技術図書館分岐幹線の遮断器省略を7枚のスライドで読む3m以下・8m以下35%・長さ制限なし55%の3条件と、省略した場合の代償を図解つきで確認できます。スライドを見る資料一覧を見る

太い幹線から細い幹線を分岐するとき、分岐した側にも過電流遮断器を施設するのが原則です。その遮断器を省略できる条件が、電技解釈第148条第1項第4号に4つ書かれています。この記事では、条文のイ・ロ・ハ・ニを1つずつ読み、55%・35%が何に対する割合なのか、3mの条件に付いている但し書き、そして混同されやすい分岐回路の規定との違いまでを整理します。

結論

省略できるのは過電流遮断器だけで、どれか1つの条件を満たせば足ります。すべてを満たす必要はありません。

  • 原則は分岐した幹線の電源側にも過電流遮断器を施設する(解釈148条1項4号)
  • イ:許容電流が上位の遮断器の定格の55%以上なら長さ自由
  • ロ:長さ8m以下かつ許容電流が35%以上
  • ハ:長さ3m以下で、負荷側に他の幹線を接続しないとき
  • ニ:電源が太陽電池のみである場合
  • 55%・35%の相手は直近上位の過電流遮断器の定格電流。主幹ではないことがある
  • 比べるのは負荷電流ではなく、分岐幹線の許容電流IW
  • 3mの条件には「先に幹線をつながない」という但し書きが付く
  • 同じ数字が出る分岐回路(149条)は「省略」ではなく「位置の緩和」
  • 省略の代償は電線が太くなること、上位の遮断器で切れること、切り離せないこと
この記事でわかること
気になるものを選べば、その項目へ飛べます。全部を読まなくても、必要なところだけで解決します。
長さとIBが確定していないと、条件に当てはめる作業に入れません。

この記事の計算を、その場でツールで

幹線つながりチェック(系統ツリーで電線・ブレーカーの整合を診断)

幹線から分岐までの系統ツリーを作り、電線とブレーカーの整合・電圧降下をまとめて自動診断します。

セコサポ(電気設計・工事ツール集)で開きます。登録不要で、入力した値はお使いのブラウザに保存されます。

まず結論 ― 原則は「付ける」。省略は例外

この話の出発点は、分岐した細い幹線にも過電流遮断器が要るということです。太い幹線を守っている遮断器は、その定格まで電流を流しても動きません。そこから細い幹線を分岐すると、細い幹線にとっては過大な電流が流れても、上位の遮断器は動かないことになります。だから分岐した側にも遮断器を置く、というのが原則です。

省略できるのは過電流遮断器だけです。ほかの検討まで消えるわけではありません。

そのうえで、「細い幹線のほうが十分に太い」か「距離が短い」なら、上位の遮断器で守れるという考え方で、省略が認められています。条件は4つあり、どれか1つを満たせば足ります。

号 条件 覚え方
イ 許容電流が、上位の遮断器の定格の55%以上 太ければ長さ自由
ロ 長さ8m以下、かつ許容電流が35%以上 短ければ少し細くてよい
ハ 長さ3m以下で、負荷側に他の幹線を接続しない もっと短ければ割合は問わない
ニ 電源が太陽電池のみである場合 そもそも大電流が流れない
どれか1つで足ります。すべてを満たす必要はありません。
ペン太ペン太
分岐した幹線にブレーカーが付いていない図面を見たんですが、違反ではないんですか?
ハリタハリタ
4つの条件のどれかを満たしていれば省略できます。図面にその根拠が書いてあるか見てみてください。
ここまでのポイント
  • 原則は、分岐した幹線の電源側にも過電流遮断器を施設する
  • 上位の遮断器は自分の定格までは動かないので、細い幹線を守れない
  • 省略できる条件は4つ。どれか1つを満たせばよい
  • 省略できるのは過電流遮断器だけで、ほかの検討がなくなるわけではない

