技術図書館屋側電線路は敷地で可否が決まる建物に沿わせる電線路は、どこにでも通せるわけではない。敷地が誰のものかで可否が分かれるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備に関する技術基準を定める省令 第37条、電気設備の技術基準の解釈 第110条・第111条・第113条・第116条・解釈の解説

屋側電線路は、建物の側面(外壁)に沿って施設する電線路です。押さえるポイントは 「屋側電線路とは/施設できる場合/工事方法」 の3つです。

建物の側面に沿う電線路 外壁に沿って施設します。屋上は屋上電線路です。
施設できるのは、1構内等 1構内等の電線路として施設する場合などです。
他人の構内は、原則施設しない 特別の事情があり、承諾を得た場合は別。
低圧の工事方法は5つ がいし引き・管・バスダクト・ケーブル。
ペン太ペン太
屋側電線路って、好きな場所に通していいんですか?
ハリタハリタ
そうじゃないんだ。施設できるのは、1構内等の電線路として施設する場合などに限られるよ。他人の構内には、特別の事情があって承諾を得た場合でないと通せない。工事方法も5つから選ぶんだ。

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ペン太ペン太
屋側電線路って建物の壁沿いに電線を通すやつですよね。どこの建物でも付けていいんですか?
ハリタハリタ
施設できるのは、1構内等の電線路として施設する場合などです。他人の構内には、特別の事情があり、所有者又は占有者の承諾を得た場合でないと施設できません。

この記事で押さえる3つのこと

  • 屋側電線路は、建物の側面に沿う電線路。屋上は屋上電線路で、引込線の屋側部分は除く。
  • 施設できるのは1構内等の電線路として施設する場合など。他人の構内は、特別の事情+承諾がなければ施設しない。
  • 低圧の工事方法は、がいし引き・合成樹脂管・金属管・バスダクト・ケーブルの5つ。高圧はケーブル。
この記事の道案内
電気設備に関する技術基準を定める省令と、電気設備の技術基準の解釈にそって、屋側電線路のルールを3つの視点で整理します。
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① 屋側電線路とは

外壁に沿うものが、屋側電線路 低圧は第110条、高圧は第111条です。
屋上は、屋上電線路 低圧屋上電線路は第113条です。
引込線の屋側部分は除く 第116条第2項で、第110条に準じます。
「屋根や側面」ではない 側面が屋側、屋上は屋上電線路。
  • 建物(造営物)の側面に沿って施設する電線路。低圧は解釈第110条、高圧は第111条
  • 屋上に施設するものは屋上電線路(低圧は第113条)で、別の条文
  • 低圧の引込線と連接引込線の屋側部分は除く(第110条第1項)。引込線の屋側部分は、第116条第2項で第110条に準じて施設する
たとえるなら
屋側電線路は、家の外壁を這わせる雨どいのようなもの
雨どいは、屋根から地面まで、家の外壁に沿って取り付けますよね。屋側電線路も、建物の側面(外壁)に沿って施設する電線路です。屋根の上を通すものは、雨どいとは別の「屋上電線路」として扱います。
ここに注意!
「屋根の上も、屋側電線路」ではありません。
屋側電線路は、造営物の側面に施設する電線路です。屋上に施設するものは屋上電線路で、低圧は第113条、高圧は第114条で別に決まっています。
ここに注意!
「家の引込線の屋側部分も、屋側電線路」ではありません。
低圧屋側電線路からは、低圧の引込線と連接引込線の屋側部分が除かれています(解釈第110条第1項)。引込線の屋側部分は、第116条第2項で、第110条の規定に「準じて」施設します。
ペン太ペン太
家の引込線が壁を伝う部分も、屋側電線路なんですか?
ハリタハリタ
そこは除かれています。低圧の引込線の屋側部分は、引込線の条文(第116条)で、屋側電線路の規定に準じて施設します。
ここまでのポイント
  • 建物の側面(外壁)に沿って施設する電線路。屋上は屋上電線路。
  • 低圧の引込線と連接引込線の屋側部分は除く。

