等価容量の計算の全体像
高調波流出電流計算を進めるうえで避けて通れないのが「等価容量」の算出です。「換算係数って何を掛けるの?」と迷いやすいポイントですが、式の意味と手順さえ押さえれば計算は難しくありません。 本記事では、等価容量の計算式 P0=Σ(Ki×Pi) の意味から、機器の抽出・換算係数の確認・合計と上限値の比較までを、計算例つきで分かりやすく解説します。
 

高調波数値化

 
今回の疑問
 

高調波計算の等価容量ってなに?

あにまるさん
あにまるさん
高調波流出計算って大変だな
はりた
はりた
ある程度は進んだかい?
あにまるさん
あにまるさん
等価容量を算出しないといけないんだけどよくわからないんだ
はりた
はりた
等価容量は高調波対策機器ごとに決まっているから仕様書を確認しないといけないね!
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等価容量の計算式と考え方(P0=Σ(Ki×Pi))
▲ 等価容量の計算式と考え方
ペン太ペン太
等価容量P0=Σ(Ki×Pi)のKiって、機器の種類ごとに決まった値を使えばいいんですよね?
ハリタハリタ
回路構成で変わるのでメーカー資料の確認が必須です。推測で計算すると誤りますよ。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 等価容量の計算式 P0=Σ(Ki×Pi)の Ki は何を指していますか
  • 受電電圧が6.6kVのとき、限度値はいくつですか
  • 進相コンデンサが全て直列リアクトル付のとき、合計値に何を掛けますか

等価容量の計算

トピック1:等価容量の計算
等価容量の計算方法
換算係数×定格容量
  • 検討要否の項目に該当しない場合、等価容量を集計し限度値以下になるかの計算を行います。等価容量の計算式は下記になり前工程にて調べた機器ごとの換算係数と定格容量を掛け合わせて合計します
上限値との確認
  • 受電電圧が6.6kVであれば上限値は50[kVA]となり等価容量は50[kVA]以下となれば検討終了となります
あにまるさん
あにまるさん
さっき調べた換算係数を使うんだな!
はりた
はりた
そうだね!換算係数に定格容量をかけて等価容量を算出するんだよ
ここまでのポイント
  • 検討要否の項目に該当しない場合は、等価容量を集計して限度値以下かを確認する
  • 受電電圧が6.6kVなら上限値は50[kVA]で、以下であれば検討終了となる

等価容量の計算式

トピック2:等価容量の計算式
等価容量の計算式

P0 =Σ( Ki × Pi)[ kVA ]

等価容量とは、高調波発生機器毎にその容量を三相ブリッジ6パルス変換装置(6相整流器)の回路構成容量に換算したものの総和をいう。 換算係数Kiとして、例えば12パルス変換装置は0.5倍、三相ブリッジ(コンデンサ平滑、リアクトル有り)は1.8倍など

Ki :換算係数、Pi :定格容量(kVA)、i :回路種別

はりた
はりた
こちらの式で等価容量を求めることができます
取り違えやすいところ正しくは
換算係数Kiは機器の種類だけで決まる回路構成によって変わるため、メーカー資料で確認する
Piは機器の出力容量機器の定格入力容量[kVA]を用いる
限度値はどの受電電圧でも50[kVA]6.6kVは50、22/33kVは300、66kV以上は2,000[kVA]
0.9倍はどの設備でも掛けられる高圧受電かつ進相コンデンサが全て直列リアクトル付の場合に適用する
限度値以下でも第2ステップが必要限度値以下であれば検討終了となる
ここまでのポイント
  • P0=Σ(Ki×Pi)は、機器ごとの換算係数と定格容量を掛け合わせて合計した値
  • 換算係数Kiは回路構成で変わるため、メーカー資料での確認が必須

等価容量の上限値

トピック3:等価容量の上限値
第1ステップの判定に用いる限度値
受電電圧 限度値
6.6kV 50kVA
22/33kV 300kVA
66kV以上 2,000kVA
あにまるさん
あにまるさん
受電容量によって上限値が違うんだな
はりた
はりた
一般的な高圧受電だと6.6kVの50kVAが等価容量の上限値になるんだよ
あにまるさん
あにまるさん
この容量を超えないようにするだな!
ここまでのポイント
  • 限度値は受電電圧ごとに決まっており、6.6kV/22・33kV/66kV以上で異なる

