技術図書館V結線の変圧器は2倍にはならないV結線とΔ結線の違い、約173kVAになる計算、利用率とそろえる3つこの資料をスライドで見る資料一覧を見る
①単相100kVA×2台をV結線にすると、三相として√3×100≒173kVAで使えます。②変圧器を流れる電流と取り出す電力の向きがずれるため、1台あたり約86.6%しか使えません。③2台の容量・電圧・極性、インピーダンスをそろえます。
 
ペン太ペン太
100kVAの単相変圧器2台をV結線にすると、単純に200kVA使えるんですよね?
ハリタハリタ
三相容量は単相容量に√3を掛けた約173kVAです。200kVAにはなりません。

この3つ、すぐ答えられますか

  • 単相100kVA×2台をV結線にすると、三相として何kVAで使えるか
  • V結線の利用率は、何%になるか
  • V結線を組むとき、2台の変圧器でそろえておくべきものは何か
この記事でわかること
数値だけ知りたい方は、結論と利用率の項をご覧ください。
この記事の内容を、ツールで計算する変圧器容量・需要率 計算ツール負荷と需要率から、変圧器容量と内訳が出ます
ツールを開く登録不要セコサポ(姉妹サイト)

🔺V結線変圧器にすると何kVAで使えるの?

ペン太ペン太
🔺V結線の変圧器って、結局何kVAで使えるの?普通に3台使うより容量下がるの?
ハリタハリタ
その通り!V結線の三相容量は、単相1台の容量の√3倍なんだ。2台の合計に対する利用率は√3÷2(約86.6%)、3台のΔ結線と比べた出力は約57.7%になるよ。
ペン太ペン太
なるほど〜。ってことは、同じ変圧器2台だけで使うときは最初から容量に注意しないと危ないってことか!
ハリタハリタ
そのとおり。仮設や一時的な運用では便利だけど、2台の合計容量の約86.6%(Δ結線の約57.7%)までってことはしっかり覚えておこう!

✅ 結論から!

単相100kVAの変圧器で比べると、2台を足した200kVAではなく、V結線の三相容量は√3×100≒173kVAです。Δ結線(3台)なら300kVAです。利用率は173÷200≒86.6%、Δ結線に対する出力比は173÷300≒57.7%です。
  • 容量100kVAの単相変圧器×2台でV結線を組んだ場合、
    → 三相変圧器としての容量は約173kVAになります!


🧠 なぜ増えるの?

V結線では、2台の単相変圧器だけで三相電力を供給できるように工夫されています。
これにより、実効的に√3倍の電力が取り出せるのがポイント!


🔢 計算してみよう

条件:

  • 単相変圧器の容量:100kVA

  • 2台使用 → 計200kVA

  • 線間電圧Vと相電流Iが等しいとすると…

V結線とは?

  • 単相変圧器2台を図のように斜めに接続(V字状)して三相3線の電力を扱う方式。

  • 通常のΔ結線(三角形に3台使う)に比べ、変圧器の数が1台少ないのが特徴。

🔹 容量の算出式:


ペン太ペン太
2台で173kVAなら、1台あたりはフルに使えてるんでしょうか?
ハリタハリタ
利用率は√3÷2で約86.6%に留まります。過負荷に注意が必要です。
項目V結線Δ結線
変圧器の台数単相2台単相3台
単相100kVAでの三相容量約173kVA(√3×100)300kVA
利用率約86.6%(√3÷2)100%
使いどころ仮設や一時的な運用、台数を抑えたい場合常用で容量をフルに使いたい場合
ひっかけ注意
「単相100kVA×2台なら、三相200kVAで使える」ではありません。
V結線の三相容量は√3倍で、約173kVAです。200kVAの負荷をかけると、変圧器は過負荷になります。
ここまでのポイント
  • V結線は単相変圧器2台をV字状に接続して、三相3線の電力を扱う方式
  • Δ結線(3台)に比べて変圧器の数が1台少ない
  • 実効的に√3倍の電力を取り出せる
  • 単相100kVA×2台なら、三相として約173kVA(√3×100)

📊 利用率は?

V結線は単相2台、Δ結線は単相3台です。単相100kVAなら、V結線は約173kVA、Δ結線は300kVAで、利用率はV結線が約86.6%、Δ結線が100%です。Δ結線の1台が故障しても、残り2台のV結線で運転を続けられます。

→ 2台の合計容量の約86.6%を使える(利用率)、ということです。変圧器の損失でいう「効率」とは別の数字です。



たとえるなら
V結線は、2人で3人分の荷物を運ぶようなものです。
2人でも運べますが、斜めに引っ張り合うぶん、1人の力がそのまま前に進む力になりません。だから2人分の力の約86.6%しか使えず、3人で運ぶときほど多くは運べません。
ここまでのポイント
  • 利用率は√3÷2で約86.6%
  • 2台合計200kVAに対して、使えるのは約173kVA
  • 2台分をそのまま足した容量にはならない

Δ結線と比べると(利用率と出力比)