② 施設できる場合

1構内の電線路として 1構内専用の電線路の、構内の部分も可です。
同じ基礎の上の建物も、1構内等 人工地盤の上の建物や、テナントビルなど。
他人の構内は、原則施設しない 省令第37条です。承諾があれば別です。
高圧は、送受電の場合も可 屋外の複数の電線路から送受電する場合です。
  • 施設できる場合:1構内等に施設する電線路の全部又は一部として施設する場合などに限られる(解釈第110条第1項)
  • 1構内等には、共有の人工地盤(地下駐車場など)の上の複数の建物や、テナントビルのような構造的に一体化した1つの建物も含まれる(解釈の解説)
  • 他人の構内:電気の供給を受ける者以外の者の構内には施設しない。特別の事情があり、かつ、所有者又は占有者の承諾を得た場合は別(省令第37条)
確かめること 決まり
施設できる場合 1構内等に施設する電線路の全部又は一部として、又は1構内等専用の電線路中その構内等の部分として施設する場合(解釈第110条第1項)。高圧は、屋外の複数の電線路から送受電する場合も可(第111条第1項)
1構内等 1構内、同一基礎構造物及びこれに構築された複数の建物、構造的に一体化した1つの建物
他人の構内 電気の供給を受ける者以外の者の構内には施設しない。特別の事情があり、かつ、所有者又は占有者の承諾を得た場合は別(省令第37条)
たとえるなら
1構内等の決まりは、同じ敷地の家族の家だけで使う私道のようなもの
同じ敷地の中なら、家どうしを私道でつなぐのは自由ですよね。でも、となりの家の庭を勝手に通るわけにはいきません。屋側電線路も、1構内等の中の電線路として施設するのが基本で、他人の構内には、特別の事情があり承諾を得た場合でないと施設できません。
ここに注意!
「同じ敷地なら、省令第37条の例外になる」ではありません。
「1構内等」は、低圧屋側電線路を施設できる場合(解釈第110条第1項)の条件です。省令第37条の例外は、特別の事情があり、かつ、造営物の所有者又は占有者の承諾を得た場合です。2つは別の決まりなので、分けて確かめます。
ここまでのポイント
  • 施設できるのは、1構内等の電線路として施設する場合など。
  • 同じ基礎の上の複数の建物や、一体の1つの建物も1構内等。
  • 他人の構内は原則施設しない(省令第37条)。
  • 例外は、特別の事情があり、承諾を得た場合。


③ 工事方法

がいし引き工事 展開した場所で、簡易接触防護措置。
合成樹脂管・金属管・バスダクト 金属管とバスダクトは、木造以外に限ります。
ケーブル工事 造営材に沿わせるか、ちょう架して施設。
高圧は、ケーブルだけ 展開した場所に、接触防護措置を施す。
  • 低圧の工事方法は5つ:がいし引き工事、合成樹脂管工事、金属管工事、バスダクト工事、ケーブル工事(解釈第110条第2項)
  • がいし引き工事は、展開した場所に施設し、簡易接触防護措置を施す。がいしは、絶縁性・難燃性・耐水性のあるもの
  • 金属管工事とバスダクト工事、鉛被・アルミ被・MIケーブルのケーブル工事は、木造以外の造営物に限る
  • がいし引き工事で他の工作物と接近するときは、上部造営材の上方2m(高圧絶縁電線等は1m)、その他0.6m(同0.3m)以上(110-3表)
  • 高圧屋側電線路は、ケーブルを使い、展開した場所に、接触防護措置を施す。支持点間は2m(垂直6m)以下(第111条第2項)
OW電線は、支持点15m以下 相互20cm以上、造営材と30cm以上。
その他は、支持点2m以下 雨露にさらされない所は6cm・2.5cm以上。
他の工作物の上方は、2m その他は0.6m。高圧絶縁電線は1m・0.3m。
引込用ビニル等は、300V以下 線心を別の溝に入れてバインドします。
電線の種類 相互の間隔・造営材との離隔 支持点間の距離
屋外用ビニル絶縁電線 20cm以上・30cm以上 15m以下
上記以外の絶縁電線 110-2表(雨露にさらされない所・300V以下は6cm・2.5cm、雨露にさらされる300V超は12cm・4.5cm) 2m以下
たとえるなら
がいし引きの数値は、洗濯ばさみの間隔のようなもの
洗濯物は、洗濯ばさみの間隔が広すぎると、たれ下がって壁にこすれますよね。がいし引きの支持点の間隔も同じで、屋外用ビニル絶縁電線なら15m以下、その他の絶縁電線なら2m以下と決まっています。造営材との離隔も、電線の種類で変わります。
ここに注意!
「低圧屋側電線路は、がいし引きで施設する」ではありません。
工事方法は、がいし引き工事、合成樹脂管工事、金属管工事、バスダクト工事、ケーブル工事の5つです(解釈第110条第2項)。金属管とバスダクト、鉛被・アルミ被・MIケーブルは、木造以外の造営物に限ります。
ここに注意!
「がいしで支えれば、間隔は自由」ではありません。
支持点間の距離は、屋外用ビニル絶縁電線で15m以下、その他の絶縁電線で2m以下です。電線相互の間隔と造営材との離隔も、110-1表・110-2表の値以上にします(解釈第110条第2項第一号)。
ここに注意!
「高圧も、低圧と同じ工事で施設できる」ではありません。
高圧屋側電線路は、電線にケーブルを使い、展開した場所に施設して、接触防護措置を施します。造営材の側面又は下面に沿って取り付けるときは、支持点間の距離を2m(垂直なら6m)以下にします(解釈第111条第2項)。
取り違えやすいところ 正しくは
屋根の上も屋側電線路 屋上は屋上電線路(第113条など)
家の引込線の屋側部分も屋側電線路 低圧の引込線・連接引込線の屋側部分は除く(第116条第2項で準用)
同じ敷地なら省令第37条の例外 1構内等は施設できる場合の条件。第37条の例外は特別の事情+承諾
低圧はがいし引きで施設する 工事方法は5つ。金属管・バスダクトなどは木造以外
がいしで支えれば間隔は自由 OW電線は支持点15m以下、その他は2m以下。間隔と離隔は110-1表・110-2表
高圧も低圧と同じ工事でよい 高圧はケーブル・展開した場所・接触防護措置
ここまでのポイント
  • 低圧の工事方法は5つ。がいし引きは展開した場所で。
  • OW電線は支持点15m以下、その他の絶縁電線は2m以下。
  • 高圧はケーブルを使い、接触防護措置を施す。