等価容量の計算手順

トピック4:等価容量の計算手順
等価容量の計算手順
高調波発生機器の抽出
  1. インバータ機器類(空調機、ポンプ、エレベータ、エスカレータなど)
  2. 医療機器(MRI、CT、X線装置など)
  3. クレーン・巻上機
  4. 調光機器(調光盤があるもの)
  5. 工場用生産機器など
機器名称 製造業者 型式 相数 定格入力容量[kVA] 台数 定格入力容量(合計)Pi[kVA]
エレベーター 3 6.77 2 3.4
ビルマルチエアコン 3 13.1 6 78.6
はりた
はりた
ここまでは図面から調べることができるね!
換算係数の確認
回路種別№ 換算係数Ki 等価容量Ki×Pi[kVA]
31 3.4 23.0
33 1.8 141.5
はりた
はりた
回路種別№と換算係数は製造メーカーに確認しましょう!
ここまでのポイント
  • まず高調波発生機器を抽出し、機器表に定格入力容量と台数をまとめる
  • 次に回路種別ごとの換算係数Kiを確認し、Ki×Pi を求める

計算結果の検証

トピック5:計算結果の検証
等価容量の比較検証

P0 =Σ( Ki × Pi)[ kVA ]の計算式より表中の数値を合計した値が受電電圧ごとの上限値を超えていない場合、高調波対策不要とし検討終了となります。

  • 先ほどの等価容量を集計する

23.0+141.5=164.5[kVA]

  • 「高圧受電かつ進相コンデンサが全て直列リアクトル付」の場合は、P0×0.9

164.5×0.9=148.05[kVA]

  • 受電電圧の限度値の確認
受電電圧 限度値
6.6kV 50kVA
22/33kV 300kVA
66kV以上 2,000kVA

受電電圧6.6[kV]=限度値50[kVA]

  • 等価容量と限度値の比較

となるため、第2ステップの検討要否判定 [要]となります。

 
等価容量の計算手順と計算例
▲ 等価容量の計算手順と計算例
ここまでのポイント
  • 合計値と限度値を比較し、超えていれば第2ステップの検討要否判定は[要]となる
  • 高圧受電かつ進相コンデンサが全て直列リアクトル付の場合は P0×0.9 で補正する

よくある質問(FAQ)

トピック6:よくある質問(FAQ)

Q. 等価容量の計算式は?

A. P0=Σ(Ki×Pi)[kVA]です。Kiは機器ごとの換算係数、Piは機器の定格入力容量で、これらを掛け合わせて全機器分を合計します。

Q. 換算係数Kiはどこで確認しますか?

A. 機器の仕様書(メーカー資料)で確認します。換算係数高調波発生機器の種類ごとに決まっています。

Q. 等価容量がいくつなら対策不要ですか?

A. 受電電圧6.6kVの場合、上限値50kVAです。P050kVA以下であれば検討終了高調波対策は不要)となります。

Q. 等価容量とは何を表していますか?

A. 高調波発生機器ごとの容量を、三相ブリッジ6パルス変換装置(6相整流器)の回路を基準に換算した値です。

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まとめ

等価容量は「換算係数×定格容量」を機器ごとに合計した値で、受電電圧ごとの限度値と比べて検討終了か第2ステップかが決まります。

場面確認すること進め方
第1ステップの入口検討要否の項目に該当するか該当しなければ等価容量を計算する
機器の抽出インバータ機器・医療機器・クレーン・調光機器など機器表に定格入力容量と台数を記入する
換算係数の確認回路種別ごとの換算係数Kiメーカー資料で確認する
合計と補正P0=Σ(Ki×Pi)全て直列リアクトル付なら0.9を掛ける
限度値との比較受電電圧に応じた限度値超えていれば第2ステップへ進む

計算の流れ

  • 検討要否の項目に該当しない場合に、等価容量の計算を行う
  • 高調波発生機器を抽出し、定格入力容量Piと台数を機器表にまとめる
  • 回路種別ごとの換算係数Kiを確認し、Ki×Pi を計算する
  • 全機器分を合計して P0 を求める

判定のポイント

  • 受電電圧6.6kVの限度値は50[kVA]
  • 高圧受電かつ進相コンデンサが全て直列リアクトル付なら P0×0.9
  • 等価容量が限度値以下なら検討終了、超えていれば第2ステップの検討要否判定は[要]

計算そのものは掛け算と足し算だけですが、換算係数Kiの読み違いがあると結果が大きく変わります。回路構成を図面と機器仕様書で確認したうえで、合計値と限度値の比較まで一続きで進めてください。

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ペン太ペン太
合計を出したあとは、何と比べればいいんですか?
ハリタハリタ
受電6.6kVなら上限50kVAと比較します。全て直列リアクトル付なら0.9を掛けられますよ。
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このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
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出典:本記事の表・数値は高調波抑制対策ガイドライン(等価容量算定に関する公表資料)をもとに作成しています。数値は目安であり、適用にあたっては最新版の原典をご確認ください。

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。