条文を読む ― 電技解釈 第148条第1項第4号

この規定は内線規程ではなく電技解釈にあります。内線規程では1360節で同じ内容が扱われていますが、根拠として図面や計算書に書くのは解釈の条番号です。

原則が先にあって、ただし書きで4つの例外が並ぶ形です。

イ ― 55%以上なら、長さは問わない

いちばん使いやすい条件です。細い幹線の許容電流が、上位の遮断器の定格電流の55%以上あれば、長さに関係なく省略できます。ただし割合が大きいぶん、電線は太くなります。

ロ ― 8m以下かつ35%以上。両方が条件

長さと太さの両方を満たす必要があります。「8m以下だから」だけでも「35%以上だから」だけでも足りません。ここを片方だけで判断している図面をときどき見かけます。

ハ ― 3m以下。ただし但し書きがある

許容電流の割合の条件はありません。そのかわり「負荷側に他の低圧幹線を接続しない」という条件が付きます。これは後ろの章で詳しく見ます。

ニ ― 電源が太陽電池のみの場合

太陽電池は、短絡しても流れる電流が定格の値からあまり大きくなりません。過電流そのものが起きにくいという性質による条件で、太陽光発電の直流側・交流側の配線で出てくることがあります。一般の受電設備から供給する幹線には使えません。

出典:電気設備の技術基準の解釈 第148条(低圧幹線の施設)第1項第4号、内線規程 1360節。条番号や数値は改正で変わることがあります。適用にあたっては最新版をご確認ください。

ここまでのポイント
  • 根拠は電技解釈148条1項4号。内線規程では1360節
  • イは55%以上で長さ自由。いちばん使いやすいが電線は太くなる
  • ロは8m以下かつ35%以上。両方を満たす必要がある
  • ハは3m以下。割合の条件はないが、但し書きが付く
  • ニは電源が太陽電池のみの場合に限られる


55%・35%は、何に対する割合か

ここがいちばん間違えやすいところです。比べる相手は負荷電流ではありません。また、いつでも主幹の遮断器というわけでもありません。

比べるのは「上の遮断器の定格」と「細い幹線の許容電流」です。

条文の言い方は「当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流」です。つまりその分岐のすぐ上流にある遮断器を見ます。受電から何段も分岐している建物では、主幹ではなく途中の遮断器が基準になります。

3段目の分岐で見るのは2段目の225Aです。1段目の400Aではありません。

⚠ 比べるのは「IW」であって「負荷電流」ではない

省略の判定に使うのはその細い幹線の許容電流IWです。その先につながる負荷の電流ではありません。

負荷が小さくても、上位の遮断器が大きければ必要なIWは大きくなります。これが「省略すると電線が太くなる」の正体です。IWの出し方そのものは許容電流によるケーブルサイズ選定方法にまとめています。

ペン太ペン太
分岐の負荷が20Aなので、20Aの55%で計算していました。
ハリタハリタ
相手は上の遮断器の定格です。主幹が225Aなら123.75A以上のIWが要ります。
ここまでのポイント
  • 比べる相手は上位の過電流遮断器の定格電流
  • 多段に分岐するときは、主幹ではなく直近上位の遮断器
  • 比べるのは分岐幹線の許容電流IWで、負荷電流ではない
  • IB 225Aなら、55%=123.75A、35%=78.75A

3mの条件には、続きがある

長さで場合分けすると、必要な太さは次のようになります。3m以下だけが、割合の条件から外れています。

3m以下だけ割合の条件がありません。そのかわり別の条件が付きます。

条文のハは「長さが3m以下であり、かつ、負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合」です。後半を落として「3m以下なら無条件」と覚えてしまうと、その盤からさらに幹線を分岐している系統で条件を外します。

その盤の先が分岐回路だけなら成立します。さらに幹線を出すと成立しません。

💡 将来の増設で条件が崩れることがある

竣工時は分岐回路だけだった分電盤から、あとで別棟や増設分の幹線を出すことがあります。そのとき3m以下で省略していた分岐が、条件を満たさなくなります。

増設の計画があるなら、最初からロ(8m以下・35%)かイ(55%)で成立させておくか、分岐側に遮断器を付けておくほうが安全です。図面に「ハで省略」と根拠を書いておくと、次に触る人が気づけます。

