この記事は、連載「照明設備の設計マニュアル」の 第3回 器具の選定・第6回 非常照明・誘導灯 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
電池内蔵型と電源別置型の4つの違い
電池内蔵型は器具ごとの電池で点灯し、電池の交換は約5年が目安です。電源別置型はまとめた蓄電池設備から配線で送り、蓄電池は長寿命形で13〜15年が目安、配線は耐火性のある工事で守ります。器具の数と点検の手間、配線と初期費用を並べて選びます。

ペン太ペン太
非常用照明はとにかく電池内蔵型が安いって聞きました。今もそうですよね?
ハリタハリタ
価格だけでは決められません。器具の数と電池交換の手間、配線で選び方が変わるんです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 電池内蔵型と電源別置型は、給電のしかたがどう違うか
  • 電池交換や電源の寿命は、それぞれ何年が目安か
  • 災害時に電源が断たれたとき、確実に点灯するのはどちらか
この記事でわかること
選定で迷ったら、比較の項と注意点をあわせてご覧ください。
この記事の内容を、ツールで計算する照度計算(光束法)・器具配置用途と部屋の大きさから、必要台数と配置図が出ます
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💬 今回の疑問

電池内蔵型と電源別置型の給電のしかた
電池内蔵型は器具ごとに電池を持ち、1台ずつ独立して点灯します。電源別置型は1か所の蓄電池設備から配線で器具へ送るため、蓄電池から器具までの配線を別に引き、耐火性のある工事で守ります。

LEDを使った非常用照明は、「電池内蔵型」と「電源別置型」の2種類があります。
建物の設計や安全対策でどう使い分けるの?コストは?メリット・デメリットを比較してみましょう!


ペン太ペン太
ランニングコストではどっちが有利なんですか?
ハリタハリタ
内蔵型は約5年ごとの電池交換が目安、別置型の蓄電池は長寿命形で13〜15年が目安。運用費で差が出ます。

🔌 1. 電池内蔵型 vs 電源別置型の比較

電池内蔵型と電源別置型の交換と保守
内蔵型の電池は約5年で交換が目安で、器具の台数が多いと交換の手間が大きくなります。別置型の蓄電池設備は長寿命形で13〜15年が目安で、交換は設備だけで済みます。周囲温度が高い場所では、どちらも寿命が短くなります。

🔍 どんな違いがあるの?

比較項目 電池内蔵型 電源別置型
価格 器具の台数と構成で変わる(見積で比べる) 同左
初期コスト 本体だけでOKなので安い 必要な装置が多くて高い
ランニングコスト 電池の交換が早め(約5年が目安)だがコスト安め 長寿命形の蓄電池(13〜15年)だが点検・維持費が高め

📝 ポイント

  • 器具が数百〜数千台になる大規模な建物では、電池交換の手間から「電源別置型」が選ばれることも。

  • 使用環境(温度・湿度など)や点検のしやすさによって、寿命やコストが変わることもある。


判断の軸電池内蔵型電源別置型
給電のしかた本体に電池を内蔵する別置きの電源装置から給電する
配線少ない多くなる
寿命の目安電池交換が約5年蓄電池は13〜15年
災害時電源が断たれても点灯する予備電源から器具までの配線を耐火性のある工事で守る(告示1830号)
たとえるなら
内蔵型と別置型は、「1人1本の懐中電灯」と「館内の非常用発電機」のようなものです。
懐中電灯は1人ずつ独立して使えますが、電池は全員分を替える必要があります。発電機は1か所を整備すれば全館をまかなえますが、そこまでの配線がしっかりしていることが前提です。
ひっかけ注意
「内蔵型の電池は一度付ければずっと使える」ではありません。
電池は使わなくても年々弱っていきます。点検で30分点灯できるかを確かめ、足りなければ交換します。器具が多い建物ほど、交換の計画が大切です。
ここまでのポイント
  • 価格は器具の台数や構成で変わるので、見積で比べる
  • 初期コストは、本体だけで済む電池内蔵型のほうが安い
  • 電池内蔵型は電池交換が約5年と早めだが、コストは安め
  • 電源別置型は蓄電池が長寿命(長寿命形で13〜15年)だが、点検・維持費が高め
  • 器具が多い大規模な建物では、電池交換が1か所で済む電源別置型が選ばれることもある
  • 使用環境(温度・湿度など)や点検のしやすさで、寿命やコストは変わる

