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PASの設計|PASの仕様選定方法と定格電流の計算方法について詳しく解説

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PASは需要家の心臓である

 

今回の疑問

 

PASの定格電流ってどうやって求めるの?

その他の機能ってどうやって決めてるの?

 

結論

定格電流は次の要素より算出し求めたサイズの大きいほうを採用します

  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

PASの仕様の選定方法は下記項目から確認しましょう!

定格電圧、定格電流 温度計無料アイコン
制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否) ツールボックス
地絡リレーの方向性の要否 順番
LA内蔵の要否 稲妻
ケースの選定 ボックス
設置環境の確認 太陽のないアイコン

 

あにまるさん
あにまるさん
PASの200A・300Aってどうって決めるんだぁ

はりた
はりた
それは計算によって求めることが可能だよ!

あにまるさん
あにまるさん
なんだか難しそうだな~

はりた
はりた
それじゃあ計算式と手順を解説していくよ!



本記事のおすすめの方
  • PASの電流値の計算方法を知りたい方
  • PASの電圧の計算方法を知りたい方
  • PASのVTの基準について知りたい方…など
この記事でわかること
  1. PASの定格電流の求め方
  2. PASの定格電圧の求め方
  3. 方向性の選定方法
  4. LAの選定方法
  5. VTの選定方法
  6. 一般防水・SUSの選定方法



この記事のカテゴリー

PAS(気中負荷開閉器)の用途について

PAS 設置基準

あにまるさん
あにまるさん
PASの使用用途っていったい何なんだい?

はりた
はりた
PASは電気事故が発生した場合の波及事故を防ぐ目的があるんだよ!

あにまるさん
あにまるさん
波及事故?なんだか難しいな・・・

はりた
はりた
電力引込口に取り付けて事故時に回路を遮断することで他の需要家への事故電流が流れるのを防いでいるんだよ!

 

PASの用途

PASの主な用途は、設置されている需要家側での

電気事故が発生した際の波及事故を防ぐ役割があります。

電柱

PASとキュービクル間を接続する高圧ケーブルの地絡・短絡事故は

キュービクル側での保護ができないためPASを設置し

SOGから信号を受けて回路を遮断します。

無線

PASは、SOG動作機能を搭載しているため、地絡事故などで地絡電流が流れる場合は、

PAS内部の過電流検出機能が活動し、PASの電流が流れを遮断します。

PASが、遮断をおこなうことによって、電力会社側の配電用変電所で

地絡電流を感知しなくなるため、配電用変電所は遮断をおこなわなくなります。

このため電力会社との責任分界点となる場合が多いです。

PAS(気中負荷開閉器)って何の略?

PAS語源について
Pole 柱、ポール 電柱
mounted 乗る 乗馬
Air 空気 バルーンフリーアイコン
Insulatated 絶縁
Switch 切り替え、開閉器 スイッチ

 

あにまるさん
あにまるさん
この頭文字をとってPAS(気中負荷開閉器)っていうんだな

はりた
はりた
仕様が異なればPGSなどに名称が変わるから何となくでも覚えておくといいね!



 

PAS及び関連機器の選定【ポイント




あにまるさん
あにまるさん
PASの仕様ってどんなのがあるんだい?

はりた
はりた
まずは本体の定格電流に始め避雷器付きなど様々な仕様があるんだよ!

あにまるさん
あにまるさん
仕様が多すぎてどうやって選定すればいいかわからないよ

はりた
はりた
それじゃあ仕様の種類と選定方法を見ていこう!
PASの仕様項目

PASには定格電流やLA・VTなどといった関連機器の仕様を選定する必要があります。各項目には選定の基準があり設置条件によって内容が異なってきます。

選定方法をよく理解し設置状況にそぐわない仕様のものを選定しないよう注意しましょう。

あにまるさん
あにまるさん
やっぱり種類が多いなー

はりた
はりた
気になる項目をチェックしてみてね!




規格容量の計算方法について

定格電圧の選定

あにまるさん
あにまるさん
本体の規格はどうやって選定するんだい?

はりた
はりた
本体の定格値の算出方法にて解説していこう!
PASの定格電圧

6.6[kV]×1.2/1.1=7.2[kV]

※定格電圧の標準値は、常時の系統電圧の変動を考慮し、公称電圧の1.2/1.1倍としている。

あにまるさん
あにまるさん
6.6kVの高圧受電の場合7.2kVになるんだな!

はりた
はりた
受電側の電圧によって定格電圧がことなってくるね!標準の規格は7.2kVになるよ!




定格電流の選定(200A・300A・400A)

あにまるさん
あにまるさん
定格電流!これがいつもわからないんだ!

はりた
はりた
定格電流は2つの計算結果によって求める方少し難しいけど一つずつ解説していこう!
定格電流の選定
  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

PASの定格電流は、次の2つの項目より選定する必要が各々の計算結果の電流値が大きいほうに合わせてPASの定格電流を選定します。



負荷電流より算出する方法

負荷電流の計算方法

申請建物全体の負荷電流値を算出し負荷電流以上の定格電流値の容量を選定しましょう

I[A]={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5

  • I:負荷電流
  • 0.9:回路力率
  • 1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

※契約電力が決定していない場合、変圧器総容量から負荷電流を算出する

(最大負荷容量となるため負荷電流が大きくなるため要検討)

あにまるさん
あにまるさん
電流値から求めればいいのか?

