この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
出典:電気設備の技術基準の解釈 第164条・第12条・第167条
キャブタイヤケーブルは、柔軟で移動や振動に強いケーブルで、電動工具や移動式の電気機器などに使われます。ここでは、電気設備の技術基準の解釈にそって、「使える種類」「防護装置と接地」「支持と接続」のルールを整理します。
使える種類は、164-1表 第164条第1項第一号。
重量物・衝撃には、防護装置 第164条第1項第二号。
支持点間は、1m以下 ケーブル2mの半分。
相互の接続は、器具で 解釈第12条第三号。

ペン太
キャブタイヤケーブルって柔らかくて便利だから、どこでも使っていいんですよね?

ハリタ
種類によります。164-1表で、2種やビニルキャブタイヤは使える場所が限られます。衝撃を受ける箇所には防護装置も要りますよ。
この記事で押さえる3つのこと
- 使える種類は164-1表。2種・ビニル等は場所が限られる。
- 重量物・衝撃の箇所は防護装置。金属の防護装置は接地。
- 支持点間は1m以下。相互の接続は器具で(8mm²以上は例外)。
この記事の道案内
電気設備の技術基準の解釈 第164条・第12条にそって、キャブタイヤケーブル配線のルールを4つの視点で整理します。
1. 使える種類と施設場所
3種・4種は、どこでも使える 164-1表の両方の欄。
2種・ビニル等は、限られる 300V以下の展開・点検できる隠ぺい。
耐燃性エチレンゴムは、種で違う 2種は左欄、3種は両欄。
数字が大きいほど、広く使える 表で確かめる。
- キャブタイヤケーブルの配線は、ケーブル工事(解釈第164条)の決まりによる。使える種類は164-1表のとおり
- 3種・4種のキャブタイヤケーブル、クロロプレンキャブタイヤケーブル、クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルは、どの場合も使える
- 2種キャブタイヤケーブル、ビニルキャブタイヤケーブル、耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブルなどは、300V以下で展開した場所か点検できる隠ぺい場所だけ
- 耐燃性エチレンゴムキャブタイヤケーブルは、2種が300V以下の展開・点検できる隠ぺい場所だけ、3種がどの場合も使える
- 重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する電線には、適当な防護装置を設ける(第164条第1項第二号)

ペン太
2種キャブタイヤは、どこでも使えるわけじゃないんですか?

