技術図書館300V以下に抑え、可燃物から離す高温多湿の環境なので厳しい基準が置かれる。電圧、離隔、接地と温度対策の順に確かめるこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
この記事は連載「内線規程の解釈と解説」(全119回)の1本です。
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出典:電気設備の技術基準の解釈 第143条・第151条・第152条・第29条・第36条(専用の条文はなく、近い決まりとして)

サウナ風呂のような高温・多湿の環境では、一般の電気設備よりも厳しい安全基準が求められます。本記事では電気設備の技術基準の解釈にもとづいて、「サウナ風呂などの施設」の要点を図解とFAQで整理します。

専用の条文は、ない 第143条・第152条ほか。
住宅は、150V以下 第143条第1項。
2kW以上の専用回路で、300V以下 第143条第1項第一号。
離隔距離は、内線規程 内線規程で確かめる。
ペン太ペン太
サウナ用のストーブも普通の電気ヒーターと同じ扱いで配線していいんですか?
ハリタハリタ
解釈にはサウナだけの条文はありませんが、電熱装置や住宅の対地電圧の決まりがかかわります。

この記事で押さえる3つのこと

この記事の道案内
離隔距離を確認したい方は、2つ目の項をご覧ください。

1. 電圧と専用の回路

住宅の屋内電路は、150V以下 第143条第1項。
2kW以上の器具なら、300V以下 第一号イ・ロ。
配線と器具に、簡易接触防護 第一号ハ・ニ。
専用の開閉器と、過電流遮断器 第一号ヘ。
  • 解釈にはサウナ風呂だけの条文はありません。住宅の対地電圧(第143条)、電気機械器具・電熱装置(第151条・第152条)、接地(第29条)、漏電遮断(第36条)などで決まりを見ます。JIS C 0364-7-703「サウナヒータのある部屋及び小屋」によって施設する道もあります(第218条)
  • 住宅の屋内電路の対地電圧は150V以下が原則です。定格消費電力2kW以上の器具をその器具だけの配線で直接つなぎ、配線と器具に簡易接触防護措置を施すなら、300V以下にできます(第143条第1項第一号)
  • そのときは、電路に専用の開閉器と過電流遮断器を施設します。過電流遮断器に開閉機能があれば、遮断器だけでもかまいません(第一号ヘ)
  • 「サウナ設備はすべて対地電圧300V以下」「各極に設ける」という書き方は内線規程です。住宅以外の場所の扱いも含め、内線規程で確かめます
場所 対地電圧
住宅の原則 150V以下
住宅・2kW以上 300V以下(条件つき)
住宅以外 内線規程で確認
たとえるなら
住宅の300Vは、専用レーンの大型車
大型車も専用レーンを通れば、ほかの車とぶつかりにくくなります。住宅で300Vにできるのも、2kW以上の器具をその器具だけの配線でつなぐ場合です。
ここに注意!
「サウナの電路は、どこでも300V以下」ではありません。
住宅の屋内電路は150V以下が原則で、2kW以上の器具を専用の配線でつなぐなど条件を満たすと300V以下にできます(解釈第143条第1項)。
ここに注意!
「各極に開閉器は、解釈の決まり」ではありません。
解釈では「専用の開閉器と過電流遮断器」で、開閉機能のある遮断器なら遮断器だけでよいとされています(第143条第1項第一号ヘ)。各極の書き方は内線規程で確かめます。
ペン太ペン太
可燃物からちょっと離せば十分だと思ってました…何cm必要なんですか?
ハリタハリタ
100cm・50cmは内線規程の数字です。解釈には離隔の数字がないので、内線規程とストーブの説明書で確かめましょう。
ここまでのポイント
  • 住宅は150V以下、2kW以上の専用回路なら300V以下
  • 専用の開閉器と過電流遮断器(開閉機能付きなら遮断器だけ)
  • サウナだけの条文はなく、JIS C 0364-7-703 の道もある


2. ストーブの構造と熱

充電部分を、露出しない 第151条。
発熱体は、内部に安全に 第152条第1項。
電線は、熱で傷めない 第152条第2項。
金属製外箱の書き方は、内線規程 内線規程で確かめる。
  • 電気機械器具は、充電部分が露出しないように施設します(第151条)
  • 電熱装置は、発熱体を機械器具の内部に安全に施設できる構造のものとし、つなぐ電線は熱で被覆を損傷しないように施設します(第152条)
100cm・50cmは、内線規程 内線規程で確かめる。
JIS C 0364-7-703で、施設もできる 第218条。
温度監視は、内線規程 内線規程で確かめる。
取扱説明書も、確かめる 離隔の数字。
  • 住宅で300Vにするなら、器具に簡易接触防護措置を施します。絶縁性のある材料で堅ろうに作られた部分などは除かれます(第143条第1項第一号ニ)
  • 「堅ろうな金属製の外箱」「可燃物から輻射熱の向き100cm以上・その他50cm以上」は解釈にはない書き方・数字です。内線規程とストーブの取扱説明書で確かめます
項目 よりどころ
充電部の露出 第151条
発熱体の構造 第152条第1項
電線の被覆 第152条第2項
離隔100cm・50cm 内線規程で確認
たとえるなら
電熱装置の構造は、電気ポットのヒーター
電気ポットは熱くなる部分が中に収まっているから、外から触れても安全です。電熱装置も、発熱体を機械器具の内部に安全に施設できる構造にします。
ここに注意!
「100cm・50cmは、解釈の数字」ではありません。
可燃物との離隔の数字は解釈にはありません。内線規程とストーブの取扱説明書で確かめます。
ここに注意!
「電線は、一般のものでよい」ではありません。
電熱装置につなぐ電線は、熱のため被覆を損傷しないように施設します(第152条第2項)。
ここまでのポイント
  • 充電部分を露出しない
  • 発熱体は機械器具の内部に安全に
  • つなぐ電線は熱で被覆を傷めない
  • 離隔100cm・50cmは内線規程で確かめる


