この記事は、連載「消防設備編」第3回 非常放送設備と誘導灯第4回 非常用照明の設置基準 の補足解説です。計画全体の流れは 設計・施工マニュアル(目次) からご覧いただけます。
全体像:非常照明の1lxと2lxの違い
ペン太ペン太
非常照明って床面で1lxあればどの光源でも同じですよね?
ハリタハリタ
蛍光ランプやLEDは2lx以上が必要です。光源の種類で基準が違うんです。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 非常用照明に求められる床面の水平照度は、いくつ以上か
  • 蛍光ランプやLEDで2lx以上が求められるのは、なぜか
  • 周囲が70℃になると、明るさはどのくらいまで下がるか
この記事でわかること
照度計算の前に、光源ごとの基準を確認しておくと手戻りを防げます。

非常用照明はなぜ光源の種類で照度の基準が違うの?

トピック1:光源で照度基準が違う理由

🔦 質問のポイント

非常時の照明は、「通常の床面で水平照度1lx以上」が必要です。でも、蛍光ランプやLEDの場合は「2lx以上」が求められるってどうして?光源の種類で基準が違うのはなぜ?


ペン太ペン太
えっ、火災の熱で明るさが落ちるなんて考えたことなかったです!
ハリタハリタ
周囲が70℃になると明るさは約60%まで低下します。だから平常時2lx以上なんです。

💡 なぜ光源の種類で基準が違うの?

トピック2:なぜ基準が違うのか

蛍光ランプやLEDは、火災などで周囲の温度が高くなると、明るさが下がってしまいます。

  • 通常:明るさ100%

  • 火災時(70℃):明るさが約60%にダウン

なので、普段から「2lx以上」の照度を確保しておかないと、火災時には基準の1lxを下回ってしまう危険があるんです。


状況周囲温度明るさ床面照度の見え方
平常時常温100%設計値どおり
火災時70℃約60%平常時2lxなら約1.2lxで基準を保てる
火災時(平常時1lxの場合)70℃約60%約0.6lxとなり基準を下回る
ここまでのポイント
  • 蛍光ランプやLEDは、火災などで周囲温度が高くなると明るさが下がる
  • 通常は明るさ100%だが、火災時(70℃)には約60%まで低下する
  • だから平常時から2lx以上を確保しておかないと、火災時に基準の1lxを下回る

🏢 法律や基準もこうなってる!

トピック3:法律や基準の定め

🔸 建築基準法(令和5年度版)

  • 非常用照明は、火災時でも明るさが大きく下がらないような構造にしなければならない。

  • 照明は自動で点灯し、避難できるまでの間、床面に1lx以上の明るさを保つ必要がある。

🔸 JIL 5501(非常用照明器具技術基準・2019年)


よりどころ求められること
建築基準法(令和5年度版)火災時でも明るさが大きく下がらない構造とすること
建築基準法(令和5年度版)自動点灯し、避難できるまで床面1lx以上を保つこと
JIL 5501(2019年)非常用電源で30〜60分の連続点灯、必要箇所に1lx以上
JIL 5501(2019年)蛍光ランプ・LEDは平常時から2lx以上
JIL 5501(2019年)70℃の高温でも耐えられる耐熱性
ここまでのポイント
  • 建築基準法(令和5年度版)では、火災時でも明るさが大きく下がらない構造とすることが求められる
  • 照明は自動で点灯し、避難できるまでの間、床面に1lx以上を保つ
  • JIL 5501(非常用照明器具技術基準・2019年)では、非常用電源で30〜60分の連続点灯が求められる
  • 蛍光ランプやLEDは平常時から2lx以上、70℃の高温に耐える耐熱性も必要

❓ よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問

Q. 非常用照明の基本の照度はどのくらい必要ですか?
A. 床面で水平照度1lx以上が基本です。避難できるまでの間、自動点灯して1lx以上を保つ必要があります。

Q. なぜ蛍光ランプやLEDは2lx以上が求められるのですか?
A. 蛍光ランプやLEDは火災などで周囲温度が高くなると明るさが下がるためです。70℃では明るさが約60%まで低下するので、普段から2lx以上を確保しておかないと火災時に基準の1lxを下回る危険があります。

Q. 非常用照明は何分間点灯できればよいですか?
A. JIL 5501(2019年)では、非常用電源で30〜60分連続点灯し、必要箇所に1lx以上の照度を確保することが求められています。

Q. 非常用照明にはどのような耐熱性が必要ですか?
A. 蛍光ランプやLEDの非常用照明は、70℃の高温でも耐えられる耐熱性が必要です。

✅ まとめ

この記事のまとめ

  • 火災時には照明の明るさが下がるため、蛍光ランプやLEDは「余裕を持った明るさ」が必要。
  • 普段から2lx以上の明るさがあれば、火災時でも1lxを保てる。
  • 法律や技術基準でもしっかり定められていて、安全確保のための大事なルール。

1lxと2lxの差は、器具の性能差ではなく「火災時に温度が上がると明るさが落ちる」という性質への備えです。蛍光ランプやLEDは低下分を見込んで平常時2lx以上とすることで、火災時にも基準の1lxを保てるようにしています。

確認する順番見るところ決まること
Step1使用する光源の種類蛍光ランプ・LEDかどうか
Step2必要な床面照度1lx以上か、2lx以上か
Step3照度計平常時の値で基準を満たしているか
Step4点灯時間非常用電源で30〜60分連続点灯できるか
Step5耐熱性70℃の高温に耐える器具か

照度計算のあとで光源を変更すると、必要な照度そのものが変わってしまいます。器具を選ぶ段階で1lxか2lxかを確定させておくと、計算のやり直しを避けられます。

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設計ではどう反映すればいいですか?
ハリタハリタ
建築基準法とJIL 5501に沿って、光源ごとの基準照度で照度計算をしましょう。

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電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。