技術図書館等価容量の計算を8枚のスライドで読むP0=Σ(Ki×Pi) の意味から、機器表・換算係数・限度値との比較まで計算例つきで確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

等価容量は、高調波発生機器の容量を「三相ブリッジ6パルス変換装置の容量」に換算して足し合わせた値です。計算そのものは掛け算と足し算だけですが、換算係数 Ki の読み違いと定格「入力」容量の取り違えで結果が大きく変わります。この記事では、式の意味から機器表の作り方、0.9倍の条件、限度値との比較、そして等価容量を下げる打ち手までを、計算例つきで整理します。

結論

式はP0 = Σ(Ki × Pi)。6.6kV受電なら50kVA以下で検討終了です。

  • 等価容量は「6パルス変換装置に直すと何kVAに相当するか」を表す値
  • Pi は定格入力容量。出力容量ではなく、台数を掛けた合計を使う
  • Ki は機器の種類ではなく整流回路のつくりで決まる。6パルス・リアクトルなし3.4/交流側または直流側1.8/交・直流側1.4/12パルス0.5/24パルス0.25
  • 高圧受電かつ進相コンデンサがすべて直列リアクトル付なら P0 × 0.9
  • 限度値は6.6kV:50kVA/22・33kV:300kVA/66kV以上:2,000kVA
  • 超えても対策が要ると決まったわけではない。第2ステップで流出電流を計算して確かめる
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
①の抽出は別の記事で扱います。この記事は②〜⑥、数値を作って判定するところです。
この記事で読めるようになる用語:高調波進相コンデンサ直列リアクトル力率

等価容量とは何を表す量か

等価容量は、高調波発生機器ごとの容量を、三相ブリッジ6パルス変換装置(6相整流器)の回路構成容量に換算したものの総和と定義されています。言いかえると「6パルス変換装置に直すと、何kVA分に相当するか」という値です。

なぜ換算するかというと、同じ容量でも回路によって出す高調波の量が違うからです。容量をそのまま足しても、高調波の多さは比べられません。そこで、いちばん高調波の多い「6パルス・リアクトルなし」を基準のものさしにして、そこへ揃えます。

機器の容量が同じでも、リアクトルの有無で等価容量は最大で約7分の1まで変わります。
ペン太ペン太
容量をそのまま足すのではだめなんですか?
ハリタハリタ
だめです。リアクトル付きの100kVAと、なしの100kVAでは出る高調波がまるで違いますから。
ここまでのポイント
  • 等価容量=機器の容量を6パルス変換装置の容量に換算した総和
  • 基準は「6パルス・リアクトルなし」。ここに揃えて比べる
  • 同じ100kVAでも、換算後は340kVA(Ki 3.4)から50kVA(12パルス)まで変わる
  • 容量をそのまま足しても、高調波の多さは比べられない

式の読み方 ― P0 = Σ(Ki × Pi)

式そのものは単純です。機器ごとに「換算係数 × 定格入力容量」を出して、全部足すだけです。

i は回路種別を表します。同じ回路種別の機器はまとめて足してから掛けても同じ結果です。
記号 意味 実務で気をつけるところ
P0 等価容量[kVA] 機器ごとの換算容量を全部足した値
Ki 換算係数 機器の種類ではなく回路種別で決まる。メーカー仕様で確認
Pi 定格容量[kVA] 定格「入力」容量。出力容量ではない。台数を掛けた合計を使う
i 回路種別を示す数 同じ回路種別はまとめて集計できる
出典:高調波抑制対策技術指針。等価容量は「三相ブリッジ6パルス変換装置の回路構成容量に換算したものの総和」と定義されています。

⚠ 出力容量で集計すると、等価容量が小さく出る

機器表に書くのは定格入力容量[kVA]です。カタログには出力[kW]が目立つように書かれていることが多く、そのまま拾うと入力容量より小さい値になります。等価容量が小さく出れば、本来必要な第2ステップを飛ばしてしまうことになります。仕様書で「定格入力容量」と明記された値を使ってください。

