内線規程の解釈と解説【023】|架空電線路
出典:電気設備に関する技術基準を定める省令 第26条、
架空電線路は、電柱に電線を張って電気を送る身近な配電設備です。屋外で人・車両・建物のそばを通るため、ルールは 「支持物を倒さない/電線を正しく張る/まわりと距離をとる」 の3点に集約できます。
ペン太
ハリタ
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ハリタこの記事で押さえる3つのこと
- 支持物は他人の電線の間を貫通しない。300Vを超える低圧架空電線に、DV電線・DE電線・多心型電線は使わない。
- 支持物は風圧荷重に耐える強度にし、根入れは柱の種類・設計荷重・全長で決める。高圧の柱は、角度のある所と引留めに支線。
- 建造物などと接近状態になるときは、離隔距離を確かめ、必要な所は保安工事にする。
基本ルール(どこに設けてよいか)
- 支持物は、他人の架空電線路や架空弱電流電線路などの電線の間を貫通して施設しない(他人の承諾があれば別。省令第26条第1項)
- 架空電線は、他人の架空電線路などの支持物を挟んで施設しない(同一支持物に施設する場合や、承諾を得た場合は別。同条第2項)
- 使用電圧300V超の低圧架空電線には、DV電線・DE電線・多心型電線を使わない(解釈第65条)
| 使用電圧 | 使える電線(解釈第65条、65-1表) |
|---|---|
| 低圧(300V以下) | 絶縁電線、多心型電線又はケーブル |
| 低圧(300V超過) | 絶縁電線(引込用ビニル絶縁電線・引込用ポリエチレン絶縁電線を除く)又はケーブル |
| 高圧 | 高圧絶縁電線、特別高圧絶縁電線又はケーブル |
- 支持物は、他人の電線の間を貫通して施設しない(承諾があれば可)。
- 架空電線は、他人の支持物を挟んで施設しない(同一支持物・承諾があれば可)。
- 使用電圧300Vを超える低圧架空電線には、DV電線・DE電線・多心型電線を使用しない。
① 支持物(電柱)の安全
- 風圧荷重:甲種風圧荷重は、構成材の垂直投影面に加わる圧力(58-1表)か、風速40m/s以上を想定した風洞実験の値をもとにする。季節と地方で、甲種・乙種・丙種を使い分ける(解釈第58条)
- 人家が多く連なっている場所:低圧・高圧の架空電線路の支持物や架渉線などは、丙種風圧荷重(甲種の0.5倍)を適用できる
- 根入れ:A種鉄筋コンクリート柱は、設計荷重と全長に応じて59-3表の値以上。設計荷重6.87kN以下なら、全長15m以下で全長の1/6(解釈第59条)
- 支線:高圧・特別高圧の木柱・A種柱は、水平角度5度超の箇所と引き留める箇所に支線(解釈第62条)。同等以上の支柱で代えられる(第61条第4項)
| 全長 | 根入れ深さ | 備考 |
|---|---|---|
| 15m以下 | 全長の1/6以上 | 設計荷重6.87kN以下 |
| 15mを超え16m以下 | 2.5m以上 | 設計荷重6.87kN以下 |
| 16mを超え20m以下 | 2.8m以上 | 設計荷重6.87kN以下 |
| 水田など軟弱地盤 | 設計荷重6.87kN以下・全長16m以下 | 特に堅ろうな根かせを施す |
- 支持物は風圧荷重に耐える強度にする。甲種は風速40m/s相当。
- 根入れは柱の種類・設計荷重・全長で決まる(59-3表など)。
- 軟弱地盤は6.87kN以下・16m以下とし、堅ろうな根かせ。
- 高圧の柱は、水平角度5度超と引留め箇所に支線(支柱で代用可)。
- 人家が多く連なる場所は、丙種風圧荷重を適用できる。
② 電線の施設方法
- 分岐:架空電線の分岐は電線の支持点でする。ケーブルを使う場合や、分岐点で張力が加わらない場合は別(解釈第54条)
- 弛度:高圧架空電線(ケーブルを除く)は、引張強さに対する安全率が2.2(硬銅線)・2.5(その他)以上となる弛度にする。300V超の低圧と多心型電線も準じる(解釈第66条)
- 多心型電線:被覆のない導体は、B種接地の中性線・接地側電線か、D種接地のちょう架用線にする(解釈第65条第1項第三号)
- 昇塔防止:取扱者が昇降に使う足場金具等は、地表上1.8m以上(解釈第53条)
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ハリタ- 分岐は電線の支持点でする(ケーブル等は別)。
- 高圧架空電線は、安全率2.2・2.5以上となる弛度にする。
- 300V超の低圧と多心型電線も、弛度の決まりに準じる。
- 足場金具は地表上1.8m以上に施設する。
- 多心型電線の裸の導体は、B種接地の中性線かD種接地のちょう架用線。
③ 接近状態・保安工事・離隔
接近状態は、架空電線が他の工作物の上方又は側方に施設される状態で、水平距離3m未満が第2次接近状態、3m以上で支持物の地表上の高さに相当する距離以内(電線の切断や支持物の倒壊の際に接触するおそれがある)が第1次接近状態です(解釈第49条)。
- 保安工事:電線の断線や支持物の倒壊などによる危険を防ぐため、必要な場合に行う工事。高圧保安工事は、電線を8.01kN以上か直径5mm以上の硬銅線(ケーブルを除く)、木柱の風圧荷重に対する安全率を2.0以上、径間を木柱・A種柱で100m以下などにする(解釈第70条)
- 高圧架空電線が建造物と接近状態になるときは、高圧架空電線路を高圧保安工事で施設する(解釈第71条)
