【連載第5回】低濃度PCBの処分手続きと費用|届出から処分完了報告までの5ステップ
前回は、現場でPCBに出会う場面と「壊さない・捨てない・売らない」の鉄則を確認しました。今回は、低濃度PCBと判定された機器を実際に処分するまでの手続きと、かかるお金の話です。
この記事でわかること
- 判定から処分完了まで、5つのステップの流れがわかる
- 誰に処分を頼めるのか(頼めないのか)がわかる
- 毎年6月30日までの届出という「続く義務」がわかる
- 費用がどの項目で構成されるかがわかる
結論から言うと
処分を頼めるのは、環境大臣認定の無害化処理認定事業者か、都道府県知事の許可業者だけです。流れは「判定 → 届出 → 契約 → 収集運搬 → 完了報告」の5ステップ。処分が終わるまでは毎年6月30日までの状況届出が続きます。費用は分析・処理・運搬の3階建てで、業者間の差が大きいため相見積りが基本です。
処分までの5ステップ
図1:低濃度PCB処分の5ステップSTEP 1|判定を確定させる
第3回の手順で、分析結果「0.5mg/kg超〜5,000mg/kg以下」を確定させます。分析報告書は以降のすべての手続きの根拠になるので、保管してください。
STEP 2|自治体に届け出る
機器を電路から外して廃棄物にしたら、PCB特別措置法にもとづく保管等の届出を管轄の自治体(都道府県または政令市)に提出します。保管中は保管基準(飛散・流出・地下浸透・悪臭発生の防止など)を守る必要があります。屋根のある場所で、受け皿を敷き、表示をして保管するのが基本です。
STEP 3|処理業者と契約する
低濃度PCB廃棄物の処分を委託できるのは、次の2種類の業者だけです。
- 無害化処理認定事業者(環境大臣の認定を受けて、PCB廃棄物を焼却等で無害化処理できる民間業者。環境省のWebサイトに全国の一覧があります)
- 都道府県知事等の許可を受けた処理業者
それ以外には出せません。一覧から対応地域・対応品目(機器ごと処理できるか、抜油が必要かなど)を確認し、複数社から見積りを取ります。期限が近づくほど予約が埋まるため、契約は早いほど有利です。地域別の主な事業者は、付録「低濃度PCB主な処理業者一覧」にまとめてあります。
なお、使用中の変圧器には課電自然循環洗浄(機器を使いながら絶縁油を入れ替えて、内部のPCBを基準以下まで洗浄する方法。対象には条件があります)という選択肢もあります。機器を延命したい場合は、対応業者に適用できるか相談してみてください。
STEP 4|収集運搬を手配する
運搬できるのは、特別管理産業廃棄物(爆発性・毒性などがあり、特に厳しく管理される産業廃棄物。PCB廃棄物はこれに当たります)の収集運搬許可を持つ業者です。処理業者と運搬業者、それぞれと委託契約を結びます。
STEP 5|マニフェストと完了報告
引き渡し時にマニフェスト(産業廃棄物管理票。廃棄物が最後まで適正に処理されたかを追跡する伝票)を交付し、処分完了の返送を確認します。処分が完了したら、自治体への報告も忘れずに行ってください。
「毎年6月30日」を忘れないでください
処分が終わるまでの間、続く義務があります。
図2:処分が終わるまで毎年続く届出PCB廃棄物を保管している事業者は、毎年度、前年度の保管・処分状況を6月30日までに自治体へ届け出る必要があります。処分を終えた年度まで、これは毎年続きます。
この届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。「保管しているだけ」でも義務は動いている、という点に注意してください。会社の年間スケジュールに、6月の定例業務として組み込んでおくのが確実です。
費用は「3階建て+α」で見積もる
低濃度PCBの処分費用は、大きく次の構成になります。
図3:費用の構成分析費は第3回のとおり、1検体あたりおおむね1.5〜5万円。
処理費が本体です。機器の種類・重量・抜油の要否で大きく変わり、小型のコンデンサ1台と大型変圧器では桁が違います。ここは一律の相場を示しにくいため、必ず複数社の見積りで比較してください。
収集運搬費は距離と荷姿次第です。複数台をまとめて運べば1台あたりは下がるので、事業場内・グループ内の対象機器を揃えて一括で出すのが得策です。
+αとして、使用中の機器なら代替機への更新工事費がかかります。逆に言えば、どうせ更新する機器なら、更新工事とPCB処分を同じ計画に載せることで、停電・搬出・据付をまとめられます。
高濃度にあった全国一律の費用軽減制度(JESCOの中小企業者等軽減制度)は、低濃度にはありません。自治体によっては独自の補助や融資制度を設けている場合があるので、管轄の窓口で確認する価値はあります。
期限から逆算した「最終スケジュール」
2027年3月31日の期限から逆算すると、現実的な最終ラインはこう見えます。
分析(2〜4週間)→ 見積り・契約(業者の予約状況次第で数週間〜数か月)→ 収集運搬・処分(搬入枠次第)。それぞれが期限直前ほど混みます。「年内に契約まで」を目標にすると、まだ余裕を持って動けます。年が明けてからの着手は、受けてくれる業者探しから難しくなると考えてください。
今日時点の残り日数は、セコサポの「PCB処分期限カウントダウンタイマー」で確認できます。
まとめ
- 流れは「判定 → 自治体へ届出 → 処理業者と契約 → 収集運搬 → マニフェスト・完了報告」の5ステップ
- 委託できるのは無害化処理認定事業者か都道府県知事等の許可業者だけ。環境省の一覧から相見積りする
- 使用中の変圧器には課電自然循環洗浄という選択肢もある(適用条件あり)
- 運搬は特別管理産業廃棄物の収集運搬許可業者に委託し、マニフェストで追跡する
- 処分が終わるまで、毎年度6月30日までの状況届出が続く。怠ると6月以下の懲役または50万円以下の罰金
- 費用は分析+処理+収集運搬の3階建て。処理費の幅が大きく、相見積りとまとめ出しが基本
- 期限直前は全工程が混む。「年内に契約まで」が現実的な目標ライン
次回は最終回です。放置した場合の罰則と本当のリスクを確認し、連載全体を点検チェックリストにまとめます。
- PCBとは?2027年3月31日、最後の処分期限が迫っています
- 高濃度と低濃度の違い|期限を過ぎた機器はどうなったか
- 自社の機器にPCBが入っているか調べる方法|銘板→照会→分析の3ステップ
- 電気設備の現場でPCBに出会う場所|キュービクル・照明・盤のどこを見るか
- 低濃度PCBの処分手続きと費用|届出から処分完了報告までの5ステップ(この記事)
- 放置するとどうなる?罰則と、期限後に残る本当のリスク
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※費用・手続きの運用は執筆時点(2026年8月)のものです。自治体・業者により異なるため、必ず管轄窓口と複数業者への確認をお願いします。





