📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

こんにちは、HARITAの設計室です。施工実務編④は建物の外、地面の下の電気工事。漏れた電気の逃げ道をつくる接地工事と、電気を地中で建物へ運ぶ地中引込です。第8回(受変電)で登場した引込の“地下ルート版”でもあります。

ペンタ
先輩、接地(アース)って「地面につなぐ」って言いますけど…具体的にどうやって地面とつなぐんですか?棒を刺すだけ?
はりた
半分正解(笑)。棒を刺す——正確には接地極(棒や板)を地中に埋めて、抵抗を測って、規定値以下になるまで足す。図で見よう。

接地工事 ― 埋めて、測って、増し打ち

接地棒・接地板を埋めて接地端子箱へつなぐ断面模式図
【図1】接地工事の断面。打つ(埋める)→測る→規定値以下になるまで増し打ち
ペンタ
「測って、下がらなければ増し打ち」…。やってみないと分からない工事なんですね。
はりた
そこが接地の面白いところ。接地抵抗は土の性質(地質・水分)で決まるから、机上の計算どおりにはいかない。砂地は下がりにくい、粘土質は下がりやすい、岩盤は棒が入らないから板や低減剤を使う——地面との対話なんだ。設計では種別ごとの規定値(第4部で詳しくやるよ)を示して、現場が実測で追い込む。

地中引込 ― ハンドホールでつなぐ地下ルート

掘削から管路敷設・ハンドホール据付・埋戻しまでの5ステップ
【図2】地中引込の流れ。ハンドホール=地中の中継ボックス
ペンタ
ハンドホールって、道路にあるマンホールの小さい版みたいなものですか?
はりた
イメージはそれでOK。人が入るのがマンホール、手を入れて作業するのがハンドホール。地中の配管は長距離や曲がりが続くとケーブルを引き込めなくなるから、途中に“作業の中継点”を置くんだ。位置とサイズは設計で決める——つまり図面に描くのは私たちだよ。

💼 実務でこう生きる

📋 実務活用事例:予備管は未来へのプレゼント
地中管路は竣工後に掘り返せません。だから設計時に予備管(空の管)を1〜2本入れておくのが定石。10年後の増設・更新のとき、予備管があるかないかで工事費が桁違いになります。
→ 「なぜ空の管を埋めるの?」と聞かれたら、将来の工事を“予約”していると答えられればOK。
📋 実務活用事例:埋設の写真は唯一の証拠
埋戻し前に深さ(スケールを当てて)・離隔・標識シートを写真で記録します。竣工後「ここ掘って大丈夫?」の問い合わせに答えられるのはこの記録だけ。埋設位置は竣工図にも正確に反映します。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

🐣 そもそも、なんで地面に電気を流していいの?
大地はとても大きな導体で、電気を受け止めても電位がほぼ変わらないからです。漏電したとき、電気が人体ではなく接地線→大地へ流れるように「抵抗の低い逃げ道」を用意しておく——これが接地の役割。だから接地抵抗は低いほど安全側です。
🐣 埋設標識シートって、ただのビニールでしょ?
あなどれません。地面を掘る人への「この下に電力ケーブルあり」という警告で、ケーブルの少し上に埋めます。将来の掘削事故(ケーブル切断・感電)を防ぐ最後の砦。シート・埋設深さ・離隔はセットで設計事項です。

🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

🔎 「接地抵抗がどうしても下がらないときは?」と聞いてみた
はりた「深打ち(連結して深く)、並列(本数を増やして間隔をとる)、接地抵抗低減剤、それでもダメなら板や網(メッシュ)に変える。対策はいろいろあるけど共通するのは“測りながら足す”こと。1回で決まらないのが普通だよ」
🔎 「接地の種類(A種とかD種とか)って何ですか?」と聞いてみた
はりた「守る対象と電圧で分かれた接地のクラスで、それぞれ規定値が違う。高圧機器の外箱はA種、低圧機器の外箱はD種…という具合。数字の意味と計算は第4部の接地設計でみっちりやるから、今日は“種類ごとに合格ラインが違う”とだけ覚えて」
🔎 「掘ったらガス管が出てきたらどうするんですか?」と聞いてみた
はりた「だから掘る前に埋設物調査をやる。各インフラの図面照会、現地の試掘。それでも図面にない管は出てくるから、出たら即作業停止して管理者に連絡。地中は“開けてびっくり”が本当にある世界なんだ」

⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

  • 接地線の色を間違えない:接地線は緑(緑/黄)。色の取り違えは点検者を欺く危険行為です。
  • 埋戻し前の記録を怠らない:深さ・離隔・シートの写真。埋まったら二度と見えません。
  • 予備管・将来増設の確認漏れ:地中は掘り返せない。設計段階で将来分まで聞き取るのが仕事。

まとめ ― 今日の1枚

  • 接地工事は埋める→測る→増し打ち。土との対話で規定値以下へ追い込む。
  • 地中引込は掘削→管路→ハンドホール→埋戻し+標識シート。
  • ハンドホール=地中の中継ボックス。位置とサイズは設計事項。
  • 予備管と埋設記録が未来の工事を救う。

次回・施工実務編⑤は建物の中へ戻って「内装〜天井内配線の実際」——ボードが閉まる前の勝負を見ていきます。

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認
3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
📖次に読むならこれ【新人講座 第16回】電気の法律ぜんぶ地図 ― 基準値の“出どころ”をたどる新人教育