時間前後 出典:(電気自動車の充電について学ぶ | [EV・PHEV 充電用]充電設備(ELSEEVなど) | Panasonic)より
駐車時間を考慮する場合
- 普通充電器:10時間程度駐車可能な場合に設置検討する
- 急速充電器:短時間の駐車の場合設置検討する
設置コストによる検討方法
普通充電器と急速充電器では機器容量が大きく違い供給に必要な電気設備も普通と急速を境に大きく異なります。
- 一般的に普通充電器の6kWというのは一人暮らしに必要な電気製品の2世帯分に相当します。
- そして急速充電器の50kWというのは2階建ての事務所の電気容量に相当します。
そのため急速充電器のような莫大な電力を供給するためには機器本体と別にキュービクルと呼ばれる電気設備の設置が必要となっています。
普通充電器の設置費用
条件として既設の建物・場所に増設する場合の設置コストを想定しています
(費用はあくまで参考となります)
- 既設住宅への増設
- 低圧での契約
- 壁掛標準型6kWの普通充電器×1台
設備項目 | 内容 | 概算金額 |
機器本体 | 壁掛型標準型6kW | 200,000‐ |
分電盤の交換 | ブレーカー類の交換 | 150,000‐ |
ケーブルの配線工事 | 100,000‐ |
普通充電器の場合
- 機器本体とブレーカーの更新、ケーブルの配線工事で済む場合が多い
- 急速充電器に比べ機器本体の費用が抑えられる
急速充電器の設置費用
条件として既設の建物・場所に増設する場合の設置コストを想定しています
(費用はあくまで参考となります)
- 既設施設への増設
- 高圧での契約
- 50kWの急速充電器×1台
設備項目 | 内容 | 概算金額 |
機器本体 | 急速充電器50kW | 8,000,000‐ |
電力の引込 | 1,500,000‐ | |
キュービクルの設置 | 2,000,000‐ | |
ケーブルの配線工事 | 500,000‐ |
急速充電器の場合
- 電気容量が大きいため既設と別に電気の引込設備が必要となる場合が多い
- 機器本体が高額である
- イメージとしては事務所が1棟建つ程度の必要が必要となる
補助金を活用する
補助事業の執行団体 | 補助対象事業 | 対象経費 | |
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国が交付 するもの |
一般社団法人次世代自動車振興センター | ・高速道路SA・PA及び道の駅等
・商業施設及び宿泊施設等 ・マンション及び事務所・工場等 |
①充電設備の購入費
②充電設備の設置工事費 |
自治体が交付 するもの |
各自治体によって異なる (例)東京都の助成金の場合 東京都地球温暖化防止活動推進センター |
(例)東京都の助成金の場合・充電設備の所有者 | (例)東京都の助成金の場合①充電設備購入費
②充電設備設置工事費 ほか |
令和3年度補正「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」 | [EV・PHEV 充電用]充電設備(ELSEEVなど) | Panasonic
- 一般住宅に設置予定の方
- 車両の走行時間が短い方
- 駐車時間に余裕のある方