内線規程の解釈と解説【015】|漏電遮断器
漏電遮断器(ELB)を2つの視点で図解整理。行きと帰りの電流の差で漏電を検知して遮断する仕組みと、設置が必要な入口(金属製外箱で60V超の機械器具、変圧器で結合した300V超の低圧電路、住宅)、機械器具の例外を要点とFAQでまとめます。
出典:内線規程(JEAC8001-2022)より
漏電遮断器(ELB)は、漏電を検知して電路を自動で遮断し、感電や火災を防ぐ装置です。押さえるポイントは 「仕組み/設置が必要なケース」 の2つです。
ペン太
ハリタ
ペン太
ハリタこの記事で押さえる3つのこと
- 漏電遮断器は、行きと帰りの電流の差を見て、差が出たら自動で遮断する。
- 入口は3つ。金属製外箱で60V超の機械器具、変圧器で結合した300V超の低圧電路、住宅。
- 機械器具には例外がある。簡易接触防護措置、乾燥した場所、150V以下で水気のある場所以外、接地抵抗値3Ω以下などの、どれか1つで不要。
① 仕組み(差で漏電を検知)
- 正常時:行きの電流=帰りの電流 → 差はゼロ
- 漏電時:電気が大地へ逃げて、帰りが少なくなり、行きと帰りに差が生じる → 差を検知して自動で遮断
- 差の検出は、零相変流器(ZCT)で行う。行きと帰りの電線をまとめて輪に通し、差の電流だけを見る
- 感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内(メーカー資料による)
ペン太
ハリタ| 状態 | 行きと帰りの電流 | 装置の動作 |
|---|---|---|
| 正常時 | 行きの電流=帰りの電流(差はゼロ) | 動作しない |
| 漏電時 | 電気が大地へ逃げて、帰りが少なくなり、差が生じる | 差を検知して自動で遮断 |
- 正常時は、行きの電流と帰りの電流が等しく、差はゼロ。
- 漏電時は、電気が大地へ逃げて行きと帰りに差が生じる。
- その差を零相変流器(ZCT)で検出して、自動で遮断する。
- 感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内(メーカー資料による)。
② 設置が必要なケース
- 機械器具:金属製外箱を有する、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路
- 高圧・特別高圧と結合した電路:高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された、使用電圧が300Vを超える低圧電路
- 住宅:住宅の電路には、原則として設ける(内線規程)。住宅の屋内電路の対地電圧は150V以下が原則。ただし、定格消費電力2kW以上の電気機械器具に専用の屋内配線で電気を供給する場合は300V以下とでき、その電路には、地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置(漏電遮断器)を施設する(電気設備技術基準の解釈 第143条)
機械器具には、漏電遮断器を付けなくてよい例外があります。次のどれか1つに当てはまれば不要です(電気設備技術基準の解釈 第36条)。
- 簡易接触防護措置を施す:屋内は床上1.8m以上、屋外は地表上2m以上で、人が通る場所から容易に触れない範囲に施設する。または、さく・へい・金属管などで人が触れないようにする(金属製の囲いは、外箱と電気的に接続するおそれがあるものを除く)
- 乾燥した場所に施設する
- 対地電圧が150V以下の機械器具を、水気のある場所以外に施設する
- C種接地工事またはD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下
- 電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が300V以下のもの)を設け、機械器具側の電路を接地しない
- 二重絶縁構造のもの(電気用品安全法の適用を受けるもの)
- ゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したもの
- 機械器具内に、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する
このほか、発電所や変電所などに施設する場合、誘導電動機の二次側電路に接続されるもの、なども例外です。
例外の「乾燥した場所」「水気のある場所」は、場所の区分です。区分は電気設備技術基準の解釈 第1条で、次のように決まっています。
- 乾燥した場所:湿気の多い場所と、水気のある場所以外の場所
- 湿気の多い場所:水蒸気が充満する場所、または湿度が著しく高い場所
- 水気のある場所:水を扱う場所、雨露にさらされる場所、水滴が飛散する場所、常時水が漏出する場所、または結露する場所
- 人が、機械器具のある場所より悪い場所から触れるおそれがあるときは、悪い方の場所として扱う(内線規程)
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 漏電遮断器は電流の大きさで動く | 行きと帰りの電流の「差」で漏電を検知する |
| 低圧機器なら電圧を問わず必要 | 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路が対象 |
| 300V以下の低圧電路なら不要 | 300V以下でも、金属製外箱で60V超の機械器具や、住宅の電路は対象になる |
| 屋内なら、水気のある場所でも不要 | 水気のある場所は、屋内でも、電圧を問わず必要(ほかの例外に当たる場合は不要) |
| 対象になれば必ず設置が必要 | 機械器具は、例外のどれか1つに当てはまれば不要。ただし、水気のある場所から触れるおそれがあれば、水気のある場所として扱う |
| 選定は定格電流だけ見ればよい | 感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内。単相3線式は中性線欠相保護付き。定格電流は回路に合わせる |
- 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、設ける。
- 高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された、使用電圧300V超の低圧電路にも、設ける。
- 住宅の電路には、原則として設ける。
- 機械器具には例外があり、簡易接触防護措置、乾燥した場所、150V以下で水気のある場所以外、接地抵抗値3Ω以下などの、どれか1つで不要。
- 場所は、触れるおそれのある側の悪い方で判断する(水気のある場所から触れるなら、水気のある場所)。
よくある質問(FAQ)
