受変電設備の設計|非常照明が免除・不要になる場所と必要照度について詳しく解説
設計図を見ると、本来は不要な部屋にまで非常照明が描かれていることがあります。非常照明は「避難のための明かり」なので、就寝・居住の部屋や、そもそも人が留まらない室などは法的に免除・不要とされています。本記事では、どこに必要でどこが不要なのかを整理します。
🦔 はりた:「そう。避難のための照明だから、寝る部屋や倉庫みたいに“避難経路としての意味が薄い場所”は外れることが多いんだ」
🐧 見習いペン太:「図面に付いてても、実は不要なこともある?」
🦔 はりた:「あるある。免除と“そもそも対象外”を分けて理解しておくと、過不足のない設計ができるよ」
ペン太
ハリタこの3つ、すぐ答えられますか
- 非常照明の設置義務は、どこにかかるのか
- 免除される場所と、そもそも対象外の場所は何が違うのか
- 光源によって、必要な照度がどう変わるのか
そもそも、非常照明はどこに必要か
非常照明(建築基準法上は「非常用の照明装置」)は、不特定多数が利用する特殊建築物や、一定規模以上の建築物の居室・無窓の居室と、その避難経路に設けることが義務づけられています。増築・改築・大規模修繕などを行った場合は、工事部分だけでなく既存部分も設置対象になる点にも注意が必要です。

| 対象 | 内容 |
|---|---|
| 特殊建築物 | 不特定多数が利用するもの |
| 一定規模以上の建築物 | 階数3以上で延べ500m²超、延べ1,000m²超 |
| 無窓の居室を有する建築物 | 採光上の無窓の居室 |
| 避難経路 | 上記の居室に至る避難経路 |
| 増築・改築・大規模修繕 | 工事部分だけでなく、既存部分も設置対象になる |
- 特殊建築物や一定規模以上の建築物の居室・無窓の居室と、その避難経路が対象
- 増築・改築・大規模修繕では、工事部分だけでなく既存部分も設置対象になる
- 非常照明は避難のための明かり。避難経路としての意味が薄い場所は免除・不要
免除・不要になる場所をタイプ別に整理
免除・不要となる場所は、性質ごとに分けると覚えやすくなります。①就寝/居住・②学校・③屋外開放部・④運動/大空間施設は「義務の免除」、⑤居室でない室は「そもそも対象外」という違いがあります。

🦔 はりた:「そう、観覧席のある体育館は対象。学校も“夜間部併設”だと廊下・階段に必要。例外の方を覚えておくと間違えにくいよ」
ペン太
ハリタ| タイプ | 具体例 | 区分 | 注意する例外 |
|---|---|---|---|
| ①就寝/居住 | 病室・宿泊室・寝室・住戸 | 義務の免除 | ー |
| ②学校 | 学校 | 義務の免除 | 夜間部を併設する学校は廊下・階段に必要 |
| ③屋外開放部 | 外気に開放された通路・屋外階段 | 義務の免除 | ー |
| ④運動/大空間施設 | 体育館などの運動施設 | 義務の免除 | 観覧席のある体育館は対象 |
| ⑤居室でない室 | 倉庫・電気室・機械室・便所・浴室 | そもそも対象外 | ー |
- 就寝/居住・学校・屋外開放部・運動施設は「義務の免除」
- 倉庫・電気室・機械室・便所などの居室でない室は「そもそも対象外」
- 観覧席のある体育館は対象、夜間部を併設する学校は廊下・階段に必要
非常照明の必要な明るさ(照度)
非常照明は、床面の水平照度を一定以上確保する必要があります。光源によって基準が異なり、白熱灯は1lx以上、蛍光灯とLEDは2lx以上です。