V結線の数字は、「何と比べるか」で2つあります。取り違えやすいので、並べて整理します。

比べ方式単相100kVAの例
三相容量√3×単相1台の容量√3×100≒173kVA
利用率(2台の合計に対して)√3÷2173÷200≒86.6%
出力比(Δ結線3台に対して)√3÷3=1÷√3173÷300≒57.7%

V結線では、変圧器を流れる電流と、そこから取り出す電力の向き(位相)が30°ずれます。そのため、1台あたりの容量をすべて三相の出力に回せず、2台の合計の約86.6%にとどまります。

Δ結線で使っている単相変圧器3台のうち1台が故障したときは、残りの2台でV結線として運転を続けられます。ただし出力はΔ結線の約57.7%になるので、負荷を減らして使います。

ひっかけ注意
「V結線の利用率86.6%は、Δ結線の86.6%まで出せるという意味」ではありません。
86.6%は2台の合計容量に対する割合です。3台のΔ結線と比べると、出力は約57.7%です。どちらの数字かを確かめて使います。

⚠ 注意点

V結線にする2台は、定格容量、一次・二次の定格電圧、極性(加極性・減極性)をそろえ、%インピーダンスも近いものにします。そろっていないと、電圧のずれや過電流、事故の原因になります。
  • 2台の変圧器は「極性(加極性 or 減極性)」を統一する必要あり

  • 容量・電圧・極性の不一致があると、逆相・過電流・事故の原因に


▼ V結線変圧器の容量イメージ
単相変圧器
100kVA
+
単相変圧器
100kVA
→
三相 V結線
約173kVA
(√3×100)
利用率 約86.6%(=√3÷2)
取り違えやすいところ正しくは
単相100kVA×2台なら三相200kVAで使える約173kVA。√3倍であって2倍ではない
V結線でも変圧器はフルに使える利用率は約86.6%にとどまる
容量さえ合っていれば組み合わせは自由極性(加極性・減極性)と電圧も統一する
V結線はΔ結線の代わりにいつでも使える容量に余裕がなくなるため、用途を踏まえて選ぶ
ひっかけ注意
「容量さえ合っていれば、どの2台を組み合わせてもよい」ではありません。
電圧・極性・インピーダンスがずれていると、相間の電圧が不平衡になったり、過電流が流れたりします。銘板で2台の仕様を確かめてから組み合わせます。
ここまでのポイント
  • 2台の変圧器は極性(加極性・減極性)を統一する
  • 容量・電圧・極性の不一致は、逆相・過電流・事故の原因になる

よくある質問(FAQ)

Q. V結線にすると使える容量はどうなりますか?
A. 単相変圧器1台の容量の√3倍で、2台の合計容量の√3÷2(約86.6%)です。単相100kVA×2台なら、三相変圧器として約173kVAで使用できます。

Q. なぜ2台で三相電力が得られるのですか?
A. 単相変圧器2台をV字状に接続することで三相3線の電力を扱えるためです。Δ結線(3台)より変圧器が1台少ないのが特徴です。

Q. V結線の利用率はどのくらいですか?
A. √3÷2で約86.6%です(三相容量約173kVA÷2台の合計200kVA)。3台のΔ結線(300kVA)と比べた出力比は約57.7%です。

Q. V結線で注意すべき点は?
A. 2台の変圧器の極性(加極性・減極性)を統一する必要があります。容量・電圧・極性の不一致は逆相・過電流・事故の原因になります。

✅ まとめ

項目 内容
利用する変圧器 単相100kVA × 2台
三相としての容量 約173kVA(√3 × 100)
利用率 約86.6%
メリット 変圧器2台で三相を得られる
注意点 極性統一・容量整合が必要
ペン太ペン太
採用するとき最後に確認することは?
ハリタハリタ
2台の極性統一と容量・電圧の一致です。不一致は逆相や過電流につながります。

V結線でつまずくのは「2台だから2倍」と考えてしまうときです。実際は√3倍、利用率にすると約86.6%にとどまります。台数を1台減らせる代わりに、容量の余裕も減るという交換だと捉えると分かりやすくなります。

確認する順番見るところ決まること
Step1単相変圧器1台の定格容量三相容量の計算のもとになる値
Step2√3を掛けるV結線としての三相容量(100kVAなら約173kVA)
Step3必要な負荷容量と比べる余裕があるか、過負荷にならないか
Step42台の極性加極性・減極性が統一されているか
Step52台の容量と電圧一致しているか

仮設や一時的な運用では、変圧器を1台減らせるV結線が有効に働きます。ただし常用で採用するときは、86.6%という利用率を最初から見込んで容量を決めておかないと、後から余裕がないことに気づくことになります。

📘 体系的に学びたい方へ
このテーマは、連載「高圧受変電設備の設計マニュアル(全14回+資料編)」で、単線結線図の読み方・書き方とあわせて基礎から解説しています。
関連する回:⑨ 変圧器部 ― 容量・結線・台数

あわせて読みたい

次に読むならこれ【単線結線図の見方⑫】非常用発電機と切替 ― 先に商用を切ってから入れる順番とインタロックで読み、非常用母線を分ける理由を知る新人教育
ABOUT ME
HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。