ここまでのポイント
  • P0 = Σ(Ki × Pi)。掛けて足すだけ
  • Pi は定格入力容量。出力容量ではない
  • 台数がある機器は、定格入力容量×台数の合計を Pi にする
  • 同じ回路種別の機器は、まとめて足してから Ki を掛けてもよい


換算係数 Ki は、どこを見て決まるか

換算係数は機器の名前では決まりません。「エレベータだから」「空調だから」ではなく、その機器に入っている整流回路のつくりで決まります。

ACLは整流器の手前、DCLは整流器とインバータの間。この位置で換算係数が変わります。
「インバータだから1.8」ではありません。リアクトルが付いていなければ3.4です。
回路種別 換算係数 Ki どういう機器か
6パルス変換装置 リアクトルなし 3.4 対策のない汎用インバータ、古いUPSなど
6パルス変換装置 リアクトル付(交流側) 1.8 ACLを入れた状態
6パルス変換装置 リアクトル付(直流側) 1.8 DCLを入れた状態
6パルス変換装置 リアクトル付(交・直流側) 1.4 ACLとDCLの両方を入れた状態
12パルス変換装置 0.5 多相化変圧器を使い、5次・7次を打ち消す
24パルス変換装置 0.25 さらに低い次数まで打ち消す
出典:高調波抑制対策技術指針 表201-2-1(回路種別ごとの換算係数・抜粋)。表には他の回路種別も載っています。
見るところ① パルス数(6・12・24)
見るところ② リアクトルの有無と位置(交流側/直流側/両方/なし)
見るところ③ 平滑のしかた(コンデンサ平滑かどうか)
ペン太ペン太
仕様書に回路種別番号が書いてあることはありますか?
ハリタハリタ
まれにあります。なければ「高調波抑制リアクトル付」などの記載から回路種別を絞り込んで、最後はメーカーに確認します。
ここまでのポイント
  • Ki は機器の名前ではなく、整流回路のつくりで決まる
  • 見るところはパルス数・リアクトルの有無と位置・平滑のしかた
  • 6パルス・リアクトルなし3.4/交流側または直流側1.8/交・直流側1.4
  • 12パルス0.5/24パルス0.25。実機はメーカーに照会して確定させる

機器表の作り方

集計は表で進めます。列は左半分が図面から書ける項目、右半分がメーカー仕様が要る項目に分かれます。この切れ目を意識しておくと、どこでメーカー照会が必要になるかが先に見えます。

変圧器の容量や一般負荷は数えません。数えるのは高調波発生機器だけです。
定格「入力」容量を使います。出力容量で集計すると、等価容量が小さく出てしまいます。
列 何を書くか どこから取るか
機器名称 エレベーター、ビルマルチエアコン など 負荷リスト
製造業者・型式 メーカー名と形式 機器表・仕様書
相数 三相/単相 仕様書
定格入力容量 1台あたりの入力容量[kVA] 仕様書(出力ではない)
台数 同一機種の台数 機器表
合計 Pi 定格入力容量 × 台数 計算
回路種別№ 指針の表の番号 メーカー照会
Ki 回路種別に対応する換算係数 指針の表
Ki × Pi 機器ごとの換算容量 計算。この列の合計が P0
同じ機種が複数台あるときは、台数を掛けた合計を Pi にしてから Ki を掛けます。
ここまでのポイント
  • 左半分は図面・負荷リストから、右半分はメーカー仕様から埋める
  • 定格入力容量×台数が合計 Pi
  • 回路種別№と換算係数はメーカー照会が要る
  • Ki×Pi の列を合計したものが等価容量 P0