長さはどこからどこまで測るか

長さは分岐点から測ります。分岐点とは、太い幹線から細い幹線が分かれるところです。終点は、分岐側に過電流遮断器を設けるならその遮断器まで、設けないならその幹線の終端(盤の主幹など)までです。図面上の直線距離ではなく、実際のケーブルのこう長で見ます。

ここまでのポイント
  • 3m以下には「負荷側に他の低圧幹線を接続しない」という条件が付く
  • 盤の先が分岐回路だけなら成立し、さらに幹線を出すと成立しない
  • 3m以下のときは許容電流の割合は問われない
  • 長さは分岐点から、実際のケーブルのこう長で測る
  • 将来の増設で条件が崩れることがあるので、図面に根拠を残す


分岐回路(149条)と混同しない

分岐回路にも3m・8m・35%・55%が出てきます。数字が同じなので同じ話に見えますが、決めていることがまったく違います。

148条は「省略できるか」、149条は「どこに置けるか」の話です。

分岐回路の規定は電技解釈第149条第1項第2号で、過電流遮断器を分岐点から3m以下の箇所に施設するのが原則です。そのうえで、電線の許容電流が上位の遮断器の定格の35%以上なら8m以下の箇所まで、55%以上なら長さの制限なく、3mを超えた位置に施設できます。遮断器を省略できるとは書いていません。

見るところ 分岐幹線(148条1項4号) 分岐回路(149条1項2号)
決めていること 過電流遮断器を省略できるか 過電流遮断器をどこに置けるか
原則 分岐側にも遮断器を施設する 分岐点から3m以下の箇所に施設する
35% 8m以下なら省略できる 8m以下の箇所まで離せる
55% 長さの制限なく省略できる 長さの制限なく離せる
3m 負荷側に他の幹線を接続しなければ省略できる 原則の位置。ここなら太さは問わない
対象 幹線から分岐する細い幹線 幹線から分かれて負荷へ向かう分岐回路
「省略」と「位置の緩和」。混ぜると、付けるべき遮断器を付けないことになります。

分岐回路側の考え方は分岐回路の設計と屋内幹線と分岐回路にまとめています。

出典:電気設備の技術基準の解釈 第149条(低圧分岐回路等の施設)第1項。

ここまでのポイント
  • 分岐回路にも3m・8m・35%・55%が出てくる
  • 148条は過電流遮断器を省略できるかどうかの規定
  • 149条は過電流遮断器をどこに置けるかの規定
  • 149条では遮断器は必ず付ける。置ける位置が動くだけ
  • 数字が同じなので、どちらの話をしているかを先に決める

省略の代償 ― 太くなるだけではない

省略できるとわかると、「遮断器が1つ減る」ことばかりに目が向きます。しかし実際には3つのものを引き受けています。

電線が太くなる、上位で切れる、切り離せない。この3つです。

いちばん効くのは「切れる範囲」

分岐側に遮断器がないと、その分岐で短絡や地絡が起きたときに動作するのは上位の遮断器です。つまりその分岐だけでなく、同じ幹線につながる系統が全部止まります。

テナントビルや集合住宅のように、系統ごとに切り離せることが価値になる建物では、コストが下がっても省略しないほうがよい場面があります。「省略できる」と「省略すべき」は別です。

⚠ 省略しても、切り離す手段は別に考える

条文が省略を認めているのは過電流遮断器です。保守や改修のときにその系統だけを切り離す手段まで不要になるわけではありません。

盤の増設、機器の更新、ケーブルの更新のときに、その分岐だけを停電させられるかを設計の段階で確認しておきます。開閉器を置くのか、上位を停電させる前提にするのかは、建物の運用に直結する判断です。

主幹を置くかどうかの考え方は動力盤主幹の必要性と設置基準で扱っています。遮断器の定格が電線の許容電流より大きくてよい理由はこちらの記事にまとめています。

ここまでのポイント
  • 省略すると電線が太くなる。負荷ではなく上位の定格で決まるため
  • 事故時に動作するのは上位の遮断器。切れる範囲が広がる
  • 系統ごとに切り離したい建物では、省略しないほうがよい場面がある
  • 省略できるのは過電流遮断器。切り離す手段の要否は別に考える


