変圧器二次側の定格電流の計算式と容量別早見表|電流計・電圧計の選定
変圧器二次側の定格電流は、三相なら「容量×1000 ÷(√3 × 二次電圧)」、単相なら「容量×1000 ÷ 二次電圧」で求まります。ただし、その値をそのまま電流計の目盛にすると、定格運転で針が振り切れる寸前になります。この記事では、計算式と容量別の早見表に加えて、目盛をどこに置くと読みやすいか、CTの変流比とどう合わせるかまでを図解で整理します。
結論
計算するのは定格電流の1回だけ。あとは定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選びます。
- 三相:I[A]= 容量[kVA]× 1000 ÷(√3 × 二次電圧[V])
- 単相:I[A]= 容量[kVA]× 1000 ÷ 二次電圧[V]。√3は入らない
- 電流計の目盛はCTの一次定格と同じ値。計器そのものは5A計で、目盛だけが大きい数字になっている
- 目盛は定格電流が50〜70%に入る値。直近上位にすると、定格運転で針が端に寄る
- 電圧計は二次210V(210-105V)なら300V、420V・440Vなら500V
- 電流計はCT・AS、電圧計はVSとセット。どれか1つを落とすと現場で読めない
二次側の定格電流を計算する
計算に使うのは、変圧器の銘板にある3つの値だけです。相数(三相か単相か)・定格容量[kVA]・定格二次電圧[V]。%インピーダンスや周波数は、ここでは使いません。
⚠ 単相に√3を掛けてしまう取り違え
いちばん多い間違いが、単相の計算に√3を入れてしまうことです。50kVA・210Vの単相なら 50,000 ÷ 210 = 238A ですが、√3で割ると137Aになり、実際の6割ほどの値になります。この値で電流計やCTを選ぶと、定格運転で完全に振り切れます。
- 使うのは相数・定格容量[kVA]・定格二次電圧[V]の3つだけ
- 三相:I = 容量×1000 ÷(√3 × 二次電圧)
- 単相:I = 容量×1000 ÷ 二次電圧。√3は入らない
- 単相3線210-105Vは、210V側の電圧で計算する
- 変圧器の容量はkVA(皮相電力)。kWで与えられたら力率で割って直す
容量別の早見表
よく使う容量について、定格電流と電流計・CTの定格をまとめました。「電流計・CTの定格」は、定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選んでいます。理由は次の章で説明します。
三相 210 V
| 容量[kVA] | 定格電流[A] | 電流計・CTの定格[A] | 定格時の指示位置 |
|---|---|---|---|
| 20 | 55 | 100 | 55 % |
| 30 | 82 | 150 | 55 % |
| 50 | 137 | 200 | 69 % |
| 75 | 206 | 300 | 69 % |
| 100 | 275 | 400 | 69 % |
| 150 | 412 | 600 | 69 % |
| 200 | 550 | 800 | 69 % |
| 300 | 825 | 1200 | 69 % |
| 500 | 1375 | 2000 | 69 % |
単相3線 210-105 V
| 容量[kVA] | 定格電流[A] | 電流計・CTの定格[A] | 定格時の指示位置 |
|---|---|---|---|
| 10 | 48 | 75 | 63 % |
| 20 | 95 | 150 | 63 % |
| 30 | 143 | 200 | 71 % |
| 50 | 238 | 400 | 60 % |
| 75 | 357 | 500 | 71 % |
| 100 | 476 | 750 | 63 % |
| 150 | 714 | 1000 | 71 % |
| 200 | 952 | 1500 | 63 % |
| 300 | 1429 | 2000 | 71 % |
三相 420 V(400V級)
| 容量[kVA] | 定格電流[A] | 電流計・CTの定格[A] | 定格時の指示位置 |
|---|---|---|---|
| 50 | 69 | 100 | 69 % |
| 100 | 137 | 200 | 69 % |
| 150 | 206 | 300 | 69 % |
| 200 | 275 | 400 | 69 % |
| 300 | 412 | 600 | 69 % |
| 500 | 687 | 1000 | 69 % |
| 750 | 1031 | 1500 | 69 % |
| 1000 | 1375 | 2000 | 69 % |
💡 単相と三相で、同じ容量でも電流がこれだけ違う
50kVA・210Vで比べると、三相は137A、単相は238Aです。単相のほうが約1.7倍(=√3倍)流れます。同じ盤に単相と三相の変圧器が並んでいるとき、電流計の目盛が違う理由はここにあります。
- 三相210Vは容量[kVA]に約2.75を掛けると定格電流[A]になる
- 単相210Vは容量[kVA]に約4.76を掛ける
- 420V(400V級)は210Vのちょうど半分の電流になる