はりた
はりた
そうだね!まずは契約電力から電流値を算出してみよう!



定格電流の計算例|契約電力から算出する場合

契約容量から電流値を求める場合

契約容量500[kVA]の場合・・・

I={500/(√3×6.6×0.9)}×1.5

 =(500/10.2884)×1.5

=72.9[A]

あにまるさん
あにまるさん
この72.9A以上の値の容量を選定すればいいのかい?

はりた
はりた
そうだね!72.9Aだから200A以上を選定すればいいんだよ




定格電流の計算例(契約電力が不明な場合)

あにまるさん
あにまるさん
契約電力が決まっていない場合はどうするんだ?

はりた
はりた
その場合は変圧器容量から負荷電流を求めるようにしよう!
契約電力が不明の場合の求め方

建物の最大負荷電流はトランス容量によって選定することができます。

各トランスごとの電流値を計算し合計したものが建物の最大負荷電流値になります。

変圧器容量による負荷電流値の計算方法
  • 単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
  • 三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV

計算例

  • 単相変圧器 300KVA×2台
  • 三相変圧器 200kVA×3台

単相変圧器の電流値を算出

  1. 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A
  2. 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A

三相変圧器の電流値を算出
  1. 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
  2. 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
  3. 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A

合計すると・・・

最大負荷電流値=45.545.517.517.517.5126A

各トランス容量から一次側電流値を計算し合計値を建物の最大負荷電流値と仮定します。



あにまるさん
あにまるさん
この場合だと200Aを選定すればいいってことだな!

はりた
はりた
そうだね!変圧器の容量に注意して選定しよう!
受変電設備の設計|変圧器二次側の電圧計及び電流計の選定方法について詳しく解説 計器は計算で求められる ...

はりた
はりた
変圧器2次側電流の計算方法はこちらから!

受電点の短絡電流による算出




あにまるさん
あにまるさん
もう一つは短絡電流によって求めるんだったな!

はりた
はりた
まずは短絡容量を管轄の電力会社に問い合わせる必要があるよ!

あにまるさん
あにまるさん
短絡容量を確認すればいいのか?

はりた
はりた
そうだね!聴き取りした短絡容量を基に求めた短絡電流値を下記の表に当てはめれば選定ができるよ
短絡電流毎のPASの定格電流値
受電点の短絡電流[kA](MVA) PAS定格電流[A]
8未満(100) 200
8以上12.5以下(160) 300、400

 

短絡容量は変電所が近いと大きくなる傾向にあります。

計画建物の近くに変電所・発電所ある場合、特に注意して確認しましょう。

受電点の短絡容量の確認

短絡容量の確認方法

短絡電流を求めるために受電点の短絡容量を確認する必要があります。引込点の最寄りの電柱等に記載されている電柱番号を管轄の電力会社に問い合わせ短絡容量の確認を行いましょう。電柱番号の見分け方については各電力会社のホームページに記載されています。

はりた
はりた
引込点の短絡容量は、管轄の電力会社に確認しないといけないよ

あにまるさん
あにまるさん
電話して確認すればいいんだな

短絡容量の確認の主な流れ

電柱番号の確認

電柱

管轄の電力会社に問い合わせ
(短絡容量の聞き取り)

Eメール

短絡容量により短絡電流の算出

Maths free icon




受電点の短絡電流による定格電流の求め方

受電点の短絡電流による定格電流の求め方

受電点の短絡電流が

  • 8[kA]未満の場合       =200[A]
  • 8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]

仮に受電点の短絡電流値が9.0[kA]の場合、

8以上12.5[kA]以下の範囲に該当するため300[A]を選定します。

計算結果を比較

上記検討結果を基に

上記2つの項目から値の大きいほうをPASの定格電流として選定します

  • 負荷電流より算出した値(契約容量より)

 72.9[A]=200[A]

  • 受電点の短絡電流により算出した値

 9.0[kA]=300[A]

のため、②の短絡容量より選定した300[A]を定格電流となります。

あにまるさん
あにまるさん
PASの定格電流って重要なんだな

はりた
はりた
短絡容量は管轄の電力会社に確認しないとわからないから注意しよう!

メーカーの選定方法の記載のある通りPASの定格電流値は、開閉器の定格電流若しくは適用系統短絡容量のいずれかの大きいほうを選定しましょう。

カタログ | 戸上電機製作所 (togami-elec.co.jp)




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まとめ

PASの選定方法

PASの仕様一覧

  1. 定格電圧、定格電流
  2. 制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否)
  3. 地絡リレーの方向性の要否
  4. LA内蔵の要否
  5. ケースの選定
  6. 設置環境の確認

定格電流の選定

  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

負荷電流の求め方

  • I={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5[A]
  • I:負荷電流
  • 0.9:回路力率
  • 1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

受電点の短絡電流による求め方

  • 8[kA]未満の場合       =200[A]
  • 8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]

今回は、PASの規格における定格電圧と定格電流の選定方法について解説しました。

定格電圧は、6.6[kV]の場合、7.2[kV]と固定ですが、

定格電流は負荷容量若しくは短絡電流値により変動するので選定には注意が必要です。

PAS選定の際は、特に定格電流に注意し選定を行うようにしましょう。

 




 

この記事を書いた人
HARITA
電気設備設計に従事し、自身の経験を基に設計の知識向上のためこのサイトを運営しています。
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