計算例 ― 主幹225A、分岐の負荷は60A

実際に数字を入れると、同じ分岐でも選び方で8sqから22sqまで変わります。

8mを超えるだけで、8sqが22sqになります。

その「60A」は、どうやって出した値か

先に断っておくと、この60Aは電流計で測った値ではありません。負荷から積み上げた「必要な電流」IWです。55%や35%と比べるのはこの値なので、ここを取り違えると判定ごと変わります。

そしてこのIWを出すところが、動力とそれ以外で手順が違う部分です。動力の電流はkWを√3×電圧で割っても出ません。内線規程の規約電流を使います。

負荷 電流の出し方 値
三相200V 3.7kW 電動機 × 2台 規約電流 17.4 A × 2 IM 34.8 A
三相200V ヒーター 3kW 3000 ÷(√3×200) 8.7 A
照明・コンセントほか 負荷容量の集計値 7.8 A
そのほかの合計 8.7 + 7.8 IH 16.5 A
式を選ぶ IM(34.8)> IH(16.5)かつ IM ≦ 50 A IW ≧ 1.25 IM + IH
IW を出す 1.25 × 34.8 + 16.5 60.0 A
割り増しがかかるのはIMだけです。IHはそのまま足します。

この出し方そのものは幹線計算|許容電流による選定方法にまとめています。規約電流の表、単相と三相で割る値が変わること、需要率や電流減少係数をどの段階でどこに掛けるかも、そちらで扱っています。

選び方 必要な許容電流 満たす最小サイズ 分岐側の遮断器
分岐側に遮断器を付ける 60 A(負荷ぶん) 8 mm²(72A) 要る
ハ|3m以下・先に幹線なし 制限なし 8 mm²(72A) 省略できる
ロ|8m以下・35%以上 225 × 0.35 = 78.75 A 以上 14 mm²(100A) 省略できる
イ|長さの制限なし・55%以上 225 × 0.55 = 123.75 A 以上 22 mm²(130A) 省略できる
600V CVケーブル(単心)・気中暗きょ・周囲温度40℃の許容電流の例。条数と製品で変わります。

読みどころは分岐盤の位置です。分岐点から3mに収まれば8sqのまま、8mを超えると22sqになります。盤を3m以内に寄せられないかを、まず建築側と詰めるほうが、ケーブルを太くするより効きます。

💡 判定のあとに、必ず電圧降下を見る

この表は省略の判定だけの話です。実際のサイズは、ここで出た値と電圧降下から必要になるサイズを比べて、大きいほうを採ります。

分岐が長くなるほど電圧降下が効いてくるので、55%で省略できる長い分岐ほど、電圧降下でさらに太くなることがあります。幹線設備の設計マニュアル④ 電圧降下の検証をあわせてご覧ください。

ブラウザでそのまま使える登録不要ツール

この記事の選定手順を系統全体でまとめてチェックするなら、姉妹サイト「セコサポ」の幹線つながりチェック(電線・ブレーカー整合と電圧降下の自動診断・登録不要)が便利です。

ここまでのポイント
  • 主幹225Aなら、55%=123.75A、35%=78.75A
  • 負荷60Aでも、省略の条件によって8sq・14sq・22sqと変わる
  • 分岐盤を3m以内に寄せられるかが、いちばん効く
  • 省略の判定と電圧降下の検証は別。大きいほうのサイズを採る


図面に落とすとき

省略は条件を満たしているという判断です。その判断が図面から読めないと、審査でも、数年後の改修でも、同じ検討をやり直すことになります。

長さ・許容電流・根拠の3つを書いておくと、あとから読む人が判定をやり直せます。

系統図に書くのは、次の3つです。

書くもの 例 これがないと
分岐点からの長さ L = 6.5 m どの条件を使ったか判定できない
ケーブルと許容電流 CV 3C-14sq(100A) 35%・55%を満たすか確認できない
省略の根拠 解釈148条1項4号ロにより遮断器省略 付け忘れと区別がつかない
「遮断器がない」のが意図なのか忘れなのかは、根拠が書いてあるかで決まります。

