技術図書館油入とモールドの違いを8枚のスライドで読む仕様の比較・メリットとデメリット・寸法早見・屋外設置の3条件を通して確認できます。
油入変圧器とモールド変圧器の違いと選定の全体像

受変電設備変圧器を選ぶとき、「油入モールド、どちらを選べばいいの?」と迷うことはないでしょうか。それぞれに価格・メンテナンス・安全性などの違いがあり、用途に応じた使い分けが大切です。

本記事では、油入変圧器モールド変圧器の違い(メリット・デメリット)選定のポイントモールド変圧器を設置する際の注意点を、比較表つきで分かりやすく解説します。

 

変圧器は、これで決める

 

今回の疑問

 

油入変圧器モールド変圧器の違いってなに?

 

 

⚡ 先に結論だけ言うと

各々の特長は次表になります。

項目 油入 モールド
メンテナンス 油の劣化診断 なし
冷却方式 油冷却 空気冷却
燃焼 可燃性 難燃性
大きさ 大きい(モールドに対し)
消火設備 容量により特殊消火が必要 容量にかかわらず大型消火器
使用場所 屋内・屋外 屋内・屋外(条件付き)
価格 安価(モールドに対し)

基本仕様としては安価で設置条件の少ない油入を採用します。

あにまるさん
あにまるさん
変圧器に油入って書いてあるけど、どうゆう意味なんだ?

はりた
はりた
それは変圧器の仕様だね!

あにまるさん
あにまるさん
こっちの図面にはモールドって書いてあるけど何が違うんだ?

はりた
はりた
設置場所や性能によって使い分けが必要だよ!二つの仕様の違いについて解説しよう!
本記事の内容

今回は変圧器の仕様であるモールド油入について解説したいと思います。単線結線図油入(若しくはモールド)と書かれているけど仕様の違いは何なの?といった方や設置基準や選定方法はあるの?といった方におすすめの内容となっておりますのでぜひ最後までよろしくお願いいたします。

本記事のおすすめの方
  • 油入モールドの違いを知りたい方
  • 選定方法を知りたい方
  • 価格比較の検討を行っている方など
この記事のカテゴリー

油入変圧器とモールド変圧器の比較表
▲ 油入とモールドの比較
ペン太ペン太
変圧器って油入とモールド、結局どっちを選べばいいんですか?高い方が安心とか?
ハリタハリタ
一長一短です。油入は安価で納期が早く、モールドはメンテ不要で省スペースなんですよ。

クイックトピックス

油入とモールドの主な違いは?
項目 油入 モールド
規格 JIS C 4304 JIS C 4306
メンテナンス 油の劣化診断 なし
絶縁方式 紙・鉱油 エポキシ樹脂
冷却方式 油冷却 空気冷却
燃焼 可燃性 難燃性
大きさ 大きい(モールドに対し)
消火設備 容量により特殊消火が必要 容量にかかわらず大型消火器
使用場所 屋内・屋外 屋内・屋外(条件付き)
価格 安価(モールドに対し)
油入のメリットは?
  • 冷却効果が優れている(油による冷却)
  • 価格が低い
  • 納期が早い
油入のデメリットは?
  • 定期的な絶縁油の交換が必要
  • サイズ、重量が大きくなる
  • 油のため燃焼の可能性がある(消火設備への影響)
モールドのメリットは?
  • 機器の定期的なメンテナンスが不要
  • サイズ、重量が小さい
  • 安全性が高い燃焼の可能性が低い)
モールドのデメリットは?
  • 屋外に設置する場合キュービクルに条件が出てくる(結露対策)
  • 価格が高い
  • 納期が遅い

 

この3つ、すぐ答えられますか

  • 油入変圧器とモールド変圧器の主な違いは何か
  • モールド変圧器を設置するときの注意点は何か
  • 一般的にはどちらが多く選定されているか
この記事でわかること
違いを押さえてから、メリット・デメリットと寸法で最終判断していきます。

油入とモールドの違いと選定のポイント

トピック1:油入とモールドの違い

あにまるさん
あにまるさん
まず2つの仕様違いはあるのか?

