400V系統の機器はC種、200V系統の機器はD種の接地工事です。どちらの回路にも地絡時に0.5秒以内に遮断する漏電遮断器を付ければ、接地抵抗値はどちらも500Ω以下になり、同じ箇所なら抵抗値の低い方の接地工事で兼用できるため、1つの接地極で共用できます。
低圧の負荷設備を設計していると、「400V系統と200V系統のELCB(漏電遮断器)用接地は、共用してよいのか?」という疑問にぶつかることがあります。系統ごとに別々の接地極を打つべきか、まとめてよいのか——判断に迷いやすいポイントです。
結論から言うと、共用は可能です。ただし「なぜ共用してよいのか」を内線規程の根拠で説明できることが大切です。この記事では、C種・D種接地工事の区分から接地抵抗値、兼用の根拠までを順に整理します。

ハリタ
図面で400V系統と200V系統のELCB用接地、別々に描いてるけど一緒でいいのかな?

ペン太
そこ気になってました。電圧が違うと接地も分けるイメージで…

ハリタ
実は内線規程の根拠を押さえれば共用してOKなんだ。順番に見ていこう。
⚡ 先に結論だけ言うと
- 400V系統=C種/200V系統=D種(使用電圧で区分)
- 漏電遮断器を施設すれば両者とも接地抵抗500Ω以下で同値
- 内線規程1350-12「接地工事の兼用」より共用可能

ペン太
C種とD種って抵抗値が違うのに、接地極を共用していいんですか?分けるものだと思っていました。

ハリタ
内線規程に根拠があります。漏電遮断器の条件がそろえば共用できるんですよ。
この3つ、すぐ答えられますか
- C種とD種は、何によって使い分けが決まりますか
- ELCBを施設したとき、C種・D種の接地抵抗値はいくつになりますか
- 接地工事を兼用してよい根拠は、内線規程のどの条項ですか
この記事でわかること
見出しをクリックすると、その章へ移動します。
① 接地工事の種類は「使用電圧」で決まる
低圧の機械器具の接地は、使用電圧で分かれます。300V以下はD種、300Vを超えるものはC種です(内線規程1350-2表、電技解釈第29条)。一般に200V系統の機器はD種、400V系統の機器はC種になります。
機械器具の接地工事の種類は、内線規程で使用電圧によって区分されています。
内線規程 1350-2表「機械器具の区分による接地工事の適用」
- 300Vを超える機械器具 ⇒ C種接地工事(400V系統)
- 300V以下の機械器具 ⇒ D種接地工事(200V系統)
つまり、送電方式の電圧によって適用される接地工事が変わるということです。

ペン太
C種10Ω以下、D種100Ω以下ですよね?同じになるなんてあり得るんですか?

ハリタ
100mA以下・0.5秒以下の漏電遮断器を施設すれば、どちらも500Ω以下になるんです。
ひっかけ注意
「300V以上がC種」ではありません。
区分は300V以下がD種、300Vを超えるとC種です(電技解釈第29条)。境目の300VちょうどはD種の側。「以上」「超える」の取り違えに気をつけます。
ここまでのポイント
- 機械器具の接地工事の種類は、内線規程1350-2表により使用電圧で区分される
- 300Vを超える機械器具はC種(400V系統)、300V以下の機械器具はD種(200V系統)
② C種とD種の接地抵抗値は「同じ」になる
接地抵抗値は本来、C種が10Ω以下、D種が100Ω以下です。ただし低圧電路に、地絡を生じたとき0.5秒以内に自動的に遮断する装置を施設すれば、どちらも500Ω以下になります(電技解釈第17条)。内線規程では、電流動作形で定格感度電流100mA以下・動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を条件としています。
接地抵抗値は本来、C種=10Ω以下・D種=100Ω以下と異なります。ところが、漏電遮断器を施設する場合は扱いが変わります。
内線規程 1350-1表「接地工事の種類とその接地抵抗値」
低圧電路において当該電路に電流動作形で定格感度電流100mA以下、動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を施設するときは500Ω以下
この条件はC種・D種で同じ文言です。したがって、ELCBを施設すればC種・D種とも500Ω以下となり、両者の接地抵抗値は実質同じになります。
漏電遮断器の定格感度電流が100mAなら、接地抵抗500Ωでも外箱に出る電圧は100mA×500Ω=50Vが目安です。漏れ電流が100mAに達するまでに遮断器が動き、0.5秒以内に切れるので、接地抵抗を高めにしても触れたときの危険は小さく抑えられます。

ペン太
C種とD種、もともと抵抗値が違うのに同じになるんですね!