0.9倍と、限度値との比較

合計が出たら、条件によっては0.9を掛けられます。そのうえで受電電圧ごとの限度値と比べます。

0.9倍の条件 高圧受電であり、かつ進相コンデンサがすべて直列リアクトル付であること
使えない例 コンデンサが1台でも直列リアクトルなし/低圧受電
この例は168.8kVA。6.6kV受電の限度値50kVAを超えたので、第2ステップへ進みます。
受電電圧 限度値 判定
6.6 kV 50 kVA これ以下なら検討終了
22 kV・33 kV 300 kVA これ以下なら検討終了
66 kV以上 2,000 kVA これ以下なら検討終了
第1ステップの判定に用いる限度値です。受電電圧が上がるほど、許される等価容量も大きくなります。
限度値を超えたことは「対策が要る」ではなく「計算して確かめる」という意味です。

⚠ 限度値超過=対策が必要、ではない

等価容量が限度値を超えたら、次は第2ステップで次数ごとの高調波流出電流を計算します。その結果が上限値(6.6kV受電なら第5次3.5mA/kW など)以内であれば、対策の設備は要りません。第1ステップはあくまで「計算して確かめるかどうか」の振り分けです(手順の全体は高調波流出電流計算の解説[簡略方法])。

出典:高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン、JEAG 9702 高調波抑制対策技術指針(2023年版)、JIS C 61000-3-2、日本電気技術者協会「高調波抑制対策要否の判断と流出電流の計算」。数値は指針の版によって変わることがあります。

ここまでのポイント
  • 高圧受電かつ進相コンデンサがすべて直列リアクトル付なら P0 × 0.9
  • 1台でも直列リアクトルなしのコンデンサがあれば0.9は使えない
  • 限度値は6.6kV:50kVA/22・33kV:300kVA/66kV以上:2,000kVA
  • 限度値超過は「対策が必要」ではなく「第2ステップで確かめる」という意味


等価容量を下げるには

限度値のぎりぎりで超えているとき、設計の側で等価容量を下げられる余地があります。効き方の大きい順に3つあります。

①は機器の選定そのものが変わります。設計の早い段階で決めるほど効きます。
打ち手 やること 効き方
① Kiを下げる 機器側にリアクトル(ACL・DCL)を足す 3.4 → 1.8 で約47%減
交流側と直流側の両方に入れる 3.4 → 1.4 で約59%減
12パルス化する 3.4 → 0.5 で約85%減
② 対象から外す 1相あたりの入力電流20A以下の機器を確認する JIS C 61000-3-2 の対象は適用範囲外
③ 0.9倍を使う 進相コンデンサをすべて直列リアクトル付にする 1割減。ぎりぎりのときに効く
リアクトルの6%・13%の使い分けは6%・13%の意味とリアクトルの選定方法で扱っています。

💡 リアクトル1台の判断は、そのあとの手間まで含めて比べる

換算係数が下がると等価容量が小さくなるだけでなく、検討要否の条件「Kiが1.8を超える機器がない」も満たしやすくなります。第1ステップで終われれば、第2ステップの計算そのものが不要になります。リアクトルを足すかどうかは、機器の価格だけでなく設計・申請の手間まで含めて比べると判断しやすくなります。

ペン太ペン太
あとから機器を変えるのは難しくないですか?
ハリタハリタ
だから設計の早い段階で決めます。機器が発注されたあとでは、受電側のフィルタしか手が残りません。
ここまでのポイント
  • 効き方がいちばん大きいのは換算係数 Ki を下げること
  • 3.4→1.8で約47%減、3.4→1.4で約59%減、3.4→0.5で約85%減
  • 1相20A以下の機器は適用範囲外。拾いすぎていないか確認する
  • コンデンサをすべて直列リアクトル付にすれば0.9倍が使える

よくある質問

等価容量とは何ですか?