はりた
はりた
次表に比較してみたから知りたい項目を確認してみよう!
項目 油入 モールド
規格 JIS C 4304 JIS C 4306
メンテナンス 油の劣化診断 なし
絶縁方式 紙・鉱油 エポキシ樹脂
冷却方式 油冷却 空気冷却
燃焼 可燃性 難燃性
大きさ 大きい(モールドに対し)
消火設備 容量により特殊消火が必要 容量にかかわらず大型消火器
使用場所 屋内・屋外 屋内・屋外(条件付き)
価格 安価(モールドに対し)

はりた
はりた
なにか気になった項目はあるかな?

あにまるさん
あにまるさん
設置場所と価格かな~

はりた
はりた
いいところに気が付いたね!選定のポイントだから抑えておこう!

設置場所について

近年の受変電方式としてはキュービクル式を採用されていることがほとんどのため油入、モールド変圧器のどちらも採用可能ですが、モールド変圧器を選定する際は下記の点について注意する必要があります。

  1. 暴風雨時でも吸気口、排気口などから侵入した雨水が変圧器にかからない構造としてください
  2. 直射日光がモールドコイルに当たらぬようにガラスまたはアクリル板などで直射日光をさえぎってください。
  3. 夏期にはキュービクル内の温度が上昇しますので、換気を十分に行い、変圧器の周囲温度40℃以下になるよう配慮してください。

出典:(モールド変圧器:日立産機システム (hitachi-ies.co.jp))より

あにまるさん
あにまるさん
なんでモールドは、屋外で使うときに条件があるんだ?

はりた
はりた
屋外だと結露や雨水による感電の危険性が上がるからだね

あにまるさん
あにまるさん
それは油入でも同じじゃないのか?

はりた
はりた
モールドはコイルの部分が露出しているから水がかかったりすると危険なんだよ

あにまるさん
あにまるさん
じゃあモールドは高いし使うところはないんじゃないか?

はりた
はりた
もちろんモールドにも使用する利点があるよ!各々のメリット・デメリットについて解説しよう!

ペン太ペン太
モールドの方がコンパクトなら、小容量でもモールドが小さいですよね?
ハリタハリタ
逆です。小さい容量ではモールドの方が大きくなるので、寸法早見表で確認しましょう。
ここまでのポイント
  • 規格は油入がJIS C 4304、モールドがJIS C 4306
  • 絶縁方式は油入が紙・鉱油、モールドがエポキシ樹脂
  • 冷却方式は油入が油冷却、モールドが空気冷却
  • 燃焼性は油入が可燃性、モールドが難燃性
  • モールドは暴風雨時の雨水対策、直射日光の遮蔽、周囲温度40℃以下の配慮が必要


油入とモールドの選定方法

トピック2:油入とモールドの選定方法

出典:(配電用油入変圧器 製品一覧 配電用変圧器 | 三菱電機 FA (mitsubishielectric.co.jp))より

油入変圧器のメリット・デメリット

油入のメリット
  • 冷却効果が優れている(油による冷却)
  • 価格が低い
  • 納期が早い
油入のデメリット
  • 定期的な絶縁油の交換が必要
  • サイズ、重量が大きくなる
  • 油のため燃焼の可能性がある(消火設備への影響)

はりた
はりた
油入式は価格も低いため多くの施設で選定されているよ

モールド変圧器のメリット・デメリット

出典:(配電用モールド変圧器 製品一覧 配電用変圧器 | 三菱電機 FA (mitsubishielectric.co.jp))

モールドのメリット
  • 機器の定期的なメンテナンスが不要
  • サイズ、重量が小さい
  • 安全性が高い燃焼の可能性が低い)
モールドのデメリット
  • 屋外に設置する場合キュービクルに条件が出てくる(結露対策)
  • 価格が高い
  • 納期が遅い