- 同じ容量なら単相は三相の約1.7倍(√3倍)の電流が流れる
電流計の目盛は、どこに置くか
計算した定格電流を上回る直近の規格値を選ぶ、と説明されることがあります。それでも動きますが、定格運転で針が目盛の端に寄ってしまうことがあります。
実務では、想定される負荷電流(または定格電流)が目盛の50〜70%に入るように選びます。CT側から見ると、定格一次電流は最大負荷電流の1.5倍程度という目安と同じことを言っています。
| 目盛の選び方 | 200kVA・210V(550A)の場合 | どうなるか |
|---|---|---|
| 直近上位を選ぶ | 600 A | 定格で92%。過負荷になると振り切れる |
| 50〜70%に収める | 800 A | 定格で69%。針が中央付近で読みやすい |
| 大きくしすぎる | 1,500 A | 定格で37%。日常の増減が読み取りにくい |
電流計はCT(変流器)とセットで決まります。計器そのものは二次5Aを受ける5A計で、目盛だけがCTの一次定格に合わせて印刷されています。だから「電流計を大きくする」ということは「CTの変流比を変える」ということです。
⚠ CTの二次側を開放しない
CTは二次側を短絡した状態で使う機器です。通電中に二次回路を開放すると二次側に高い電圧が現れ、絶縁破壊や感電の原因になります。計器を外すときは、必ず短絡端子で二次側を短絡してから外します。
出典:JIS C 1731-1(計器用変成器 第1部:変流器)、JIS C 1102-1/-2(直動式指示電気計器)、JIS C 4304(配電用6kV油入変圧器。適用範囲は単相10〜500kVA、三相20〜2,000kVA)。規格値や区分は改定で変わることがあります。
- 定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選ぶ
- CT側から見れば「定格一次電流は最大負荷電流の1.5倍程度」と同じ目安
- 電流計の目盛=CTの定格一次電流。計器の中身は5A計
- CTの二次定格は5Aが標準。配線が長いときは1A
- CTの二次側は絶対に開放しない
電圧計の選び方
電圧計は電流計より簡単です。二次電圧が分かれば、それより一段大きい規格を選ぶだけです。
| 回路 | 電圧 | 電圧計の目盛 | つなぎ方 |
|---|---|---|---|
| 三相 | 210 V | 300 V | 低圧側の母線に直結 |
| 単相3線 | 210-105 V | 300 V | 直結。105V側も同じ計器で読める |
| 三相(400V級) | 420 V・440 V | 500 V | 低圧側の母線に直結 |
| 高圧 | 6,600 V | 7,500 V | VT 6,600/110 V を介する |
⚠ 二次電圧ぴったりの目盛を選ばない
210Vの回路に200Vや210Vの電圧計を付けると、電圧が少し上振れしただけで針が振り切れます。受電電圧は時間帯や負荷で数%動くので、一段上の300Vを選びます。「計算値・実測値より一段大きい規格を選ぶ」という考え方は、電流計と同じです。
- 二次210V(210-105V)なら目盛300V
- 420V・440V(400V級)なら目盛500V
- 低圧側は母線に直結。VTもCTも要らない
- 高圧側を測るときはVT 6,600/110V を介し、目盛は7,500V
- 二次電圧ぴったりの目盛にすると、上振れで針が振り切れる
盤の中でのつながり ― CT・AS・VS
計器は単体では動きません。電流計はCTと切換開閉器、電圧計は切換開閉器とセットで回路になります。
| 器具 | 記号 | 役割 |
|---|---|---|
| 変流器 | CT | 大きな電流を5Aに縮めて計器へ送る。目盛の値=一次定格 |
| 電流計切換開閉器 | AS | R・S・Tを切り換えて、1台の電流計で3相を読む |
| 電圧計切換開閉器 | VS | R-S・S-T・T-Rを切り換えて、1台の電圧計で読む |
| 計器用変圧器 | VT | 高圧を110Vに下げて計器へ送る。低圧側では不要 |
- 電流計はCT+AS、電圧計はVSとセットで回路になる
- ASはR・S・T、VSはR-S・S-T・T-Rを切り換える
- 低圧側の電圧計は母線に直結。VTは要らない
- 高圧側を測るときだけVTを入れる
将来の増設と、発注前の確認
電流計とCTは、後から替えるのが面倒な機器です。盤を停電させてCTを入れ替え、計器の目盛板も交換することになります。変圧器容量の更新計画があるなら、いまのうちに一段先を見込んでおくと手戻りがありません。
- CTと電流計は後から替えにくい。更新計画があれば一段先を見込む
- 見込みすぎると針が下に寄り、日常の変化が読めなくなる
- 発注では電流計・CT・AS、電圧計・VSを一組で計上する
- 確度階級は指示計器用・保護用・計量用で別物。まとめて発注しない
よくある質問
変圧器二次側の定格電流の計算式を教えてください。
三相は I[A]= 容量[kVA]×1000 ÷(√3 × 二次電圧[V])、単相は I[A]= 容量[kVA]×1000 ÷ 二次電圧[V]です。単相には√3は入りません。
三相100kVA・210Vの定格電流はいくつですか?