⚠️ 2. その他の注意点

電池内蔵型と電源別置型の選び方
器具が少ない小〜中規模なら配線が簡単な内蔵型、器具が数百〜数千台になる大規模な建物では電池交換が1か所で済む別置型が選ばれることがあります。平成30年の見直しで、30㎡以下の居室は条件を満たせば設置不要になりました。

✅ 安全性の違い

✅ 設置基準の違い

  • 平成30年(2018年)3月29日から、床面積30㎡以下の居室で地上への出口があるものなどは、非常用照明の設置が不要になりました。

  • 設置が不要な居室を正しく見分ければ、器具の数そのものを減らせます。


取り違えやすいところ正しくは
電池内蔵型は安いから性能も低い1台ずつ独立して点灯するので、配線の影響を受けにくい
別置型は長寿命だから維持費も安い電源寿命は長いが、点検・維持費は高め
建物の規模は選定に関係ない器具が多い建物では電池交換の手間が大きく、別置型が選ばれることがある
どちらを選んでも基準は同じ平成30年の見直しで、30㎡以下の居室は条件を満たせば設置不要になった
ひっかけ注意
「電源別置型は配線が切れやすいから危ない」ではありません。
電源別置型の配線は、予備電源から器具までを防火措置を講じた配線方法(耐火構造の主要構造部への埋設、不燃材料の天井裏の鋼製電線管、MIケーブルなど)で施工することが告示1830号で求められています。
ここまでのポイント
  • 電池内蔵型は、災害時に電源が断たれても点灯する
  • 電源別置型は配線が多くなるため、予備電源から器具までの配線を耐火性のある工事で守る
  • 平成30年の見直しで、30㎡以下の居室は条件を満たせば設置不要になった
  • 設置が不要な居室を見分ければ、器具の数そのものを減らせる

よくある質問(FAQ)

Q. 電池内蔵型と電源別置型の主な違いは何ですか?
A. 電池内蔵型は本体に電池を内蔵し、災害時に電源が断たれても点灯します。電源別置型は別置きの電源装置から給電する方式で、配線が多くなります。

Q. コスト面ではどちらが有利ですか?
A. 電池内蔵型は本体だけで設置でき初期コストが安い一方、電池交換が約5年と早めです。電源別置型は初期コストが高いものの蓄電池が長寿命(長寿命形で13〜15年)ですが、点検・維持費が高めです。器具が多い大規模な建物では、電池交換が1か所で済む電源別置型が選ばれることがあります。

Q. 安全性はどちらが高いですか?
A. 電池内蔵型は独立して点灯するため安心感があります。電源別置型は配線が多くなりますが、予備電源から器具までの配線には告示1830号で防火措置(耐火構造への埋設、鋼製電線管、MIケーブルなど)が求められています。

Q. 設置基準で最近変わった点はありますか?
A. 平成30年3月29日から、床面積30㎡以下の居室で地上への出口があるものなど、一定の条件を満たす居室は非常用照明の設置が不要になりました(国土交通省)。

✅ まとめ

項目 電池内蔵型 電源別置型
初期コスト ◎ 安い △ 高い
ランニングコスト ◎ 比較的安い(交換頻度は多い) △ 点検・交換費が高い
安全性 ◎ 独立していて安心 ○ 配線は耐火性のある工事で守る
向いている建物 一般的に使用 メンテナンス頻度を抑えたい建物
ペン太ペン太
結局どう選べばいいでしょう?
ハリタハリタ
器具の数と点検の体制、それに30㎡以下の居室の設置免除に当たるかを確かめてから選びましょう。

内蔵型と別置型は「初期コストか、交換頻度か」というトレードオフです。そこに災害時の確実性と、建物の面積・点検体制を重ねて選びます。

確認する順番見るところ傾向
Step1建物の面積と器具数器具が多いと電池交換の手間が大きく、別置型が選ばれることがある
Step2点検・保守の体制頻度を抑えたいなら電源別置型
Step3災害時の確実性独立して点灯する電池内蔵型が有利
Step4設置環境温度・湿度で寿命やコストが変わる
Step5基準の確認30㎡以下の居室の設置免除(平成30年)に当たるか確かめる

器具単価だけで比べると差が見えにくい分野です。電池交換の周期と点検費まで含めて、建物の運用年数で並べてみると判断しやすくなります。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。