技術図書館電流計・電圧計の選び方を8枚のスライドで読む定格電流の計算式と容量別の早見表、将来性の見込み方までを図解つきで確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

変圧器二次側の定格電流は、三相なら「容量×1000 ÷(√3 × 二次電圧)」、単相なら「容量×1000 ÷ 二次電圧」で求まります。ただし、その値をそのまま電流計の目盛にすると、定格運転で針が振り切れる寸前になります。この記事では、計算式と容量別の早見表に加えて、目盛をどこに置くと読みやすいか、CTの変流比とどう合わせるかまでを図解で整理します。

結論

計算するのは定格電流の1回だけ。あとは定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選びます。

  • 三相:I[A]= 容量[kVA]× 1000 ÷(√3 × 二次電圧[V])
  • 単相:I[A]= 容量[kVA]× 1000 ÷ 二次電圧[V]。√3は入らない
  • 電流計の目盛はCTの一次定格と同じ値。計器そのものは5A計で、目盛だけが大きい数字になっている
  • 目盛は定格電流が50〜70%に入る値。直近上位にすると、定格運転で針が端に寄る
  • 電圧計は二次210V(210-105V)なら300V、420V・440Vなら500V
  • 電流計はCT・AS、電圧計はVSとセット。どれか1つを落とすと現場で読めない
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
計算するのは②だけ。③から先は規格値から選ぶ作業です。

二次側の定格電流を計算する

計算に使うのは、変圧器の銘板にある3つの値だけです。相数(三相か単相か)・定格容量[kVA]・定格二次電圧[V]。%インピーダンスや周波数は、ここでは使いません。

%インピーダンスは短絡電流の計算で使う値です。定格電流の計算には出てきません。
単相3線210-105Vの変圧器は、210V側の電流で計算します。105V側ではありません。

⚠ 単相に√3を掛けてしまう取り違え

いちばん多い間違いが、単相の計算に√3を入れてしまうことです。50kVA・210Vの単相なら 50,000 ÷ 210 = 238A ですが、√3で割ると137Aになり、実際の6割ほどの値になります。この値で電流計やCTを選ぶと、定格運転で完全に振り切れます。

√3は「三相だから」ではなく「線間電圧と線電流で電力を表すから」出てきます。
たとえるなら
kVAは「ジョッキの大きさ」、kWは「中身のビール」
泡(無効電力)もジョッキの場所を取ります。変圧器が受け持つのは泡も含めた全体なので、容量はkVAで表します。kWしか分からないときは、力率で割ってkVAに直してから定格電流を計算します。
ここまでのポイント
  • 使うのは相数・定格容量[kVA]・定格二次電圧[V]の3つだけ
  • 三相:I = 容量×1000 ÷(√3 × 二次電圧)
  • 単相:I = 容量×1000 ÷ 二次電圧。√3は入らない
  • 単相3線210-105Vは、210V側の電圧で計算する
  • 変圧器の容量はkVA(皮相電力)。kWで与えられたら力率で割って直す

容量別の早見表

よく使う容量について、定格電流と電流計・CTの定格をまとめました。「電流計・CTの定格」は、定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選んでいます。理由は次の章で説明します。

濃い帯が定格電流、薄い帯が電流計の目盛です。帯の差がそのまま余裕になります。

三相 210 V

容量[kVA] 定格電流[A] 電流計・CTの定格[A] 定格時の指示位置
20 55 100 55 %
30 82 150 55 %
50 137 200 69 %
75 206 300 69 %
100 275 400 69 %
150 412 600 69 %
200 550 800 69 %
300 825 1200 69 %
500 1375 2000 69 %
√3=1.732 で計算し、小数第1位を四捨五入しています。指示位置は、定格運転のときに針が目盛の何%を指すかです。