- 建造物との離隔(71-1表):ケーブル・高圧絶縁電線などは上部造営材の上方1m・その他0.4m。それ以外は上方2m・その他1.2m(人が手を伸ばせない部分0.8m)。他の工作物は第78条(78-1表)
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 他人の電線路の上でも自由に設けられる | 支持物は他人の電線の間を貫通しない。架空電線は他人の支持物を挟まない(承諾があれば別) |
| 300V超の低圧でもDV電線が使える | DV電線・DE電線・多心型電線は使わない |
| 人家が多い所は、風圧荷重を考えない | 丙種風圧荷重(甲種の0.5倍)を適用できる |
| 根入れは15mを超えたら2.5m | 2.5mは15m超16m以下(6.87kN以下のA種鉄筋コンクリート柱)。20m以下は2.8m |
| 足場金具は登りやすい高さでよい | 地表上1.8m以上(格納式・昇塔防止装置・さく・山地などは別) |
| 接近状態は3m以内だけ | 3m以上でも、支持物の高さ以内で接触のおそれがあれば第1次接近状態 |
- 3m未満が第2次、3m以上で支持物の高さ以内が第1次接近状態。
- 高圧架空電線が建造物と接近状態なら、高圧保安工事にする。
- 高圧保安工事は、電線8.01kN以上か5mm硬銅線、木柱の安全率2.0以上など。
- 建造物の上方は2m(ケーブル・高圧絶縁電線などは1m)。
よくある質問(FAQ)
Q. 架空電線路の支持物はどんな荷重を想定するの?
A. 強度の検討には、風圧荷重(甲種・乙種・丙種・着雪時)などを用います。甲種風圧荷重は、構成材の垂直投影面に加わる圧力(58-1表)か、風速40m/s以上を想定した風洞実験の値がもとです。季節と地方で適用する荷重が決まり、人家が多く連なっている場所の低圧・高圧架空電線路の支持物や架渉線は、丙種風圧荷重(甲種の0.5倍)を適用できます(解釈第58条)。
Q. 電柱の根入れはどれくらい必要?
A. A種鉄筋コンクリート柱で設計荷重6.87kN以下なら、全長15m以下は全長の1/6以上、15mを超え16m以下は2.5m以上、16mを超え20m以下は2.8m以上です。設計荷重が大きいと深くなります。水田など地盤が軟弱な所は、設計荷重6.87kN以下・全長16m以下とし、特に堅ろうな根かせを施します(解釈第59条、59-3表)。
Q. 支線はどんなときに設置するの?
A. 高圧・特別高圧の架空電線路に使う木柱・A種鉄筋コンクリート柱・A種鉄柱には、水平角度が5度を超える箇所と、全架渉線を引き留める箇所に支線を設けます。水平角度5度以下でも、両側の径間の差が大きい場合は支線が要ります(解釈第62条)。支線は、同等以上の効力のある支柱で代えられます(第61条第4項)。
Q. 他物との離隔距離はどこを見ればいい?
A. 建造物との離隔は第71条(71-1表)で、ケーブルや高圧絶縁電線などは上部造営材の上方1m・その他0.4m、それ以外の電線は上方2m・その他1.2m(人が手を伸ばせない部分は0.8m)です。道路などは第72条、それ以外の工作物は第78条(78-1表)を見ます。
まとめ|設置場所・支持物・電線・離隔の順で見る
架空電線路は、どこに設けてよいかを確かめ、支持物の荷重と根入れを満たし、電線を適正に支持し、離隔の表を取り違えないという順で確認すると整理しやすくなります。
| 確認する項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置場所 | 支持物は他人の電線の間を貫通しない。架空電線は他人の支持物を挟まない(省令第26条) |
| 使える電線 | 300V超の低圧はDV・DE・多心型を使わない(解釈第65条) |
| 風圧荷重 | 甲種は風速40m/s相当。人家が多い所は丙種も可(第58条) |
| 根入れ | A種鉄筋コンクリート柱(6.87kN以下)は15m以下で1/6、16m以下2.5m、20m以下2.8m(第59条) |
| 支線 | 高圧・特高の柱は、水平角度5度超と引留め箇所(第62条)。支柱で代用可 |
| 分岐・弛度 | 分岐は支持点で(第54条)。高圧は安全率2.2・2.5以上の弛度(第66条) |
| 足場金具 | 地表上1.8m以上(第53条) |
| 接近状態 | 3m未満が第2次、3m以上で支持物の高さ以内が第1次(第49条) |
| 保安工事・離隔 | 高圧が建造物と接近するときは高圧保安工事。上方の離隔は2m(ケーブル等1m)(第70条・第71条) |
設置場所で押さえること
- 他人の電線路を貫通していないか。
- 他人の支持物を挟んでいないか。
- 使えない電線を選んでいないか。
支持物で押さえること
- 風圧と引っ張り荷重への耐力。
- 全長に応じた根入れと、軟弱地盤での根かせ。
- 支線・支柱の設置箇所と昇柱防止。
電線と離隔で押さえること
- 支持と分岐の方法、弛度。
- 使える電線の種類と太さ。
- 接近状態と、保安工事・離隔距離。
架空電線路は、支持物の強度・電線の張り方・周囲との距離という3つの要素が、そのまま公衆の安全につながる設備です。とくに線間距離と離隔距離は名前が似ていて表も別なので、図面に書き込む前に一度立ち止まって確認しておくと安心です。
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