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高調波の設計|高調波ってなに?発生原因と対策内容について詳しく解説

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高調波を垂れ流さない

 

今回の疑問

 

高調波の発生原因ってなに?

対策方法はあるの?

 

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あにまるさん
あにまるさん
高調波っていったい何なんだ?

はりた
はりた
通常の電気系統では流れない不純なのも。川で例えるとゴミが紛れて流れているようなものかな~
川

あにまるさん
あにまるさん
それだと流れにくかったり汚れていたりするのか?
無駄

はりた
はりた
当然、下流に行くほど上流からのごみの量が少しずつ増えてどんどん汚染されていくよね!だから需要家毎に高調波発生機器の流出計算を行い対策が必要かどうか確認するんだ!

あにまるさん
あにまるさん
きれいな電源系統を保つためにも必要なんだな!
掃除
本記事のおすすめの方
  • 高調波という単語と聞いた方
  • 高調波の何がいけないのか気になった方
  • 結局何をしないといけないのかわからない方など
この記事のカテゴリー

高調波の定義

高調波の定義

””ひずみ波交流の中に含まれている、基本波の整数倍の周波数をもつ正弦波””

  • 周波数成分をもつ波を基準としたとき、その整数倍のを「高調波」といいます
  • 基本波周波数を50Hz(東日本)とした場合、第3次調波は150Hzとなります
  • 150Hz等より流れる電流を高調波電流という

あにまるさん
あにまるさん
つまりどうゆうことなんだ?

はりた
はりた
基本の周波数はわかるかな?
回転する

あにまるさん
あにまるさん
東日本が50Hz、西日本が60Hzだな!たしか。。
日本

はりた
はりた
そうだね!この基本波を2倍、3倍としたときの周波数を高調波とよばれているんだよ!
番号付き

あにまるさん
あにまるさん
これが余計な周波数になるってことなのか!
合成食品

はりた
はりた
例えると、僕はリンゴジュースが好きなんだけど余計な果物を混ぜてミックスジュースにされるとまずくなっちゃうのとおなじだね!

あにまるさん
あにまるさん
それは余計分かりにくいぞ?・・・
高調波のイメージ

電源系統というのは発電所から複数の需要家に送電しています。高調波対策を行っていない場合、各需要家に接続されている機器から配電系統へ高調波電流が流入(川が下流に行くにつれて少しずつ汚れていくイメージ)し他の需要家への影響を及ぼすため、高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)が設けられています



高調波による主な影響(何が問題なの?)

あにまるさん
あにまるさん
高調波はどんな影響があるんだい?

はりた
はりた
需要家の機器類に悪影響を及ぼす恐れがあるんだよ
高調波による主な影響
コンデンサ設備 カメラの過熱 過大な高調波電流の流入によるコンデンサ及び直列リアクトルの過熱や騒音の発生
変圧器・回転機器等 スマートフォン 銅損の増加、機器の過熱及び騒音の増大

 



高調波の発生源となる主な機器

あにまるさん
あにまるさん
高調波はどんな機器から発生するんだい?

はりた
はりた
主にインバーター機器や生産機器など多くのものが発生の対象となるよ!

あにまるさん
あにまるさん
これらの機器ってほとんどの建物にあるじゃないか!

はりた
はりた
そうだね!高調波発生機器は各々対策を行い流出量をなるべく小さくしないといけないんだよ

主な高調波発生機器一覧

高調波発生機器
  1. インバータ機器類(空調機、ポンプ、エレベータ、エスカレータなど)
  2. 医療機器(MRI、CT、X線装置など)
  3. クレーン・巻上機
  4. 調光機器(調光盤があるもの)
  5. 工場用生産機器など
主な高調波発生機器
インバータ機器類 空調機、ポンプ、エレベータ、エスカレータなど
医療機器 MRI、CT、X線装置など
重機関係 クレーン・巻上機
調光機器 調光盤があるもの
生産機器関係 工場用生産機器など



高調波の対策方法について

あにまるさん
あにまるさん
高調波を出さないためにはどうしたらいいんだ?

はりた
はりた
発生する機器ごとに対策が異なるよ!

あにまるさん
あにまるさん
全部に対策しないといけないのか?

はりた
はりた
機器のオプションとして対策の有無を選定できるものもあるし別途機器を取り付けて対策を行う場合もあるね!

あにまるさん
あにまるさん
かなりコストがかかりそうだな。。。

はりた
はりた
対策の選定を誤るとコストが増大してしまうから対策は要協議だね!



高調波の対策方法の種類

高調波の対策方法
インバータ用リアクトル(ACL、DCL) 交流側にリアクトル(ACL)を設置または直流側にリアクトル(DCL)を設置
高圧進相
コンデンサ設備
高圧側にリアクトルとコンデンサを設置
アクティブフィルタ
(能動フィルタ)
高調派電流の逆位相の電流を流すことにより高調波を相殺する
多相化変圧器 12パルス効果で高調波電流を低減。12K±の高調波次数が発生する。(K:正の整数)
低圧進層
コンデンサ設備
低圧側にリアクトルとコンデンサを設置
ACフィルタ
(受動フィルタ)
5次、7次、11次の3種類のフィルタ(コンデンサとリアクトルの組合せ)高調波電流を吸収する

 

高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)

高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)の目的

電力系統に接続される機器を保護するため、高圧又は特別高圧で受電する

需要家からの高調波電流流出を抑制する。

あにまるさん
あにまるさん
建物からどれだけ高調波が流出しているか計算するんだな!