単相3線 210-105 V

容量[kVA] 定格電流[A] 電流計・CTの定格[A] 定格時の指示位置
10 48 75 63 %
20 95 150 63 %
30 143 200 71 %
50 238 400 60 %
75 357 500 71 %
100 476 750 63 %
150 714 1000 71 %
200 952 1500 63 %
300 1429 2000 71 %
210V側の電流です。単相は√3で割りません。同じ容量でも三相の約1.7倍の電流が流れます。

三相 420 V(400V級)

容量[kVA] 定格電流[A] 電流計・CTの定格[A] 定格時の指示位置
50 69 100 69 %
100 137 200 69 %
150 206 300 69 %
200 275 400 69 %
300 412 600 69 %
500 687 1000 69 %
750 1031 1500 69 %
1000 1375 2000 69 %
電圧が2倍になると電流は半分になります。同じ容量なら、210Vより一回り小さい計器で足ります。

💡 単相と三相で、同じ容量でも電流がこれだけ違う

50kVA・210Vで比べると、三相は137A、単相は238Aです。単相のほうが約1.7倍(=√3倍)流れます。同じ盤に単相と三相の変圧器が並んでいるとき、電流計の目盛が違う理由はここにあります。

ここまでのポイント
  • 三相210Vは容量[kVA]に約2.75を掛けると定格電流[A]になる
  • 単相210Vは容量[kVA]に約4.76を掛ける
  • 420V(400V級)は210Vのちょうど半分の電流になる
  • 同じ容量なら単相は三相の約1.7倍(√3倍)の電流が流れる


電流計の目盛は、どこに置くか

計算した定格電流を上回る直近の規格値を選ぶ、と説明されることがあります。それでも動きますが、定格運転で針が目盛の端に寄ってしまうことがあります。

定格電流が目盛の50〜70%に入る値を選ぶと、余裕と読みやすさの両方が取れます。

実務では、想定される負荷電流(または定格電流)が目盛の50〜70%に入るように選びます。CT側から見ると、定格一次電流は最大負荷電流の1.5倍程度という目安と同じことを言っています。

目盛の選び方 200kVA・210V(550A)の場合 どうなるか
直近上位を選ぶ 600 A 定格で92%。過負荷になると振り切れる
50〜70%に収める 800 A 定格で69%。針が中央付近で読みやすい
大きくしすぎる 1,500 A 定格で37%。日常の増減が読み取りにくい
大きければよいわけではありません。針が下のほうに寄ると、負荷の変化が見えなくなります。

電流計はCT(変流器)とセットで決まります。計器そのものは二次5Aを受ける5A計で、目盛だけがCTの一次定格に合わせて印刷されています。だから「電流計を大きくする」ということは「CTの変流比を変える」ということです。

CTの一次定格を変えれば、同じ5A計器でも読める電流が変わります。
定格二次電流 標準は5A。計器までの配線が長いときは1Aを選ぶ
確度階級 指示計器用は1.0級が目安。保護継電器用・計量用とは別に手配する
定格負担[VA] 実際に接続する負担の150〜200%程度を選ぶ
過電流定数 保護継電器と組み合わせるときに確認する(計器用だけなら不要)

⚠ CTの二次側を開放しない

CTは二次側を短絡した状態で使う機器です。通電中に二次回路を開放すると二次側に高い電圧が現れ、絶縁破壊や感電の原因になります。計器を外すときは、必ず短絡端子で二次側を短絡してから外します。

出典:JIS C 1731-1(計器用変成器 第1部:変流器)、JIS C 1102-1/-2(直動式指示電気計器)、JIS C 4304(配電用6kV油入変圧器。適用範囲は単相10〜500kVA、三相20〜2,000kVA)。規格値や区分は改定で変わることがあります。

ここまでのポイント
  • 定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選ぶ
  • CT側から見れば「定格一次電流は最大負荷電流の1.5倍程度」と同じ目安
  • 電流計の目盛=CTの定格一次電流。計器の中身は5A計
  • CTの二次定格は5Aが標準。配線が長いときは1A
  • CTの二次側は絶対に開放しない