はりた
はりた
モールドの利点は油を使用しない分省スペースで軽量化を図ることができます。
ここまでのポイント
  • 油入のメリットは、冷却効果が優れている・価格が低い・納期が早いこと
  • 油入のデメリットは、定期的な絶縁油の交換が必要・サイズや重量が大きい・燃焼の可能性があること
  • モールドのメリットは、定期的なメンテナンスが不要・サイズや重量が小さい・安全性が高いこと
  • モールドのデメリットは、屋外設置時にキュービクルの条件がある・価格が高い・納期が遅いこと


油入とモールドのサイズ早見表

トピック3:油入とモールドのサイズ早見表

単相変圧器 6kV-210/105V 三菱電機 Rシリーズより

容量 Hz 油入 モールド
重量 X Y Z 重量
50 50 490 540 740 245 525 515 830 290
75 605 520 915 330 590 530 860 350
100 615 560 1010 405 530 520 870 390
150 670 580 1060 500 595 565 915 470
200 735 640 1060 610 625 570 1020 600
300 790 625 1230 805 670 595 1190 880
500 945 725 1430 1370 860 725 1225 1130
50 60 490 540 740 240 525 505 830 270
75 605 520 915 325 590 515 860 320
100 615 560 1010 400 530 515 870 370
150 670 580 1060 495 595 555 915 430
200 735 640 1060 605 625 560 1020 550
300 790 625 1230 800 670 580 1190 800

はりた
はりた
小さい容量の場合モールドのほうが大きくなるので注意しておこう!

三相変圧器 6kV-210V 三菱電機 Rシリーズより

容量 Hz 油入 モールド
重量 X Y Z 重量
50 50 550 495 760 280 620 400 710 260
75 790 505 915 395 735 470 820 400
100 820 510 1010 480 735 470 820 410
150 815 550 1040 640 810 550 905 590
200 900 550 1070 760 900 560 945 740
300 985 615 1205 1060 930 585 1020 910
500 1150 665 1300 1530 1125 620 1190 1420
50 60 550 495 760 275 620 400 710 230
75 790 505 915 390 735 455 820 340
100 820 510 1010 475 735 455 820 350
150 815 550 1040 635 810 550 905 500
200 900 550 1070 755 900 550 945 620
300 985 615 1205 1050 930 565 1020 790
500 1150 665 1300 1520 1125 600 1190 1220

出典:(油入変圧器カタログ(三菱電機))より

出典:(モールド変圧器カタログ(三菱電機))より

あにまるさん
あにまるさん
設置スペースが限られているところはモールドで検討知ればいいんだな!

はりた
はりた
そうだね!設置場所とコストを考えながら選定するようにしよう!


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油入・モールド変圧器の選定ポイントとモールド設置時の注意
▲ 選定ポイントと設置時の注意
取り違えやすいところ 正しくは
モールドは常に小型 小さい容量では油入より大きくなる場合がある
モールドなら屋外設置も無条件でよい 雨水対策・直射日光の遮蔽・周囲温度40℃以下の条件がある
どちらもメンテナンスは同じ 油入は絶縁油の劣化診断・定期交換が必要
消火設備の扱いは同じ 油入は容量により特殊消火、モールドは容量にかかわらず大型消火器
ここまでのポイント
  • 容量ごとの寸法と重量が早見表で比較できる
  • 小さい容量ではモールドの方が大きくなる場合があるため、寸法表で確認する

よくある質問(FAQ)

トピック4:よくある質問(FAQ)

