電気設備の基本知識 #013【電気設備技術基準の規定】
家のコンセントは100V、ビルの受電は6,600V、送電線は数十万V。電気の世界には、たくさんの電圧があります。そして、すべての電気設備は電気設備技術基準という安全のルールにもとづいてつくられています。この記事では、ルールの体系、送電の流れ、電圧の区分、対地電圧、住宅の対地電圧の制限を、図とたとえで1つずつ解説します。
結論
電圧は低圧(交流600V以下・直流750V以下)、高圧(7,000V以下)、特別高圧の3つ。住宅の屋内電路は対地電圧150V以下が原則で、2kW以上の機器などの条件をすべて満たせば300V以下にできます。
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ルールの体系 ― 法律から現場の規程まで
電気の安全を守るルールは、何段にも重なっています。大もとは国の法律である電気事業法。その下に、電気設備が守るべき安全の性能を定めた電気設備技術基準(省令、略して電技)があります。
電技は「感電や火災のおそれがないようにすること」のように、目標を定めています。その目標を満たす具体的な方法の例を示したのが電気設備技術基準の解釈です。さらに現場の施工方法をくわしく定めた民間の規程として内線規程があります。たとえるなら、電技が校則、解釈がその守り方のマニュアルです。
- 大もとは電気事業法
- 電技は守るべき性能、解釈は具体的な方法の例
- 内線規程は現場の施工方法をさらにくわしく
送電の流れ ― 上げて運び、下げて使う
発電所でつくった電気は、変電所でとても高い電圧に上げて送電線で運ばれます。同じ電力を送るなら、電圧が高いほど電流が小さくて済み、電線での損失を減らせるからです。
使う場所が近づくと、変電所で段階的に電圧を下げ、最後は電柱の柱上変圧器で100V・200Vにして家に届けます。たとえるなら、遠くへは高速道路でまとめて運び、近くなったら一般道に下りるようなものです。
- 高い電圧で運ぶと損失が少ない
- 変電所で段階的に電圧を下げる
- 柱上変圧器で100V・200Vにして家へ
電圧の区分 ― 低圧・高圧・特別高圧
| 区分 | 交流 | 直流 | 主な例 |
|---|---|---|---|
| 低圧 | 600V以下 | 750V以下 | 家庭・一般の店舗(100V・200V) |
| 高圧 | 600Vを超え7,000V以下 | 750Vを超え7,000V以下 | ビル・工場の受電(6,600V) |
| 特別高圧 | 7,000Vを超える | 7,000Vを超える | 大きな工場・ビルの受電、送電線 |
- 低圧:交流600V以下・直流750V以下
- 高圧:7,000V以下
- 特別高圧:7,000Vを超える
対地電圧 ― 大地との間の電圧
対地電圧は、電線と大地との間の電圧です。人は大地の上に立っているので、電線に触れて感電したとき、体にかかるのはこの対地電圧です。
家庭で使われる単相3線式は、電圧線2本と中性線1本の3本で送ります。中性線は接地されているので、電圧線と中性線の間は100V、電圧線どうしは200Vですが、対地電圧はどちらも100Vです。つまり、200Vのエアコンを使っていても、対地電圧は100Vに抑えられています。
- 対地電圧は、電線と大地との間の電圧
- 感電したとき体にかかるのは対地電圧
- 単相3線式なら200Vでも対地電圧は100V
住宅の制限 ― 原則150V、条件つきで300V
住宅の屋内電路の対地電圧は、原則として150V以下です。人が暮らす場所なので、感電したときの危険を小さくするためです。
ただし、定格消費電力2kW以上の大きな機器に電気を送る場合は、次の条件をすべて満たせば300V以下にできます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 機器 | 定格消費電力2kW以上の電気機械器具 |
| 接触防護 | 電路に簡易接触防護措置をする |
| 接続 | 機器は屋内配線と直接接続する(コンセントを使わない) |
| 開閉器・遮断器 | 専用の開閉器と過電流遮断器を設ける |
| 漏電遮断器 | 地絡したときに自動で電路を遮断する装置(漏電遮断器)を設ける |
くわしい条件と例外は「電気設備の基本知識 #035【住宅の屋内電路の対地電圧制限】」で解説しています。漏電遮断器の決まりは「電気設備の基本知識 #034【漏電遮断器の施設と省略】」も参考にしてください。
- 住宅の屋内電路は対地電圧150V以下が原則
- 2kW以上の機器で条件をすべて満たせば300V以下
- 直接接続・専用の開閉器と遮断器・漏電遮断器が条件
押さえる要点 ― 数字と考え方
電圧の区分と対地電圧の考え方は、配線方法、接地、漏電遮断器など、ほかのあらゆるルールの土台になります。次の#014は「電気設備の基本知識 #014【絶縁電線の許容電流】」です。
- ルールは法律→電技→解釈→内線規程
- 低圧600V・750V、高圧7,000Vが境目
- 住宅は対地電圧150V以下が原則
よくある質問
低圧・高圧・特別高圧の区分は?
低圧は交流600V以下・直流750V以下、高圧は低圧を超えて7,000V以下、特別高圧は7,000Vを超えるものです。家庭の100V・200Vは低圧、多くのビルや工場が受電する6,600Vは高圧です。
電気設備技術基準と「解釈」の違いは?
電気設備技術基準(省令)は、電気設備が守るべき安全の性能を定めたルールです。電気設備技術基準の解釈は、その性能を満たす具体的な方法の例を示したものです。さらに現場の施工方法をくわしく定めた民間の規程として、内線規程があります。
対地電圧とは何ですか?
電線と大地との間の電圧です。家庭で使われる単相3線式では中性線が接地されているので、電圧線と中性線の間の100Vも、電圧線どうしの200Vも、対地電圧はどちらも100Vになります。
住宅の屋内電路の対地電圧はなぜ150V以下なのですか?
人が電線や機器に触れたとき、体にかかるのは対地電圧だからです。感電したときの危険を小さくするため、住宅の屋内電路の対地電圧は原則として150V以下に制限されています。
対地電圧300V以下が認められるのはどんな場合ですか?
定格消費電力2kW以上の機器に電気を送る場合で、電路に簡易接触防護措置をする、機器を屋内配線と直接接続する、専用の開閉器と過電流遮断器を設ける、漏電遮断器を設ける、などの条件をすべて満たす場合です。
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