この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
セルロイドやマッチ、石油類など燃えやすい危険物がある場所の電気設備を内線規程に基づき解説。金属管・合成樹脂管・ケーブル配線、火花や高温を生じる機器の全閉・防爆構造、接続点のない移動電線、照明器具の固定と接地工事のポイントを図解で整理します。
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全体像:内線規程【078】危険物などの存在する場所
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出典:内線規程(JEAC8001-2022)より

セルロイドやマッチ、石油類など燃えやすい危険物がある場所では、電気火花や高温が火災・爆発の引き金になります。内線規程では配線方法・機器・接地について具体的な基準が定められています。本記事では要点を図解で整理します。

危険物のある場所の電気設備の3つのポイント(配線方法・機器と移動電線・固定と接地)を示した図解

結論

燃えやすい危険物がある場所では、①配線は金属管配線・合成樹脂管配線・ケーブル配線のいずれかとし、②火花や高温を生じる機器は全閉構造または防爆構造とし移動電線は接続点のないキャブタイヤケーブルを使い、③照明器具の確実な固定・接続部の緩み止め・接地工事で火災を防ぎます。

この記事でわかること
✔ 配線方法
✔ 移動電線と電気機械器具
✔ 固定・接続・接地
ペン太ペン太
セルロイドや石油類がある場所って、普通の配線じゃダメなんですか?
ハリタハリタ
はい。金属管・合成樹脂管・ケーブル配線に限定されます。火花一つが火災につながる場所ですから。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 危険物のある場所で使える配線方法は、何と何と何か
  • 移動電線には、どんなケーブルを使うか
  • 火花やアークを生じる機器は、どんな構造にするか
この記事でわかること
機器の選び方は、2つ目の項にまとめています。

配線方法

トピック1:配線方法
  • 燃えやすい危険物がある場所の配線は、金属管配線・合成樹脂管配線(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く)・ケーブル配線のいずれかで行います。
  • 金属管には薄鋼電線管(または同等以上の強度のもの)を使用します。合成樹脂管及びボックスその他の附属品は、損傷を受けるおそれがないように施設します。
  • ケーブルは、鋼帯などのがい装を有するケーブルまたはMIケーブルを除き、管その他の防護装置に収めて施設します。なお危険物がガスや蒸気を発生するものであれば、3415節(ガス蒸気危険場所)の規定が適用されます。
ペン太ペン太
移動電線は普通のコードでもいいんですよね?
ハリタハリタ
いけません。接続点のないキャブタイヤケーブルを使います。機器も全閉構造か防爆構造が基本です。
配線方式使用する材料と施設方法
金属管配線薄鋼電線管(または同等以上の強度のもの)
合成樹脂管配線厚さ2mm未満の電線管とCD管は除く。損傷を受けないように施設
ケーブル配線がい装ケーブル・MIケーブルを除き、管その他の防護装置に収める
ここまでのポイント
  • 配線は、金属管配線・合成樹脂管配線(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管およびCD管を除く)・ケーブル配線のいずれかで行う
  • 金属管には薄鋼電線管(または同等以上の強度のもの)を使用する
  • 合成樹脂管およびボックスその他の附属品は、損傷を受けるおそれがないように施設する
  • ケーブルは、鋼帯などのがい装を有するケーブルまたはMIケーブルを除き、管その他の防護装置に収めて施設する
  • 危険物がガスや蒸気を発生するものであれば、3415節(ガス蒸気危険場所)の規定が適用される

移動電線と電気機械器具

トピック2:移動電線と電気機械器具
  • 移動電線は、一種キャブタイヤケーブル以外の、接続点のないキャブタイヤケーブルを使用し、引込み部分で損傷を受けるおそれがないように施設します。
  • 火花やアークを生じる機器(溶接機・開閉器など)や高温になる機器(ヒーター・乾燥機など)は、全閉構造または防爆構造とするなど、周囲の可燃物への引火を防ぐ措置を講じます。
  • 工事現場などで移動して使用する電灯は、衝撃に強く堅固な外装のものを使用し、定期的に点検します。
取り違えやすいところ正しくは
移動電線は普通のコードでよい一種キャブタイヤケーブル以外の、接続点のないキャブタイヤケーブルを使う
金属管ならどの種類でもよい薄鋼電線管、または同等以上の強度のものを使用する
ケーブルはそのまま敷設してよいがい装ケーブルやMIケーブルを除き、管その他の防護装置に収める
機器は一般品でも保護すれば足りる火花やアークを生じる機器は全閉構造または防爆構造とする
危険物があれば一律に同じ規定ガスや蒸気を発生するものは3415節が適用される
ここまでのポイント
  • 移動電線は、一種キャブタイヤケーブル以外の、接続点のないキャブタイヤケーブルを使用する
  • 引込み部分で損傷を受けるおそれがないように施設する
  • 火花やアークを生じる機器(溶接機・開閉器など)や高温になる機器(ヒーター・乾燥機など)は、全閉構造または防爆構造とするなど、周囲の可燃物への引火を防ぐ措置を講じる
  • 工事現場などで移動して使用する電灯は、衝撃に強く堅固な外装のものを使用し、定期的に点検する