電圧計の選び方

電圧計は電流計より簡単です。二次電圧が分かれば、それより一段大きい規格を選ぶだけです。

電圧は負荷や時間帯で数%動きます。一段上にしておけば、上振れしても針が残ります。
回路 電圧 電圧計の目盛 つなぎ方
三相 210 V 300 V 低圧側の母線に直結
単相3線 210-105 V 300 V 直結。105V側も同じ計器で読める
三相(400V級) 420 V・440 V 500 V 低圧側の母線に直結
高圧 6,600 V 7,500 V VT 6,600/110 V を介する
高圧側の計器は計器用変成器(VT・CT・ZCT・ZPD)の記事で扱っています。

⚠ 二次電圧ぴったりの目盛を選ばない

210Vの回路に200Vや210Vの電圧計を付けると、電圧が少し上振れしただけで針が振り切れます。受電電圧は時間帯や負荷で数%動くので、一段上の300Vを選びます。「計算値・実測値より一段大きい規格を選ぶ」という考え方は、電流計と同じです。

ここまでのポイント
  • 二次210V(210-105V)なら目盛300V
  • 420V・440V(400V級)なら目盛500V
  • 低圧側は母線に直結。VTもCTも要らない
  • 高圧側を測るときはVT 6,600/110V を介し、目盛は7,500V
  • 二次電圧ぴったりの目盛にすると、上振れで針が振り切れる

盤の中でのつながり ― CT・AS・VS

計器は単体では動きません。電流計はCTと切換開閉器、電圧計は切換開閉器とセットで回路になります。

電流計はCT経由、低圧側の電圧計は母線に直結です。
器具 記号 役割
変流器 CT 大きな電流を5Aに縮めて計器へ送る。目盛の値=一次定格
電流計切換開閉器 AS R・S・Tを切り換えて、1台の電流計で3相を読む
電圧計切換開閉器 VS R-S・S-T・T-Rを切り換えて、1台の電圧計で読む
計器用変圧器 VT 高圧を110Vに下げて計器へ送る。低圧側では不要
ASとVSを省くと、相ごとに計器が要ります。盤面の広さと費用で決めます。
計器や切換開閉器を単線結線図に落とすところは、ブラウザで作図できます。機器の配置と接続、開閉動作までそのまま確認できます。

単線結線図デザインスタジオ

ひっかけ注意
電流計1台+ASで「3相を同時に」見ているわけではない
AS(電流計切換スイッチ)は、1台の電流計でR・S・T相を切り替えて1相ずつ読む仕組みです。多くの受変電設備はこれで足ります。3相のバランスを常時監視したい設備だけ、電流計を3台並べます。
ここまでのポイント
  • 電流計はCT+AS、電圧計はVSとセットで回路になる
  • ASはR・S・T、VSはR-S・S-T・T-Rを切り換える
  • 低圧側の電圧計は母線に直結。VTは要らない
  • 高圧側を測るときだけVTを入れる


将来の増設と、発注前の確認

電流計とCTは、後から替えるのが面倒な機器です。盤を停電させてCTを入れ替え、計器の目盛板も交換することになります。変圧器容量の更新計画があるなら、いまのうちに一段先を見込んでおくと手戻りがありません。

見込みすぎると針が下のほうに寄ります。一段先までが目安です。
電流計・CT・ASは3点セット。どれか1つを落とすと、現場で電流が読めません。
ここまでのポイント
  • CTと電流計は後から替えにくい。更新計画があれば一段先を見込む
  • 見込みすぎると針が下に寄り、日常の変化が読めなくなる
  • 発注では電流計・CT・AS、電圧計・VSを一組で計上する
  • 確度階級は指示計器用・保護用・計量用で別物。まとめて発注しない

よくある質問

変圧器二次側の定格電流の計算式を教えてください。

三相は I[A]= 容量[kVA]×1000 ÷(√3 × 二次電圧[V])、単相は I[A]= 容量[kVA]×1000 ÷ 二次電圧[V]です。単相には√3は入りません。

三相100kVA・210Vの定格電流はいくつですか?