高調波発生機器ごとの容量を、三相ブリッジ6パルス変換装置(6相整流器)の回路構成容量に換算したものの総和です。「6パルス変換装置に直すと何kVA分に相当するか」を表す値と考えると分かりやすくなります。

等価容量の計算式を教えてください。

P0=Σ(Ki×Pi)[kVA]です。Kiは換算係数、Piは定格容量[kVA]、iは回路種別を示します。機器ごとにKi×Piを求め、全機器分を合計します。

Pi には出力容量を使うのですか?

使いません。定格「入力」容量[kVA]です。カタログには出力[kW]が目立つように書かれていることが多いので、仕様書で定格入力容量と明記された値を使ってください。出力容量で集計すると等価容量が小さく出てしまいます。

同じ機種が複数台あるときはどうしますか?

定格入力容量×台数の合計を Pi にしてから、換算係数を掛けます。同じ回路種別の機器であれば、まとめて足してから掛けても結果は同じです。

換算係数Kiはどうやって調べますか?

回路種別ごとに技術指針の表で決まっています。6パルス・リアクトルなしが3.4、リアクトル付(交流側または直流側)が1.8、交・直流側の両方が1.4、12パルスが0.5、24パルスが0.25です。実機の回路種別は図面では分からないため、メーカーに照会します。

「インバータだからKiは1.8」でよいですか?

よくありません。リアクトルが付いていなければ3.4になります。Kiは機器の種類ではなく整流回路のつくりで決まるので、仕様書かメーカー照会で確認してください。

0.9倍はどんなときに掛けられますか?

高圧受電であり、かつ進相コンデンサがすべて直列リアクトル付である場合です。1台でも直列リアクトルなしのコンデンサがあれば使えません。

等価容量がいくつなら対策不要ですか?

受電電圧6.6kVなら50kVA以下で検討終了です。22kV・33kVなら300kVA、66kV以上なら2,000kVAが限度値になります。

限度値を超えたら対策が必要ですか?

必要と決まったわけではありません。第2ステップで次数ごとの高調波流出電流を計算し、上限値(6.6kV受電なら第5次3.5mA/kWなど)と比べます。上限値以内であれば対策の設備は要りません。

等価容量を下げる方法はありますか?

あります。効き方の大きい順に、①機器側にリアクトルを足すか12パルス化して換算係数を下げる、②1相20A以下の機器が適用範囲外であることを確認する、③進相コンデンサをすべて直列リアクトル付にして0.9倍を使う、の3つです。


まとめ ― 取り違えやすいところと手順

取り違えやすいところ 正しくは
換算係数Kiは機器の種類で決まる 整流回路のつくり(パルス数・リアクトルの有無)で決まる。メーカー仕様で確認する
Piは機器の出力容量 定格「入力」容量[kVA]。台数を掛けた合計を使う
インバータならKiは1.8 リアクトルが付いていなければ3.4。有無で倍近く変わる
限度値はどの受電電圧でも50kVA 6.6kVは50、22・33kVは300、66kV以上は2,000[kVA]
0.9倍はどの設備でも掛けられる 高圧受電かつ進相コンデンサがすべて直列リアクトル付のときだけ
限度値を超えたら対策が必要 第2ステップで流出電流を計算して確かめる。上限値以内なら対策は不要
限度値以下でも第2ステップが必要 限度値以下ならそこで検討終了
「入力容量」と「回路のつくり」の2つを押さえれば、等価容量の計算で外すことはありません。
手順 やること 使う値・資料
1|抽出 高調波発生機器を拾う 負荷リスト(20A以下は対象外)
2|機器表 定格入力容量と台数をまとめる 仕様書。合計 Pi = 定格入力容量×台数
3|換算係数 回路種別からKiを確認する 3.4/1.8/1.4/0.5/0.25
4|集計 Ki×Pi を出して合計する P0 = Σ(Ki × Pi)
5|補正 条件が合えば0.9を掛ける 高圧受電+すべて直列リアクトル付
6|判定 限度値と比べる 6.6kV:50kVA/22・33kV:300kVA
この6手順で数値が固まります。超えていれば第2ステップ、以下なら検討終了です。

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ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。