100×1000 ÷(1.732×210)= 約275Aです。電流計とCTは400Aを選ぶと、定格運転で目盛の69%を指します。
単相50kVA・210Vの定格電流はいくつですか?
50×1000 ÷ 210 = 約238Aです。単相なので√3では割りません。電流計とCTは400Aが目安になります。
なぜ三相だけ√3で割るのですか?
三相の電力を線間電圧と線電流で表すと P=√3×V×I になるためです。単相は P=V×I なので√3は出てきません。「三相だから」ではなく「線間電圧と線電流で表すから」と覚えると取り違えません。
電流計の目盛は計算値の直近上位でよいですか?
動きますが、定格運転で針が目盛の端に寄ることがあります。実務では、定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選びます。CT側から見ると「定格一次電流は最大負荷電流の1.5倍程度」という目安と同じです。
電流計の目盛とCTの関係を教えてください。
電流計の目盛の最大値は、CTの定格一次電流と同じです。計器そのものは二次5Aを受ける5A計で、目盛だけがCT比に合わせて印刷されています。だからCTと電流計はセットで決めます。
電圧計はどう選びますか?
二次電圧より一段大きい規格を選びます。210V(210-105V)なら300V、420V・440Vなら500Vです。電圧は時間帯や負荷で数%動くため、ぴったりの目盛にすると振り切れます。
単相3線210-105Vは、どちらの電圧で計算しますか?
210V側です。105V側で計算すると電流が2倍になり、必要以上に大きなCTと電流計を選ぶことになります。
kVAではなくkWしか分からないときは?
力率で割ってkVAに直します。たとえば力率0.8で80kWなら、80÷0.8=100kVAとして計算します。変圧器の容量は皮相電力(kVA)で表されます。
CTの二次側を開放してはいけないのはなぜですか?
CTは二次側を短絡した状態で使う機器です。通電中に開放すると二次側に高い電圧が現れ、絶縁破壊や感電の原因になります。計器を外すときは短絡端子で二次側を短絡してから外します。
まとめ ― 取り違えやすいところと手順
| 取り違えやすいところ | 正しくは |
|---|---|
| 単相にも√3を掛ける | √3が入るのは三相だけ。単相は 容量×1000 ÷ 二次電圧 |
| 電流計は計算値の直近上位でよい | 定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値。直近上位だと定格で端に寄る |
| 電流計だけ発注すればよい | 目盛=CTの一次定格。CTと切換開閉器ASもセットで要る |
| 電圧計は二次電圧と同じ目盛 | 一段上の規格。210Vなら300V、440Vなら500V |
| 単相3線は105V側で計算する | 210V側で計算する。105V側だと電流が2倍になる |
| 容量はkWで拾えばよい | kVA(皮相電力)。kWしかなければ力率で割ってkVAに直す |
| %インピーダンスも計算に使う | 使うのは相数・容量・二次電圧の3つだけ。%Zは短絡電流の計算で使う |
| 手順 | やること | 使う値 |
|---|---|---|
| 1|銘板 | 相数・定格容量・定格二次電圧を拾う | 変圧器の銘板 |
| 2|計算 | 二次側の定格電流を出す | 三相は√3で割る。単相は割らない |
| 3|目盛 | 電流計の目盛を決める | 定格電流が50〜70%に入る規格値 |
| 4|CT | 変流比を目盛に合わせる | 一次=目盛、二次5A、1.0級 |
| 5|電圧計 | 二次電圧の一段上を選ぶ | 210V→300V、440V→500V |
| 6|切換 | AS・VSの要否を決める | 1台で3相を読むかどうか |
📘 あわせて確認したいこと
計器用変成器の全体像は設計マニュアル⑦ 計器用変成器と計器、CTの細かい選定は変流器(CT)の選定ポイント、変圧器そのものの決め方は変圧器容量の選定・計算方法で扱っています。
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