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PASの設計|地絡継電器『方向性』有無の判断基準と使用用途について詳しく解説

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逆走は危険です

 

今回の疑問

 

PASの方向性ってどうやって決めるの?

 

結論

設置基準にかかわらず地絡継電器の方向性機能は付けることをお勧めします

理由

  • もらい事故を防ぐことができる
  • 方向性の有無によるコスト差が小さい(数万円程度)

(取付無しにしたことによるリスクのほうが大きい)

本記事のおすすめの方
  • PASの方向性について知りたい方
  • 方向性の選定方法について知りたい方…など

 

この記事のカテゴリー

方向性の機能(もらい事故の防止)

もらい事故の防止
  • もらい事故とは(波及事故)
  • 近隣の需要家を【需要家A】、自身の需要家を【需要家B】とします

需要家【A】(例えば隣の敷地の建物)で

地絡事故が発生したとします。

その場合、需要家【A】のPASは電力会社の配電線側への

事故電流の流出を防ぐためPASを解放させます。(SOG動作)

その事故電流が需要家【B】にも流れてしまい、

自身の需要家のPASも解放されてしまう現象のことになります。

(全館停電を起こしてしまいます)

あにまるさん
あにまるさん
全館停電を起こされるのは困るな

はりた
はりた
PASは電気事故が発生した場合の波及事故を防ぐ目的があるんだよ!

波及事故のおはなし | 北海道でんき保安協会 (hochan.jp)



方向性の設置基準

あにまるさん
あにまるさん
じゃあその方向性の有無っていうのはどうやって判断するんだい?

はりた
はりた
有無の選定基準としては、高圧ケーブルの長さによって基準が決まっているんだよ!詳しく解説していこう!

方向性の有無がケーブル長さによって決まる理由

対地静電容量について

高圧ケーブルが長くなると対地静電容量が大きくなり、

他の需要家からのもらい事故が発生する可能性が高くなります。

地絡を生じると需要家側での対地静電容量に応じた電流が流れます。

この時地絡継電器に地絡電流が流れ、無方向性の地絡継電器では

設定値以上になると開閉器を遮断することになります。

方向性地絡継電器を設置すると、地絡電流の向き(ベクトル)

判定するため配電線路からのもらい事故の影響を受けなくてすみます。



方向性の有無について|対地静電容量を求めるフロー

対地静電容量について

高圧電路に地絡が生じた際、自動的に電路を遮断する必要があります

事業者・他の需要家側で地絡が生じた場合、

需要家側対地静電容量に応じた電流が流れます

対地静電容量に応じた電流が地絡継電器の設定値以上になると

開閉器を遮断します(もらい事故・波及事故)

地絡継電器の設定値以下であれば地絡継電器は作動しないため

方向性の有無は”対地静電容量=ケーブルの長さ”

によって選定することができます

 

公称断面積(mm2) 無方向性で0.2A設定の時の最大使用可能ケーブル長さ(m)
CVおよびCVTケーブル
60Hz 50Hz
22 50 60
38 42 51
60 36 43
100 29 35

 



推奨ケーブル長さの求め方

対地静電容量の計算式
Co 対地静電容量
Ig 地絡電流
周波数
E 戦艦電圧

計算例

地絡継電装置の検出感度を ”Ig=0.2A” とする

0.06[μF]50Hzの場合

0.0464[μF]60Hzの場合

先ほど求めた対地静電容量をケーブルごとの

1線あたりの静電容量(μF/km)で割り戻し長さを求めましょう

=145[m]となります

実際の地絡電流は計算より大きく流れるため計算値の0.3~0.5を推奨値とします

出典:(高圧受変電設備規程)より

あにまるさん
あにまるさん
この表の推奨値いかなら方向性なしでもいいんだな!

はりた
はりた
そうだね!計算上は方向性を無でも良いということになるね!



無方向性の場合|推奨ケーブル長さ

無方向性の最大使用可能ケーブル長さ



 

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まとめ

方向性の基準と選定方法について

方向性地絡継電器の目的

  • もらい事故の防止

方向性設置有無の基準

  • 負荷側の高圧電路が長いなどの条件により対地静電容量が大きい場合
  1. 電気事業者側で地絡が発生
  2. 需要家側での対地静電容量に応じ電流が流れる
  3. 電流Igが地絡継電器の設定値以上になると開閉器が遮断する[もらい事故

方向性付にするとこのIgのベクトルを判定(配電系統からの地絡電流である)するためもらい事故の影響を受けない

不要なもらい事故防止のためにも方向性の設置を推奨するが基準としてケーブルの長さによる方向性の要否判断基準を示す



 

この記事を書いた人
HARITA
電気設備設計に従事し、自身の経験を基に設計の知識向上のためこのサイトを運営しています。