📚 この記事は連載「図解&会話で学ぶ 電気設備設計の基礎」の1本です。→ 全カリキュラム(目次)はこちら
今回の内容を1枚にまとめたグラレコ
📝 今日の全体像を1枚で。まずこのグラレコ、詳しくは本文で!

こんにちは、HARITAの設計室です。施工実務編③は躯体工事の仕込み用語編②で「コンクリの中は打つ前しか仕込めない」と学びました。今回はその“仕込み”の実際——締切(打設日)から逆算して動く仕事を見ていきます。

ペンタ

先輩、うちの課の先輩が「明日打設だから今日中に確認行ってくる」ってバタバタしてました。打設ってそんなに大イベントなんですか?
はりた

大イベントだよ。コンクリートは固まったら二度と中身を触れない。だから電気の仕込みはぜんぶ打設日がタイムリミット。流れを見てみよう。
ペン太ペン太
配管って、コンクリートを打った後に通せばいいと思ってました…
ハリタハリタ
コンクリの中は打つ前しか仕込めません。すべての工程は打設日からの逆算です。

すべては打設日からの逆算

図面承認から打設までの逆算フローと合番の役割
【図1】打設日から逆算する仕込みの流れ。打設中の「合番」まで含めて電気の仕事
ペンタ

「合番(あいばん)」って初めて聞きました。打設中も現場にいるんですか?
はりた

そう。コンクリを流し込むとき、圧力やバイブレータ(締固めの振動機)で配管がつぶれたりズレたりすることがある。それを打設に立ち会って見張り、その場で直すのが合番。埋まる瞬間まで気を抜けないんだ。
ペン太ペン太
スリーブとインサートって、同じ埋込部材じゃないんですか?
ハリタハリタ
スリーブは配管が通る穴、インサートは後付け機器の取付用。梁スリーブは梁せい1/3以下です。

コンクリートに仕込む4点セット

スラブ配管・梁スリーブ・床貫通枠・インサートの役割と急所
【図2】仕込み4点セット。合言葉は「図面で予約→打つ前に固定→埋まる前に記録」
ペンタ

梁スリーブだけ「構造の承認」って書いてありますね。梁の穴はそんなに特別なんですか?
はりた

梁は建物の骨だからね。穴を開けていい位置・大きさには構造上の制限(梁せいの1/3以下、端部を避ける等)があって、必ず構造設計の確認を受けた図面どおりに入れる。勝手に動かすのは絶対NG。第2部で図面を「共通言語」と言ったけど、スリーブ図はまさに構造と設備の契約書だよ。

💼 実務でこう生きる

📋 実務活用事例:スリーブ図の作成と承認フロー
新人が最初に任されがちなのがスリーブ・インサート図の作成。設備のルート図から貫通位置を拾い、構造設計へ確認を出します。
→ 打設日程を工程表で確認し、承認→現場取付→検査の日数を逆算してスケジュールを引けたら、もう「図面屋」ではなく「工事を動かす設計者」です。
📋 実務活用事例:打設前の立会いチェック
打設前検査では図面を持って位置(返り墨から実測)・数量・固定状態・かぶり厚を確認し、必ず写真を残します。埋まったあとは写真だけが証拠。「あのスリーブ入ってたっけ?」を防ぐのは記録の質です。

🐣 いまさら聞けない素朴なギモン

🐣 「合番」って、どういう語源?
「番を合わせる」=相手の作業に合わせてこちらも番(当番)に立つ、という現場言葉です。コンクリ打設に限らず、他職種の作業に立ち会って自分の設備を守る・調整する場面で広く使われます。「明日、打設の合番お願い」のように使います。
🐣 配管ってそんなに簡単につぶれるの?
生コンクリートは1㎥で約2.3トン。流し込む圧力とバイブレータの振動は相当なもので、固定の甘い樹脂管は変形・移動します。つぶれた配管は通線不能=埋め殺しの失敗資産になるので、結束・固定と合番が重要なのです。


🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる

🔎 「スリーブの位置がずれて固まったらどうなるんですか?」と聞いてみた
はりた「軽微なら配管側のルートで吸収するけど、吸収できなければ“あと施工”——構造検討、鉄筋の位置調査(レントゲン)、補強…と大ごとになる。数センチのズレが数十万円になる世界。だから合番と打設前検査に本気を出すんだ」
🔎 「在来用とデッキ用のインサートは何が違うんですか?」と聞いてみた
はりた「スラブの作り方が違うから。合板の型枠に釘で打つのが在来用、波形の鋼板(デッキプレート)に取り付けるのがデッキ用。現場の構造がどちらかで使う金物が変わる——構造図を見る理由がまた一つ増えたね」
🔎 「打設後にどうしても穴が必要になったら?」と聞いてみた
はりた「まず構造設計に相談。位置の再検討、鉄筋探査、コア抜き(円形に削孔)、必要なら補強——正規の手順を踏めば不可能ではないけど、時間もお金もかかる。だから設計段階の貫通計画が大事なんだ」

⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント

  • 承認前のスリーブを現場に指示しない:構造確認の済んでいない位置・サイズは「仮」。先行手配は事故のもと。
  • かぶり厚を忘れない:配管が鉄筋やコンクリ表面に近すぎると強度・耐久性に影響します。
  • 写真を撮らずに埋めさせない:位置・固定・全景。埋まる前の記録は保険であり証拠。
ペン太ペン太
打設当日、僕は何をすればいいですか?
ハリタハリタ
合番で配管の変形を見張り、埋まる前に写真記録を。それが後々の証拠になります。

まとめ ― 今日の1枚

  • 躯体仕込みは承認→取付→確認→合番→打設。すべて打設日からの逆算。
  • 仕込み4点:スラブ配管・梁スリーブ・床貫通枠・インサート。梁スリーブは構造承認が必須。
  • 合番=打設中の見張り当番。埋まる瞬間まで配管を守る。
  • あと施工は大ごと。「図面で予約→打つ前に固定→埋まる前に記録」

次回・施工実務編④は「接地工事と地中引込の実際」——建物の外、地面の下の電気工事です。

✅ 振り返りチェック ― 今日の理解度をセルフ確認

3つ以上チェックできたら合格!あやしい項目は、その見出しまで戻ってサッと復習しよう。
📖次に読むならこれ【新人講座 積算編②】拾い書のつくり方 ― 様式・単位・根拠の3点セット新人教育