【新人講座 第16回】電気の法律ぜんぶ地図 ― 基準値の“出どころ”をたどる

こんにちは、HARITAの設計室です。今回から第5部「法規・規程のきほん」。第4部で何度も「基準値は法規で決まっている」と言ってきました。その基準値の出どころの地図を、今日ついに広げます。
この3つ、すぐ答えられますか
- 内線規程は法律か、そうでないか。
- 「電技」と「電技の解釈」は同じものか。
- 法律と民間規程がぶつかったら、どちらが勝つか。
- ルールの階層 ― 強制力と具体性のピラミッド
- 逆引きマップ ― あの基準値はどこから来たか
- 審査で「根拠は?」と聞かれたときの答え方
- 電技と解釈の違い、法律と規程の優先順位
- 建築基準法・消防法・JIS・地域ルール
- 新人がやりがちな注意ポイント
ルールの階層 ― 強制力と具体性のピラミッド

ペン太
ハリタ| 階層 | 中身 | 強制力 | 具体性 |
|---|---|---|---|
| 法律 | 「電気設備は安全に施設せよ」レベルの大方針 | いちばん強い | いちばん抽象的 |
| 技術基準(電技) | 法律を受けて、守るべき最低ラインを数値で定める省令。「その解釈」は具体的にこう作れば省令を満たすとみなす詳細版 | 強い | 中 |
| 民間規程(内線規程など) | 実務でどう作ればクリアできるかを具体的に翻訳したもの | 法律ではないが、電力会社との契約や業界慣行で事実上の必須 | 高い。設計者が毎日開く |
| 地域ルール | 電力会社の約款・内規、自治体の条例、所轄の指導 | エリアごとに異なる | いちばん個別的 |
- 覚えるのは条文ではなく階層の地図。「どのルールが強くて、どのルールが詳しいか」。
- 法律は「電気設備は安全に施設せよ」レベルの大方針しか書いていない。それを受けた電技(技術基準)が守るべき最低ラインを数値で定め、さらに内線規程などの民間規程が「実務でどう作ればクリアできるか」を具体的に翻訳している。
- だから設計者が毎日開くのは、いちばん下の分厚い規程たち。
- 内線規程は民間規程。ただし電力会社との契約や業界慣行で“事実上の必須”になっている。「法律ではないが、守らないと仕事にならない」存在。
逆引きマップ ― あの基準値はどこから来た?

- 第4部までに出てきた基準値には、すべて“実家”がある。許容電流も、電圧降下の%も、接地も。
- 実務の答え方はテンプレでいい——「◯◯規程の△△に基づいています」。
- 条文の丸暗記は不要で、「どの本を開けば載っているか」を知っていることが専門性。
- 審査や検査で「根拠は?」と聞かれたとき、この地図が頭にあるかどうかで信頼がまるで違う。
💼 実務でこう生きる
- 確認申請や客先審査で「この容量の根拠は?」と来たら、「内線規程の需要率標準値を基に、実態ヒアリングで補正しています」のように、階層のどこかを指して答える。
- 「前例がこうなので」より何倍も強い回答になる。地図を持つ人は、議論の土俵を作れる。
- 内線規程も電技の解釈も定期的に改定される。改定情報が出たら「自分の定番計算のどこに効くか」だけ確認する習慣を。
🐣 いまさら聞けない素朴なギモン
| 中身 | 関係 | |
|---|---|---|
| 電技(省令) | 守るべき性能を示した短い条文集 | セットで1つと覚えるが、引用はどちらの何条かを意識する |
| 電技の解釈 | 具体的にこう作れば省令を満たすとみなす詳細版(接地のA〜D種の数値もここ) | — |
| 法律 vs 民間規程 | 必ず法律(と、その委任を受けた技術基準)が勝つ | 民間規程は法律を下回らないが、上乗せで厳しいことはある |
| JIS | 製品や方法の標準規格(図記号、ケーブル、照度基準) | 規程が「作り方の本」なら、JISは「部品と単位の辞書」 |
- 「電技(電気設備の技術基準・省令)」は守るべき性能を示した短い条文集、「その解釈」は具体的にこう作れば省令を満たすとみなす詳細版(接地のA〜D種の数値もここ)。セットで1つと覚えつつ、引用はどちらの何条かを意識する。
- 法律と規程がぶつかったら、必ず法律(と、その委任を受けた技術基準)が勝つ。
- 民間規程は法律を下回る内容にはなっていないが、上乗せで厳しいことはある。実務では「法令の最低ラインを、規程の推奨でどこまで上乗せするか」がコストとの調整点。
🔎 深掘りQ&A ― 会話だから、もっと分かる
- 建築基準法は非常照明や避雷設備など“建物として必要な電気”を、消防法は自動火災報知や誘導灯など“防災の電気”を要求してくる。電気設備は電気の法律だけでなく、建物系の法律からも注文を受ける。
- JISは製品や方法の標準規格。図記号のJIS、ケーブルのJIS、照度基準のJIS——「モノと測り方の共通語」。設計図に「JIS○○による」と書けば仕様が一意に決まる。
- 地域ルールで変わるのは、引込の方式や計量器まわりの作り、系統連系の条件、自治体の環境・景観条例など。特に電力会社の約款・内規は受電設計に直結する。
- 新しいエリアの案件では、着手時に「その地域の流儀」の確認から始めるのが定石。
⚠️ 新人がやりがちな注意ポイント
- 「規程だから絶対」と思考停止しない:階層と根拠を意識。法令の要求か、規程の推奨か、社内基準かを区別する。
- 古い版の数値を引用しない:規程は改定される。計算書には版・年度まで記載。
- 地域ルールの確認を後回しにしない:電力会社協議は手戻りが大きい。着手時に確認。
ペン太
ハリタ- 「規程だから絶対」と思考停止しない。階層と根拠を意識し、法令の要求か、規程の推奨か、社内基準かを区別する。
- 古い版の数値を引用しない。規程は改定される。計算書には版・年度まで記載する。
- 地域ルールの確認を後回しにしない。電力会社協議は手戻りが大きいので、着手時に確認する。
まとめ ― 今日の1枚
基準値には、必ず出どころがあります。その出どころを指させるかどうかが、「前例では」と「規程では」の差になります。
| 聞かれること | 答え方の型 | 裏づけ |
|---|---|---|
| 「この容量の根拠は?」 | 「内線規程の需要率標準値を基に、実態ヒアリングで補正しています」 | 民間規程+実態 |
| 「この数値はどこから?」 | 「電技の解釈の◯条によります」 | 技術基準 |
| 「なぜこの仕様?」 | 「JIS○○によります」 | 標準規格 |
| 「他社ではこうだが?」 | 「法令の最低ラインに、規程の推奨をこう上乗せしています」 | 階層のどこを採ったかを明示 |
ルールの階層
- ルールは法律→技術基準(電技)→民間規程→地域ルールの階層。上ほど強く、下ほど詳しい。
- 内線規程は法律ではないが“事実上の必須”。毎日開くのは下の階層。
基準値の実家
- 第4部までの基準値には全部“実家”がある(逆引きマップ)。
覚え方
- 暗記より地図。「どの本に載っているか」を知っていることが専門性。
第4部までは「この数字を使う」を学んできました。この回でようやく、その数字がどこから来たのかが見えます。地図さえ持っていれば、知らない数字に出会っても「たぶんあの本だ」と当たりを付けられます。次回は、その中でいちばん開く本の引き方です。
次回・第17回は、その“毎日開く本”の代表——内線規程ってなに?どう引く?。当サイト最大のテーマへの入口です。お楽しみに!
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ハリタ