固定・接続・接地

トピック3:固定・接続・接地
  • 照明器具は、天井や壁などの造営材に直接、または吊り下げ管やチェーンなどで確実に固定します。高温になるランプは、ランプ保護カバー付きのものを使用します。
  • 電線と機器の接続部は、振動や衝撃で緩まないよう止めナットやばね座金などを使用し、電気的に完全に接続します。
  • 機械器具の鉄台・金属製外箱・鉄わくなどには、規定に準じて接地工事を施します。

たとえ話で理解しよう

燃えやすい危険物がある場所は、マッチ箱の中で作業するようなもの。小さな火花や熱が大きな火事を招きます。だから「火花を出さない・閉じ込める・しっかり固定する」ことが大切なのです。

見習いペン太
見習いペン太
先生、燃えやすい物がある場所で気をつけることは何ですか?
はりた
はりた
配線は金属管・合成樹脂管・ケーブルのいずれかにして、火花や高温を出す機器は全閉構造か防爆構造にするんだ。
見習いペン太
見習いペン太
移動電線はどうすればいいですか?
はりた
はりた
接続点のないキャブタイヤケーブルを使う。照明はしっかり固定してランプ保護カバーを付け、接続部の緩み止めと接地工事も忘れずにね。
ここまでのポイント
  • 照明器具は、天井や壁などの造営材に直接、または吊り下げ管やチェーンなどで確実に固定する
  • 高温になるランプは、ランプ保護カバー付きのものを使用する
  • 電線と機器の接続部は、振動や衝撃で緩まないよう止めナットやばね座金などを使用し、電気的に完全に接続する
  • 機械器具の鉄台・金属製外箱・鉄わくなどには、規定に準じて接地工事を施す

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問
Q. 燃えやすい危険物がある場所ではどんな配線方法が使えますか?
A. 金属管配線、合成樹脂管配線(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く)、ケーブル配線のいずれかで行います。金属管には薄鋼電線管(または同等以上の強度のもの)を使用します。
Q. 火花や高温を生じる機器にはどんな対策が必要ですか?
A. 溶接機や開閉器など火花・アークを生じる機器、ヒーターや乾燥機など高温になる機器は、全閉構造とするか防爆構造とするなど、周囲の可燃物への引火を防ぐ適切な措置を講じます。
Q. 移動電線や接続部、接地はどうすればよいですか?
A. 移動電線は接続点のないキャブタイヤケーブル(一種を除く)を使用します。電線と機器の接続部は止めナットやばね座金で緩み止めを施し、機械器具の鉄台・金属製外箱・鉄わくなどには規定に準じて接地工事を施します。

まとめ|火花を出さない、閉じ込める、固定する

燃えやすい危険物がある場所では、小さな火花や熱が大きな事故につながります。配線は管に収め、火花を生じる機器は全閉構造または防爆構造で閉じ込め、器具は確実に固定します。

確認する順番見るところ基準
Step1危険物の性質ガスや蒸気を発生するか(3415節の適用)
Step2配線方式金属管・合成樹脂管・ケーブルのいずれか
Step3材料薄鋼電線管、防護装置への収容
Step4移動電線と機器接続点のないキャブタイヤ、全閉構造または防爆構造
Step5固定・接続・接地確実な固定、緩み止め、鉄台や外箱への接地工事

工事現場のように設備が動く場所では、移動電線と仮設照明の扱いが要点になります。接続点のないケーブルを使う、定期的に点検するというルールを、現場のルールとして共有しておくと確実です。

📘 この記事の根拠規程|解説の原文は内線規程(JEAC8001-2022)に掲載されています。実務で使う方は手元に1冊どうぞ → 電気設備の必携書籍おすすめ4選【2026年版】

ペン太ペン太
現場ではまず何から確認すればいいですか?
ハリタハリタ
危険物の種類と場所の把握からです。配線方法と機器の構造を規程どおりに選べば安心ですよ。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。