Q. 油入変圧器モールド変圧器の主な違いは?

A. 油入は価格が低く納期が早く冷却性能に優れますが、絶縁油の定期交換が必要でサイズが大きく燃焼の可能性があります。モールドメンテナンス不要・小型軽量・安全性が高い一方、価格が高く納期が長い傾向です。

Q. 一般的にはどちらが選ばれますか?

A. 価格が低いため、多くの施設で油入変圧器が選定されています。安全性・省スペース・メンテナンス性を重視する場合はモールド変圧器が選ばれます。

Q. モールド変圧器を設置するときの注意は?

A. ①暴風雨時でも吸気口・排気口から侵入した雨水が変圧器にかからない構造とする②直射日光がモールドコイルに当たらないようガラス・アクリル板で遮る③夏期は換気を十分に行い周囲温度を40℃以下に保つ、ことが必要です。

Q. キュービクル式ではどちらも使えますか?

A. はい。近年はキュービクル式が主流で油入モールドどちらも採用可能です。ただしモールドは上記の設置条件(結露・直射日光・温度)に配慮する必要があります。

ペン太ペン太
モールドを屋外に置くときの注意点はありますか?
ハリタハリタ
結露対策と直射日光の遮蔽、周囲温度40℃以下の管理が必要ですよ。


まとめ

油入とモールドの違いと選定のポイント

油入モールドの主な違い

項目 油入 モールド
メンテナンス 油の劣化診断 なし
冷却方式 油冷却 空気冷却
燃焼 可燃性 難燃性
大きさ 大きい(モールドに対し)
消火設備 容量により特殊消火が必要 容量にかかわらず大型消火器
使用場所 屋内・屋外 屋内・屋外(条件付き)
価格 安価(モールドに対し)

選定のポイント

コスト

  • 価格を考慮する場合油入のほうが安価となる

設置場所

  • 油入は設置場所により条件はないがモールドの場合キュービクル仕様に条件あり

寸法

  • 設置場所のスペースが限られてる場合、モールドのほうが寸法・重量ともに小さくなる

※サイズによっては油入方が小さい場合があるので注意する

可燃性

  • 油入は機器に油を含んでいるため周囲に発火性の物がある場所は検討を行う

 

モールドを屋外に設置する場合の条件

  1. 暴風雨時でも吸気口、排気口などから侵入した雨水が変圧器にかからない構造としてください
  2. 直射日光がモールドコイルに当たらぬようにガラスまたはアクリル板などで直射日光をさえぎってください。
  3. 夏期にはキュービクル内の温度が上昇しますので、換気を十分に行い、変圧器の周囲温度は40℃以下になるよう配慮してください。

油入のメリット

  • 冷却効果が優れている(油による冷却)
  • 価格が低い
  • 納期が早い

油入のデメリット

  • 定期的な絶縁油の交換が必要
  • サイズ、重量が大きくなる
  • 油のため燃焼の可能性がある(消火設備への影響)

モールドのメリット

  • 機器の定期的なメンテナンスが不要
  • サイズ、重量が小さい
  • 安全性が高い燃焼の可能性が低い)

モールドのデメリット

  • 屋外に設置する場合キュービクルに条件が出てくる(結露対策)
  • 価格が高い
  • 納期が遅い

変圧器の選定は、コストと納期を取るか、安全性と省スペースを取るかの判断になります。

観点 油入変圧器 モールド変圧器
メリット 冷却効果が優れている/価格が低い/納期が早い メンテナンスが不要/サイズ・重量が小さい/安全性が高い
デメリット 絶縁油の定期交換が必要/サイズ・重量が大きい/燃焼の可能性がある 屋外設置時にキュービクルの条件がある/価格が高い/納期が遅い
向く場面 コストと納期を重視する場合 安全性・省スペース・メンテナンス性を重視する場合

違いで押さえること

  • 規格は油入がJIS C 4304、モールドがJIS C 4306
  • 絶縁方式は紙・鉱油とエポキシ樹脂
  • 冷却方式は油冷却と空気冷却
  • 燃焼性は可燃性と難燃性

モールドを選ぶときの注意

  • 暴風雨時でも吸気口・排気口から侵入した雨水が変圧器にかからない構造にする
  • 直射日光がモールドコイルに当たらないようガラスまたはアクリル板で遮る
  • 夏期は換気を十分に行い、変圧器の周囲温度を40℃以下に保つ
  • 小容量では寸法が逆転する場合があるため早見表で確認する

近年はキュービクル式が主流で、どちらも採用できます。設置条件を先に確認しておくと選定がぶれません。

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電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。