幹線系統図の描き方そのものは幹線設備の設計マニュアル⑥ 分電盤へ落とす、図面表記の読み方はCV 3C-38sq(E38)×2(FEP80)の読み方にまとめています。

ここまでのポイント
  • 分岐点からの長さ、ケーブルと許容電流、省略の根拠の3つを書く
  • 根拠がないと、付け忘れと区別がつかない
  • 機器表には「分岐側の遮断器なし」を明示する
  • 将来その盤から幹線を出す計画があるなら、3m以下の条件は使わない

よくある質問

分岐した幹線に過電流遮断器を省略できる条件は?

電技解釈第148条第1項第4号に4つあります。イ 許容電流が上位の遮断器の定格の55%以上(長さ制限なし)、ロ 長さ8m以下かつ許容電流が35%以上、ハ 長さ3m以下で負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合、ニ 電源が太陽電池のみである場合。どれか1つを満たせば省略できます。

根拠は内線規程ですか、電技解釈ですか?

電技解釈第148条第1項第4号です。内線規程では1360節で同じ内容が扱われていますが、図面や計算書に根拠として書くのは解釈の条番号です。

55%・35%は何に対する割合ですか?

その分岐幹線の電源側に接続する、他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流に対する割合です。負荷電流ではありません。

多段に分岐するとき、どの遮断器が基準ですか?

直近上位の遮断器です。主幹400A、その先に225Aの遮断器があり、そこからさらに分岐するなら、基準は225Aになります。

比べるのは分岐の負荷電流ではないのですか?

違います。比べるのはその分岐幹線の許容電流IWです。負荷が小さくても、上位の遮断器が大きければ必要なIWは大きくなります。

長さはどこからどこまで測りますか?

分岐点からです。分岐側に過電流遮断器を設けるならその遮断器まで、設けないならその幹線の終端までを、実際のケーブルのこう長で測ります。

3m以下なら無条件で省略できますか?

いいえ。条文は「長さが3m以下であり、かつ、負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合」です。その盤からさらに幹線を分岐していると、この条件は使えません。

3m以下のとき、ケーブルの太さに制限はありますか?

省略の条件としての割合の制限はありません。ただし、その分岐の負荷に必要な許容電流は当然に必要です。何でもよいという意味ではありません。

8m以下なら35%でよいのですか?

長さ8m以下と許容電流35%以上の両方を満たす必要があります。片方だけでは足りません。

8mをわずかに超えた場合はどうなりますか?

ロが使えなくなるので、イの55%以上にするか、分岐側に過電流遮断器を付けます。8.0mと8.2mで必要なサイズが一段変わることがあります。

条件を2つ以上満たす必要はありますか?

ありません。イ・ロ・ハ・ニのどれか1つを満たせば省略できます。

分岐回路の3m・8mと同じ話ですか?

別の話です。分岐幹線(148条1項4号)は過電流遮断器を省略できるかどうか、分岐回路(149条1項2号)は過電流遮断器をどこに置けるかの規定です。149条では遮断器は必ず付けます。

遮断器を省略すると何が起きますか?

3つあります。①上位の遮断器の定格に対する割合で太さが決まるので電線が太くなる、②事故時に動作するのが上位の遮断器になるので停電範囲が広がる、③その系統だけを切り離す手段がなくなる。

省略できるなら省略したほうが得ですか?

場面によります。分岐が短くて太いケーブルで足りるなら有利ですが、系統ごとに切り離したいテナントビルや集合住宅では、遮断器を付けたほうがよいことがあります。

過電流遮断器を省略したら、開閉器も不要ですか?

条文が省略を認めているのは過電流遮断器です。保守や改修でその系統だけを切り離す手段が要るかどうかは、別に検討します。

主幹225A、分岐の負荷60Aだとどうなりますか?