ハリタ
2種は、300V以下で展開した場所か点検できる隠ぺい場所だけです。3種・4種なら、どの場合も使えます。
| 種類 |
使える場合(164-1表) |
| 3種・4種 |
どの場合も ○ |
| 3種・4種クロロプレン等 |
どの場合も ○ |
| 3種耐燃性エチレンゴム |
どの場合も ○ |
| 2種 |
300V以下の展開・点検できる隠ぺい場所だけ |
| ビニル等 |
300V以下の展開・点検できる隠ぺい場所だけ |
たとえるなら
キャブタイヤケーブルは、ゴム長靴をはいた電線
ゴムの厚い外装で、曲げや引っぱりに強いのが特長です。それでも長靴の種類で行ける場所が違うように、2種・3種・4種の種類で使える場所が決まっています。
ここに注意!
「キャブタイヤなら、どの種類もどこでも使える」ではありません。
2種キャブタイヤケーブルやビニルキャブタイヤケーブルなどは、使用電圧300V以下で、展開した場所か点検できる隠ぺい場所に施設する場合だけ使えます(解釈164-1表)。
ここに注意!
「柔らかくて丈夫だから、床にそのまま這わせてよい」ではありません。
重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する電線には、適当な防護装置を設けます(解釈第164条第1項第二号)。
ここまでのポイント
- 使える種類は164-1表。3種・4種はどの場合も使える。
- 2種・ビニル等は、300V以下の展開・点検できる隠ぺい場所だけ。
- 重量物・衝撃のおそれがある箇所は、適当な防護装置を設ける。
2. 防護装置とその接地
そのままは、施設しない 第164条第1項第二号。
金属の防護装置は、接地 300V以下はD種接地。
300V超は、C種接地 接触防護措置でD種も可。
短い防護装置は、省略できる 4m以下+乾燥など。
- 防護装置は「適当な」もの(第164条第1項第二号)。防護管の内径などの数値は、第164条には書かれていない
- 使用電圧300V以下では、管その他の防護装置の金属製部分、金属製の電線接続箱にD種接地工事(第四号)
- 長さ4m以下を乾燥した場所に施設する場合、又は直流300V・交流対地電圧150V以下で長さ8m以下のものに簡易接触防護措置を施すか乾燥した場所に施設する場合は、防護装置の金属製部分の接地を省略できる(第四号イ・ロ)
- 使用電圧300V超ではC種接地工事。接触防護措置を施すときはD種接地工事でよい(第五号)
| 防護装置 |
決まり(第164条第1項) |
| 施設する箇所 |
重量物・著しい機械的衝撃のおそれがある箇所 |
| 防護管の内径 |
数値は第164条にない |
| 金属製部分の接地 |
300V以下はD種、300V超はC種 |
| 接地の省略 |
4m以下+乾燥など(300V以下) |
ここまでのポイント
- 防護装置は「適当な」もの。内径の数値は第164条にない。
- 金属製の防護装置は、300V以下でD種接地。
- 長さ4m以下を乾燥した場所に施設する場合などは省略できる。
- 300V超はC種接地(接触防護措置でD種)。
3. 支持と接続
キャブタイヤは、1m以下 造営材の下面・側面。
ケーブルは、2m以下 垂直+接触防護なら6m。
被覆を、傷めずに留める 第164条第1項第三号。
柔らかいほど、こまめに キャブタイヤは半分の間隔。
- 造営材の下面又は側面に沿って取り付ける場合、支持点間はキャブタイヤケーブル1m以下(ケーブルは2m以下)(第164条第1項第三号)
- 被覆を損傷しないように取り付ける(第三号)
- キャブタイヤケーブル相互の接続は、コード接続器、接続箱その他の器具を使う(第12条第三号)
- 断面積8mm²以上のキャブタイヤケーブル相互は、引張強さ・絶縁効力について第一号・第二号に準じ、接続部分の絶縁被覆を完全に硫化するか、上に堅ろうな金属製の防護装置を施せば、器具を使わずに接続できる(第12条第三号イ)
- ケーブル工事の低圧配線は、弱電流電線や水管・ガス管と接触しないように施設する(第167条第2項)
原則は、器具を使う コード接続器・接続箱など。
8mm²以上は、例外がある 第12条第三号イ。
硫化か、金属製の防護 どちらかで処理する。
強さと絶縁を、保つ 引張強さを20%以上減らさない。
たとえるなら
支持点は、洗濯ロープの洗濯ばさみ
柔らかいロープほど、洗濯ばさみの間隔をつめないとたるみます。キャブタイヤケーブルは、外装のあるケーブル(2m)の半分の1m以下で支持します。
ここに注意!
「防護管の内径は1.5倍」と解釈で決まっている、ではありません。
解釈第164条が求めるのは「適当な防護装置」です。防護管の内径の数値は、第164条には書かれていません。
ここに注意!
「支持点間は、ケーブルと同じ2m」ではありません。
造営材の下面又は側面に沿って取り付ける場合、ケーブルは2m以下ですが、キャブタイヤケーブルは1m以下です(解釈第164条第1項第三号)。

ペン太
先輩、移動式の機械につなぐケーブルって、そのまま床に這わせちゃダメなんですか?

ハリタ
踏まれたり衝撃を受けるおそれがある箇所は、適当な防護装置を設けるんだ。金属の管で守るなら、その管の接地も忘れずにね。

ペン太
固定のしかたにも決まりはありますか?