100×1000 ÷(1.732×210)= 約275Aです。電流計とCTは400Aを選ぶと、定格運転で目盛の69%を指します。

単相50kVA・210Vの定格電流はいくつですか?

50×1000 ÷ 210 = 約238Aです。単相なので√3では割りません。電流計とCTは400Aが目安になります。

なぜ三相だけ√3で割るのですか?

三相の電力を線間電圧と線電流で表すと P=√3×V×I になるためです。単相は P=V×I なので√3は出てきません。「三相だから」ではなく「線間電圧と線電流で表すから」と覚えると取り違えません。

電流計の目盛は計算値の直近上位でよいですか?

動きますが、定格運転で針が目盛の端に寄ることがあります。実務では、定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値を選びます。CT側から見ると「定格一次電流は最大負荷電流の1.5倍程度」という目安と同じです。

電流計の目盛とCTの関係を教えてください。

電流計の目盛の最大値は、CTの定格一次電流と同じです。計器そのものは二次5Aを受ける5A計で、目盛だけがCT比に合わせて印刷されています。だからCTと電流計はセットで決めます。

電圧計はどう選びますか?

二次電圧より一段大きい規格を選びます。210V(210-105V)なら300V、420V・440Vなら500Vです。電圧は時間帯や負荷で数%動くため、ぴったりの目盛にすると振り切れます。

単相3線210-105Vは、どちらの電圧で計算しますか?

210V側です。105V側で計算すると電流が2倍になり、必要以上に大きなCTと電流計を選ぶことになります。

kVAではなくkWしか分からないときは?

力率で割ってkVAに直します。たとえば力率0.8で80kWなら、80÷0.8=100kVAとして計算します。変圧器の容量は皮相電力(kVA)で表されます。

CTの二次側を開放してはいけないのはなぜですか?

CTは二次側を短絡した状態で使う機器です。通電中に開放すると二次側に高い電圧が現れ、絶縁破壊や感電の原因になります。計器を外すときは短絡端子で二次側を短絡してから外します。


まとめ ― 取り違えやすいところと手順

取り違えやすいところ 正しくは
単相にも√3を掛ける √3が入るのは三相だけ。単相は 容量×1000 ÷ 二次電圧
電流計は計算値の直近上位でよい 定格電流が目盛の50〜70%に入る規格値。直近上位だと定格で端に寄る
電流計だけ発注すればよい 目盛=CTの一次定格。CTと切換開閉器ASもセットで要る
電圧計は二次電圧と同じ目盛 一段上の規格。210Vなら300V、440Vなら500V
単相3線は105V側で計算する 210V側で計算する。105V側だと電流が2倍になる
容量はkWで拾えばよい kVA(皮相電力)。kWしかなければ力率で割ってkVAに直す
%インピーダンスも計算に使う 使うのは相数・容量・二次電圧の3つだけ。%Zは短絡電流の計算で使う
「√3は三相だけ」と「目盛は50〜70%」の2つを押さえれば、計器の選定で外すことはありません。
手順 やること 使う値
1|銘板 相数・定格容量・定格二次電圧を拾う 変圧器の銘板
2|計算 二次側の定格電流を出す 三相は√3で割る。単相は割らない
3|目盛 電流計の目盛を決める 定格電流が50〜70%に入る規格値
4|CT 変流比を目盛に合わせる 一次=目盛、二次5A、1.0級
5|電圧計 二次電圧の一段上を選ぶ 210V→300V、440V→500V
6|切換 AS・VSの要否を決める 1台で3相を読むかどうか
この6手順で、計器まわりの機器表が埋まります。

📘 あわせて確認したいこと

計器用変成器の全体像は設計マニュアル⑦ 計器用変成器と計器、CTの細かい選定は変流器(CT)の選定ポイント、変圧器そのものの決め方は変圧器容量の選定・計算方法で扱っています。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。