耐震クラスS・A・Bの決め方|用途・階数別の判定表と支持間隔
設計事務所から「電気設備は耐震クラスAでお願いします」と言われたら、何を変えればよいでしょうか。耐震クラスは、機器を固定する強さ(設計用標準震度)の段階で、配管やケーブルラックの揺れ止め(耐震支持)は、施設の区分と設置する階でSA種・A種・B種と間隔が決まります。この記事では、建築設備耐震設計・施工指針2014年版と公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版をもとに、3つの質問と動く図で整理します。
あわせて読む:ケーブルラックの耐震支持間隔と架台|立上り部は6m以内・各階固定/仕様の設計|レースウェイの耐震支持方法について詳しく解説
先に言葉をそろえる
| 言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 耐震クラス | 設備機器にどれだけの耐震性を持たせるかの段階(S・A・B)。設計用標準震度が決まる |
| 設計用標準震度 | 機器を固定するときに見込む地震の力の大きさ(重さの何倍か) |
| 耐震支持 | 配管や配線が地震で揺れたり外れたりしないようにする振止め。SA種・A種・B種がある |
| 特定の施設 | 災害応急対策の拠点など、耐震性を高める施設(特記で指定。なければ一般の施設) |
| 上層階・中間階 | 上層階は建物の階数で決まる上の2〜4層。1階・地階・上層階以外が中間階 |
参考にした書籍:
質問① 耐震クラスはどう決まる?
耐震クラスは、建物の用途(防災拠点・病院など、地震後も機能を続けるべき「特定の施設」か)と、機器の重要度(非常用発電機・消火ポンプ・受変電設備など、地震直後から使う「重要機器」か)の組み合わせで決めるのが基本です。最終的には施主と設計者が決め、設計図書に特記します。
| 設置場所 | S | A | B |
|---|---|---|---|
| 上層階・屋上・塔屋 | 2.0 | 1.5 | 1.0 |
| 中間階 | 1.5 | 1.0 | 0.6 |
| 地階・1階 | 1.0 | 0.6 | 0.4 |
- 耐震クラスは建物の用途×機器の重要度でS・A・B
- クラスで機器の設計用標準震度が決まる(上層階Sで2.0など)
- クラスと耐震支持の種別(SA・A・B種)は別の物差し
質問② どの階として扱う?
| 建物の階数 | 上層階 |
|---|---|
| 2〜6階建 | 最上階 |
| 7〜9階建 | 上層2階 |
| 10〜12階建 | 上層3階 |
| 13階建以上 | 上層4階 |
配管や配線がどの階にあたるかは、支持している床の階で判定します。床に据えた架台から支持するものはその階、天井面から吊るものは直上階として扱います。2階の天井(3階の床スラブ)から吊ったケーブルラックは、3階の区分で耐震支持を選びます。
- 上層階は階数に応じて最上階〜上層4階
- 中間階は1階・地階・上層階以外
- 支持する床の階で判定し、天井から吊るものは直上階
質問③ 耐震支持の種別と間隔は?
| 施設・設置場所 | 電気配線 | ラック |
|---|---|---|
| 特定の施設・上層階/屋上/塔屋 | 12m SA種 | 6m SA種 |
| 特定の施設・中間階/1階/地階 | 12m A種 | 8m A種 |
| 一般の施設・上層階/屋上/塔屋 | 12m A種 | 8m A/B種 |
| 一般の施設・中間階/1階/地階 | 12m A/B種 | 12m A/B種 |
縦に立ち上げる配線(垂直配管等)は、電気配線は支持間隔ごとに自重を支持し、ケーブルラックは6m以下の範囲で各階ごとに耐震支持を行います(特定の施設の上層階・屋上・塔屋はSA種、それ以外はA種。表2.1.3)。横引きでは、末端から2m以内、曲がり部・分岐部の付近にも耐震支持を設け、管軸方向の揺れにも備えます。
- 電気配線は12m以内、ラックは6・8・12m以内ごとに耐震支持
- 種別は施設(特定・一般)と設置場所で決まる
- 末端2m以内・曲がり・分岐にも。立上りのラックは6m以下・各階
耐震支持を省略できる場合
| 耐震支持を省略できる場合(どれか1つ) |
|---|
| 呼び径82mm以下の単独配管 |
| 周長800mm以下の金属ダクト、幅400mm未満のケーブルラック、幅400mm以下の集合配管 |
| 定格電流600A以下のバスダクト |
| つり材の長さが平均0.2m以下の配管等 |
- 82mm以下の単独配管・800mm以下の金属ダクト・400mm未満のラック・600A以下のバスダクト
- つり材の長さが平均0.2m以下も省略可
- 省略できるのは耐震支持だけ。ふつうの支持は必要
マニュアルでも詳しく解説しています
電気設備設計で迷わないために|経験者が教える実践的ノウハウマニュアル(E-note)
よくある質問
耐震クラスはどう決まりますか?
建物の用途(特定の施設か)と機器の重要度の組み合わせで、S・A・Bに決まるのが基本です。最終的には施主と設計者が決めて設計図書に特記します。
耐震クラスと耐震支持の種別の違いは?
耐震クラス(S・A・B)は設備機器の設計用標準震度の段階、耐震支持の種別(SA種・A種・B種)は配管やラックの振止めの強さの段階です。
上層階はどこからですか?
2〜6階建は最上階、7〜9階建は上層2階、10〜12階建は上層3階、13階建以上は上層4階です。
天井から吊るケーブルラックは何階として扱いますか?
支持している床の階で判定するので、天井面から吊るものは直上階を適用します(標準仕様書 表2.1.2 注)。
耐震支持を省略できるのは?
呼び径82mm以下の単独配管、周長800mm以下の金属ダクト、幅400mm未満のケーブルラック、定格電流600A以下のバスダクト、つり材の長さが平均0.2m以下の配管等です。
まとめ ― 取り違えやすいところ
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 耐震クラスA=A種耐震支持 | クラスは機器の震度、種別は振止めの強さ |
| 2階の天井から吊るものは2階 | 天井から吊るものは直上階 |
| ケーブルラックも12mごと | ラックは6・8・12mと区分で変わる |
| 1階は耐震支持が要らない | 1階・地階も12m以内ごとにA種またはB種 |
| 省略条件なら支持は不要 | 省略できるのは耐震支持だけ |
参照:建築設備耐震設計・施工指針2014年版(日本建築センター)、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 2.1.13(国土交通省)。実際の適用は設計図書の特記によります。
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