ハリタ
そう、漏電遮断器を施設する条件なら両方500Ω以下。ここが共用できる大事なポイントだよ。
| 取り違えやすいところ |
正しくは |
| 電圧が違えば接地極も分ける |
条件がそろえば同じ接地極を共用できる |
| C種とD種は抵抗値が違うから兼用できない |
ELCBを施設すればどちらも500Ω以下で同値になる |
| 漏電遮断器なら何でも緩和の対象 |
定格感度電流100mA以下・動作時間0.5秒以下という条件がある |
| 兼用は高い方の抵抗値に合わせる |
接地抵抗値の低い方の接地工事で他を兼用する |
| 共用の根拠は電技解釈だけ |
内線規程1350-2表・1350-1表・1350-12が判断の根拠になる |
たとえるなら
漏電遮断器は、「すぐ閉まる防火扉」です。
火(漏電)が出てもすぐ閉まる扉があれば、壁(接地)の厚さをそこまで求めなくてよくなります。だから遮断器があると、C種もD種も同じ500Ω以下にそろいます。
ひっかけ注意
「漏電遮断器なら何でも500Ω」ではありません。
500Ω以下にできるのは、地絡時に0.5秒以内に自動遮断する装置があるときです(電技解釈第17条)。内線規程はさらに定格感度電流100mA以下を求めています。どちらかの回路に条件を満たす遮断器がなければ、C種は10Ω以下のままです。
ここまでのポイント
- 本来の接地抵抗値はC種10Ω以下、D種100Ω以下と異なる
- 定格感度電流100mA以下・動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を施設する場合は、いずれも500Ω以下
- この条件はC種・D種で同じ文言のため、両者の接地抵抗値は実質同じになる
③ 接地工事の「兼用」が認められる根拠
同じ箇所に2種類以上の接地工事を施すときは、接地抵抗値の低い方の接地工事で、ほかの接地工事を兼用できます(内線規程1350-12)。両方の回路に漏電遮断器があればC種・D種とも500Ω以下なので、400V系統と200V系統のELCB用接地を1つの接地極で共用できます。
最後に、複数の接地工事をまとめてよいかどうかの根拠です。
内線規程 1350-12「接地工事の兼用」
同じ箇所に2種類以上の接地工事を施す場合は、接地抵抗値の低い方の接地工事で他の接地工事を兼用することができる
この規定により、同じ箇所では接地抵抗値の低い方の接地工事で他を兼用できます。
以上の3点を踏まえると、400V系統(C種)と200V系統(D種)のELCB用接地は共用してよいという根拠が成り立ちます。
同じ箇所に2種類以上の接地工事を施すときは、抵抗値の低い方に合わせます。遮断器がなければ10Ω以下の接地極1つでC種もD種も満たせ、両方の回路に0.5秒以内に遮断する装置があれば500Ω以下の接地極1つで共用できます。
C種は300Vを超える低圧(400V系統)の機器で本来10Ω以下、D種は300V以下の低圧(200V系統)の機器で本来100Ω以下です。地絡時に0.5秒以内に遮断する装置があれば、どちらも500Ω以下になります。同じ箇所に施すときは、抵抗値の低い方の接地工事で兼用できます。
ここまでのポイント
- 内線規程1350-12により、同じ箇所では接地抵抗値の低い方の接地工事で他を兼用できる
- 以上の3点から、400V系統と200V系統のELCB用接地は共用してよいと言える
よくある質問(FAQ)
Q. 400V系統と200V系統のELCB用接地は共用できますか?
A. 共用可能です。漏電遮断器を施設する条件ではC種・D種とも接地抵抗値が500Ω以下で同じになり、内線規程1350-12「接地工事の兼用」により、接地抵抗値の低い方の接地工事で他を兼用できるためです。
Q. C種とD種はどの電圧で使い分けますか?
A. 内線規程1350-2表により、300Vを超える機械器具はC種接地工事、300V以下の機械器具はD種接地工事です。一般に400V系統がC種、200V系統がD種に該当します。
Q. C種とD種の接地抵抗値はいくつですか?
A. 通常はC種が10Ω以下、D種が100Ω以下です。ただし定格感度電流100mA以下・動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を施設する場合は、いずれも500Ω以下となります。
Q. 接地工事を兼用するときの考え方は?
A. 同じ箇所に2種類以上の接地工事を施す場合、接地抵抗値の低い方の接地工事で他を兼用できます(内線規程1350-12)。

ペン太
共用するとき、次に確認すべきことは何ですか?

ハリタ
内線規程1350-12の兼用条件です。接地抵抗値の低い方に合わせれば大丈夫ですよ。
まとめ
C種とD種はELCBを施設すればどちらも500Ω以下となり、内線規程1350-12の兼用規定により接地極を共用できます。
| 項目 |
C種接地工事 |
D種接地工事 |
| 対象 |
300Vを超える機械器具(400V系統) |
300V以下の機械器具(200V系統) |
| 本来の接地抵抗値 |
10Ω以下 |
100Ω以下 |
| ELCB施設時 |
500Ω以下 |
500Ω以下 |
| 緩和の条件 |
100mA以下・0.5秒以下 |
100mA以下・0.5秒以下 |
| 共用の可否 |
兼用できる(1350-12) |
兼用できる(1350-12) |
共用すると決める前に、対象機器の使用電圧が300Vを境にどちらの区分か、漏電遮断器が定格感度電流100mA以下・動作時間0.5秒以下か、共用する接地極が同じ箇所にあるかを図面で確かめます。
図面で確認しておきたいこと
- 対象機器の使用電圧が300Vを境にどちらの区分になるか
- 施設する漏電遮断器が定格感度電流100mA以下・動作時間0.5秒以下か
- 共用する接地極が同じ箇所にあるか
以下に、共用してよいと判断できる根拠をあらためて整理します。
- 接地工事の種類は使用電圧で分かれる(300Vを超える=C種/300V以下=D種)
- ELCB(100mA以下・0.5秒以下)施設時はC種・D種とも500Ω以下で同値
- 内線規程1350-12より接地抵抗値の低い方で兼用可
よって、400V系統と200V系統のELCB用接地は共用可能と判断できます。
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