Q. 漏電遮断器(ELB)はどんな仕組みで動くの?
A. 電線の行きと帰りの電流を比べ、その差を監視します。正常時は差がゼロですが、漏電すると電気が大地へ逃げて差が生じます。その差を零相変流器(ZCT)で検出すると、自動で電路を遮断し、感電や火災を防ぎます。感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内です(メーカー資料による)。
Q. 漏電遮断器の設置が必要なのはどんなとき?
A. 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路、高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された使用電圧300Vを超える低圧電路、住宅の電路(原則)で必要です。機械器具には、簡易接触防護措置を施す場合や、乾燥した場所に施設する場合などの例外があります。
Q. 漏電遮断器が不要になるのは、どんなとき?
A. 金属製外箱の機械器具では、簡易接触防護措置を施す場合、乾燥した場所に施設する場合、対地電圧150V以下で水気のある場所以外に施設する場合、接地抵抗値が3Ω以下の場合などの、どれか1つに当てはまれば不要です。このほか、二重絶縁構造のものや、電源側に絶縁変圧器を設けて機械器具側を接地しない場合などもあります。ただし、人が水気のある場所から触れるおそれがあるときは、水気のある場所として扱います。
Q. 漏電遮断器を選ぶときのポイントは?
A. 使用目的(感電保護か火災保護か)に合った種類を選びます。感電保護用は、感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内のものです。定格電流は回路に合わせ、単相3線式の電路に施設するものは、中性線欠相保護機能付きとします(メーカー資料による)。
まとめ|差で検知し、必要な場所に設ける
漏電遮断器は、行きと帰りの電流の差で漏電を検知して自動で遮断する装置で、入口(機械器具・電路・住宅)と例外の組合せから、設置の要否を判断します。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| 検知の原理 | 行きと帰りの電流の差を監視する |
| 正常時 | 差はゼロ |
| 漏電時 | 電気が大地へ逃げて差が生じ、自動で遮断する |
| 設置が必要(機械器具) | 金属製外箱を有し、使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路 |
| 設置が必要(電路) | 高圧又は特別高圧の電路と変圧器で結合された、使用電圧300V超の低圧電路 |
| 設置が必要(住宅) | 住宅の電路には、原則として設ける。屋内電路の対地電圧は150V以下が原則 |
| 機械器具の例外 | 簡易接触防護措置、乾燥した場所、150V以下で水気のある場所以外、接地抵抗値3Ω以下、絶縁変圧器、二重絶縁、機械器具内の漏電遮断器など。どれか1つで不要 |
| 場所の判断 | 乾燥した場所、湿気の多い場所、水気のある場所。触れる側の悪い方で判断する |
| 選定の要点 | 感電保護用は感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内。定格電流は回路に合わせる。単相3線式は中性線欠相保護付き |
仕組みで押さえること
- 何を比べて検知しているか。
- 正常時と漏電時の違い。
- 検知後は、自動で遮断すること。
設置の要否で押さえること
- 機器の電圧と外箱の材質。
- 変圧器で結合した300V超の電路と、住宅。
- 場所の区分(乾燥・湿気・水気)と、どの例外にあたるか。
選定で押さえること
- 感電保護か火災保護か。
- 感度電流と動作時間、定格電流。
- 単相3線式は、中性線欠相保護付き。
漏電遮断器は住宅から工場まで広く使われますが、「どこに入れるか」は、入口(機械器具・電路・住宅)と例外で決まります。改修で用途や機器が変わったときは、入口と例外をもう一度あてはめ直しておくと、見落としを防げます。
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