3. 接地と漏電遮断

300V以下は、D種接地 第29条。
300V超は、C種接地 第29条。
60V超の金属製外箱は、地絡遮断 第36条第1項。
住宅の300Vは、遮断か絶縁変圧器 第143条第1項第一号ト。
  • 機械器具の金属製外箱には、低圧300V以下ならD種接地工事、300V超ならC種接地工事を施します(第29条)
  • 金属製外箱をもつ使用電圧60V超の低圧の機械器具の電路には、地絡を生じたときに自動遮断する装置を施設します。乾燥した場所などの例外は第36条各号で確かめます(第36条第1項)
  • 住宅で300Vにする場合は、地絡遮断装置を施設するか、電源側に絶縁変圧器(3kVA以下・2次300V以下)を施設して負荷側を接地しないようにします(第143条第1項第一号ト)
  • 「1350-2に準じた接地」「温度監視・自動遮断装置」「高温に耐える電線・機器」は内線規程の書き方です。内線規程で確かめます
たとえるなら
接地と漏電遮断は、洗濯機のアースと漏電ブレーカー
洗濯機にアース線をつなぎ、分電盤に漏電ブレーカーがあるのと同じ考え方です。サウナのストーブも金属製外箱を接地し、地絡したら自動で遮断します。
ペン太ペン太
サウナの中ってすごく暑いけど、電気設備は大丈夫なの?火事にならないのかな…?
ハリタハリタ
そこがポイントだよ。住宅なら対地電圧は150V以下が原則で、2kW以上のストーブを専用の回路にするなら300V以下にできるんだ。
ペン太ペン太
ストーブの置き方にもルールがあるの?
ハリタハリタ
あるよ。充電部分を出さず、つなぐ電線は熱で傷まないようにする。離す距離の数字は内線規程で確かめよう。もちろん接地も忘れずにね。
思いこみ 正しくは
サウナは一律300V 住宅は原則150V
離隔は解釈の数字 内線規程で確認
各極は解釈の決まり 専用の開閉器
漏電遮断は不要 第36条で確認
1350-2は解釈 内線規程で確認
ここに注意!
「漏電遮断器は、サウナにはいらない」ではありません。
金属製外箱をもつ60V超の機械器具の電路には、原則として地絡遮断装置を施設します(第36条)。住宅で300Vにするなら、地絡遮断装置か条件に合う絶縁変圧器が要ります(第143条)。
ここに注意!
「1350-2は、解釈の番号」ではありません。
1350-2は内線規程の番号です。解釈では、金属製外箱の接地は第29条で、300V以下はD種、300V超はC種です。
ここまでのポイント
  • 金属製外箱は300V以下でD種、300V超でC種
  • 60V超の金属製外箱の電路は原則として地絡遮断
  • 1350-2や温度監視は内線規程で確かめる


よくある質問(FAQ)

Q1. 対地電圧は? 150V・300V。
Q2. 離隔距離は? 内線規程で確かめる。
Q3. 接地は? D種・C種。
1350-2は? 内線規程の番号。
Q. サウナ設備の対地電圧の上限は?
A. 住宅の屋内電路は150V以下が原則で、定格2kW以上の器具をその器具だけの配線で直接つなぎ、簡易接触防護措置や地絡遮断装置などの条件を満たせば300V以下にできます(解釈第143条第1項)。住宅以外の場所の扱いは内線規程で確かめます。
Q. サウナストーブの電路に必要な保護は?
A. 専用の開閉器と過電流遮断器を施設し、過電流遮断器に開閉機能があれば遮断器だけでもかまいません(第143条第1項第一号ヘ)。金属製外箱の器具の電路には、原則として地絡遮断装置も施設します(第36条)。
Q. 可燃物との離隔距離はどれくらい?
A. 輻射熱の向き100cm以上・その他50cm以上は内線規程の数字で、解釈にはありません。内線規程とストーブの取扱説明書で確かめます。
Q. 接地はどうすればよい?
A. 機械器具の金属製外箱は、300V以下ならD種、300V超ならC種の接地工事です(第29条)。「1350-2に準じる」は内線規程の書き方です。

まとめ|高温多湿を前提に、電圧・距離・耐熱をそろえる

サウナ室は高温の特殊な環境のため、「対地電圧と専用の回路」「熱に負けない構造と電線」「接地と漏電遮断」の3点が基本になります。離隔距離や温度監視は、内線規程とストーブの説明書で確かめます。

確認する項目 決まり
住宅の対地電圧 150V(条件で300V)
回路 専用の開閉器・遮断器
充電部 露出しない
電熱装置 発熱体を内部に
電線 熱で被覆を傷めない
接地 D種・C種
漏電遮断 第36条
離隔距離 内線規程で確認

内装が木材であることが多いサウナ室では、離隔距離が設計の制約として効いてきます。ストーブの位置とベンチの配置を決める段階で、内線規程と取扱説明書の離隔を落とし込んでおくと、あとから配置を見直す手間が省けます。

ペン太ペン太
設計の次の一歩は何から始めれば?
ハリタハリタ
専用の回路と、専用の開閉器・過電流遮断器の計画からです。漏電遮断と接地もあわせて決めましょう。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。