ハリタ
造営材の下面・側面に沿わせるなら、支持点間は1m以下。ケーブルの2mの半分だよ。
| 思いこみ |
正しくは |
| どの種類もどこでも可 |
2種・ビニル等は300V以下の展開・点検できる隠ぺい場所だけ |
| 床にそのまま這わせる |
重量物・衝撃のおそれがあれば防護装置 |
| 防護管は1.5倍が解釈 |
第164条は「適当な防護装置」。数値はない |
| 支持点間は2m |
キャブタイヤは1m以下 |
| テープで相互接続 |
器具を使う。8mm²以上は硫化などの例外 |
| 防護管の接地は不要 |
300V以下D種、300V超C種(短いものは省略あり) |
たとえるなら
太いキャブタイヤの接続は、ゴムの溶接
細いものは接続器でつなぎますが、断面積8mm²以上なら、接続部のゴムを完全に硫化して一体にする方法も認められています。金属製の防護装置で守る方法もあります。
ここに注意!
「キャブタイヤどうしは、テープを巻けばつないでよい」ではありません。
キャブタイヤケーブル相互は、コード接続器、接続箱その他の器具を使って接続します。例外は、断面積8mm²以上で、接続部の絶縁被覆を完全に硫化するか、堅ろうな金属製の防護装置を施す場合です(解釈第12条第三号)。
ここに注意!
「防護に使った金属管は、接地しなくてよい」ではありません。
使用電圧300V以下では、防護装置の金属製部分にD種接地工事を施します。長さ4m以下を乾燥した場所に施設する場合などは省略できます。300Vを超えるとC種接地工事です(第164条第1項第四号・第五号)。
ここまでのポイント
- 造営材の下面・側面に沿う支持点間は1m以下。
- 被覆を損傷しないように取り付ける。
- 相互の接続は、コード接続器・接続箱その他の器具で。
- 8mm²以上は、硫化か金属製の防護装置で器具を省ける。
- 弱電流電線とは接触しないように施設する。
よくある質問(FAQ)
Q1. どこでも使える? 3種・4種はどこでも。
Q2. 防護装置は必要? 重量物・衝撃の箇所は必要。
Q3. 支持点間の距離は? 1m以下。
Q4. 相互に接続できる? 器具を使う。
Q. キャブタイヤケーブルは、どこでも使えますか?
A. 種類によります。3種・4種のキャブタイヤケーブルなどはどの場合も使えますが、2種キャブタイヤケーブルやビニルキャブタイヤケーブルなどは、使用電圧300V以下で展開した場所か点検できる隠ぺい場所だけです(解釈第164条・164-1表)。
Q. 防護装置はどんなときに必要ですか?
A. 重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある箇所に施設する場合に、適当な防護装置を設けます(解釈第164条第1項第二号)。防護管の内径の数値は第164条には書かれていません。金属製の防護装置は、300V以下でD種接地工事を施します。
Q. 支持点間の距離に決まりはありますか?
A. 造営材の下面又は側面に沿って取り付ける場合、キャブタイヤケーブルの支持点間は1m以下です。ケーブル(2m以下)の半分です。被覆を損傷しないように取り付けます(解釈第164条第1項第三号)。
まとめ|守る・通す・留めるの3点で押さえる
キャブタイヤケーブル配線は、164-1表で種類と場所の組み合わせを確かめ、衝撃のおそれがある箇所は防護装置で守り、支持点間1m以下で留めるのが基本です。
| 確認する項目 |
決まり(解釈) |
| 工事 |
ケーブル工事(第164条) |
| 使える種類 |
164-1表。3種・4種はどこでも、2種・ビニル等は限られる |
| 重量物・衝撃 |
適当な防護装置を設ける |
| 防護装置の接地 |
300V以下D種、300V超C種。短いものは省略あり |
| 支持点間 |
1m以下(造営材の下面・側面) |
| 取り付けかた |
被覆を損傷しないように |
| 相互の接続 |
器具を使う(第12条第三号) |
| 8mm²以上の例外 |
硫化か、堅ろうな金属製の防護装置 |
| 弱電流電線 |
接触しないように施設(第167条) |
選定と場所で押さえること
- 164-1表で、種類と場所の組み合わせを確かめたか。
- 圧力や機械的衝撃を受ける場所ではないか。
- 必要な防護装置を用意できるか。
防護装置で押さえること
- 重量物・衝撃の箇所に防護装置があるか。
- 金属製の防護装置を接地したか。
- 接地を省略できる条件にあてはまるか。
支持と接続で押さえること
- 支持点間1m以下で、被覆を傷めずに留めたか。
- 相互の接続に器具を使ったか。
- 8mm²以上の例外の処理(硫化・金属製の防護)。
キャブタイヤケーブルは可とう性があるぶん、仮設や機械まわりで手軽に使われがちです。踏まれる・引っ張られるといった外力を受ける経路かどうかを先に見極めておくと、防護管の要否と支持のピッチが自然に決まります。

ペン太
造営材に沿わせるときは支持点間1m以下と覚えました!他に見るところは?

ハリタ
使える種類が164-1表で決まっている点と、相互の接続は器具を使う点も要チェックです。まとめで整理しましょう。
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