よくある質問(FAQ)

Q1. 屋側電線路とは? 建物の側面に沿う電線路。引込線の屋側部分は除く。
Q2. 他人の構内に施設できる? 原則できません。特別の事情と承諾が必要。
Q3. 低圧の工事方法は? がいし引き・管・バスダクト・ケーブル。
Q4. 高圧の屋側電線路は? ケーブルを使い、展開した場所に接触防護措置。

Q. 屋側電線路とは?

A. 建物(造営物)の側面に沿って施設する電線路です。低圧は解釈第110条、高圧は第111条で決まっています。屋上に施設するものは屋上電線路(第113条など)で別です。また、低圧の引込線と連接引込線の屋側部分は、低圧屋側電線路から除かれます(第110条第1項)。

Q. 他人の敷地に屋側電線路を設けてもいい?

A. 原則として、電気の供給を受ける者以外の者の構内には施設できません。特別の事情があり、かつ、電線路を施設する造営物の所有者又は占有者の承諾を得た場合は別です(省令第37条)。そもそも低圧屋側電線路は、1構内等に施設する電線路の全部又は一部として施設する場合などに限られます(解釈第110条第1項)。

Q. 低圧屋側電線路はどんな工事で施工する?

A. がいし引き工事、合成樹脂管工事、金属管工事、バスダクト工事、ケーブル工事の5つです(解釈第110条第2項)。がいし引き工事は展開した場所に施設し、屋外用ビニル絶縁電線なら支持点間15m以下、その他の絶縁電線なら2m以下です。金属管工事とバスダクト工事は、木造以外の造営物に限ります。

Q. 高圧の屋側電線路はどう施設する?

A. 電線にケーブルを使い、展開した場所に施設して、接触防護措置を施します。造営材の側面又は下面に沿って取り付けるときは、支持点間の距離を2m(垂直に取り付けるときは6m)以下にします(解釈第111条第2項)。

まとめ|施設できる場合と、工事方法を押さえる

屋側電線路は、1構内等の電線路として施設する場合などに限られ、他人の構内には特別の事情と承諾がなければ施設できない点が出発点になります。

確認する項目 内容
どんな電線路 建物の側面に沿う電線路。屋上は屋上電線路、引込線の屋側部分は除く
施設できる場合 1構内等の電線路として施設する場合など(解釈第110条第1項)
他人の構内 原則施設しない。特別の事情+承諾なら可(省令第37条)
低圧の工事方法 がいし引き・合成樹脂管・金属管・バスダクト・ケーブル(第110条第2項)
がいし引き 展開した場所。OW電線は支持点15m以下、その他は2m以下
木造の制限 金属管・バスダクト・鉛被等のケーブルは木造以外
高圧 ケーブル・展開した場所・接触防護措置・支持点2m(垂直6m)以下(第111条)

計画の最初に押さえること

  • どの敷地に設けるのか。
  • 1構内等の電線路にあたるか。
  • 他人の構内なら、特別の事情と承諾があるか。

低圧で押さえること

  • 引込線の屋側部分ではないか。
  • 5つの工事方法のどれか。木造なら使えない方法がある。

施工で押さえること

  • がいしによる支持。
  • 支持点間(OW電線15m・その他2m)。
  • 造営材などとの離隔。

屋側電線路は、まず「1構内等の電線路か」「他人の構内を通らないか」で施設できるかが決まります。ルートを引く前に構内の範囲と所有関係を確かめ、そのうえで工事方法と数値を確かめると確実です。

ペン太ペン太
屋側電線路の工事方法は、次に何を勉強すればいいですか?
ハリタハリタ
低圧なら、5つの工事方法から建物に合うものを選びます。がいし引きなら、支持点間と離隔の数値を確認しましょう。高圧はケーブル工事です。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。