蛍光灯が2lxなのは、火災の高温で光束が低下するためです。周囲温度140℃では常温時の約50%まで落ちるため、余裕を見て2lxとされています(JIL5501では「140℃の雰囲気中で30分間点灯を継続できる耐熱性」を要求)。LEDは本来の告示光源(白熱灯・蛍光灯)ではありませんが、国土交通大臣認定制度や日本照明工業会(JIL)の自主評定で認可されており、照度は蛍光灯と同じ2lxです。
| 光源 | 必要な床面水平照度 | そうなっている理由 |
|---|---|---|
| 白熱灯 | 1lx以上 | 告示に定められた光源 |
| 蛍光灯 | 2lx以上 | 火災の高温で光束が低下するため、余裕を見ている |
| LED | 2lx以上 | 大臣認定・JIL自主評定で認可。蛍光灯と同じ扱い |
- 床面の水平照度で、白熱灯は1lx以上、蛍光灯とLEDは2lx以上
- 蛍光灯が高いのは、火災の高温で光束が低下するため
- LEDは大臣認定やJILの自主評定で認可され、照度は蛍光灯と同じ扱い
よくある質問(FAQ)
Q. 非常照明はどんな場所に必要ですか?
A. 不特定多数が利用する特殊建築物や、階数3以上で延べ500m²超・延べ1,000m²超の建築物、採光上の無窓の居室を有する建築物などの居室と、その避難経路に設置が義務づけられています(建築基準法施行令第126条の4)。
Q. どんな場所だと非常照明が要らないのですか?
A. 病室・宿泊室・寝室・住戸などの就寝/居住空間、学校、外気に開放された通路・屋外階段、体育館などの運動施設は免除されます。倉庫・電気室・機械室・便所・浴室など、そもそも居室でない室は不要です。
Q. 体育館や学校でも必要になる場合はありますか?
A. 観覧席のある体育館は対象になります。また、夜間部を併設する学校は廊下・階段などに非常照明が必要です。
Q. 非常照明の必要な明るさは?
A. 床面の水平照度で、白熱灯は1lx以上、蛍光灯とLEDは2lx以上が必要です。蛍光灯は高温で光束が下がるため、余裕を見て2lxとされています。
ペン太
ハリタ
まとめ
非常照明の要否と照度の要点:
結論です。非常照明は「避難のための明かり」なので、避難経路としての意味が薄い場所では免除・不要になります。ただし免除には例外があり、観覧席のある体育館と夜間部を併設する学校は落とせません。照度は光源で変わり、白熱灯1lx以上、蛍光灯とLEDは2lx以上です。
| 確認すること | 押さえる内容 |
|---|---|
| 義務がかかる建物 | 特殊建築物、一定規模以上の建築物、無窓の居室を有する建築物 |
| 義務がかかる範囲 | 対象の居室と、その避難経路 |
| 増改築のとき | 工事部分だけでなく、既存部分も対象になる |
| 免除される場所 | 就寝/居住、学校、屋外開放部、運動施設 |
| そもそも対象外の室 | 倉庫・電気室・機械室・便所など、居室でない室 |
| 見落としやすい例外 | 観覧席のある体育館、夜間部を併設する学校の廊下・階段 |
| 必要な照度 | 白熱灯1lx以上、蛍光灯・LEDは2lx以上 |
この記事の要点
- 義務:特殊建築物・一定規模以上の居室・無窓居室+避難経路(増改築時は既存部分も対象)
- 免除:就寝/居住・学校・屋外開放部・運動施設(※観覧席ある体育館・夜間部併設学校は対象)
- 不要:倉庫・電気室・機械室・便所など居室でない室
- 照度:白熱灯1lx/蛍光灯・LED 2lx(高温で光束が下がるため)
図面で確認する順番
- まず建物用途と規模から、義務がかかるかを判断する
- 免除に当たる室を拾い、そのうえで例外に該当しないかを確かめる
- 居室でない室は対象外として整理する
- 採用する光源に合わせて、必要照度を1lxか2lxかで決める
非常照明の検討でつまずきやすいのは、免除の一覧を覚えることではなく、その例外を落とさないことです。体育館と学校は、条件ひとつで結論が反対に振れます。用途表を見るときは、免除の行と同じ強さで例外の但し書きを読んでください。
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