はりた
はりた
そうだね!計算式から流出量を算出し対策を講じないといけないんだよ
高調波の設計|高調波流出電流計算の解説[簡略方法の解説]ついて詳しく解説 複雑な計算はしなくてもよい 高...
指針の経緯
平成6年 高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-1997)を制定。
平成25年 高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)に改訂され、平成26年4月に発刊。

はりた
はりた
平成25年に改訂され一部規制が緩和されたんだよ



高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)指針の改訂内容

高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)の改訂内容
  1. 表現が分かりにくい箇所の改善 
  2. ビル設備の需要家対象に、条件付で規制緩和
    (高圧受電、進相コンデンサがL付、換算係数Ki=1.8を超える負荷がない事が条件)
  3. 高調波発生機器の製造業者は、それが高調波発生機器である事を明示する事が義務化
  4. 負荷の回路分類にあらたな分類を追加
  5. ビル設備の標準的稼働率の設定、及び補正係数適用範囲の見直し自家用発電機を有する需要家向けに、契約電力相当値を採用
  6. 直列リアクトル付進相コンデンサを設置する場合の、高調波低減効果に関する規定追加

あにまるさん
あにまるさん
計算かー難しそうだな

はりた
はりた
以前と違い条件を満たすだけで終わる可能性があるからうまく活用していこう!



高調波流出電流計算の手順

計算のフロー

高調波流出電流計算が必要な場合、計算のフローは、下記図(高調波抑制対策技術指針JEAG9702-2018)より制定されており、手順にそって計算を行い可否の判定を行います。

高調波流出電流計算のフロー

 

(1)高調波発生機器の抽出及び換算係数等の確認

ステップ1

(1)高調波発生機器の抽出及び換算係数等の確認

  • 高調波発生機器の抽出
  • 機器毎の回路種別と換算係数の確認

(2)検討要否の判定 ←該当すれば計算の必要なし!

検討要否の判断項目
  1. 高圧受電
  2. ビル
  3. 進相コンデンサが全て直列リアクトル付
  4. 換算係数Ki=1.8を超過する機器なし



検討のポイント
  • 建物の条件および電気設備の仕様等が上記4項目を満足していれば、高調波流出計算の検討終了となります。
  • 高圧受電、ビル、コンデンサがリアクトル付の確認は図面にて確認が可能ですが、換算係数については機器のメーカー仕様を確認する必要があります。

換算係数表の見方とポイント

換算係数表の見方とポイント
  • 高調波発生機器は電源回路種別に応じて”換算係数”が決まっています
  • この換算係数が大きいほど高調波の流出量が多いということになります
  • この換算係数 Kⅰ=1.8【6パルス変換装置リアクトルあり】以下の場合条件に応じ計算しなくてもよいという判断が可能です。
  • 機器の換算係数は製造メーカーに確認する必要があります
高調波 パルス 換算係数

回路種別毎の換算係数と高調波電流発生量(抜粋)

換算係数の確認結果 ←重要ポイント

(2)検討要否の確認

検討要否の4項目を確認しすべてに該当すれば、検討終了とすることができます。

  1. 高圧受電
  2. ビル
  3. 進相コンデンサが全て直列リアクトル付
  4. 換算係数Ki=1.8を超過する機器なし

検討結果の判定

(判定内容により検討終了もしくは、次の検討に移ります)

高圧受電であるか?
ビルであるか?
進相コンデンサが全て直列リアクトル付であるか?
換算係数Ki=1.8を超過する機器はないか?



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まとめ

高調波ってなに?

高調波とは。

  • 周波数成分をもつ波を基準としたとき、その整数倍の波を「高調波」といいます
  • 基本波周波数を50Hz(東日本)とした場合、第3次調波は150Hzとなります
  • 150Hz等より流れる電流を高調波電流という

主な発生機器

  1. インバータ機器類(空調機、ポンプ、エレベータ、エスカレータなど)
  2. 医療機器(MRI、CT、X線装置など)
  3. クレーン・巻上機
  4. 調光機器(調光盤があるもの)
  5. 工場用生産機器など

高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)の主な改訂内容

  1. 表現が分かりにくい箇所の改善 
  2. ビル設備の需要家対象に、条件付で規制緩和
    (高圧受電、進相コンデンサがL付、換算係数Ki=1.8を超える負荷がない事が条件)
  3. 高調波発生機器の製造業者は、それが高調波発生機器である事を明示する事が義務化
  4. 負荷の回路分類にあらたな分類を追加
  5. ビル設備の標準的稼働率の設定、及び補正係数適用範囲の見直し自家用発電機を有する需要家向けに、契約電力相当値を採用
  6. 直列リアクトル付進相コンデンサを設置する場合の、高調波低減効果に関する規定追加

 



 

この記事を書いた人
HARITA
電気設備設計に従事し、自身の経験を基に設計の知識向上のためこのサイトを運営しています。
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