📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

こんにちは、HARITAの設計室です。施工実務編⑤は内装工事と並走する天井内配線用語編①の「転がし」「隠蔽」が実際の作業になる回です。キーワードは——ボードが閉まる前に勝負は決まる

ペンタ
先輩、「ボードが張られたら手遅れ」ってよく聞くんですけど、そんなに劇的に変わるんですか?
はりた
変わるよ。ボード(石こうボード)が張られた瞬間、壁と天井の中は見えない・触れない世界になる。だから電気は内装工程と並走して、閉じる前に仕込みを終える。タイムラインで見よう。

内装×電気の並走タイムライン

内装工程と電気工事の並走タイムライン。ボード張りが関門
【図1】内装と電気の並走。「ボード張り」の直前が電気の最終チェック関門
ペンタ
工程表で「ボード張り」の日を見つけたら、その前が電気のヤマ場…。工程表の読み方が変わりますね。
はりた
それが今日いちばん持って帰ってほしい感覚!設計変更も同じで、ボードが閉じたあとの「コンセント1個追加」は、開口・復旧込みの別工事になる。変更依頼が来たら、まず工程のどこにいるかを確認する癖をつけよう。

天井裏・壁の中の4つの基本動作

ルート確保・転がし支持・渡り配線・強弱分離の4動作
【図2】配線しごとの基本動作。「通す→転がす→送る→つなぐ」+強弱分離
ペンタ
「渡り配線」って、照明から照明へ数珠つなぎにするんですね。全部盤から1本ずつ引くのかと思ってました。
はりた
全部個別に引いたらケーブルが何倍にもなっちゃう(笑)。1回路の中は渡りで送るのが基本。そして分岐・接続は必ずジョイントボックスの中で、点検できる場所に。第9回の「1回路に照明が数台ぶら下がる」構造は、物理的にはこの渡り配線でできてるんだ。

💼 実務でこう生きる

📋 実務活用事例:工程表から電気のヤマ場を読む
週間工程表に「3F 天井ボード 8/20〜」とあれば、3階の天井内配線・結線・支持の完了期限は8/19。設計者はこの日程感で質疑回答や変更指示の締切を逆算します。
→ 「いつまでに決めれば間に合いますか?」ではなく「ボードいつですか?」と聞けると、会話が一気に現場仕様になります。
📋 実務活用事例:強電・弱電の分離ルートを図面で描く
LAN・TV・電話・スピーカー…弱電の配線は年々増えています。設計段階で強電と弱電のルートを分けて計画し、交差は直角にと指示しておけば、ノイズトラブル(画面のちらつき・通信不良)を未然に防げます。手戻りのないルート計画は図面から。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

🐣 ジョイントボックスの中では、どうやって線をつないでるの?
リングスリーブ(金属の筒を圧着)や差込形コネクタで接続し、絶縁テープやキャップで保護しています。どちらも電気工事士の技能試験に出る基本作業。「接続は箱の中・点検できる場所で」が鉄則で、ボードの裏に接続部を埋めるのは違反です。
🐣 なんで結線を「点検できる場所」に残すの?
接続部は電気のトラブル(ゆるみ・発熱・断線)が最も起きやすい場所だからです。天井の点検口から手が届く位置にあれば、将来の調査・改修が容易。逆に埋め込まれた接続部は、不具合時に壁や天井を壊して探すことになります。

🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

🔎 「強電と弱電、どのくらい離せばいいんですか?」と聞いてみた
はりた「弱電の種類や並走距離によるけど、“束ねない・できるだけ離す・交差は直角”が基本原則。長い並走ほどノイズが乗りやすい。数値の目安は弱電メーカーの施工基準や内線規程系の資料で確認する——設計図に離隔の注記を入れるのは私たちの仕事だよ」
🔎 「ボード開口がずれてたらどうなるんですか?」と聞いてみた
はりた「器具がボックスに届かない・プレートで隠れない穴が残る…と悲しいことになる。開口は墨(座標)とボックス位置が合っていてこそ。施工実務編②の墨出しが、ここで効いてくるんだ」
🔎 「天井裏で他の設備とぶつかったら?」と聞いてみた
はりた「はい、取り合い調整(用語編⑥予定の主役)。勾配が必要な排水管が最優先、大物のダクトは動かしにくい、ケーブルは比較的融通が利く——だから電気が逃げることも多い。逃げられるルートを持っておくのが上手な配線計画だよ」

⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

  • ボード後の「ちょっと追加」を安請け合いしない:開口・復旧・補修込みの別工事です。工程を確認してから回答。
  • 結線をボードの裏に埋めさせない:接続は点検できる場所で。検査でも必ず見られます。
  • 弱電と束ねて転がさない:ルートは最初から分ける。あとから分離は倍の手間。

まとめ ― 今日の1枚

  • 電気は内装と並走し、ボードが閉じる前に仕込みを完了させる。
  • 基本動作は「通す→転がす→送る→つなぐ」。接続は点検できる場所で。
  • 強電と弱電は離す・交差は直角。ルートは設計段階から分ける。
  • 工程表の「ボード張り」の日=電気のヤマ場の翌日。

次回・施工実務編⑥は「ケーブルラック・レースウェイ・露出配管」——バックヤードの主役たちです。

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
📖次に読むならこれ【新人講座 第16回】電気の法律ぜんぶ地図 ― 基準値の“出どころ”をたどる新人教育