分岐側に遮断器を付けるなら負荷ぶんの8sq程度で足ります。省略する場合は、3m以下なら8sqのまま、8m以下なら78.75A以上で14sq、それより長いと123.75A以上で22sqになります。

省略の判定を満たせば、それでサイズは決まりますか?

いいえ。電圧降下から必要になるサイズと比べて、大きいほうを採ります。長い分岐ほど電圧降下が効くので、55%で省略できてもさらに太くなることがあります。

図面には何を書いておけばよいですか?

分岐点からの長さ、ケーブルの種類と許容電流、そして省略の根拠(解釈148条1項4号のどの号か)の3つです。これがないと、遮断器がないのが意図か忘れかを区別できません。

太陽電池の条件(ニ)はどんなときに使いますか?

電源が太陽電池のみである低圧幹線に限られます。太陽電池は短絡しても電流が大きく増えないという性質による条件で、一般の受電設備から供給する幹線には使えません。

竣工後に増設したら、省略の条件が崩れることはありますか?

あります。3m以下(ハ)で省略していた分岐盤から、あとで別の幹線を出すと条件を外れます。増設の計画があるなら、最初からロかイで成立させるか、遮断器を付けておくほうが安全です。

まとめ ― 取り違えやすいところ

取り違えやすいところ 正しくは
分岐幹線には必ず遮断器が要る 原則は要る。4つの条件のどれか1つを満たせば省略できる
根拠は内線規程 電技解釈148条1項4号。内線規程では1360節
55%・35%は負荷電流に対する割合 上位の過電流遮断器の定格電流に対する、分岐幹線の許容電流の割合
基準はいつも主幹の遮断器 直近上位の遮断器。多段分岐では主幹ではない
3m以下なら無条件で省略できる 負荷側に他の低圧幹線を接続しないことが条件
8m以下なら35%でよい 8m以下と35%以上の両方を満たす必要がある
条件は全部満たさないといけない どれか1つで足りる
分岐回路の3m・8mと同じ規定 149条は「省略」ではなく「遮断器を置ける位置」の話
省略すればコストが下がる 電線が太くなる。分岐が長いほど不利になる
省略しても保護は変わらない 事故時に動作するのが上位になるので、停電範囲が広がる
省略すれば開閉器もいらない 省略できるのは過電流遮断器。切り離す手段は別に検討する
判定を満たせばサイズが決まる 電圧降下から必要なサイズと比べて、大きいほうを採る
図面は遮断器を省けばよい 長さ・許容電流・根拠の3つを書いて、忘れと区別できるようにする
「原則は付ける」「どれか1つでよい」「相手は上の遮断器」の3つを押さえれば外しません。
手順 やること 見るところ
1|分岐点 分岐点を決めて、こう長を測る 3m/8m
2|IB 直近上位の過電流遮断器の定格を確認する 主幹ではないことがある
3|IW 分岐幹線の許容電流を出す 解釈148条1項2号
4|判定 イ・ロ・ハ・ニのどれかに当てはめる どれか1つで足りる
5|付ける 当てはまらなければ分岐側に遮断器を付ける これが原則の姿
6|切る単位 切り離す手段が要るかを決める 停電範囲と運用
7|電圧降下 こう長から検証して、大きいほうを採る 2%/3%
8|図面 長さ・許容電流・根拠を書く 機器表に「なし」を明示
この8手順で、幹線系統図と機器表に書けるところまで決まります。

📘 あわせて確認したいこと

この記事は、連載「幹線設備の設計マニュアル」の第5回 保護と幹線分岐の補足解説です。分岐幹線の許容電流IWの出し方は許容電流によるケーブルサイズ選定方法、計画全体の流れは第1回 全体フローと系統計画からご覧いただけます。

ハリタ

この記事を書いた人:ハリタ

電気設備設計の実務者。引込・高圧受変電・幹線・接地を「設計者の視点」で解説しています。プロフィール詳細

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HARITA
電気設備の設計に携わる技術者です。内線規程や電気設備技術基準の解釈などの一次資料をもとに、設計・施工者向けの技術解説と、専門知識のない方に向けた「住まいの電気」の解説を書いています。